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2012年12月31日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆「景気を押し上げる5つの基礎的条件」の5つ目「国家総動員態勢の確立」(官民一致団結、挙国一致体制・・・ヒト、モノ、カネ、情報、価値の動員、投資マインド熱、消費マインド熱、マスコミのフィーバー)は、最も大事である。これらに火がつかなければ、景気押し上げは、不可能である。このなかで、最も火をつけやすいのは、マスコミである。それは、いつの時代でも、戦争を煽るのが、マスコミ(マスメディア)であることを思い出せば、文字通り、火を見るよりも明らかである。
マスコミは、全体的に「愉快犯」のようなところがあり、世間が大騒ぎするのを楽しむ習性があるからだ。それ故に「放火犯」の心理に似ていて、「愉快犯」と呼ばれる。これに軽薄な大衆は、アッという間に、無条件に乗ってくる。行き過ぎると『ファシズム』になるから恐ろしい。
フィーバーを盛り上げるのは、自民党お抱えの広告代理店「電通」である。だから言って、「バブル経済」を頭から「悪」と決めつけ目のは、それこそ「悪」である。世の中は、時々、お祭り騒ぎが必要なのだ。そうでなければ、世の中全体が、暗くなり、「うつ病患者」が増えてしまう。その果てに、自殺者が毎年3万人も出てくる状態が、10年も続いた。こんな世の中が、正常であるはずはない。病気である。
◆中曽根康弘首相が、「10年にわたる長いトンネル」から、日本を脱出させようと懸命になり、「都市再開発」に取り組んだのは、明らかに正しかった。バブル経済を崩壊させたのは大蔵官僚だった。1990年4月1日、不動産業者に対する融資を制限する「総量規制」が発令したのだが、これをやり過ぎたのだ。そのクセ、バブル経済崩壊により、景気が悪くなって、企業経営が悪化し、金融機関は、不良債権を大量に抱えて、税収が減っていても、「そのうち、景気がよくなれば、何とかなる」と楽観視し、放置して、適時適切な対策をまったく打ってこなかった。
安倍晋三首相は、「デフレ脱却」「危機突破」を実現し、いよいよ本格的に「景気を押し上げよう」としている。だが、中曽根康弘元首相の「バブル経済崩壊」の教訓を生かすことが何より先決となる。それには、「バブル経済崩壊」を防ぐための「制御装置」をセットしておくことが必要である。
これは、まさしく、原発の制御棒に似ている。核分裂を抑制して、原子の火を安全利用するのとまったく同様である。
マスメディアのなかには、「アベノミクス」を否定的にとらえる向きもある。けれども、これは間違いである。国民を危機から救おうとしている真摯な挑戦に水をかけるべきではないからだ。否定するのなら、どうすればよいのかの名案を示すべきである。朝日新聞は12月30日付け朝刊「9面=オピニオン面」の「ザ・コラム」欄で有田哲文編集委員は、「アベノミクス 大胆な実験に漂う古臭さ」と題して、以下のように苦言を呈している。
「しかし、とうしても気になることがある。この政権に漂う、古さだ。まずは公共事業で、景気を刺激するのだという。老朽化した橋やトンネルなどの改修は必要だが、予算を急いでつける前にやるべきなのは、どこを直し、どこを引退させるかという判断だ。来年の参院選に勝つために全国に仕事を配るのが狙いなら、それは自民党が昔よく歌っていた歌である。年間の新規国債発行の44兆円の上限枠も、あっさり外されそうだ。日銀を財布代わりにするのではとの疑念は拭えない。もっと問題なのは、金融や尉政にくらべて、経済の実力をつけるための政策が具体性を欠くことだ。技術革新や起業の環境づくり、女性の活躍の促進、貿易を促す枠組みづくり、規制の改革……。やるべきことは、これまでのシステムの変革を伴う仕事ばかりなのだ。日本の実験に目をこらす外国市場には、ずっと悲観的な見方もある。英国で調査会杜を運営するアンドリュー・リース氏は『国の借金のひどさを考えると、日銀はずっと巨額の財政の穴埋めを迫られるだろう』と言う。産業の生産性を向上させない限り、解決策はない。いずれ制御不能の円の暴落が起きる――。そんなばかな、と言いたくなる話ではある。しかし、日本売りの機会をじっとうかがう市場参加者がいるのは間違いない。新政権の古さが、彼らにつけいる隙を与えることにならないか。将来の悲観シナリオも、冗談とばかりは言えない。そのときは、それこそ『国を売る』ことになる。」
古代エジプトのピラミッドが壮大な公共事業であったという説が有力になってきているように『民の生活を救う道』は公共事業が一番である。いま欧米投資家がこぞって「日本買い」に走ってきている。日本国内にも資金はタップリある。もう、くだらない議論。とくに観念論は、いらない。サントリーの創業者・鳥井信治カの言葉ではないけれど、ともかくも「やってみなはれ」と言いたい。
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