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2012/12/20 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
「失われた20年」の元凶だった経済財政諮問会議の復活や10兆円の補正予算、2%物価上昇目標など、どれもこれもグローバル経済下の現在のデフレ大不況に何の効果もないと専門筋
「安倍」と「エコノミクス」で「アベノミクス」――。そんな呼び名をつけるほどの価値もない経済政策が注目されている。
確かに民主党はひどかった。でも、ピントは外れていない。国家戦略室が予算編成のグランドデザインを描き、「コンクリートから人へ」で利益を再分配する。財務省主導の財政運営を転換し、主権者である国民の声に耳を傾けるのが狙いだった。途中で進むべき道を見失ったのは、役人をハンドリングする能力や知恵がなかったからである。
安倍が目指すところは違う。財政と金融の両方からカネをばらまくつもりだ。
財政は、国土強靱化を合言葉に、10年間で200兆円を公共事業にぶち込む。連立を組む公明党も、「防災・減災ニューディール」とか言って足並みをそろえている。まずはこの2党が音頭を取って、来年1月の通常国会で10兆円規模の補正予算を組む考えだ。
金融は、物価上昇率が2%になるまで、市場をジャブジャブにする。日銀にお札をじゃんじゃん刷らせ、建設国債の引き受けも命じるという。無制限の金融緩和である。
こんな海の物とも山の物とも分からない話をマーケットは好感した。選挙期間中から発せられた強気のコメントに反応、株価は上昇して為替は円安に振れる。
日経平均はきのう(19日)、1万円の大台も回復した。たいこ持ちメディアは「安倍相場」なんて持ち上げたりしている。アベノミクスとやらが景気回復を運んでくるかのような錯覚を振りまくのだ。
◆グローバル時代が理解できない浦島太郎
だが、すべては幻想である。安倍はグローバル時代の経済が全然分かっていない。
同志社大教授の浜矩子氏(国際経済学)が言う。
「安倍さんは、まるで浦島太郎です。主張を聞いていると30年前、40年前にタイムスリップしたかのように思えてくる。グローバル時代を踏まえた視点は見当たりません。輪転機をぐるぐる回してお札を刷り、すさまじいインフレを起こそうとしているのは、国の膨大な借金を帳消しにしたいから。一方で円安誘導のために為替戦争を仕掛けるという。どちらもひどい発想ですが、今は“分かち合い”“支え合い”のグローバル時代です。だれもがいや応なしにグローバル・サプライ・チェーンの中に組み込まれている。それでも従来型の国家主義的な姿勢で破壊的な行動を取ろうというのが安倍さんの経済政策で、時代錯誤も甚だしい。“自分さえよければいい”が通用しない時代だということを理解していないのです」
国境は低くなり、ヒト、モノ、カネが自由に行き交うようになった。一国の政策だけで経済の流れを変えられる時代は、とうに終わっているのだ。
日銀の金融政策で2%の物価上昇などできっこない。それがまっとうな見方である。
◆景気回復の原動力とならない公共事業
エコノミストの高橋乗宣氏も言う。
「日銀と政策協定を結ぶだけでインフレ化を進められると思っているところに基本的な間違いがあります。このデフレは、安い輸入品がどんどん国内に流れ込んでいることが引き金になっていて、金融で解消できる状況にありません。それに、いくら金融を緩めても、ダブついたカネは国境の外に流れていくだけ。底が抜けたバケツに水はたまらないのです。米国のリーマン・ショックは世界中の金融機関を同時多発的に襲った。それぐらい世界との関係は密接になっているし、その距離もかつてないほど近づいている。政府と日銀が一緒にやれることは、ほとんどありません」
経済財政諮問会議の復活だってロクでもない。安倍は「マクロ経済の司令塔になる」と言っているが、小泉の威を借りる竹中に使われた道具だ。構造改革の名の下に、米国型の弱肉強食社会が進み、格差が拡大したのも、こんな装置があったから。失われた20年の元凶でもある。
「安倍さんがマジメに勉強をする場にするのなら、復活も意味があります。でも、旧自民党政権時代のように社会保障を削り、規制を緩和し、格差を拡大させるために利用するのなら必要ありません。政府の方から予断を与え、それに合わせた提言を出してくるような会議になれば、この国は終わりですよ」(高橋乗宣氏=前出)
10兆円の補正予算だって、どれだけの効果があるのか。公共事業の乗数効果はどんどん小さくなっている。補正予算分に見合った需要は生まれるだろう。だが、それに応じて所得が増え、消費も上向き、さらに所得が増えて……と、経済がうまい具合に転がっていく原動力になりはしないのだ。
◆成熟日本に高度成長の夢などあり得ない
それでも安倍は選挙期間中、切れ目のない経済対策で名目3%以上の経済成長を目指すと訴えた。こんなハッタリを信じるとヒドイ目に遭う。
「いつまでも夢を追い続けているようですが、日本はもう成熟した大人になっています。かつてのような高度経済成長は訪れません。子どものように伸び続ける時代は過ぎ去ったのです。それでも経済活動は十分に高いレベルにあるし、たとえゼロ成長だったとしても嘆く必要はありません。それでもなお、高い成長を追い求めることしか考えられないとすれば、救い難い単細胞的発想。無理をして牽引役をつくるようなことをすれば、さらなる格差拡大を招く危険性は高い。一部の企業や金持ちだけが得をする一方で、貧困が広がっていくでしょう。安倍さんがもたらそうとしているのは、そんな社会です」(浜矩子氏=前出)
自民党は今回、小選挙区では4割の得票で8割の議席を得た。国民の思いと現実はギャップがある。それでも朝日新聞の調査によると、57%が政権交代を「良かった」と答えたという。民主党への失望は深かった。威勢のいい安倍の発言に、「景気回復」の期待を持った有権者も少なからずいたのだろう。
だが、財政も金融もユルユルにする安倍流は、間違いなく行き詰まる。今回の政権交代も国民を失望させるのは間違いない。
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