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2012年12月24日 植草一秀の『知られざる真実』
今日はIWJが主催した「饗宴V」に参加した。
http://iwj.co.jp/feature/symposion3/
正午から午後9時まで、9時間にわたるシンポジウム&パーティーに出席した。
シンポジウムは5部構成で、
原発、検察、経済、TPP・日米、改憲
の各テーマについて論議が行われた。
私は<経済>のセッションで話をさせていただいたが、他の4部門の論議もすべて拝聴させていただいた。
掛け値なしで素晴らしいシンポジウムであった。
経済のジャンルでは、消費税増税問題、安倍政権の経済政策、金融緩和、インフレ、国土強靭化、不況の本質などの問題を論じた。
既得権益による政権奪還の現実と今後の課題。
安倍政権の金融緩和強化のもたらすもの。
景気対策の補正予算と消費税大増税の矛盾
などについて話をさせていただいた。
時間が限られていたために十分な説明ができなかったが、行き過ぎた金融緩和圧力の弊害を強調した。
世間ではインフレ誘導が正義の政策であるかのように伝えられているが、インフレを求めているのが、大資本と財政当局であることを見落とせない。
大企業は、インフレによって実質賃金を引き下げることを狙っている。
大企業は名目賃金を引き上げない行動を続けている。しかし、物価が上がらない限り、実質賃金は下落しない。インフレが生じるときに名目賃金を引き上げなければ実質賃金が低下する。
大企業は実質賃金を引き下げるためにインフレを待望している。
また、インフレが生じると借金の重みが軽くなる。これを「債務者利得」という。
日本最大の借金王は日本政府。日本政府=財務省はインフレで借金を帳消しにしようとしている。
この背景があってデフレからの脱却=インフレが目指されている。
しかし、一般庶民にとってインフレは決して望ましいものではない。
低所得にあえぐ若年層を考えてみよう。
インフレになっても賃金は上がらない。
大資本は実質賃金を引き下げようとしてインフレを望んでいるのだから、インフレになったからといって賃金を上げることはしない。
つまりインフレで、低所得の若年層の実質賃金は下がるのだ。
年金で生計を成り立てている高齢者を考えてみよう。
インフレが生じれば、年金の実質的な価値は減少する。インフレ分だけ実質所得が減少するのだ。
そして、存在を守るなけなしの貯金の価値が減少する。
借金している企業と政府はインフレで借金の重みが軽くなるが、年金生活者のなけなしの貯金は目減りしてしまうのだ。
政府が誘導するインフレ礼賛論に乗ってしまってはいけないのだ。
原発、検察、TPP・日米、改憲
の各テーマの論議は本当に聴きごたえのあるものだった。
原発では、日本政府が放射能汚染の情報を隠蔽し、国民にウソを伝え、国民の放射能汚染を放置している現実が赤裸々に語られた。
武田邦彦氏の指摘はいつも極めて鋭い。
いま新聞を賑わしている原発直下の活断層調査。
これは、政府と官僚機構が用意している原発再稼働に向けてのシナリオに完全に組み込まれたものであることが指摘された。
敦賀と東通の原発は廃炉の方針が決められているのだという。
原発廃炉の実例を創作し、これを錦の御旗にして原発再稼働に進むシナリオが完全に用意されているとの推論が示された。
つまり、「活断層で原発廃炉」のニュースに喜んではならないとの指摘だった。
廃炉にする原発はすでに選定済みで、廃炉のイメージを植え付けたうえで、原発再稼働のシナリオが完全に作られてしまっているということなのだという。
このように真実を見抜く洞察眼が必要不可欠なのだ。
検察問題は、単なる検察の問題ではない。
日本の歴史が検察の巨大謀略によって書き換えられてしまった。
この意味を明らかにするとともに、その事実を徹底して糾弾しなければならない。
TPP・日米関係は抜き差しならぬ状況に移行した。
日本を売り渡す、売国政策が急転回で進行中である。
ISD条項をもとに、日本の米国化が強制される。
堤未果氏は1%の巨大資本が政治を買い取り、完全支配し、ファッショ的傾向を強めている米国の現状を告発する。
警察権力による国民の監視、個人情報の一元管理、令状なしの逮捕などの現代版治安維持法が米国を覆う現実を語った。
そして、米国の1%による独裁が、時間差を伴って、いま、日本を侵食し始めている現実を語った。
改憲のセッションでは、孫崎亨氏が加わり、安倍政権の対米隷属体質を鮮明に解説された。
孫崎氏は米国のヘリテージ財団が11月14日に発表したレポートと完全に一致する政策を安倍政権が提示しているとの衝撃的事実を指摘された。
日本による防衛費負担、集団的自衛権行使、普天間代替施設の沖縄での建設、日韓対立緩和、尖閣紛争化、はすべて米国の指令に基づくものであることが指摘された。
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