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2012年12月22日 植草一秀の『知られざる真実』
今回総選挙で自民党は主権者国民から大きな支持を受けていない。
投票率59.3%、比例選挙での得票率27.7%は、全有権者の得票率16.4%であり、得票数は1635万票に留まった。
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この事実を隠すために、メディアは小選挙区の数字を用いて、「43%の得票で79%の議席」という不正な言い回しを多用している。
「投票者の28%、全有権者の16%の得票で79%の議席」が正しい表現だ。
1996年総選挙から採用されている小選挙区比例代表並立制の総選挙での第一党得票数、得票率で自民党は最低値を記録した。
今回選挙では「不正選挙」を指摘する声が多く聞かれる。
2010年9月14日に行われた民主党代表選では、大がかりな不正が実行されたと見られる。政党の代表選には公職選挙法が適用されないから、不正選挙が実行される蓋然性は国政選挙に比べてはるかに高い。小沢一郎氏を落選させるための謀略が実行された疑いが濃厚である。
しかし、国政選挙での不正は常識では考えにくく、慎重な検証が求められるが、日本の国の成り立ち、日本におけるルール順守に対する観念の曖昧さを踏まえると、不正が行われた可能性を排除することはまったくできない。
警察・検察取調べの可視化が論議されているが、今後の国政選挙については、そのすべての完全可視化が必要不可欠になる。
空の投票箱の状態から、最後の集計作業完了までの全プロセスを完全録画する必要がある。
疑義が生じれば、録画画像を検証することができる体制を整えるべきだ。
冒頭に記述したように、仮に不正選挙ではなかったとしても、今回総選挙での自民党の獲得票は多いものでなかった。
それにもかかわらず、自民党が294議席を獲得した理由は、多党乱立で、相対的に自民票が多数だったからだ。
選挙に向けてのメディア誘導の結果、選挙は4極対立で実施された。
民主、自公、維新、未来 の四極だ。
メディアは選挙戦の最後まで、
民主 対 自公 の戦いを基本に据えて、
これに対抗する第三極として 維新 を掲げた。
これを三極対立の図式と説明した。
民主 対 自公 の戦いで、民主が転落することは分かり切っていた。
懸念されたのは、これらに対抗する勢力が躍進することだった。
この、反・民自公勢力の中心が、本来は「生活」、その後の「未来」であった。
主権者国民の選択に委ねれば、「生活」=「未来」が大躍進する可能性が高かった。
そこでメディアが採用した戦術が、「維新」の大宣伝だった。
橋下維新に対する過剰報道は1年以上にわたって継続的に展開された。
他方、本来の第三極として脚光を浴びるべき存在であった、「生活」=「未来」に対しては、これを積極報道する動きは皆無だった。
選挙は「未来」の戦闘費用が枯渇するタイミングで実施された。
民主 対 自公 の戦いでは民主が凋落する。
大躍進の可能性があった「反・民自公」勢力に対しては、人為的に「維新」を徹底宣伝することによってこれを分断した。
その目的は大躍進の可能性を秘めていた「生活」=「未来」をせん滅することにあった。
この作戦が用意周到に練られ、実行されたのだと思われる。
この結果として、主権者国民の16.4%の得票しか得ていない自民が294議席を獲得し、公明31議席を合わせて、325議席の衆院絶対多数を獲得したのだ。
悪の軍団は、さらに先を考えている。
参院選に向けて、「生活」=「未来」せん滅の動きを強化することだ。
四極の構造を考えてみよう。
対立していたとされる民主と自公。
現時点で対立は存在しない。
その象徴が「民自公三党合意」である。
2010年6月から、民主と自公の間の相違はなくなっている。
民自公は守旧派勢力である。
米国と官僚と大資本の利益を代弁する政治勢力。
それが民自公大政翼賛勢力だ。
「維新」はどうか。これも発言が二転三転、ぶれまくってきたが、結局、「維新」は民自公補完勢力に過ぎない。
原発を推進し、消費税増税を推進し、TPPを推進する勢力。
そもそも「維新」は反・民自公票が「生活」=「未来」に流れることを阻止するために人為的に宣伝、拡大させられてきた勢力なのだ。
「みんな」とまったく根が同じ、同種同根である。
すべての目的は共通である。
「生活」=「未来」勢力をせん滅すること。
なぜ、「生活」=「未来」は攻撃されるのか。
理由は明白だ。
「生活」=「未来」が「既得権益の政治」を破壊する勢力だからである。
米国・官僚・大資本のための政治。
これが日本政治のこれまでの基本である。
政権交代の大業を成就した小沢−鳩山ラインが激しい攻撃を受け続けたのは、この小沢−鳩山ラインが、「既得権益の政治」を本当に壊しかねない存在だと見なされたからである。
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