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2013.01.01 読者への新年のご挨拶―安倍内閣へきびしく対峙
田畑光永 (ジャーナリスト)
本ブログ「リベラル21」がスタートしたのは2007年3月であった。6回目の新年を迎えることができた。「護憲・軍縮・共生」という1つの方向性だけを掲げて、各人が自由な立場で参加し、自由に発言する場である本ブログが6年も続いてきたことに、われわれ自身驚きを禁じ得ない。常に多くの読者がわれわれを見守っていてくれたからこそと、改めて感じている。読者の皆さんにあつくお礼を申し上げたい。
さて、その6年前、われわれは発刊の言葉を「今日、世界は第二次世界大戦後かつてない混迷のただ中にあります」と書き出した。以下に続く部分を再録する――
「2001年の米国における9・11同時多発テロをきっかけに、アフガン戦争、イラク戦争、パレスチナ紛争、北朝鮮による核実験、イランの核疑惑と、世界を揺るがす事態が続発し、いまだに世界の前途に明るい展望が見えてこないからです。しかも、日本政府はこうした世界情勢に適切に対応しないばかりか、戦後日本が歩んできた道を否定し戦前に回帰するかのような政策を次々と打ち出すに至っています。このため、私たちは、これまで以上に市民としての発言の必要性と緊急性が増していると考え、リベラル21から発信を開始することにしました」
われわれを取り巻く状況はまるで変わっていない。しかも驚くべきことに6年前も今も、日本の首相は安倍晋三である。その間に福田、麻生、鳩山、菅、野田と、自民党2人、民主党3人、合わせて5人の首相が登場しては消えて行って、われわれは再び安倍晋三と対面しているのである。
彼は「憲法を改正して自衛隊を国防軍へ」、あるいは「集団的自衛権の行使を容認すべし」と、前回と同じ政治姿勢を鮮明にしているばかりか、先の総選挙の大勝を受けて、まず憲法96条の改正をと改憲への具体的な一歩を踏み出そうとしている。
一方、日本の置かれた環境は6年前と比べて、格段に苛烈なものとなっている。
昨年、にわかに緊張が高まった中国、韓国との関係は、たんに尖閣諸島の帰属や竹島、従軍慰安婦問題といった個別の懸案をめぐる対立を超えて、最近の日中韓3国の経済的力関係における変化を現実の国家関係に反映させようとする中韓両国内の政治的うねりの産物のように見える。
中韓両国は明治日本の武力を背景とした膨張主義を現在の懸案に直接結び付けることによって、国内世論を統一し、わが国に譲歩を迫っている。これに対するには、たんに「毅然として」とか、「断固として」とかの、安倍首相得意のレトリックの次元を超えて、歴史への省察に基づく新たな発想が必要である。それを彼に期待できるだろうか。
このような近隣諸国との関係の変化の背後にあるのは、残念ながらわが国経済の衰退による国力の低下である。したがって、現下のデフレから抜け出すことが喫緊の課題であることに異論はないが、それを日銀による超金融緩和や国債の大量発行に頼ろうという安倍、麻生コンビの姿勢には大いに懸念を感じざるを得ない。
実需のないところでいくら日銀が円紙幣を市中に放出しようと、それによって「人々にインフレが来ると思わせ、今のうちの物を買っておこうとなる」(安倍首相)などという屁理屈が、現実のものとなるとはとても思えないし、「(民主党が決めた)44兆円の国債発行枠にはとらわれない」(麻生財務相)と見栄を切って、税収42兆円(12年度)のところへ44兆円の国債を発行している現状から、さらに増発を重ねて、いったい最後の帳尻をどうしようというのか。なぜそんな重大なことを軽々しく口にするのか。
現在、進んでいる急速な円安は、円への不信任が国際的に広まり始めたと解するべきではないのか。株式市場が輸出産業の決算がよくなると円安をはやすのは勝手だが、このままでは数か月先には食糧やガソリンの値段が急騰して、庶民の生活にしわよせが来るのは必至と思われる。その時、安倍首相は「物価が上がった。インフレ目標が達成された」と自画自賛するのであろうか。
さらに安倍政権で見逃せないのは、国民の脱原発への祈りにも似た思いに完全に背を向けていることである。そんな自民党を勝たせた国民が悪いのではあるが、いくら選挙に勝ったとはいえ、日本には福島第一原発であれだけの事故を起こした国際的責任がある。3年後に原発再稼働、10年後にエネルギーのベストミックスを検討、要するにほとぼりがさめたら、従前どおり原発に頼ろうという政策は、世界に顔を向けて発信できるものなのか。
それどころか、12月30日には安倍首相は原発の新増設さえも口にした。
6年ぶりに再び頭上に安倍晋三を首相としていただくわれわれは、年頭に当たって、6年前以上にこの内閣ときびしく対峙することを読者に誓いたい。
しかし、先月27日の「暴論珍説メモ」(121)にも書いたように、彼もまた6年前の彼ならず。前回の失敗を繰り返さないために、それなりの策を弄してくるであろう。われわれもまたお互い切磋琢磨しなければならない。6年前と変わらないことは1つ。7月に参院選があることである。
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