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安倍政権の行く先<4> 揺らぐ9条 二つの道
2012年12月31日 東京新聞
「もう一度あの報告を、あの時の有識者から聞き、また検討を始めたい」
安倍内閣発足直後の記者会見。安倍晋三首相は、現行の憲法解釈では禁じられている集団的自衛権の行使容認を検討すると明言した。「あの報告」とは、第1次安倍内閣が2007年4月に設けた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が限定的な行使容認をまとめたものだ。
懇談会のメンバーは安倍氏に近い行使容認論者が大半。報告の内容は分かりきっていた。だが同年9月に安倍氏が退陣してしまったため、翌年、4つの類型について行使を可能にすることを柱にする報告を受け取ったのは安倍氏の後継首相・福田康夫氏だった。行使に慎重な福田氏は報告をあっさりお蔵入りさせた。安倍首相は、4年前の報告を自分自身が受け直すことで、再び解釈変更に踏み出そうとしている。
首相は、集団的自衛権の行使は日米同盟強化に不可欠だと信じる。海洋進出を拡大させる中国をけん制する狙いもある。だが中国が反発して貿易などの2国間の経済関係が悪化するのは目に見えている。安倍内閣が「1丁目1番地」とする経済再生も遠のく。
国民生活にも影響を及ぼしかねない代償を覚悟で、なぜ解釈変更にこだわるのか。集団的自衛権を容認すれば、平和憲法の根幹である9条を変えやすくなるとみているからだ。抜本的改憲は安倍首相の最大の目標だ。
安倍首相はもう一つ9条改憲への「呼び水」を抱く。衆参でそれぞれ3分の2以上の賛成が必要な改正要件を定めた96条を緩和し、その上で9条などの改憲に踏み切るという考えだ。いわゆる96条先行論だ。解釈改憲と先行論。安倍首相は二つの道筋から将来の9条改正を目指す。
だが、反対意見は根強い。連立のパートナー・公明党は、どちらにも明確に反対だ。
また自民党改憲派の中からも解釈変更には「憲法自体の信頼性、評価が低下する」(中谷元元防衛庁長官)と慎重論がある。96条先行論は、古屋圭司、衛藤晟一の両氏ら「超保守」勢力が長く主張しているが党内の総意ではない。衆院憲法審査会長に就任した保利耕輔元自治相も、安易な改憲につながりかねないと慎重な姿勢を示したことがある。
衆院選で圧勝し日本維新の会も含めた改憲勢力が3分の2を占めた。安倍政権は当面、公明党に配慮するだろうが、次第に「地金」を見せ始める。第1次安倍内閣で、改憲の手続き法となる国民投票法を成立させたことを自賛する首相は、第2次では憲法そのものに手をかけようとしている。古屋氏は入閣、衛藤氏は首相補佐官に。政府内の要職を占めた二人は、安倍首相の改憲論を後押しすることだろう。
しかし行政府の長である首相が改憲論議をリードすること自体にも批判がある。
「憲法改正手続き法案は内閣提出ではなく議員立法だ。それを政府の長たる首相がどうこう言う立場にない」。07年5月に国民投票法を成立させた時の中山太郎・衆院憲法調査特別委員長は自著でこう指摘している。(岩田仲弘)
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◆第1次安倍内閣の有識者懇が行使を認めた4類型
1 公海上で攻撃を受けた米艦船の防御
2 米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃
3 国連平和維持活動(PKO)などでの他国部隊に対する「駆け付け警護」
4 戦闘地域での輸送、医療など後方支援の拡大
◆安倍首相が描く改憲の道筋
*改憲発議要件を衆参両院の3分の2以上の賛成から過半数に緩和する憲法96条改正を国会が発議
↓
*国民投票を実施し、過半数の賛成で96条改正を承認
↓
*衆参両院の過半数の賛成で国防軍保持や自衛権を明記した憲法9条改正などを発議
↓
*国民投票を実施し、過半数の賛成で改正を承認
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