http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/796.html
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転載する記事の締めくくりは、「日本に残されている時間は少ない。TPP交渉参加11カ国は来年10月の基本合意を目指し、来年3、5、9月に交渉会合を開く見通し。米議会が新たな交渉参加国を認める手続きに90日間かかる事情を考えると「そろそろ決めないといけないタイミング」(政府高官)にさしかかっている」という内容だ。
冗談がきつい締めくくりだ。今すぐに残る米・豪・NZとの事前協議でYESをもらったとしても、米国の90日ルールがあり、交渉に参加できるのは5月と9月の2回だけになる。
最後の1回は、最終合意に向けて文言表現に注力されるはずだから、交渉に参加できる最短のスケジュールでも、日本が実質的な交渉に臨めるのは1回だけということになってしまう。
自由主義経済学者でも強い反対論があるほど“国益”との関わりが微妙で、世論も賛否が大きく分かれているTPPの交渉に参加できるのが実質的に1回だけという状況で、交渉参加(実質的にTPPに参加)を是とするメディアの精神性にびっくりさせられる。
他の参加国間でTPPの21〜24分野の交渉がほぼ終わり、実質的に1回の交渉だけに参加できる条件でもなお、「日本に残されている時間は少ない」とか、「そろそろ決めないといけないタイミング」(政府高官)と言って参加を煽っている。
まっとうな政治家や官僚なら、ここまで詰まってしまったTPP交渉に、今さら焦って参加するのではなく、合意結果を見てじっくり参加の是非を論議すればいいと主張しなければならないはずだ。
ここまでは、表に出ている情報に拠った意見だが、裏では既に、日本はTPP交渉に入らざるをえない状況に追い込まれている。
昨年11月のホノルルAPECで「TPP交渉への参加」を既に表明していながら、野田政権は、「事前協議」を始めるだけで本交渉への参加を表明したわけではないと、論理的にも国際的にも通用しない説明を“国内向け”に行ってきた。
一方で、米国との事前協議は、3月からずっと自動車や保険分野で軋轢があるという話を漏らすだけで、懸案事項にどういう妥協策を提示するかさえまともに論議されてこなかった。
ところが、「幻のTPP参加表明 次のXデーは来月下旬か:総選挙をコケにした暴挙:日本は既にTPP交渉に参加する他ない事態に!!」(http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/671.html)の記事に拠れば。12月初旬に米国との事前協議は実質的に終わり、日本政府が「いよいよ、TPP交渉に参加できるようになりました」と表明すれば、米国連邦政府が日本のTPP交渉参加について米国議会に承認を求める手続きを実施する段階にあるという。
そのあとに、このような“TPP関連のいきさつ”を知っている野田首相の手で衆議院解散が行われ、TPP問題は、総選挙でも三つの主要争点の一つとなった。そして、総選挙では、TPP交渉への参加の是気が争点となった。
しかし、引用した記事が明かす経緯が事実なら、 「TPP交渉問題」は、交渉参加の是非ではなく、日本が相手に要求する条件と日本が受け容れられる条件は何か?をめぐるものになっていなければならなかったはずである。
繰り返し投稿してきたが、日本政府は、TPP交渉に参加することで“TPPの内実”情報が国内に伝わることを避けることを目的として、米国と合作で事前協議を長引かせてきたとしか思えない行動をとってきた。
国内・国民向けに、日本はまだ「TPP交渉への参加」を表明していないかのようにウソをついてきたのがその証である。
官僚組織と太いパイプを持ち、夏頃からは政権奪取が明確になってきた安倍自民党が、そのような経緯を知らないはずもない。
TPP絡みの経緯を承知で、聖域なき関税撤廃が条件ではTPP交渉の参加に反対という公約を掲げ、総選挙でJAなどの支援を受けたのである。
安倍“再首相”は、来年1月末に訪米するそうだが、そこで、「日本はTPP交渉に参加する」と表明する可能性が高いと思っているが、それでも、5月の交渉から参加できるだけである。
そんなバカなことはしないと信じているが、安倍首相が7月の参議院選挙を考慮すれば、オバマ政権には内示だけで表立った表明は行わない手もある。それであれば、日本は、実質的な交渉に参加しないまま、他の参加国間の交渉で出来上がった協定文書にハンコを押すだけというとんでもない暴挙に踏み切る可能性もある。
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「政府の「国民皆保険」維持宣言は無意味:「混合診療」はその上に民間保険という“2階建健保構造”を招くものだから」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/621.html
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TPP交渉前進へ農相に非農林系起用 安倍新内閣
2012/12/26 20:01
第2次安倍内閣の発足を受け、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に向けた議論が再び始まる。安倍晋三首相は農相に非農林系の林芳正氏を起用。TPP問題を前進させたい意図をにじませた。ただ自民党内に多くの慎重派を抱え、来年夏には参院選も控える。難航必至の国内調整をどう進めるか。新内閣は早速、力量を問われる。
「得るものを得ることができるかどうか」「情報を分析しながら総合的に検討する」。安倍首相は26日夜の記者会見で、TPP交渉参加について慎重な発言に終始した。だが農林水産省内では「農林族議員以外からの農相起用こそが首相のメッセージだ」との見方が出ている。
林氏は商社出身で自由貿易推進論者。自民党総裁選に出馬し、安倍首相と争った際にはTPPと東アジア地域包括的経済連携、欧州連合(EU)との経済連携協定交渉を並行して進めるべきだと強調していた。
米国が主導するTPP交渉に参加することで、他の枠組みでも有利に交渉を進められるとの考えからだ。今後は林農相がどこまで国内の調整に動くかがTPP交渉参加のカギを握りそうだ。
ただ自民党内にはTPPに慎重な議員も多い。今回の衆院選ではTPP反対の「踏み絵」を踏んで、JAグループから推薦を受け当選した議員が160人以上いる。しかも来年夏には安倍首相が「決勝戦」と位置づける参院選が控える。ある経済官庁幹部は「今回の閣僚人事でTPPの方向感ははっきりしたが、距離感は不明」と漏らす。
日本に残されている時間は少ない。TPP交渉参加11カ国は来年10月の基本合意を目指し、来年3、5、9月に交渉会合を開く見通し。米議会が新たな交渉参加国を認める手続きに90日間かかる事情を考えると「そろそろ決めないといけないタイミング」(政府高官)にさしかかっている。
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