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2013年1月16日 植草一秀の『知られざる真実』
日銀の白川方明総裁の任期が本年4月で満了になる。
後任人事が検討されている。
安倍晋三氏は金融政策運営について、安倍氏は、
「デフレ脱却に向け、金融政策で私の考え方に共鳴する人を人選したい」
と述べたが、この発言自体に現在の中央銀行制度の問題点が浮き彫りになっている。
安倍晋三氏は、
「適切な金融政策運営を実現する人を人選したい」
と述べるべきである。
日銀総裁を「私の考え方に共鳴する人」にすることは、中央銀行のあり方として根本的に間違っている。
この発言は、日銀の独立性を根幹から否定し、日銀を内閣総理大臣の指揮下に置くことを意味する。
この考え方で日銀総裁人事が行われるということは、5年に1度の日銀総裁人事の際に、その時点で内閣総理大臣の地位にある者の個人的な考え方によって日銀が運営されることを意味する。
内閣総理大臣は行政の最高責任者であるが、金融政策の最高責任者ではない。
日銀法では、金融行政および金融調節について、次の規定を置いている。
(日本銀行の自主性の尊重及び透明性の確保)
第三条 日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない
(業務の公共性及びその運営の自主性)
第五条 日本銀行は、その業務及び財産の公共性にかんがみ、適正かつ効率的に業務を運営するよう努めなければならない。
2 この法律の運用に当たっては、日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない。
第三条で、「日本銀行の通貨及び金融の調節」について、
「(日銀の)自主性は尊重されなければならない」
とする一方、
「業務運営」について、
「(日銀の)自主性は十分配慮されなければならない」
としている。
「尊重されなければならない」と「配慮されなければならない」の違いは何か。
前者が強く、後者が弱い。
「通貨及び金融の調節」について日銀の独立性を強く認めているのに対し、「業務運営」については日銀の独立性を強く制限している。
ここで問題になるのは、日銀の業務のなかに「通貨及び金融の調節」と「それ以外の業務」があることだ。
この点については、日銀法第一条に規定がある。
(目的)
第一条 日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。
2 日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。
詳細な説明は省くが、いわゆる通常の金融政策運営が「通貨及び金融の調節」であり、「資金決済の円滑化及び信用秩序の維持」がそれ以外の業務の中心を占めるのである。
後者の「資金決済の円滑化及び信用秩序の維持」に関して、日銀法には重要な三つの条文がある。
(信用秩序の維持に資するための業務)
第三十八条
(資金決済の円滑に資するための業務)
第三十九条
(他業の禁止)
第四十三条
の三つだ。
(他業の禁止)のポイントは、この条文の例外規定である。
「ただし、この法律に規定する日本銀行の目的達成上必要がある場合において、財務大臣及び内閣総理大臣の認可を受けたときは、この限りでない。」
この条文は、日銀による金融危機などの発生可能性を踏まえて、日銀による上場企業株式の取得などを念頭に置いたものだと考えられる。
細かな説明になってしまったが、要するに通常の金融政策運営については日銀に強い独立性を付与する一方、金融危機対応、信用秩序の維持、決済システムの維持に関しては、政府の強い関与を認めるものとなっているのだ。
物価安定=通貨価値の維持、為替レートの安定などの金融政策の目的を達成するための「通貨及び金融の調節」については、日銀の自主性=独立性が、
「尊重されなければならない」
としているのが、現在の日本銀行法の考え方である。
これに対して、安倍晋三氏は金融政策運営について、
「私の考え方に共鳴する人」
を日銀総裁に任命するとしている。
こうなると、5年に一度の日銀総裁人事のたびに、そのときたまたま内閣総理大臣の地位にある者の、個人的な趣味・嗜好で日銀の政策運営が決められてしまうことになる。
基本的にこの発想は健全でない。
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