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小沢、嘉田両氏は最後まで視線を同じ方向にやることはなかった。=28日夕、滋賀県大津市。写真:島崎ろでぃ撮影=
未来の党が分派 嘉田氏「兼職禁止求めた県議会の意見を重く受け止める」
http://tanakaryusaku.jp/2012/12/0006339
2012年12月28日 21:49 田中龍作ジャーナル
「日本未来の党」を作った2本柱が袂を分かつことになった。嘉田由紀子、小沢一郎、森ゆうこの3氏が今夕、滋賀県大津市で記者会見し分党することを正式に表明した。嘉田氏側は新生「未来の党」、小沢氏側は新党「生活党」として再スタートを切る。
所属議員17人のうち嘉田氏と共に動くのは阿部知子議員ひとりだけ。政党の構成要件を満たさないことから正確には「分派」となる。
午後6時過ぎから始まった記者会見は重苦しい空気が垂れ込めた。3氏とも終始硬い表情だった。視線もてんでバラバラだ。熱気に包まれた1ヶ月前の立党記者会見が嘘のようである。
記者団からの質問は分党(正確には分派)の理由に集中した―
「生活党」の新代表になった森ゆうこ議員は「嘉田氏側から申し入れがあった」とした。
嘉田氏は昨日の記者会見で「小沢氏側から」と話している。今夕の記者会見で嘉田氏は「どちら側とも言えない」と答えた。肝心の問題は永遠に藪の中となりそうだ。嘉田氏は「家風の違い」をこれまでと同様、強調した。
「全国政党の代表と知事の兼務禁止」を求めた滋賀県議会の決議は、強烈なアッパーカットだったようだ。
記者団が国政への関与について質問すると、嘉田氏は「県議会の意見を重く受け止めている」と答えた。来年夏の参院選挙については「知事の職責を全うさせて頂く」とコメントした。県議会からのプレッシャーはよほど強かったとみえる。
もう一人の主役である小沢氏は「きょうは2人の代表(嘉田、森)が話す」として、重要なことは何も語らなかった。
選挙戦最終日、一緒に遊説する両氏。劇的な結末を誰が予想しただろうか?=15日、東京有楽町。写真:島崎ろでぃ撮影=
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福島原発事故後初めてとなる衆院選挙の公示直前に立ち上げた未来の党。脱原発への道筋を他党よりも明確に示した。女性が稼げば消費税分を賄え、子供も増えると訴えた。
滋賀県知事として環境政策に実績があり子育ての経験もある嘉田氏のアピールは、子供の健康を気遣う母親などに歓迎された。原発の廃炉を願う市民の多くは、男女を問わず「未来の党」の誕生に拍手をおくった。
マスコミは財源の確保をことさらに指摘した。だが小沢氏が霞が関への手の突っ込み方を熟知していることから、掲げた政策は実現性を帯びていた。
原子力村は国家権力を凌ぐほどの強大な力を持ち、官僚が政治を支配する。庶民はどうにもできない閉塞状況を打ち破ってもらおうと、女傑と剛腕のタッグに期待を寄せた。未来の党は近年日本の政治にはない試みだったからである。
すべての原発が廃炉になり子供が健やかに育つ社会。未来の党がめざした政治の火種は絶やさないでほしい。
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