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2013年01月12日 世相を斬る あいば達也
まず初めに“生活の党”の話。森代表が財源論であれだけ民主党を追求していた自民党が、財源無視のバラマキに興ずるのは納得できない、と怒っている。しかし、野田民主党が、自爆テロ解散前に、特例公債を2015年まで自動延長させる法案を通しているので、参議院でネジレ現象があっても赤字国債(建設国債含む)のお墨付きを、与党時代の民主党が与えてしまっているので、もう文句を言っても後の祭りだ。安倍晋三には霞が関と野田佳彦と云う援軍までついていたことになる。本当に野田佳彦ってヤツは酷い疫病神だったね。下野するだけでも噴飯ものだが、ついでに敵方の大将に“打ち出の小槌”を与えたのだから、大馬鹿野郎である。
ところで見出しに関する安倍首相と日本維新の会の会談が大きく報じられているが、この会談には多くの疑問符が残るのは当然だろう。日本維新の会の代表は誰あろう、石原慎太郎である。であるならば、おひざ元で暇をこいている慎太郎と参議院における審議の協力を仰げば良いわけで、なにもこれ見よがしに橋下や松井と会う理由はない。この事への疑問には触れずに、朝日は以下のように報じている。当然、この政党の序列を無視した会談が含む意味合いを知りながら、朝日は、敢えて見ないふりで記事を書いている。
≪ 首相、橋下氏に補正協力要請 参院選の野党連携を牽制
安倍晋三首相は11日午後、日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長、幹事長の松井一郎大阪府知事と大阪市内で会談した。首相就任後、両氏と会談する のは初めて。首相は会談の冒頭で「東京と大阪は日本の成長のエンジンだ」と述べ、経済成長を促すため規制緩和に取り組む考えを示した。
関西の経済情勢について意見交換したほか、首相は2012年度補正予算案の早期成立への協力を要請。会談後、松井氏は記者団に 「野党的発想で何でも反対することはしない」と述べ、協力する考えを示唆した。
会談に先立ち、首相は11日午前の記者会見で「補正予算を早期に通過させるのが景気や経済発展に極めて重要だと話し、協力もお願いしていきたい」と表明した。参院選に向け、維新を含めた野党共闘の動きもあるが、首相は「自民、公明で安定した政権を取って衆院、参院で過半数を目指す基本的な考え方には全く変わりがない」と述べた。
これまで首相は「教育制度改革や憲法改正、道州制などで協力できるのではないか」と述べるなど、憲法観や外交・安全保障分野で維新との主張の近さを指摘してきた。今回の会談に は、維新が野党と参院選で連携することを牽制(けんせい)し、1人区での野党共闘を 封じたい思惑もある。≫(朝日新聞デジタル)
この記事で報じていること自体は、どうでも良いことである。問題は、なぜ安倍は石原慎太郎代表の頭越しに、代表代行と幹事長に会ったのか、その事が重要なのである。たしかに、維新の会とみんなの党の連携も参議院選では脅威なので楔を打つと云う目的はあったろう。しかし、筆者は隠された意図の方に興味がある。それは、安倍政権の経済司令塔的存在に竹中平蔵が起用された問題だ。竹中は、当初橋下徹と云う電波芸人を利用して、民主党から維新の会への政権交代の道筋を描いていたのだが、総選挙で自民圧勝の計算違いを起こし、急遽、安倍自民へくら替えしたニオイがプンプンだ。飯島勲が加わった点も、そのニオイの臭気を強くなっている。
竹中平蔵、飯島勲、(高橋洋一)と並ばせれば、もう一人重要人物が欠けている事に気づくだろう。小泉純一郎だ。しかし、最近では、実は小泉純一郎は小泉政権のお飾り神輿だったのかも、と云う疑問符も付いているだけに、竹中・飯島(高橋)で世界金融組織には充分な布陣なのかもしれない。世界金融組織が、最終的に世界国家の成立を目指している過程の範囲内にあると云う説もあるくらいだ。ただ、個々のプレーヤーにはそこまでの自覚がないと云うことだ。CIAのインテリジェンス組織に属する個人に、横の連携がないのと同様のかたちなのだろう。
石原慎太郎は安倍自民と連携に前向きだったので、あらためて会う必要もなかったと云う考えもある。しかし、平沼や片山は竹中・小泉ラインに“郵政民営化”で煮え湯を飲まされた怨念を忘れる筈がない。つまり、立ち上がれの面々にとって、竹中平蔵は宿敵なのである。しかし、敢えて見える形で竹中平蔵を安倍政権に引き込んだ事実は重い。何かに向けて脅しをかけた面があるはずだ。それは、短絡的には平沼ら、本当の右派保守政治家の維新からの追い落としかもしれない。つまり、石原はみずから平沼らを切れない。しかし、権力亡者の石原にとって、権力に介在したい欲望を抑える事も出来ない。その石原欲望の成就には、平沼らが怒って党を割ってくれることが望ましい。
その上、みんなの党の渡辺は、石原だけなら組めると云うメッセージを常に流しているのだから、石原にとって、平沼らは邪魔になってきた可能性は大いにある。維新とみんなの党の連携が上手くいけば、自民党を凌駕するだけの勢力になり得る、と先の衆議院選挙のデータが証明していたのだから、石原の興奮は極に達している。冗談じゃなく「俺さ、内閣総理大臣になれるかも?」と石原慎太郎が夢精を伴い夢想しても不思議はないのである。
みんなの党は、維新との共同塾開催や選挙協力の方向で一致していたのだから、安倍晋三の橋下訪問は心穏やかではない。自公政権に維新を取り込む動きにも写るだろう。安倍の突然のパフォーマンスだけを見れば、野党共闘分断が狙いと云う素直な見方もある。ただ、この動きは、維新内にある、維新とたちあがれの確執に油を注ぐ効果があるだろうし、前述の石原と平沼らの分断と云う深慮遠謀の仕掛けかもしれない。まぁ半分妄想のようなものだが、考える分には面白い。
今、最も自公政権に対抗し得る政治勢力と言えば、維新+みんなの党+石原慎太郎だろう。ただ、安倍の動きからはたちあがれ全体の無視だから、石原も排除に含まれるのだが、あの太陽の党の面々が含まれていても石原と組み、みんなの渡辺をコケにした選択を見る限り、橋下の石原信者ぶりは相当だ。安倍が元気で自民党健在なら、石原のそれ以上の芽はないのだが、参議院選で維新+みんなの党が第一党に躍り出てきた場合には、自民+維新+みんなの党+石原と云う勢力図も現実的にある。その時、衆議院の第一党の総裁が絶対に首相になるとは限らない連立政権もあるわけで、その時石原慎太郎が内閣総理大臣になる芽がゼロとは言えない。勿論、流石の妄想好きの筆者もゼロではないとまでしか言えない(笑)。まぁ、こんなことまで考えてしまうほど、日本の政治はカオスの中に嵌り込んでいると云うことだ。
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