01. 2012年12月27日 11:06:47
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強烈な揺り戻しに負けた敗軍の将、兵を語る 選挙スペシャル 2012年12月26日(水) 日経ビジネス 自民党の地滑り的大勝の中、民主党は若手から現役閣僚まで多くの議員が落選。3年余りの民主党政権の中で失ってしまった信頼を取り戻すことはできなかった。選挙戦の最中や結果が出た後の候補者たちの言葉をまとめた。 田中 眞紀子氏 [文部科学大臣] 父の地盤での敗北 政治のニーズ変化 父・田中角栄元首相の強固な地盤を背景に、連続6回の当選を果たしてきた田中眞紀子・文部科学相。だが、今回の選挙では、自民党の長島忠美氏に小選挙区で敗れ、比例での復活もならなかった。 (写真:結束 武郎) 皆さんどう思われるか分かりませんが、すごく立派な選挙をやったと思っています。有権者の人が窓から手を振ってくれるとか、トラックがクラクションを鳴らしてくれるとか。大雪の中、郡部でも窓を開けてくれたり、出てきてくれたり。今までの中で一番熱烈でしたね。集会もどんどん人が増えましたし、皆さん、政治参加の意識が高い。ありがたいことだと思います。
本当に素晴らしい選挙で、民意を吸い上げるのはこういうことだとも思いました。いい選挙だったし、こう言うとおかしいけど、楽しかったというか、候補者冥利に尽きると感じました。いい仕事をしなくちゃと思いました。皆さん大変熱烈で、とても立派な選挙をさせていただくことができました。 それでも、落選したのは私の努力不足です。 前回の勝利から逆風を予測 今回は選挙戦が始まる前から、いえ前回、民主党に大きな風が吹いて勝った段階から、すごい揺り戻しがあると思っていました。よほど民主党がいい政治をしないと、次の選挙で逆のことが起こるだろう、と。それに小選挙区っていうのは、こういうふうに極端から極端にぶれるものです。だから苦戦するとも思っていましたし、こういう結果も予想できないでもなかったですからね。自民党が劣化している中で民主党に期待したのに、それが全然期待外れだった。リバウンドだったと思いますよ。アクションを起こしたらリアクションがあるものです。 3年以上野党であった自民党は、国会の活動を見ても相当焦っておられたし、どこの選挙区でも、3年以上努力を続けて選挙に向けてやってこられていた。一方で民主党は、政権運営になかなか慣れませんでした。民主党は内閣が3代ありましたけれども、国民のニーズを吸い上げて、それを前に進めていく力を発揮できなかった。それは一議員としても、非常にもどかしく思っていました。 選挙中にも言っていたように、今回の結果で一番気になるのは、右傾化です。自民党総裁の安倍(晋三)さんは改憲をすると言っておられるし、前回落選して今回当選した自民党の人たちは非常に右寄りの方が多い。日本が平和憲法をやめるのに賛成の方が多いですから。それが後の祭りで、投票した方みんなが「こんなはずじゃなかった」と思ったりするんじゃないかと心配しています。意外なことから戦争が始まったりしますのでね。 それとやっぱり、年金生活者や障害者の方、お年寄り、子供さんを育てるうえで苦労している方がいます。(自民党が)生活弱者に対する視点が欠けて、大企業優先の方向に政治がぶれて、また元に戻ることも危惧しております。弱い人のことを配慮してくれる政治になるといいけれども、あのメンバー見ていると、なかなかないなと危惧しております。 (投開票日は)父の命日でしたが、東京で家族と仏壇にお参りをしましたし、選挙前にはお墓参りにも行ってきました。ただもう、父がいた頃とは時代背景が全然違っています。自民党に強固な地盤があった時代と、価値観が多様化して少子高齢化が進んだ時代とは、政治に対するニーズがだいぶ変わってますから。従って、父と同じ地盤であるといったことには、あまりこだわりは持っていません。 私が目指すのは、世界と仲良くして戦争のない世界です。真面目に働く普通の人たちが、普通に幸せに一生を終えられる。その人生を何とかいいものにするように、知恵や勇気を絞るのが政治家だと思っています。 今は原点に戻って、政治とは何か、生活者がどういうことを政治に希望しているのかを冷静に考える時間が欲しいと考えております。 投開票の翌朝は、目覚ましなしでよく寝ました。悔しいとか残念だという気持ちがあったら目覚ましをつけて眠るんでしょうけど、楽々とよく眠りましたよ。最善は尽くしたし、すごくいい選挙をやったなと感謝しております。大勢の方が支持をして走り回ってくれたので、忘年会を兼ねて、お礼をしながら楽しく過ごしたいと思っています。もうすぐクリスマスですし、新年が来ますのでね。 落選で党を替えたりはしない それと、今回落っこちたから別の選挙区に行くとか、党を替えるといったことをするつもりはありません。皆さん器用だけど、私、不器用ですから。お墓は(父・田中角栄元首相の生家でもある新潟県柏崎市)西山にありますし、新潟5区が私の選挙区です。地元からは20年近くにわたってずっと、絶大な支持を頂いていますから、その方たちの気持ちを忘れずに、それをまた反映していく努力をしなくてはいけない。そのために、どういうことができるのかも考えていかなくちゃと思っています。 この選挙に対しては、最高裁が違憲の判決を出していますし、これから新潟5区がどういう区割りになるのかは分かりません。ただ繰り返しますが、私はそんなに器用じゃない。どっかに鞍替えするとか、知事選に出るとか、そういうことはありません。それが、ここで支援いただいている方に対する責任ですし、そういう方たちに対する私の思いが強いですから。 政治活動をやめるつもりはありません。時を捉えて、いいチャンスを見て、いろいろと発信していきます。(談) 田中 美絵子氏 [前衆院議員] 東京への国替え「骨埋める」通じず 2009年の衆院選で森喜朗・元首相の対抗馬として石川2区から出馬し、比例で復活当選した田中美絵子氏。今回は国替えし、東京15区から出馬したが、当選はならなかった。 正直言って、非常に厳しい逆風の中の選挙戦でした。特に追い風だった前回の選挙しか経験していないので、余計に強い向かい風を感じました。消費税増税やTPP(環太平洋経済連携協定)交渉といった、個別の政策については思ったよりも有権者の反発を感じることはありませんでした。ただ、(党内分裂などの)民主党の中の様々なゴタゴタが、有権者にまとまっていない党という印象を与えてしまったようには思います。有権者の呆れにも似た感情を感じることはありました。
プライベートの問題の影響はなし 個人的にはやはり、地元の石川県から国替えし、東京15区での立候補を表明したのが解散の後になったことが響きました。出遅れた感は否めなかった。選挙期間中はとにかく名前をアピールするため、露出を優先する形を取りました。朝の6時半からラジオ体操の集まりに参加し、遊説や駅でのビラまきに1日中追われました。 私は今回の選挙区である江東区に骨を埋める覚悟で活動してきました。民主党が政権与党となるまでに、道半ばで去ることになった方も大勢いると思います。私自身はそういう方々の思いを引き継ぎ、有権者の選択肢から民主党を絶やしてはいけないという思いで戦ってきました。 そんな中で、私のプライベートに関して週刊誌などで報道があり、誤解を生じさせてしまったことについては本当に心からお詫びしたい。ただ、そのことを選挙中に言われたことはゼロに近く、影響したという印象はありませんでした。 政治家にとっては、365日が選挙運動です。現職であってもそうでなくても、1つの選挙が終われば、次の日からはすべてがまた次の選挙に向けた活動となります。今後もそういう覚悟を持って、日々過ごしていきたいと思います。(談) 時事深層
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