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2013/1/10 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
壮大なバラマキを始める安倍2回目お坊ちゃん内閣の幻想とその結末
「10年以上にわたるデフレからの脱却は人類史上、劇的な取り組みとなる」
安倍首相はこう言って、総額20兆円規模の緊急経済対策を打ち出した。補正で手当てするのはうち、13・1兆円。リーマン・ショックに見舞われた麻生内閣の経済危機対策(14・7兆円)に次ぐ規模で、市場も沸きかえっているのだが、冷静な識者ほどシラけている。
「人類史上」なんて、言うこと自体が怪しげだし、民主党政権時代、自民党のメンメンは与党の経済政策をこう言ってこき下ろしてきたのである。
「財源の裏付けがない」
「バラマキだ」
参院のねじれを逆手に取り、特例公債法を人質にして、「子ども手当」ですらイチャモンをつけてきたのが自民党だ。
財政事情は同じなのに、なぜ、安倍政権になると、バラマキが可能になるのか。つくづくいい加減な連中だし、この景気対策が何の裏付けもない刹那的なものであることがハッキリ分かる。
「結局、国民がトクする景気対策はダメで、ゼネコンや大企業が潤う財政出動ならば認めるということです。自民党の保守政治とは、一部の既得権者、大金持ち、大企業のためにある。その政治姿勢はちっとも変わっちゃいないのです。一番、助けが必要なところにはカネを回さず、富者をさらに富ませる景気対策をやって、一部でワッショイワッショイとやっている。それがアベノミクスの正体ですよ」(政治評論家・森田実氏)
財政がカツカツなのに、いつまでバラマキを続けられるのか。それで景気が良くなり、税収が上がるのか。そうならなかった場合、そのツケは誰が背負うのか。国民は冷静に考えた方がいい。
◆アベノミクスはコケの生えた古い手法
緊急経済対策には復興のスピードアップ、防災対応の強化、命と暮らしを守るインフラの再構築、学校の耐震化、老朽化対策などのメニューが並ぶ。これだけで、日本は土建屋国家に逆戻りしたのが分かるが、安倍は仰々しく「経済再生本部」を立ち上げ、傘下に「産業競争力会議」を置き、「経済財政諮問会議」も復活させた。
公共事業、金融政策、成長戦略の「3本の矢」とか言って、あたかも斬新な経済対策を打ち出すかのように装っているが、騙されちゃいけない。安倍がやろうとしていることは、使い古して、コケが生えているような旧来の手法だ。だから、期待しても無駄なのである。慶大教授の金子勝氏はこう言った。
「3本の矢とか言いますが、この20年間、財政出動もしたし、金融緩和も構造改革もやった。しかし、結果は不良債権を積み上げただけでした。本来であれば、経済政策の責任を取らなければいけない人々が責任を取らず、また同じことをやろうとしている。失敗をゴマカすために、規模を拡大させて、前倒しで予算を執行しようとしている。そうやって、一時的にでも景気の落ち込みをストップさせて、何とか、夏の参院選までは持ちこたえさせるつもりでしょう。が、いつまでも公共事業を打ち続けるわけにはいかない。つまり、参院選後は大変なことになる。『失われた20年』の繰り返しにしかなりません。国民はこうしたカラクリをよく知るべきです」
これが冷静な識者の見方なのである。安倍バブルに浮かれる軽薄な市場やメディアに踊らされたら、絶対にダメだ。
◆「ミニバブルすら起こらない」と市場はバッサリ
安倍・自民党はバラマキと金融緩和で、一時的にでもバブルを起こせば、それが景気浮揚のキッカケになると思っている。本気かどうかは疑問だが、少なくとも、国民にはそんな期待を抱かせようとしている。そうなりゃ、庶民にも恩恵がこぼれてくるが、識者や市場関係者の見方は悲観的だ。
「ミニバブルすら起こらないだろう」「ちょっと、市況がいいのも参院選までだ」と、こんな見立てがほとんどだ。まず、前出の金子勝氏が言う。
「安倍さんが一番威勢がよかったのは選挙前です。日銀総裁と物価目標のアコードを結ぶ。お金を刷らせて、大型財政出動をする、などなどです。この時点で市場はアベノミクスを織り込んで株価は上がった。1月に入っても株が上がり続けたのは、米国の財政の崖の危機がとりあえず回避されたからです。つまり、このあとも上がり続けるかというと、そうはならない。日銀の新総裁が決まり、政府とインフレターゲットの合意がなされるなどの節目で、ちょっと上がる程度だと思います」
安倍バブルとか言うが、平均株価は1万500〜1万1000円程度。そんなもんで終わるのが関の山ということだ。ソシエテジェネラル証券の東京支店長で調査本部長の島本幸治氏はこう言った。
「株価は先取りして動いていますから、今後は実体経済がどこまで株価についてくるかだと思います。おそらく、参院選までは切れ目なく、さまざまなことを打ち出すと思いますが、株価の上がり方のスピードが速すぎるのも事実です。今後はスピードは鈍る。3月末には売りがあるでしょうし、予算案の中身の精査も始まる。どれだけ実体経済が良くなるか。市場はそこに注目する。ただし、いまのところ、このゲームから降りるキッカケがないのです」
みんな半身で構えて、逃げ出す準備をしているかのようだ。
◆効果ゼロのまま財政出動のツケは増税に
東海東京証券のチーフエコノミスト・斎藤満氏はもっと慎重だ。
「バブルが起こるのは米国ですよ。円安になれば、ドルで資産を持っていたほうが得するので、企業も銀行も金持ちもドルを買う。米国債が売れるだけで、ふつうの日本人はあまり得しません。それどころか、アベノミクスは根本的に処方箋が間違っている。デフレの原因はグローバル化とIT化で世界中どこでも同じような製品ができるようになったことにある。コスト競争になったら、新興国にかなわないのです。これを克服するにはコストではない競争力、すなわち研究開発しかないのに、日銀にお札を刷らせてどうするんですか。これまでも金融緩和を続けてきたが、どこにも貸出先がないのですよ。無制限に緩和したところで、貸出先がないことに変わりがない。公共事業で無理に需要をつくろうとしても、これまで国は公共事業を切り詰めてきたため、工事を担う人手がいない。だから、東北の復興予算も使い切れないのです。いまはアベノミクスに沸いていますが、もうしばらくすると、期待が失望に変わるのではないか。そういうリスクを秘めた政策だと思います」
バブルどころか、失望売りを招きかねないというのだが、これは本当かもしれない。効果が出ないまま、バラマキだけを先行させれば、いたずらに財政を悪化させるだけで終わってしまう。そのツケは参院選後、間違いなく、増税や社会保障カットという形で戻ってくる。株価は急落し、庶民はバブルの夢を見ることもなく、地獄が始まる。
景気がちょっと良くなったように見えるが、安倍への期待は市場関係者が煽り、つくった相場だ。庶民は「2回目だから、今度はうまくいくんじゃないか」と思っているが、お坊ちゃん政治家がいきなり賢くなるわけがない。国民はそれを肝に銘じておくべきである。
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