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日中外交のこぼれ話がいくつか紹介されているコラム風記事である。
1)今年の尖閣国有化騒動
「野田政権末期に、谷内氏は野田佳彦首相と玄葉光一郎外相の特命を受け、ひそかに中国を訪れ、戴氏と打開案をめぐり話し合ったと関係者は明かす。安倍新政権では内閣官房参与に起用された。」
2)中国側の基本姿勢
「 変わらないのは、中国共産党にとって重要なのは経済成長に専念できる体制の安定で、日本との対立は本来望んでいないという事実だ。衆院選後の国営メディアの報道からも安倍首相への期待感がにじむ。」
3)第1期安倍政権の安倍訪中
「小泉純一郎元首相の靖国神社参拝で冷え切っていた05年から外務次官を務めた谷内正太郎氏も危機打開にあたった1人だ。当時、中国外務次官だった戴秉国・国務委員と、安倍晋三首相の就任直後の電撃訪中を実現させた。小泉首相在任中から極秘裏に計画を進めてきた成果だった。」
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[風見鶏]新しい酒を盛る人たち 政治部次長 峯岸博
衆院選さなかの13日、中国機が戦後初めて日本の領空を侵犯した。選挙後も沖縄県・尖閣諸島への接近を繰り返し、一歩間違えれば武力衝突に至りかねない。角を立てる隣国にどう向き合うか。小渕内閣で官房長官を務めた野中広務氏からこんな話を聞いた。
自民党幹事長代理時代に、当時の江沢民国家主席の懐刀、中国共産党中央組織部長・曽慶紅氏の知遇を得た。訪中した機会に、日本社会で多発していた中国人犯罪の実態を説明した。
その日はそのまま別れたが翌朝6時半に宿泊先のホテルの部屋をたたく人がいた。中国政府の公安部長だった。程なく中国共産党中央対外連絡部が政府の公安担当者を交えた視察団を編成。その後、日本での中国人犯罪は減少した。
漁業協定交渉が難航した1999年から2000年には、中国漁船を取り締まるよう頼むと、曽氏は「水産関係者だけは党や政府の言うことを聞かないんだ」と渋った。1週間後、来日した国政助言機関・全国政治協商会議の主席は「あんたが仕掛け人か」とつぶやき姿を消した。しばらくして交渉が動き出した。
野中氏は幹事長時代に来日した江主席一行を成田空港で自ら出迎えたことがある。「南京大虐殺記念館」を自民党幹部として初めて公式訪問した際は党内から批判の声も上がったが、これらを曽氏が評価したと後で聞いた。曽氏は国家副主席を最後に引退した後も、中国トップの習近平氏の兄貴分として知られる。
小泉純一郎元首相の靖国神社参拝で冷え切っていた05年から外務次官を務めた谷内正太郎氏も危機打開にあたった1人だ。当時、中国外務次官だった戴秉国・国務委員と、安倍晋三首相の就任直後の電撃訪中を実現させた。小泉首相在任中から極秘裏に計画を進めてきた成果だった。
2人が膝をつき合わせたのは計8回。その間、谷内氏が新潟県月岡温泉を会談場に選ぶと、戴氏はお礼に故郷の貴州省貴陽に招くなど信頼関係を築いた。
交渉がうまくいったのは、互いが相手の言葉に首相官邸や中南海の意向をかぎ取ったからだが、それだけでないのも外交の妙味だ。野中氏は「心と心の通い合い」「言うべきことは言った」、谷内氏は「ウソはつかない」「誠実に約束を守った」ことを挙げた。
野中氏と曽氏は今でも人を介して連絡を取り合い、谷内氏の事務所の部屋には戴氏との会談の写真が飾られている。野田政権末期に、谷内氏は野田佳彦首相と玄葉光一郎外相の特命を受け、ひそかに中国を訪れ、戴氏と打開案をめぐり話し合ったと関係者は明かす。安倍新政権では内閣官房参与に起用された。
田中角栄元首相らに始まった政界の対中人脈の喪失は大きい。が、自民党単独政権が崩壊し、1人の実力者が外交を動かせる時代は終わった。中国共産党もカリスマがいない。経済格差やネット世論を抱えてかつての威光はみられない。
変わらないのは、中国共産党にとって重要なのは経済成長に専念できる体制の安定で、日本との対立は本来望んでいないという事実だ。衆院選後の国営メディアの報道からも安倍首相への期待感がにじむ。
政府から中国への特使を頼まれたらどうしますかと野中氏に聞くと、言下に否定した。「古い人間には務まらない。政権にいる人がトップにならないと」
高村正彦・自民党副総裁の特使構想が浮上したのはこの直後だ。日中韓と、アジアの新リーダーが本格的にかじ取りを始める13年。新しい酒はやはり新しい革袋に盛られるべきだろう。
[日経新聞12月30日朝刊P.2]
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