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2012年12月31日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆「景気を押し上げる5つの基礎的条件」のうち、4つ目は、「新社会建設のための資金の確保」である。安倍晋三首相は、日本銀行の白川方明総裁に「追加金融緩和10兆円と2%インフレターゲット導入」を約束させているけれど、都市銀行をはじめとする金融業界には、一種の「カネ余り状態」になっていることを認識しておく必要がある。日本銀行と市中金融機関との間で、国債を軸に、資金がグルグルめぐっていても、市中金融機関から先の企業などには、ほとんど流れていない。国民の個人金融資産1550兆円は、市中金融機関に預けられたままで、これもほとんどが「フリーズ」になっているという。
だから、日本銀行が、追加金融緩和10兆円を実行して、資金が企業などに流れて行かなければ、現状は変わらず、産業振興やデフレ解消にはつながらず、何にもならない。
このためにも、安倍晋三首相は、新社会のグランドデザインを具体的に示し、これを実現するのに必要な分野への集中投資を鮮明にしなくてはならない。融資する場合では、「超低金利・返済期間の長期化」策も不可欠だ。新時代を画する創業者が続々と生まれてくる可能性がある。
日本の金融機関は、資金を調達する際に、土地建物をカタに取る「不動産担保主義」が、明治以来、主流をなしてきたので、新規創業者、アントレプレナーが育ちにくい風土が続いてきた。これを克服しようと証券会社が、「投資型の支援会社」をつくったけれど、これもバブル経済の崩壊であえなく、挫折した。この結果、日本では、米国のシリコンバレーが代表するような投資家に支援されて創業する若い経営者が依然として育ちにくい状況にある。個人投資家が、投資に消極的であるならば、国家がこれを担う必要がある。そうでなければ、「経済成長戦略は、いつまでも絵に描いた餅に止まる。
◆壮大な規模のバブル経済を現出した中曽根康弘元首相の時代を振り返ってみると、米国のレーガン大統領の強い圧力を受けて、日本政府は「低金利政策」を断行した。市中金融機関は、企業や個人に対して、不動産を担保にどんどん貸付けを行った。企業は、保有している不動産に「含み資産価値」が認定されて、通常の担保力を上回る資金が貸付けられた。個人には、「不動産担保ローン」を組ませて資金を貸し付けた。
資金を貸し付けられた企業や個人は、その資金で株式投資や別な不動産への投資を積極的に行い、短期間の売買で、「巨利」を得た者が少なくなかった。だが、1990年4月1日、大蔵省が不動産業者などへの融資を規制する「総量規制」を発令したのを境に、不動産価格が下落し始めて、ついにバブル経済が弾けてしまう。その果てに、金融機関は、大量の不良債権を抱えて、その処理に苦しむことになる。
バブル経済は、日経平均株価が1992年8月18日、1万4809円の大底をつけて、終息した。以後、日本は「失われた20年」と言われる景気低迷の時代にあり、2012年10月からは、さらに、景気政策を本気で実施しなければ、「失われた30年」と言われかねない絶望的な時代に突入する。
◆このバブル経済には、もう1つ隠された原因があった。三重野康総裁(在任1989年12月17日〜1994年12月16日、大分県出身、東京帝国大学卒)が、前任者の澄田智総裁(在任1984年12月17日〜 1989年12月16日、群馬県出身、東京帝国大学卒、大蔵事務次官、日本輸出入銀行総裁、日本銀行副総裁)時代の副総裁を務めているときから、「金融カラクリ」を画策し、「準通貨」を利用して、流通資金をダブつかせたと言われている。この1部が、三重野康総裁の下にも流れ込んでいたともいう。バブル経済で得をした1人であることは、間違いない。
「悪は悪を呼ぶ」というけれど、白川方明総裁は、「金融カラクリ」を知っている安倍晋三首相に、「弱点」を握られており、「追加金融緩和10兆円、2%インフレターゲット導入」を拒否できなかった。それが故に、いまは「酒浸りの酩酊の日々」を送っているという。
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