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2013年1月 1日 植草一秀の『知られざる真実』
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくご厚誼賜りますよう謹んでお願い申し上げます。
「一年の計は元旦にあり」と言いますが、みなさまはどのような計を立てられたことでしょうか。
大きな「計」をぜひ思い描いてください。
村山節氏の著書に『文明の研究』と題するものがある。
1984年に出版された400ページの大著である。
村山氏の38年間にわたる研究の集大成であるが、示されている結論は極めて興味深い。
村山氏は世界の文明を東の文明と西の文明に分けて捉え、それぞれの文明が16世紀で一巡する高揚期と低迷期のサイクルを描いてきたことを示す。
そして、その東西の文明の高揚期と低迷期のサイクルは正反対の関係を描くと見る。
村山氏は人類史上の偉大な大文明は例外なく高調波時代(高揚期)の所産であるとする。
この研究が示す具体的なサイクルにおいては、東西文明の高揚期と低迷期の交差時点が西暦2000年に該当するのだという。
西暦1200年から2000年までの800年間、「西の文明」の時代が続いた。これが、2000年を境に「東の文明」の時代に切り替わるというのだ。
栄華を極めたローマ帝国が東西に分裂し、急速に衰えたのが西暦400年頃である。13世紀に始まるルネサンスまでの8世紀の間、ヨーロッパの中世は停滞の時代だった。
欧州が停滞を続けるこの期間に隆盛を極めたのが中国の隋、唐、宋、さらにイスラム帝国である。日本では、飛鳥、奈良、平安文化が花開いた。
しかし、1200年以降は状況が一変した。
1200年から2000年にかけて隆盛を極めたのは西の文明である。
ヨーロッパはルネサンスから大航海時代を経て、産業革命を実現し、世界の支配者にのし上がった。
アジア、インド、メソポタミアは衰勢をたどり、欧米の支配下に置かれるようになった。
西暦1200年から2000年の日本は、戦国時代から江戸時代の武士の時代を経て明治維新で鎖国は解かれたが、日本の課題は欧米にキャッチアップすることである時代が続いた。
村山史観に基けば、西暦2000年から2800年にかけて、東の文明の時代が訪れるということになる。
2012年の政権交代を契機に、日本政治は中国の躍進が続くなかで再び対米隷属の流れに完全に引き戻されつつある。
中国との摩擦を高めて、米国に従属する道に突き進むことが提唱されているわけだが、時代の大局を眺めたときに、この選択が正しいのかどうか。
とかく人は近視眼的思考に陥りやすい。
目先の力関係、目先の利害に囚われてしまいがちだ。
日本が西欧の国家であるなら、日本は何よりも英米と近い関係を維持することに心血を注ぐべきだろう。
しかし、日本は完全なるアジアの国家である。アジアこそ日本のホームグラウンドである。
米国が力を持ち、世界のスーパーパワーに君臨したのは、ここ100年足らずの時代だけである。
そのアメリカがいま内部で大きなきしみに直面している。
アメリカ自身がごく少数の大資本に支配される傾向を強め、社会を構成する大多数の国民、99%の国民が被支配者の立場に追い込まれ始めている。
米国の意志と言うが、正確には米国を支配する大資本の意志でしかない。
この巨大資本は資本自身の利益拡大、利益極大化を目指す存在であって、多数の米国民の幸福を追求する存在ではない。
日本が米国に隷従するというとき、日本が隷従するのは国家としての米国というよりも、米国を支配する巨大資本に日本が隷従するというのが実相である。
新春に際して、一年の大計に思いをはせるとき、大局的な視点を持つことが極めて重要だ。
同時に、ものごとには表と裏がある。「陰」があり、そして「陽」があるのだ。
ものごとの二面性、「陰」と「陽」を常に意識することが必要である。
安倍晋三政権の発足を読み始めたところから日本の株価上昇が始まった。
私が執筆する『金利・為替・株価特報』では、2012年10月29日号に、すでにこの変化を予測した。株価が大幅に上昇していることから、新政権の船出は順風満帆(じゅんぷうまんぱん)に見える。
安倍晋三氏はインフレ率の引き上げを提唱して、日銀に金融緩和政策追加を強制しようとしている。この流れを受けて為替市場で日本円が下落して株価が上昇している。一見すると、すべてがうまく回るかのような錯覚を生みやすい。
しかし、ものごとには「陰と陽」がある。
インフレは借金をしている者には有利だが、貯蓄者には損害を与える。
給料を据え置く企業経営者にとってはありがたいが、薄給に苦しむ労働者にとっては実質所得の減少しかもたらさない。
日本が米国軍の支配下に置かれることは、米国の軍事産業が求める東アジアでの戦争に日本が加担することを強制されることをもたらすかも知れない。
メディアが垂れ流す情報操作に洗脳されるのではなく、大局からものごとを考察すること、ものごとの表だけでなく裏側を考察することの大切さを改めてしっかり認識しておきたい。
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