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2013年1月12日 植草一秀の『知られざる真実』
白川方明日銀総裁の5年の任期が終了する。
後任人事問題が重要事項として浮上している。
英語を話せるとか話せないとか、枝葉の議論が横行している。
英語を話せる人が英語を話せることの重要性を論じるならまだ理解できるが、英語を話せない人がこの点を問題にしてもまったく説得力がない。
「英語を話せるようになりたい」という本人の希望を述べているのだと推察するが、このことが日銀総裁にふさわしい人物であるかどうかを測る尺度になるはずもない。
英語を話す優秀でない人と、英語を話さない優秀な人のどちらが良いかと言えば、英語を話さない優秀な人が良いに決まっている。
言語の問題はあらゆる手段で解消可能だが、本人の能力の問題は解消不能だからだ。
日銀の総裁に就任する人物なら、英語を話せる前に、普通の漢字を読める日本語能力が必要であることも言うまでもない。
日銀総裁に必要な能力は、第一に金融政策に関する正しく深い学識である。
金融政策の本質を正しく、深く理解する人でなければ日銀総裁の職は務まらない。
この点について言えば、財務省出身者の99%は失格である。
財務省の幹部経験者の大半は法学部出身で、国家公務員試験の法律職か行政職で採用された人々である。行政や法律の専門家ではあっても金融政策の専門家ではない。
大蔵省、財務省出身者でも、野口悠紀雄氏や榊原英資氏などのように経済学者として十分な学識と見識を有する人物は存在する。しかし、その比率は1%にも満たない。
財務次官経験者であっても、指揮官としては優れていても、金融政策に関する正確な知識と学識、見識は持ち合わせていない。
日銀総裁に就任する人物として求められる第二の資質は、売国者でないことだ。これが本当の意味での第一の資質であると考えるべきだ。
売国者ではない愛国者であることが必要だ。
まして、自分の納税額を減らすために、1月1日の所在地を外国にして、地方税の支払いを免れるような納税忌避行為を繰り返し行うような人物は、まずこの要件に適合しない。
竹中平蔵氏は2001年から2006年にかけて小泉政権で経財相や郵政民営化相などの職に就いたが、その実績には重大な疑問符が付けられている。
政策運営は失態の連続であったが、そのなかでも看過できない重大な問題がいくつもある。そのなかから、三つだけ取り出してみる。
りそな処理、郵政民営化、かんぽの宿、の三つだ。
いずれもが、「売国政策」と呼ばざるを得ない内容を含んでいる。
りそな処理については、拙著『日本の独立』(飛鳥新社)をご高読賜りたい。
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2003年5月17日、日経新聞は「りそな実質国有化」の報道を行った。
「実質国有化」とは「一時国有化」とは違う。「一時国有化」は破綻処理で、当該企業の経営責任を問うものだが、「実質国有化」は「救済」である。正しい日本語を使うなら、「一時国有化」は「破たん処理」であり、「実質国有化」は「救済」である。
2001年4月の小泉政権発足から2003年5月にかけて、日本経済は奈落の底に転落した。小泉政権下で竹中氏が実行した経済政策の失敗により、日本経済が崩壊したのである。
株価は半値に暴落した。暴落を加速させたのは竹中氏の「大銀行破たんも辞さぬ」との政策方針だった。
金融恐慌も発生しうるとの見通しが広がり、株価が大暴落した。
ところが、最後の局面で、小泉‐竹中政権はりそな銀行を税金で救済した。
「大銀行は税金で救済する」ことが確認されて株価は大幅反発した。あたりまえの反応だ。
問題は、この株価暴落と銀行救済による株価反発があらかじめシナリオとして用意されていた可能性が高いことだ。詳細の説明は省くが、外国資本に利益を供与するためにこの大きな策謀が実行された疑いが濃厚に存在するのだ。
郵政民営化は米国の要求に沿って小泉‐竹中政権が実行したものだ。細目を決定するに際して竹中氏は米国保険会社などと20回近くの協議を行っている。日本国民のための制度改革ではなく、外国資本に利益を供与するための制度改革だった疑いが濃厚である。
「かんぽの宿」疑惑はブログで徹底的に取り上げたテーマであるので、関連ページを参照いただきたいが、郵政民営化法の附則にかんぽの宿売却を盛り込んだのは竹中氏の指示によるものであったことが明らかにされている。
この「かんぽの宿」が政府の規制改革委員会の座長を務めていた宮内氏が率いるオリックス関連会社に払い下げられようとした。
鳩山邦夫総務相の問題提起によって、払い下げは中止されたが、この疑惑の中心に竹中平蔵氏が位置している。
第三に、政治から一定の距離を保っている人物であることだ。
特定の政党に深く関与する人物が日銀総裁の職に就くことは望ましいものでない。
中央銀行の職責は本来、政治からの独立性を重視するものである。
特定の政党と深くかかわり政治に携わった人物を除外して検討するべきだ。
これらの要件をすべて考慮すると、現在の日銀総裁である白川方明氏に勝る優れた人材は存在しない。
日本では日銀総裁の再任がないが、米国ではグリーンスパンFRB議長が長期間在職して、大きな信頼を確立した。
白川氏は年齢もまだ低く、再任されても十分に職責をこなすことができる。
日銀総裁ポストを狙う勢力が懸命に白川総裁批判を展開するが、白川氏が強い批判にさらされる理由は存在しない。
政治の劣化が日銀総裁人事までをも歪めてしまう現実は、とてつもない国民の利益の喪失を生み出す。
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