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2012年12月27日 植草一秀の『知られざる真実』
主権者国民の16%しか投票しなかった自民党が政権を発足させた。
この政権は米国傀儡政権である。
その何よりの証左は、あれほど「竹島」と叫び、「竹島の日」を政府式典として開催すると息巻いていたのが、突然、政府行事の中止を言い出したことだ。
そもそも政府行事など必要なかったのだが、安倍氏が中止を表明したのは、米国から中止命令が下ったからだ。
ここに安倍政権の本質が明示されている。
この政権は、
原発を再稼働し、
消費税大増税を強行し、
TPPに参加する
政権である。
これによって、日本は名実ともに米国の植民地になる。
また、集団的自衛権の行使に突き進むだろう。
沖縄では普天間代替施設を辺野古海岸に新設する巨大軍事基地建設工事に突き進むと見られる。
さらに、日本が米国の戦争に加担することができるように憲法まで改正されるだろう。
これらの「牙」は来年夏の参院選までは裏側に隠される。
参院選で自公両党が参院過半数を獲得すれば、安倍政権は隠し持つ牙を完全に表に出して来るだろう。
政権の陣容が公開されたが、その布陣に込められているのは、
原発推進
消費税増税断行
TPP参加
の三本柱だ。
新政権が経産省主導と言われるが、これは正しくない。
経産省と財務省の共管政権である。
経産省の今井尚哉氏が政務秘書官に起用され、経産相に茂木敏充氏、経済再生相に甘利明氏という経産族議員、環境相に原発推進の石原伸晃氏が起用されたことで、原発シフトが敷かれたのは事実である。
「活断層と原発」というプロパガンダが撒き散らされ、「活断層が直下にない原発は危険がない」との歪んだロジックに基づいて原発再稼働が推進されてゆくことになる。
財務省の影響力が後退したというのは間違った解釈だ。
財務相に麻生太郎氏を起用したことが、財務省への牽制になるとの評論があるが、真相を知らない見解だ。
2009年総選挙に際して自民党は消費税増税を公約に掲げた。
その根拠になったのが所得税法附則104条である。
この附則104条は2009年3月に麻生内閣が成立させたものだ。
つまり、麻生太郎氏はいま進められている消費税増税の生みの親なのだ。
財務省は麻生氏を財務相に起用し、「消費増税生みの親=麻生太郎氏」の論評を付すことによって、麻生氏に消費税増税を後押しさせようとしているのだ。
また、内閣官房参与に財務事務次官経験者の丹呉泰健氏が起用される。
財務省が要所を仕切る体制にはいささかの変化もない。
大型補正が予定されているが、「消費税大増税を実現させるための大型補正」に財務省は一切反対しない。
かつて麻生太郎氏は2008年度、14兆円の超大型補正予算を編成して官僚機構の施設を一気に整備した。
官僚どもへの利益供与になる予算措置が大盤振る舞いでお手盛りされることが確実な情勢だ。
農相に林芳正氏が起用されたのは、明らかなTPPシフトである。
これまでは農水省がTPP反対の牙城であったが、ここにTPP推進派が送り込まれた。安倍氏が米国の命令に従ってTPPに参加することは明白である。
さらに重大であるのは、内閣官房参与に飯島勲氏が起用されたことだ。
これは、安倍晋三氏が小泉竹中政治を踏襲することを宣言するものである。
何のことはない。元の小泉竹中政治に回帰するだけのことだ。
「米国が、日本を取り戻す」政策方針が鮮明だ。
革命に対する反革命。安倍晋三政権は完全なる旧政復古政権である。
日本が時代を逆行して進むなら安倍政権は安泰だが、日本が時代を切り拓く方向に進むなら、安倍政権は時代に逆行する、一時的な逆行現象、維新のなかに取り残される時代のあだ花で終わることになる。
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