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新政権はどんな政権? 辛口識者に命名してもらいました。
2012年12月27日 東京新聞[こちら特報部]
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012122702000111.html
衆院選での自民党の圧勝を受けて26日夜、安倍新政権が発足した。不況からの脱出策に加えて、憲法、原発、TPP、沖縄、福祉、教育などの諸政策においても、中身は民主党政権とは一変しそうだ。発表された閣僚人事から、この内閣の性格はどう読み取れるのか。「こちら特報部」でおなじみの辛口有識者の皆さんに命名してもらった。 (出田阿生、小倉貞俊)
トップバッターは作家の高村薫さん(59)。まず閣僚名簿を見渡して「党の方針に逆らったり、官僚ともめたりしそうもない。そこそこの優等生を集めた印象」と話し、「そつなくまとめてみました内閣」と名付けた。
「参院選まではトラブルを避けなければならないから、TPP(環太平洋連携協定)や原発、外交などには手を付けないだろう。せいぜい株価を上げて円安に持っていくぐらい。安倍カラーを打ち出すのは参院選後からで、今回はそれまでの期間限定内閣だ」
脱原発デモを主催してきた東京・高円寺のリサイクルショップ「素人の乱」店主の松本哉さん(38)は、新政権を「まぐれ敗者復活内閣」とネーミングする。
「自民党が政権を奪い返せたのは、実力ではなく、まぐれ。民主党はダメすぎだけれど、ほかに選ぶ党がないという消去法の結果でしかない」
さらに「1年で退陣しながら再登板する安倍さんを筆頭に、舌禍で物議を醸した麻生さんや支持率が低かった谷垣さんなど、すねに傷持つ人が多い。『期待度ゼロ内閣』でもある」と評した。
政権交代後も、東日本大震災、福島原発事故からの復興は待ったなし。「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の世話人である椎名千恵子さん(66)はきっぱりと「『福島圧殺内閣』です」と命名した。
「原発をつくったのは自民党。どんな良い言葉を並べ立てたとしても、疑ってかかるべきだ。福島原発は事故収束には程遠く、いまも危険を抱える。しかし、その対策に特段力を入れる姿勢は見られない。フクシマの被災者たちが見捨てられつつあるのは明らかだ」
金子勝慶応大教授(60)(財政学)は「逆戻り内閣」と名付ける。
金子さんが注目するのは、原発推進を公言してきた甘利明氏の経済再生担当相への起用だ。自民党と公明党の連立政権合意書でも、公明党が譲歩して「原発ゼロ」の文言が削られた。「自民党は原発依存度を減らすというが、1基なのか49基なのかは言わない」
閣僚人事以上に重視するのは裏方の人びと。首相秘書官には経済産業省から前資源エネルギー庁次長の今井尚哉氏と経済産業政策局審議官の柳瀬唯夫氏の2人が内定。ともに原発の再稼働に熱心なことで知られる。
「閣僚の約3分の2は世襲ばかりで、お飾り的な存在。実際の政策は官僚まかせになるだろう。日本はいま、脱原発で新産業を創出しなくてはならない。それなのに国民が潤わないと歴史的に証明されている公共事業のばらまきを強行する。あらゆる意味で、逆戻りとしか言いようがない」
民主党政権からの宿題は原発だけではない。元沖縄県知事の大田昌秀さん(87)は「沖縄復帰の標語は『平和憲法下への復帰』だったが、実際は『日米安保への復帰』。沖縄人は憲法を大事にする気持ちが強い。新内閣は『改憲内閣』になりかねず、心配だ」と語る。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)について安倍首相は「辺野古移設に努力する」と言明したが、大田さんは「沖縄の怒りは頂点に達している。政府が県内移設をごり押しすれば、行政もコントロールできない事態になる」と懸念する。
領土問題についても「沖縄の漁師は日本と中国、台湾の漁民が協定を結んで仲良く漁をすればいいと思っている。尖閣諸島問題で武力衝突する事態になれば、まず沖縄が攻撃される。武力に訴えるというのは本土の人間の発想だ」と危ぶむ。
エッセイストの北原みのりさん(42)は「戦争ごっこで遊びたい『ネトウヨ内閣』とでも名付けたい」と話す。憲法改正や対中・韓強硬路線の発言が、ネット上で熱狂的な支持を集める安倍首相。選挙中は東京・秋葉原で麻生副総理兼財務相とともに、日の丸の旗を持った群衆に歓迎された。
北原さんは安倍首相やネット上の支持者に共通するのは「脳内愛国」だという。「領土を守るためには武力行使もありと意気込むのは、よほどの平和ボケ。本物の血が流される戦場の現実感がないのだろう。日本が抱える自信喪失や社会のダメさ加減の裏返しだ」
作家の宮崎学さん(67)も安倍氏が提唱する国防軍に引っかけ「国防軍オタク内閣」と名付けた。
「国民の生死に関わりかねない国防軍の創設は、自身の命をなげうつ覚悟があってこそ主張できるテーマ。(前回の首相時に)腹痛で辞めるような人に、国民の命を預かる覚悟があるとは思えない。せいぜい軍事オタクという程度の存在だ」
同様に「極右はしゃぎすぎ内閣」と命名したのは政治評論家の森田実さん(80)だ。「閣僚の顔ぶれに極右が目立つ。大臣をやりたい人間がポストに就いて、隠しもせずに喜びを爆発させている。自民党の政治家はもっと誇り高かったのに」
愛国教育を主張する下村博文氏が文部科学相になった点についても「教育の国家統制は大間違いだ。およそモラルに欠ける政治家たちに道徳を説く資格はない」と憤る。
女性閣僚は2人だけだが、党役員人事では政権与党として初めて女性が三役に登用された。だが、人材育成コンサルタントの辛淑玉さん(53)は「女を使い、参院選向けに美しく見せかけた『厚化粧内閣』。参院選で勝てば、その瞬間に化粧ははげ落ち、タカ派の素顔をさらす」と話す。
行政改革担当相の稲田朋美氏らは「いわゆる従軍慰安婦の強制連行は事実無根」と積極的に発言を続けている。これに対し、辛さんは「戦時下の性暴力は男性優位の構造で起きる世界共通の現象。それを日韓問題に矮小化し、同じ女としての痛みさえ感じない。女の皮をかぶったオヤジのようなもの」と批判した。
高崎経済大の國分功一郎准教授(38)は「教育改革に熱心な安倍さん自身、勉強が足りない」とみて、「学力低下内閣」と命名した。
國分さんは「憲法改正を掲げるが、憲法とは『それを守る限り、国家が国民を統治できる』という国民による国家に対する”縛り”。日銀法改正も、世界各国が順守している中央銀行の独立性を侵すものだ」と説く。
「あるべき仕組みを『政治で無理やり変えてやろう』との発想は、物事を知らないから。きちんとしたブレーンを置いて勉強し直しては」
[デスクメモ]
衣の袖から鎧(よろい)がちらつく政権である。「保守」という単語が被されがちだが違和感がある。保守とは冒険主義の対極にある。安全も廃棄物処理の展望もない原発を動かし、人を国家という幻想に縛りつける。それは冒険主義にほかならない。こんな言葉のすり替えからも衣の下が透けてくる。(牧)
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