★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK141 > 531.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
尖閣諸島領有権問題をめぐる解釈への「完全な勘違い」や「論理が杜撰過ぎ」という批判に答える
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/531.html
投稿者 あっしら 日時 2012 年 12 月 20 日 23:46:42: Mo7ApAlflbQ6s
 


「日本はASEAN関連首脳会議南シナ海領有権問題で米国からも袖にされ敗退:カイロ宣言の解釈:中国の主張は無根拠」(http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/515.html)のコメント欄でいただいた批判に応えさせていただきます。

======================================================================================================================================

zD6AeKg6jA さん、コメントありがとうございます。

【引用】
「中国は台湾(国民党政権)も大陸(共産党政権)もサンフランシスコ講和条約に参加してないのだから、当事者として承認はしていない、ということですよ。
従って、貴方のいう論理は成り立ちません。 」

【コメント】
 敗戦時まで日本であった大韓民国・朝鮮人民民主主義共和国の両国は当然ですが、中華民国・中華人民共和国及びソビエト社会主義連邦共和国などが、サンフランシスコ講和会議に招かれなかったり、会議に出席しても調印に至らなかったことは知っております。

 しかし、中国のクレームは、「中国の連合国における代表権問題」と同様、連合国の内部で解決すべき問題であって、敗戦国日本の預かり知らぬところです。

 日本にとっての日本の領有権範囲は、サンフランシスコ講和条件で確定しているのです。


※ 中華人民共和国は、周恩来外相(1951年8月当時)の名で「対日講和問題に関する声明 」を発しています。「対日講和」というタイトルからもわかるように、声明の相手は、自国以外の連合国です。声明の内容は、サンフランシスコ講和条約及びソ連の修正動議とともに末尾に添付。

【引用】
「>尖閣諸島は、サンフランシスコ講和条約によって、日本の“潜在的主権”が認められていると言えます。
>逆に言えば、日本が敗戦した後の条約などで、尖閣諸島が、中華民国・中華人民共和国・台湾のいずれかに返還されるべきものとされたことは一度もないのです。

違いますね。 単なる「未定」ということです。 」

【コメント】
 仮に、日本が敗戦時に領有していた領域で、サンフランシスコ講和条約に記載されていないところがあり、日本以外にそこの領有を主張する連合国がいたのなら「未定」の領域が発生します。

 しかし、サンフランシスコ講和条約締結当時に、そのような事実はなく、そのような主張をする連合国構成国もありません。

 周恩来の声明は、あくまでも、中華人民共和国が連合国における正当な代表であるという主張ともに、他の連合国構成国にぶつけた対日講話に関するクレームなのです。

【引用】
「もちろん、中国(国府も中共も)その時点で釣魚島の主権を主張していませんが、同時にまた、日本もその時点で尖閣の潜在主権を主張していません。
単に、(其々の思惑があって)アメリカの「実効支配」を黙認(無視)していたに過ぎないのです。
そうして、勿論、アメリカの「実効支配」を黙認(無視)しても、それは主権を放棄したということではありません。
無論、だからこそ、いざアメリカの手を離れるとなったら、主権を主張し出したわけです。 日本も台湾も中国もね。
この場合、もう一つの当事者or利害関係者である中国(国府であろうと中共政権であろうと)の承認が無い限り、この問題は「未定」のままになるのです。
それとも貴方は、アメリカの承認さえ得られたらそれで良いと?
あまりにも論理が杜撰過ぎます。 」

【コメント】
 サンフランシスコ講和条約は、連合国と日本とのあいだの講和条約であって、「アメリカの承認」というものではありません。

 むろん、戦後世界の政治的対立状況から、講和条約の相手が日本を占領する主要な連合国に限定されたことは、尖閣諸島の領有や北方領土の領有のみならず、国家間の関係にその後もひどいしこりを残していることは認めています。

 米国など連合国各国にいろいろな思惑があるとはいえ、占領状態から脱することが、日本にとってだけでなく、講和を結んだ連合国にとっても重要なテーマだったのです。

 「日本もその時点で尖閣の潜在主権を主張していません」とのことですが、日本が主張するまでもなく、条文自体にそのように規定されていると言えます。

 再掲になりますが、サンフランシスコ講和条約の第三条は、「日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する」とものですから、日本の潜在主権を認めたものと解釈できます。

 米国が米国の意思で対象領域の信託統治をやめるとき、返還する国家は日本と解釈するのが当然だからです。米国は、その後の日本との関係性や沖縄統治の状況などを勘案して、対象領域を返還することも返還しないことも自由に決められる立場にあったわけです。


 尖閣諸島に対する日本の「潜在主権」は、沖縄返還協定を調印する直前(71年6月)に、米国政権が討議した内容が音声資料として残っているとのことです。

 その音声資料によれば、『ニクソン大統領とキッシンジャー補佐官らは同年6月7日午後、ホワイトハウスの大統領執務室で約20分間、10日後に迫った沖縄返還協定の署名と当時の中華民国(台湾)が日本への返還に反対していた尖閣諸島の地位について検討を行った。キッシンジャー補佐官はこの中で、45年に日本が台湾から撤退した際、尖閣諸島は「沖縄と共に残された。51年のサンフランシスコ講和条約で、沖縄の日本の残存主権はわれわれによって認められた。その時にこれらの島々に関する大きな決断は成された」と主張した。中華民国の反対をめぐっては、講和条約から71年に入るまで尖閣諸島に関する「特別な交渉は一切行われていない。既に(中華民国から)手放され、自動的に沖縄に含まれた。これが(今日までの)歴史だ」と指摘。ニクソン大統領も、沖縄返還交渉を「台無しにすることはできない」と応じ、同補佐官の意見を支持していた』となっているそうです。

 繰り返しになりますが、サンフランシスコ講和条約で定まった内容に対するクレームは、日本に対してではなく、連合国内部で解決されるべき問題なのです。

 このロジックは、北方領土問題で日本に跳ね返ってくる内容でもありますが...。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
[参考資料]

「対日講和問題に関する周恩来中国外相の声明 」
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),406ー411頁.外務省アジア局中国課監修「日中関係基本資料集」,19ー25頁.

一九五一年七月十二日、アメリカ合衆国政府及び連合王国政府は、ワシントンとロンドンで同時に、対日平和条約草案を公表した。ついで、アメリカ合衆国政府は、同年七月二十日日本単独平和条約署名の準備として、サンフランシスコに会議を招集する旨通知を発した。このことに関して、中華人民共和国中央人民政府は、わたくしにつぎの声明を発表する権限を与えることを必要と考えている。
 中華人民共和国政府は、アメリカ、イギリス両国政府によって提案された対日平和条約草案は、国際協定に違反し、基本的に受諾できない草案であるとともに、アメリカ政府の強制で、九月四日からサンフランシスコで開かれる会議は、公然と中華人民共和国を除外している限り、これまた国際義務を反古にし、基本的に承認できない会議であると考える。
 対日平和条約アメリカ、イギリス案は、その準備された手続からみても、またその内容からいっても、一九四二年一月一日の連合国宣言、カイロ宣言、ヤルタ協定、ポツダム宣言及び協定、ならびに一九四七年六月十九日の極東委員会で採択された降伏後の対日基本政策など、アメリカ、イギリス両国政府が均しく署名しているこれら重要な国際協定にいちじるしく違反するものである。
 連合国宣言は、単独で講和してはならないと規定しているし、ポツダム協定は「平和条約準備事業」は、敵国の降伏条項に署名した委員会参加諸国によって行われねばならないと規定している。それと同時に、中華人民共和国中央人民政府は、武力を通じて対日作戦に加わった国のすべてが対日講和条約起草の準備事業に加わると主張するソヴィエト連邦政府の提案をこれまで全面的に支持した。ところが、アメリカは、対日平和条約の準備事業を遅らせるため、長期にわたりポツダム宣言の原則を実施するのを拒んだ揚句、現在出されている対日平和条約草案に関する準備事業をアメリカ一国だけで独占し、とりわけ中国とソヴィエト連邦を基幹とする対日戦に加わった国々のうち、大多数を平和条約の準備事業から除外したのである。更にアメリカ一国で強引に招集し、かつ中華人民共和国を除外する平和会議は、対日単独平和条約の署名を企てている。イギリス政府の支持のもとで、こういった国際協定に違反するアメリカ政府の動きは、明らかに日本及び日本との戦争状態にある国々の間で結ばれるべき真の全面的平和条約を破壊するものである。
 のみならず、アメリカ政府だけに有利で、日米両国の人民を含む各国の人民にとり不利な単独平和条約を受諾するよう、日本と対日作戦に加わった諸国に無理に押しつけようとしている。これは、実際には新たな戦争を準備する条約であり、真の意味での平和条約ではないのである。
 かような中華人民共和国中央人民政府の結論には、対日平和条約アメリカ、イギリス草案の基本内容からみて、もはや反論する余地がないのである。
 第一に、対日平和条約アメリカ、イギリス草案はアメリカ政府とその衛星国の対日単独平和条約を目指した産物であるので、この平和条約草案は、対日平和条約の主要目標に関して、声明のなかで中ソ両国政府がしばしば表明してきた意見を無視しているばかりではなく、この上もなく不合理なことに、対日作戦に加った連合国の系譜から公然と中華人民共和国をはずしているのである。第一次世界戦争後、日本帝国主義は一九三一年から一九三七年にかけて中国を武力で侵略し、更にたまたま太平洋戦争の勃発した一九四一年まで、全中国に向って侵略戦争をひきおこしたのである。
 日本帝国主義に抵抗しこれを打破する戦争で、最も長期間悪戦苦闘をつづけるうちに、中国人民は最大の犠牲をはらい、また最大の貢献をしてきた。したがって、中国人民と彼等がうちたてた中華人民共和国中央人民政府は、対日平和条約の問題において最も合法的権利をもつ発言者であり、また参加者である。ところが、平和条約アメリカ、イギリス草案は、戦争中日本にあった連合国及びその国民の財産と権益の処理に関する条項で、適用期間を規定して一九四一年十二月七日から一九四五年九月二日までとし、かつ一九四一年十二月七日以前における中国人民が自力で抗日戦争を行っていた期間を完全に無視しているのである。中華人民共和国を除外し中国人民を敵視するこういったアメリカ、イギリス両国政府におけるごうまんな不法措置は、中国人民の決して許さないところであり、断乎反対するところでである。
 第二に、領土条項における対日平和条約アメリカ、イギリス草案は、占領と侵略を拡げようというアメリカ政府の要求に全面的に合致するものである。一方では草案は、さきに国際連盟により日本の委任統治の下におかれていた太平洋諸島にたいする施政権の他、更に琉球諸島、小笠原群島、火山列島、西鳥島、沖之鳥島及び南鳥島など、その施政権まで保有することをアメリカ政府に保証し、これらの島嶼の日本分離につき過去のいかなる国際協定も規定していないにもかかわらず、事実上これらの島嶼をひきつづき占領しうる権力をもたせようとしているのである。
 他方では、カイロ宣言、ヤルタ協定及びポツダム宣言などの合意を破って、草案は、ただ日本が台湾と澎湖諸島及び千島列島、樺太南部とその付近のすべての島嶼にたいする一切の権利を放棄すると規定しているだけで、台湾と澎湖諸島を中華人民共和国へ返還すること、ならびに千島列島及び樺太南部とその付近の一切の島嶼をソヴィエト連邦に引渡すという合意に関してただの一言も触れていないのである。後者の目的は、アメリカによる占領継続をおおいかくすために、ソヴィエト連邦にたいする緊張した関係をつくりだそうと企てている点にある。前者の目的は、アメリカ政府が中国領土である台湾のアメリカ占領長期化をできるようにするにある{前5文字ママ}。しかし中国人民は、このような占領を絶対に許すことができないし、またいかなる場合でも、台湾と澎湖諸島を開放するという神聖な責務を放棄するものではないのである。
 同時にまた、草案は、故意に日本が西鳥島と西沙群島にたいする一切の権利を放棄すると規定し、その主権返還の問題について言及するところがない。実は、西沙群島と西鳥島とは、南沙群島、中沙群島及び東沙群島と全く同じように、これまでずっと中国領土であったし、日本帝国主義が侵略戦争をおこした際、一時手放されたが、日本が降伏してからは当時の中国政府により全部接収されたのである。中華人民共和国中央人民政府はここにつぎのとおり宣言する。すなわち中華人民共和国の西鳥島と西沙群島にたいする犯すことのできない主権は、対日平和条約アメリカ、イギリス案で規定の有無にかかわらず、またどのように規定されていようが、なんら影響を受けるものではない。

※ 南威島(なんいとう、ベトナム語: đảo Trường Sa (Lớn) とは、スプラトリー諸島の中でベトナムが実効支配している島。他の島と同じように中華人民共和国、中華民国、ベトナム、フィリピンが領有権を主張している。島の中にはベトナムが建設した空港があり観光地化している。
太平洋戦争中は日本軍が占領し、西鳥島と改名された。

 第三に、周知のとおり、対日平和条約の最大の目的は、日本を平和を愛する民主的な独立国とすることであり、また日本軍国主義の復活を防ぐことにより、日本が再びアジアと世界の平和をおびやかす侵略国とならないよう保証することでなければならない。しかるに、対日平和条約アメリカ、イギリス草案は、この点につきいささかも保証していないばかりでなく、かえってポツダム宣言及び極東委員会の降伏後の対日基本政策に含まれているこういった問題についての規定にやはり違反している。草案の安全保障条項及び政治条項は、日本軍隊にたいしてなんら制限を加えていないし、温存され復活しつつある軍国主義的団体について取締る規定がないし、更に人民の民主的権利にたいするなんらの保障も約束もしていないのである。事実アメリカ占領当局は、ここ数年日本において採択してきた措置のすべてによって、日本の民主化をはばみ、日本の軍国主義を復活させるのに全力をつくしてきたのである。アメリカ占領当局は、日本の戦争遂行能力を潰滅させようと考えているのではなく、極東委員会の政策にそむき、日本の軍事基地を拡大し、日本の秘密兵力を訓練し、日本の軍国主義的団体を復活させ、日本の戦犯を釈放し、かつ多数の追放分子を解除している。とりわけ朝鮮にたいする戦争において、アメリカ占領当局は、これまで日本の人的資源を利用し、自己の軍事的侵略を支援するため日本の軍需工業を発展させ復活させてきた。アメリカが日本占領を長びかせ、その占領軍を撤退させず、また日本を東洋におけるアメリカの侵略の前哨地として日本を支配することを容易にするために、更に草案は、日本との取決めにより連合国占領軍が長期にわたり日本に駐留できるようにしている。明らかに国際協定に違反するこういったアメリカ政府の計画は、アメリカにとり日本占領の政治的支柱となっている吉田政府から支持されているものである。アメリカ政府と吉田政府とは互いに共謀して日本の再軍備をはかり、日本人民を奴隷化し、かつて日本を潰滅寸前までみちびいた侵略の道にもう一度追いやろうとしているのみならず、アメリカの侵略計画に奉仕し、かつアメリカ政府のため火中の栗を拾うという属国と植民地への道に陥しこもうとしている。このことは、平和、民主主義、独立及び幸福を目指すもう一つの道を日本人民が進むのを妨げようという魂胆にでたものである。前記の草案の規定にしたがって、日米軍事協定は、目下秘密裡に協議されている。協議中のこの軍事協定は、対日平和条約アメリカ、イギリス草案と同様、中ソ両国を敵視し、かつて日本の侵略を蒙ったアジア諸国とその人民の安全をおびやかすものである。
 したがって、アメリカ、イギリス両国政府が対日単独平和条約の署名を急ぐのは、決して日本における軍国主義の復活を防ぎ、日本の民主主義を助長し、アジアと世界の平和と安全を守るためではなく、日本を再武装させ、アメリカ政府とその衛星国のため新たな世界的な侵略戦争を準備するためであることは明らかである。中華人民共和国中央人民政府は、これにたいし断乎反対しないわけにゆかないのである。
 第四に、アメリカ政府は、新たな世界的侵略戦争の準備を促すため、必ずや日本経済にたいする支配を一段と強化するに違いない。かつて中華人民共和国中央人民政府は、日本の平和経済の発展及び日本の他国との間の正常な貿易関係に制限を加えたり、またこれを独占するようなことがあってはならないとしばしば声明してきた。しかしながら、対日平和条約アメリカ、イギリス草案は、中ソ両国を敵視し、アジアの諸国をおびやかすような対日単独平和条約であるので、その経済条項もまた、中ソ両国にとどまらず、この平和条約草案を受けいれることができない多くの国国を除外している。
 加えるに、アメリカ政府は更にアメリカの会社を通じ日本経済のなかで握ってしまった特権と、日本の平和経済に課した各種の制限とを利用して、これらの経済条項を一層自己の独占欲に適合させることができる。
 このようにして、もしこの対日単独平和条約が署名されることになれば、アメリカに依存する日本経済の植民地的地位は、いっそう深まるであろう。アメリカの世界戦争計画にもとづき日本の軍事工業が生産を行なうようになるばかりでなく、一般工業もまたアジアにおけるアメリカの経済侵略にかしづくこととなろうが、これに反して平和経済を発展させ、人民の生活を向上させるための日本と中国及び他の隣邦との間の正常な貿易関係は、いっそう不法、かつ不合理な制限を受けることとなろう。このことは、日本人民とアジアの人民にとって災いとなり、中華人民共和国中央人民政府は、断乎反対しなければならないと考える。
 第五に、賠償問題に関して中華人民共和国中央人民政府は、対日平和条約アメリカ、イギリス草案の中でアメリカ政府が故意に作りあげた混乱を整理しなければならないと考える。
 草案は、日本が戦争中にもたらした損害と苦痛とにたいし賠償を支払うべきことを一応原則上承認しながらも、他面、もし日本が健全な経済を維持しようと欲するとき、日本にはこういった賠償支払能力とその他の義務を果すだけの能力にかけているともいっている。表面上アメリカ政府が日本経済の健全性に最も大きな関心をもっているかのようにみえるけれども、しかし実際は、六ヵ年にわたる日本の占領と管理の期間中アメリカ政府は、さまざまの特権と制限を利用して、こっそり日本から賠償を取り立ててきたのであり、現に取り立てつつあり、また日本経済を痛めつけてきたとともに、今なお痛めつけつつあるのである。アメリカ政府は、日本の侵略を蒙った他の諸国が日本から賠償を請求するのを許さない。まさに絶対公表できないというアメリカの腹の底には、日本に賠償支払能力と他の義務を履行する能力を温存して、結局アメリカ独占資本のため、こんごも搾取できる余地を残しておこうという狙いがあるのである。主張されているように、もし日本に賠償支払能力とその他の義務を履行する能力がとっくにかけているならば、それは、アメリカ占領当局により過度に掠奪され、損害をうけた結果である。アメリカ政府が国際協定上の義務を守り、平和条約の署名後、早期に占領軍を引揚げ、直ちに軍事基地の建設をとりやめ、日本の再軍備と日本軍需工業の復活をめざす計画を放棄するとともに、日本経済におけるアメリカ商社の特権を取消し、日本の平和経済及び正常な外国貿易の上に課せられた制限を撤廃するならば、そのときこそ、日本の経済は、真に健全な状態に到達するであろう。中華人民共和国中央人民政府は、日本が健全にその平和経済を発展させ、中日両国間に正常な貿易関係を回復発展させることができ、その結果、日本人民が戦争の脅威と被害をこうむらずに、真に向上する道が開かれるよう希望するものでる。一方日本に占領されて大損害をこうむり、そして自力で再建することが困難である諸国は、賠償を請求する権利を留保すべきである。
 以上述べてきた事実から、対日平和条約アメリカ、イギリス草案は、全面的に国際協定をくつがえすものであり、日本と戦争した連合国の利益を害し、中ソ両国に敵意を示し、アジア人民をおびやかし、世界の平和と安全を破壊し、かつ日本人民にとっても不利をもたらすものであることは、はっきり証明することができよう。この対日平和条約アメリカ、イギリス草案のなかで、アメリカ政府とその衛星国がいっしょになって追求している唯一の中心目標は、アジアにおける侵略戦争を持続して拡大し、かつ新たな世界戦争準備を強化するために、日本を再武装することである。それゆえ、この平和条約草案は、中国人民と、かつて日本の侵略をこうむつたアジアの人民の絶対に受けいれられないものである。
 対日平和条約署名の時期を早めようとして、アメリカ政府は、サンフランシスコ会議のなかで、対日戦を行った主要国である中華人民共和国を除外している。このようにして、アメリカ政府は、一九四二年一月一日の連合国宣言にいう単独不講和に関する規定を徹底的にくつがえしている。アメリカ政府が中華人民共和国を除外した上で、強制的にサンフランシスコで会議を招集する目的は、日本と戦争した連合国間に分裂をおこさせ、そして極東に新たな侵略ブロックを結成する点にあることは、きわめて歴然としている。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの間の所謂「三国安全保障条約」と目下極秘裡に話しあわれている日米軍事協定の両方とも、この会議の行われている間か、あるいは会議が終ってから成立することになっているが、これは、全太平洋とアジアに住む人民の平和と安全に脅威を与えるものである。中華人民共和国を参加させないこうしたサンフランシスコ会議では、共通の対日平和条約を署名することは不可能である。たとえアメリカとその衛星国が対日単独平和条約をじかに署名したとしても、中国人民は、絶対にこの会議を承認しないであろう。
 中華人民共和国中央人民政府は、連合国宣言、カイロ宣言、ヤルタ協定、ポツダム宣言及び協定ならびに極東委員会で採択された降伏後の対日基本政策などのような主要な国際文書にもとづいて、対日戦を行った主要国が準備し、かつ対日戦に加わった諸国の参加をえた上で、なるべくすみやかに、単独的ではない全面的な対日平和条約、つまり強制的でも独占的でもない公平かつ合理的な条約、また戦争に備えるためではなくて真に平和のための条約を日本と結ぶべきであるとかねがね主張してきた。この目的の実現をうながすために、中華人民共和国中央人民政府は、一九五〇年十二月四日わたくしに対日平和条約につき声明を発する権限を与え、また一九五一年五月二二日中国駐在ソヴィエト連邦大使エヌ・ヴェ・ロシチン氏に対日平和条約準備に関するソヴィエト連邦政府の具体的提案に全面的に支持する旨の覚書を送る権限を与えた。おおむねその声明と覚書に盛られている対日平和条約に関する具体的主張を、中央人民政府はひきつづき有効なものと考えている。
 ここに中華人民共和国中央人民政府は重ねてつぎのとおり声明するものである。すなわち、対日平和条約の準備、起草及び署名に中華人民共和国の参加がなければ、その内容と結果のいかんにかかわらず、中央人民政府はこれをすべて不法であり、それゆえ無効であると考えるものである。
 アジアの平和を回復し、極東問題を解決する上に真に貢献するために、中華人民共和国中央人民政府は、ソヴィエト連邦政府の提案を基礎に全面的な対日平和条約の問題を討議する目的で、対日戦に軍隊を派遣して参加したすべての国の代表からなる平和会議を招集すべきであると、強く主張するものである。同時に、連合国宣言、カイロ宣言、ポツダム宣言及び協定、ならびに極東委員会で採択された降伏後の対日基本政策を前提として、中華人民共和国中央人民政府は、対日戦に参加したすべての国々と全面的な対日平和条約問題につき、意見を交換する用意がある。


「サンフランシスコ平和条約(日本国との平和条約) 」

 連合国及び日本国は、両者の関係が、今後、共通の福祉を増進し且つ国際の平和及び安全を維持するために主権を有する対等のものとして友好的な連携の下に協力する国家の間の関係でなければならないことを決意し、よつて、両者の間の戦争状態の存在の結果として今なお未決である問題を解決する平和条約を締結することを希望するので、
 日本国としては、国際連合への加盟を申請し且つあらゆる場合に国際連合憲章の原則を遵守し、世界人権宣言の目的を実現するために努力し、国際連合憲章第五十五条及び第五十六条に定められ且つ既に降伏後の日本国の法制によつて作られはじめた安定及び福祉の条件を日本国内に創造するために努力し、並びに公私の貿易及び通商において国際的に承認された公正な慣行に従う意思を宣言するので、
 連合国は、前項に掲げた日本国の意思を歓迎するので、
 よつて、連合国及び日本国は、この平和条約を締結することに決定し、これに応じて下名の全権委員を任命した。これらの全権委員は、その全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次の規定を協定した。
  第一章 平和
   第一条
 (a) 日本国と各連合国との間の戦争状態は、第二十三条の定めるところによりこの条約が日本国と当該連合国との間に効力を生ずる日に終了する。
 (b) 連合国は、日本国及びその領水に対する日本国民の完全な主権を承認する。
  第二章 領域
   第二条
 (a) 日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
 (b) 日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
 (c) 日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
 (d) 日本国は、国際連盟の委任統治制度に関連するすべての権利、権原及び請求権を放棄し、且つ、以前に日本国の委任統治の下にあつた太平洋の諸島に信託統治制度を及ぼす千九百四十七年四月二日の国際連合安全保障理事会の行動を受諾する。
 (e) 日本国は、日本国民の活動に由来するか又は他に由来するかを問わず、南極地域のいずれの部分に対する権利若しくは権原又はいずれの部分に関する利益についても、すべての請求権を放棄する。
 (f) 日本国は、新南群島及び西沙群島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
   第三条
 日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。
   第四条
 (a) この条の(b)の規定を留保して、日本国及びその国民の財産で第二条に掲げる地域にあるもの並びに日本国及びその国民の請求権(債権を含む。)で現にこれらの地域の施政を行つている当局及びそこの住民(法人を含む。)に対するものの処理並びに日本国におけるこれらの当局及び住民の財産並びに日本国及びその国民に対するこれらの当局及び住民の請求権(債権を含む。)の処理は、日本国とこれらの当局との間の特別取極の主題とする。第二条に掲げる地域にある連合国又はその国民の財産は、まだ返還されていない限り、施政を行つている当局が現状で返還しなければならない。(国民という語は、この条約で用いるときはいつでも、法人を含む。)
 (b) 日本国は、第二条及び第三条に掲げる地域のいずれかにある合衆国軍政府により、又はその指令に従つて行われた日本国及びその国民の財産の処理の効力を承認する。
 (c) 日本国とこの条約に従つて日本国の支配から除かれる領域とを結ぶ日本所有の海底電線は、二等分され、日本国は、日本の終点施設及びこれに連なる電線の半分を保有し、分離される領域は、残りの電線及びその終点施設を保有する。
  第三章 安全
   第五条
 (a) 日本国は、国際連合憲章第二条に掲げる義務、特に次の義務を受諾する。
  (i)その国際紛争を、平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決すること。
  (ii)その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使は、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むこと。
  (iii)国際連合が憲章に従つてとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合が防止行動又は強制行動をとるいかなる国に対しても援助の供与を慎むこと。
 (b) 連合国は、日本国との関係において国際連合憲章第二条の原則を指針とすべきことを確認する。
 (c) 連合国としては、日本国が主権国として国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有すること及び日本国が集団的安全保障取極を自発的に締結することができることを承認する。
  第六条
 (a) 連合国のすべての占領軍は、この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。但し、この規定は、一又は二以上の連合国を一方とし、日本国を他方として双方の間に締結された若しくは締結される二国間若しくは多数国間の協定に基く、又はその結果としての外国軍隊の日本国の領域における駐とん{前2文字強調}又は駐留を妨げるものではない。
 (b) 日本国軍隊の各自の家庭への復帰に関する千九百四十五年七月二十六日のポツダム宣言の第九項の規定は、まだその実施が完了されていない限り、実行されるものとする。
 (c) まだ代価が支払われていないすべての日本財産で、占領軍の使用に供され、且つ、この条約の効力発生の時に占領軍が占有しているものは、相互の合意によつて別段の取極が行われない限り、前期の九十日以内に日本国政府に返還しなければならない。
  第四章 政治及び経済条項
  第七条
 (a) 各連合国は、自国と日本国との間にこの条約が効力を生じた後一年以内に、日本国との戦前のいずれの二国間の条約又は協約を引き続いて有効とし又は復活させることを希望するかを日本国に通告するものとする。こうして通告された条約又は協約は、この条約に適合することを確保するための必要な修正を受けるだけで、引き続いて有効とされ、又は復活される。こうして通告された条約及び協約は、通告の日の後三箇月で、引き続いて有効なものとみなされ、又は復活され、且つ、国際連合事務局に登録されなければならない。日本国にこうして通告されないすべての条約及び協約は、廃棄されたものとみなす。
 (b) この条の(a)に基いて行う通告においては、条約又は協約の実施又は復活に関し、国際関係について通告国が責任をもつ地域を除外することができる。この除外は、除外の適用を終止することが日本国の通告される日の三箇月後まで行われるものとする。
   第八条
 (a) 日本国は、連合国が千九百三十九年九月一日に開始された戦争状態を終了するために現に締結し又は今後締結するすべての条約及び連合国が平和の回復のため又はこれに関連して行う他の取極の完全な効力を承認する。日本国は、また、従前の国際連盟及び常設国際司法裁判所を終止するために行われた取極を受諾する。
 (b) 日本国は、千九百十九年九月十日のサン・ジェルマン=アン=レイの諸条約及び千九百三十六年七月二十日のモントルーの海峡条約の署名国であることに由来し、並びに千九百二十三年七月二十四日にローザンヌで署名されたトルコとの平和条約の第十六条に由来するすべての権利及び利益を放棄する。
 (c) 日本国は、千九百三十年一月二十日のドイツと債権国との間の協定及び千九百三十年五月十七日の信託協定を含むその附属書並びに千九百三十年一月二十日の国際決済銀行に関する条約及び国際決済銀行の定款に基いて得たすべての権利、権原及び利益を放棄し、且つ、それらから生ずるすべての義務を免かれる。日本国は、この条約の最初の効力発生の後六箇月以内に、この項に掲げる権利、権原及び利益の放棄をパリの外務省に通告するものとする。
   第九条
 日本国は、公海における漁猟の規制又は制限並びに漁業の保存及び発展を規定する二国間及び多数国間の協定を締結するために、希望する連合国とすみやかに交渉を開始するものとする。
   第十条
 日本国は、千九百一年九月七日に北京で署名された最終議定書並びにこれを補足するすべての附属書、書簡及び文書の規定から生ずるすべての利得及び特権を含む中国におけるすべての特殊の権利及び利益を放棄し、且つ、前期の議定書、附属書、書簡及び文書を日本国に関して廃棄することに同意する。
   第十一条
 日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている物を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。
   第十二条
 (a) 日本国は、各連合国と、貿易、海運その他の通商の関係を安定した且つ友交的な基礎の上におくために、条約又は協定を締結するための交渉をすみやかに開始する用意があることを宣言する。
 (b) 該当する条約又は協定が締結されるまで、日本国は、この条約の最初の効力発生の後四年間、
  (1)各連合国並びにその国民、産品及び船舶に次の待遇を与える。
    (i)貨物の輸出入に対する、又はこれに関連する関税、課金、制限その他の規制に関する最恵国待遇
    (ii)海運、航海及び輸入貨物に関する内国民待遇並びに自然人、法人及びその利益に関する内国民待遇。この待遇は、税金の賦課及び徴収、裁判を受けること、契約の締結及び履行、財産権(有体財産及び無体財産に関するもの)、日本国の法律に基いて組織された法人への参加並びに一般にあらゆる種類の事業活動及び職業活動の遂行に関するすべての事項を含むものとする。
  (2)日本国の国営商企業の国外における売買が商業的考慮にのみ基くことを確保する。
 (c) もつとも、いずれの事項に関しても、日本国は、連合国が当該事項についてそれぞれ内国民待遇又は最恵国待遇を日本国に与える限定においてのみ、当該連合国に内国民待遇又は最恵国待遇を与える義務を負うものとする。前段に定める相互主義は、連合国の非本土地域の産品、船舶、法人及びそこに住所を有する人の場合並びに連邦政府をもつ連合国の邦又は州の法人及びそこに住所を有する人の場合には、その地域、邦又は州において日本国に与えられる待遇に照らして決定される。
 (d) この条の適用上、差別的措置であつて、それを適用する当事国の通商条約に通常規定されている例外に基くもの、その当事国の対外的財政状態若しくは国際収支を保護する必要に基くもの(海運及び航海に関するものを除く。)又は重大な安全上の利益を維持する必要に基くものは、事態に相応しており、且つ、ほしいままな又は不合理な方法で適用されない限り、それぞれ内国民待遇又は最恵国待遇の許与を害するものと認めてはならない。
 (e) この条に基く日本国の義務は、この条約の第十四条に基く連合国の権利の行使によつて影響されるものではない。また、この条の規定は、この条約の第十五条によつて日本国が引き受ける約束を制限するものと了解してはならない。
   第十三条
 (a) 日本国は、国際民間航空運送に関する二国間又は多数国間の協定を締結するため、一又は二以上の連合国の要請があつたときはすみやかに、当該連合国と交渉を開始するものとする。
 (b) 一又は二以上の前期の協定が締結されるまで、日本国は、この条約の最初の効力発生の時から四年間、この効力発生の日にいずれかの連合国が行使しているところよりも不利でない航空交通の権利及び特権に関する待遇を当該連合国に与え、且つ、航空業務の運営及び発達に関する完全な機会均等を与えるものとする。
 (c) 日本国は、国際民間航空条約第九十三条に従つて同条約の当事国となるまで、航空機の国際航空に適用すべきこの条約の規定を実施し、且つ、同条約の条項に従つて同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続を実施するものとする。
  第五章 請求権及び財産
   第十四条
 (a) 日本国は、戦争中に生じさせた損害及び苦痛に対して、連合国に賠償を支払うべきことが承認される。しかし、また、存立可能な経済を維持すべきものとすれば、日本国の資源は、日本国がすべての前記の損害又は苦痛に対して完全な賠償を行い且つ同時に他の債務を履行するためには現在充分でないことが承認される。
 よつて、
  1 日本国は、現在の領域が日本国軍隊によつて占領され、且つ、日本国によつて損害を与えられた連合国が希望するときは、生産、沈船引揚げその他の作業における日本人の役務を当該連合国の利用に供することによつて、与えた損害を修復する費用をこれらの国に補償することに資するために、当該連合国とすみやかに交渉を開始するものとする。その取極は、他の連合国に追加負担を課することを避けなければならない。また、原材料からの製造が必要とされる場合には、外国為替上の負担を日本国に課さないために、原材料は、当該連合国が供給しなければならない。
  2(I) 次の(II)の規定を留保して、各連合国は、次に掲げるもののすべての財産、権利及び利益でこの条約の最初の効力発生の時にその管轄の下にあるものを差し押え、留置し、清算し、その他何らかの方法で処分する権利を有する。
  (a)日本国及び日本国民
  (b)日本国又は日本国民の代理者又は代行者
並びに
  (c)日本国又は日本国民が所有し、又は支配した団体
   この(I)に明記する財産、権利及び利益は、現に、封鎖され、若しくは所属を変じており、又は連合国の敵産管理当局の占有若しくは管理に係るもので、これらの資産が当該当局の管理の下におかれた時に前記の(a)、(b)又は(c)に掲げるいずれかの人又は団体に属し、又はこれらのために保有され、若しくは管理されていたものを含む。
 (II)次のものは、前記の(I)に明記する権利から除く。
  (i)日本国が占領した領域以外の連合国の一国の領域に当該政府の許可を得て戦争中に居住した日本の自然人の財産。但し、戦争中に制限を課され、且つ、この条約の最初の効力発生の日にこの制限を解除されない財産を除く。
  (ii)日本国政府が所有し、且つ、外交目的又は領事目的に使用されたすべての不動産、家具及び備品並びに日本国の外交職員又は領事職員が所有したすべての個人の家具及び用具類その他の投資的性質をもたない私有財産で外交機能又は領事機能の遂行に通常必要であつたもの
  (iii)宗教団体又は私的慈善団体に属し、且つ、もつぱら宗教又は慈善の目的に使用した財産
  (iv)関係国と日本国との間における千九百四十五年九月二日後の貿易及び金融の関係の再開の結果として日本国の管轄内にはいつた財産、権利及び利益。但し、当該連合国の法律に反する取引から生じたものを除く。
  (v)日本国若しくは日本国民の債務、日本国に所在する有体財産に関する権利、権原若しくは利益、日本国の法律に基いて組織された企業に関する利益又はこれらについての証書。但し、この例外は、日本国の通貨で表示された日本国及びその国民の債務にのみ適用する。
 (III)前記の例外から(i)から(v)までに掲げる財産は、その保存及び管理のために要した合理的な費用が支払われることを条件として、返還されなければならない。これらの財産が清算されているときは、代りに売得金を返還しなければならない。
 (IV)前記の(I)に規定する日本財産を差し押え、留置し、清算し、その他何らの方法で処分する権利は、当該連合国の法律に従つて行使され、所有者は、これらの法律によつて与えられる権利のみを有する。
 (V)連合国は、日本の商標並びに文学的及び美術的著作権を各国の一般的事情が許す限り日本国に有利に取り扱うことに同意する。
 (b)この条約に別段の定がある場合を除き、連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中に日本国及びその国民がとつた行動から生じた連合国及びその国民の他の請求権並びに占領の直接軍事費に関する連合国の請求権を放棄する。
   第十五条
 (a) この条約が日本国と当該連合国との間に効力を生じた後九箇月以内に申請があつたときは、日本国は、申請の日から六箇月以内に、日本国にある各連合国及びその国民の有体財産及び無体財産並びに種類のいかんを問わずすべての権利又は利益で、千九百四十一年十二月七日から千九百四十五年九月二日までの間のいずれかの時に日本国内にあつたものを返還する。但し、所有者が強迫又は詐欺によることなく自由にこれらを処分した場合は、この限りではない。この財産は、戦争があつたために課せられたすべての負担及び課金を免除して、その返還のための課金を課さずに返還しなければならない。所有者により若しくは所有者のために又は所有者の政府により所定の期間内に返還が申請されない財産は、日本国政府がその定めるところに従つて処分することができる。この財産が千九百四十一年十二月七日に日本国に所在し、且つ、返還することができず、又は戦争の結果として損傷若しくは損害を受けている場合には、日本国内閣が千九百五十一年七月十三日に決定した連合国財産補償法案の定める条件よりも不利でない条件で補償される。
 (b) 戦争中に侵害された工業所有権については、日本国は、千九百四十九年九月一日施行の政令第三百九号、千九百五十年一月二十八日施行の政令第十二号及び千九百五十年二月一日施行の政令第九号(いずれも改正された現行のものとする。)によりこれまで与えられたところよりも不利でない利益を引き続いて連合国及びその国民に与えるものとする。但し、前記の国民がこれらの政令に定められた期限までにこの利益の許与を申請した場合に限る。
 (c)(i)日本国は、公にされ及び公にされなかつた連合国及びその国民の著作物に関して千九百四十一年十二月六日に日本国に存在した文学的及び美術的著作権がその日以後引き続いて効力を有することを認め、且つ、その日に日本国が当事国であつた条約又は協定が戦争の発生の時又はその時以後日本国又は当該連合国の国内法によつて廃棄され又は停止されたかどうかを問わず、これらの条約及び協定の実施によりその日以後日本国において生じ、又は戦争がなかつたならば生ずるはずであつた権利を承認する。
 (ii)権利者による申請を必要とすることなく、且つ、いかなる手数料の支払又は他のいかなる手続もすることなく、千九百四十一年十二月七日から日本国と当該連合国との間にこの条約が効力を生ずるまでの期間は、これらの権利の通常期間から除算し、また、日本国において翻訳権を取得するために文学的著作物が日本語に翻訳されるべき期間からは、六箇月の期間を追加して除算しなければならない。
   第十六条
 日本国の捕虜であつた間に不当な苦難を被つた連合国軍隊の構成員に償いをする願望の表現として、日本国は、戦争中中立であつた国にある又は連合国のいずれかと戦争していた国にある日本国及びその国民の資産又は、日本国が選択するときは、これらの資産と等価のものを赤十字国際委員会に引き渡すものとし、同委員会は、これらの資産を清算し、且つ、その結果生ずる資金を、同委員会が衡平であると決定する基礎において、捕虜であつた者及びその家族のために、適当な国内機関に対して分配しなければならない。この条約の第十四条(a)2(II)の(ii)から(v)までに掲げる種類の資産は、条約の最初の効力発生の時に日本国に居住しない日本の自然人の資産とともに、引渡しから除外する。またこの条の引渡規定は、日本国の金融機関が現に所有する一万九千七百七十株の国際決済銀行の株式には適用がないものと了解する。
   第十七条
 (a) いずれかの連合国の要請があつたときは、日本国政府は、当該連合国の国民の所有権に関係のある事件に関する日本国の捕獲審検所の決定又は命令を国際法に従い再審査して修正し、且つ、行われた決定及び発せられた命令を含めて、これらの事件の記録を構成するすべての文書の写を提供しなければならない。この再審査又は修正の結果、返還すべきことが明らかになつた場合には、第十五条の規定を当該財産に適用する。
 (b) 日本国政府は、いずれかの連合国の国民が原告又は被告として事件について充分な陳述ができなかつた訴訟手続において、千九百四十一年十二月七日から日本国と当該連合国との間にこの条約が効力を生ずるまでの期間に日本国の裁判所が行なつた裁判を、当該国民が前記の効力発生の後一年以内にいつでも適当な日本国の機関に再審査のため提出することができるようにするために、必要な措置をとらなければならない。日本国政府は、当該国民が前記の裁判の結果損害を受けた場合には、その者をその裁判が行われる前の地位に回復するようにし、又はその者にそれぞれの事情の下において公平且つ衡平な救済が与えられるようにしなければならない。
   第十八条
 (a) 戦争状態の介在は、戦争状態の存在前に存在した債務及び契約(債券に関するものを含む。)並びに戦争状態の存在前に取得された権利から生ずる金銭債務で、日本国の政府若しくは国民が連合国の一国の政府若しくは国民に対して、又は連合国の一国の政府若しくは国民が日本国の政府若しくは国民に対して負つているものを支払う義務に影響を及ぼさなかつたものと認める。戦争状態の介在は、また、戦争状態の存在前に財産の滅失若しくは損害又は身体損害若しくは死亡に関して生じた請求権で、連合国の一国の政府が日本国政府に対して、又は日本国政府が連合国政府のいずれかに対して提起し又は再提起するものの当否を審議する義務に影響を及ぼすものとみなしてはならない。この頃の規定は第十四条によつて与えられる権利を害するものではない。
 (b) 日本国は、日本国の戦前の対外債務に関する責任と日本国が責任を負うと後に宣言された団体の債務に関する責任とを確認する。また、日本国は、これらの債務の支払再開に関して債権者とすみやかに交渉を開始し、他の戦前の請求権及び債務に関する交渉を促進し、且つ、これに応じて金額の支払を容易にする意図を表明する。
   第十九条
 (a) 日本国は、戦争から生じ、又は戦争状態が存在したためにとられた行動から生じた連合国及びその国民に対する日本国及びその国民のすべての請求権を放棄し、且つ、この条約の効力発生の前に日本国領域におけるいずれかの連合国の軍隊又は当局の存在、職務遂行又は行動から生じたすべての請求権を放棄する。
 (b) 前記の放棄には、千九百三十九年九月一日からこの条約の効力発生までの間に日本国の船舶に関していずれかの連合国がとつた行動から生じた請求権並びに連合国の手中にある日本人捕虜及び非拘留者に関して生じた請求権及び債権が含まれる。但し、千九百四十五年九月二日以後いずれかの連合国が制定した法律で特に認められた日本人の請求権を含まない。
 (c) 相互放棄を条件として、日本国政府は、また、政府間の請求権及び戦争中に受けた滅失又は損害に関する請求権を含むドイツ及びドイツ国民に対するすべての請求権(債権を含む。)を日本国政府及び日本国民のために放棄する。但し、(a)千九百三十九年九月一日前に締結された契約及び取得された権利に関する請求権並びに(b)千九百四十五年九月二日後に日本国とドイツとの間の貿易及び金融の関係から生じた請求権を除く。この放棄は、この条約の第十六条及び第二十条に従つてとられる行動を害するものではない。
 (d) 日本国は、占領期間中に占領当局の指令に基づいて若しくはその結果として行われ、又は当時の日本国の法律によつて許可されたすべての作為又は不作為の効力を承認し、連合国民をこの作為又は不作為から生ずる民事又は刑事の責任に問ういかなる行動もとらないものとする。
   第二十条
 日本国は、千九百四十五年のベルリン会議の議事の議定書に基いてドイツ財産を処分する権利を有する諸国が決定した又は決定する日本国にあるドイツ財産の処分を確実にするために、すべての必要な措置をとり、これらの財産の最終的処分が行なわれるまで、その保存及び管理について責任を負うものとする。
   第二十一条
 この条約の第二十五条の規定にかかわらず、中国は、第十条及び第十四条(a)2の利益を受ける権利を有し、朝鮮は、この条約の第二条、第四条、第九条及び第十二条の利益を受ける権利を有する。
  第六章 紛争の解決
   第二十二条
 この条約のいずれかの当事国が特別請求権裁判所への付託又は他の合意された方法で解決されない条約の解釈又は実施に関する紛争が生じたと認めるときは、紛争は、いずれかの紛争当事国の要請により、国際司法裁判所に決定のため付託しなければならない。日本国及びまだ国際司法裁判所規程の当事国でない連合国は、それぞれがこの条約を批准する時に、且つ、千九百四十六年十月十五日の国際連合安全保障理事会の決議に従つて、この条に掲げた性質をもつすべての紛争に関して一般的に同裁判所の管轄権を特別の合意なしに受諾する一般的宣言書を同裁判所書記に寄託するものとする。
  第七章 最終条項
   第二十三条
 (a) この条約は、日本国を含めて、これに署名する国によつて批准されなければならない。この条約は、批准書が日本国により、且つ、主たる占領国としてのアメリカ合衆国を含めて、次の諸国、すなわちオーストラリア、カナダ、セイロン、フランス、インドネシア、オランダ、ニュー・ジーランド、パキスタン、フィリピン、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国及びアメリカ合衆国の過半数により寄託された時に、その時に批准しているすべての国に関して効力を生ずる。この条約は、その後これを批准する各国に関しては、その批准書の寄託の日に効力を生ずる。
 (b) この条約が日本国の批准書の寄託の日の後九箇月以内に効力を生じなかつたときは、これを批准した国は、日本国の批准書の寄託の日の後三年以内に日本国政府及びアメリカ合衆国政府にその旨を通告して、自国と日本国との間にこの条約の効力を生じさせることができる。
   第二十四条
 すべての批准書は、アメリカ合衆国政府に寄託しなければならない。同政府は、この寄託、第二十三条(a)に基くこの条約の効力発生の日及びこの条約の第二十三条(b)に基いて行われる通告をすべての署名国に通告する。
   第二十五条
 この条約の適用上、連合国とは、日本国と戦争していた国又は以前に第二十三条に列記する国の領域の一部をなしていたものをいう。但し、各場合に当該国がこの条約に署名し且つこれを批准したことを条件とする。第二十一条の規定を留保して、この条約は、ここに定義された連合国の一国でないいずれの国に対しても、いかなる権利、権原又は利益も与えるものではない。また、日本国のいかなる権利、権原又は利益も、この条約のいかなる規定によつても前記のとおり定義された連合国の一国でない国のために減損され、又は害されるものとみなしてはならない。
   第二十六条
 日本国は、千九百四十二年一月一日の連合国宣言に署名し若しくは加入しており且つ日本国に対して戦争状態にある国又は以前に第二十三条に列記する国の領域の一部をなしていた国で、この条約の署名国でないものと、この条約に定めるところと同一の又は実質的に同一の条件で二国間の平和条約を締結する用意を有すべきものとする。但し、この日本国の義務は、この条約の最初の効力発生の後三年で満了する。日本国が、いずれかの国との間で、この条約で定めるところよりも大きな利益をその国に与える平和処理又は戦争請求権処理を行つたときは、これと同一の利益は、この条約の当事国にも及ぼさなければならない。
   第二十七条
 この条約は、アメリカ合衆国政府の記録に寄託する。同政府は、その認証謄本を各署名国に交付する。
 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で、ひとしく正文である英語、フランス語及びスペイン語により、並びに日本国により作成した。
(全権委員署名略)

「対日講和条約草案に対するソ連修正提議 」
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),417‐419頁.松本俊一「モスクワにかける虹 日ソ国交回復秘録」,176‐9頁.

一、第二条に対しては
 (1)(b)及び(f)項の代りに次の項を含めること。すなわち、「日本国は、満州、台湾及びこれに接近するすべての諸島、澎湖諸島、東沙島、南沙群島、マクスフィールド堆、並びに、西鳥島を含む新南群島に対する中華人民共和国の完全なる主権を認め、ここに掲げた地域に対するすべての権利、権原及び請求書を放棄する。」
 (2)(c)項は、次のように修正する。すなわち、「日本国は、樺太の南半部及びこれに近接するすべての諸島並びに千島列島に対するソヴィエト社会主義共和国連邦の完全なる主権を認め、これら地域に対するすべての権利、権原及び請求書を放棄する。」
二、第三条に対しては
 第三条は、次のように修正することとする。すなわち、「日本国の主権は、本州、九州、四国、北海道並びに琉球諸島、小笠原群島、西之島、火山列島、沖之鳥島、南鳥島、対馬及び、第二条に掲げられた諸地域及び諸島を除いて一九四一年十二月七日以前に日本国の一部であつたその他の諸島に及ぶ。」
三、第六条に対しては
 「(a)」項を次のように修正することとする。すなわち、「すべての連合国の軍隊は、できる限りすみやかに、且ついかなる場合にもこの条約の効力発生の日から九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。また、それ以後はいかなる連合国及び他の外国も、日本国の領土上にその軍隊または軍事基地を保有してはならない。」
四、第十四条に対しては
 「(a)」項の本文及び同項の一は、次の案文におきかえることとする。すなわち、「日本国は、連合国に対する軍事行動により、及び、ある連合国の領土の占領により生じた損害を補償することを約束する。日本国によつて支払われるべき賠償の額及び源泉は、関係諸国の会議において検討されるものとする。この会議には日本国の占領下にあった諸国、すなわち中華人民共和国、インドネシア、フィリピン、ビルマは、必ず参加招請するものとし、この会議には日本国も招請される。」
五、第二十三条に対しては
 (a)及び(b)項の代りに、次の項を入れるものとする。すなわち、「この条約は、日本国を含めて、これに署名する国によつて批准されなければならない。この条約は、批准書が日本国により、且つ、アメリカ合衆国、ソヴィエト連邦、中華人民共和国及びグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国を含んで、次の諸国、すなわちオーストラリア、ビルマ、カナダ、セイロン、フランス、インド、インドネシア、オランダ、蒙古人民共和国、ニュー・ジーランド、パキスタン、フィリピン、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、ソヴィエト社会主義共和国連邦、中華人民共和国及びアメリカ合衆国の過半数により寄託された時に、その時に批准しているすべての国に関して効力を生ずる。この条約は、その後これを批准する各国に関しては、その批准書の寄託の日に効力を生ずる。」
六、第四章中の新しい条文として、次の一条を新たに加えることとする。すなわち、「日本国は、日本国人民の間の民主主義的傾向の復活及び強化に対するすべての障碍を除去し、且つ、人種、性、言語または宗教について差別なく、人権の享有、並びに、表現、新聞及び出版、宗教的崇拝、政治的意見及び集会の自由を含む基本的自由の享有を日本の主権の下にあるべての人に保証するために必要なすべての手段をとることを約束する。」
七、第四章に次の新しい一条を加えることとする。すなわち
 「政治的、軍事的、または半軍事的のいずれを問わず、その目的が国民からその民主主義的権利を奪うことにあるファシスト及び軍国主義者の組織が日本国領土上に復活することを許さないよう約束する。」
八、第八章に、次の新しい一条を加えることとする。すなわち
 「日本国は、武力をもつて対日戦争に参加したいかなる国を対象とする連合または軍事同盟にも加入しない義務を負う。」
九、第三章に次の新しい一条を加えることとする。すなわち
 「日本の陸、海、空軍の軍備は自己防衛の任務にのみ供されるように厳格に制限されるべきである。従つて、日本国は、国境警備隊及び憲兵を含めて次にのべる範囲内の軍備を有することが認められる。
 (1)対空砲兵を含め、総数一五万人の兵力を有する陸軍
 (2)総数二万五千人の兵力、総トン数七万五千トンの海軍
 (3)海軍航空部隊を含めて戦闘機及び偵察機二〇〇機、予備機を含めて、輸送機、海空遭難救助機、練習用及び連絡用飛行機一五〇機を有し、総数二万人の兵力を有する空軍。日本国は、機体内部に爆弾積載装置をもつ爆撃機たることを本来の目的として設計されたいかなる航空機をも所有し、または獲得してはならない。
 (4)日本軍隊の有する中型及び大型戦車の総数は、二〇〇台を越えてはならない。
 (5)軍隊の兵力は、それぞれの場合に戦闘員、補給整備員及び事務要員を含むものとする。」
一〇、第三章に次の新しい一条を加えることとする。すなわち
 「日本は、日本の武装兵力の規模を定めている本条約の関係各条によつて維持することを許されている兵力の必要条件を超える程度には、いかなる形式の住民の軍事訓練を行なうことも禁ぜられる。」
一一、第三章に次の新しい一条を加えることとする。すなわち
 「日本は、次の諸武器を所有し、製造しまたは実験してはならない。
 (I)すべての原子力兵器、ならびに、細菌兵器、化学兵器を含む他のすべての大量殺傷のための手段
 (II)一切の自動発進式若しくは誘導式の投射物、あるいはこれらの発射に関連する装置(ただし、本条約によつて保有を許される海軍艦艇の魚雷、同発射管で通常の海軍装備と認められるもの以外のもの)
 (III)射程三〇キロメートルを超える一切の大砲
 (IV)接触によらず自動感応装置によつて爆発する機雷または魚雷
 (V)一切の人間操縦魚雷」
一二、第四章に次の新しい一条を加えることとする。すなわち
 「日本の平和産業の発展、または諸外国との通商の発展あるいは日本の平和経済に必要な原料の入手に対しては一切制限が課せられないものとする。同様に日本の産業海運ないし商船の建造にも制限が課せられないものとする。」
十三、第三章に次の新しい一条を加えることとする。すなわち
 「(1)宗谷海峡、根室海峡の日本側全沿岸及び津軽海峡及び対馬海峡を非武装化する。右の諸海峡は、常にあらゆる国の商船に対して開放されるものとする。
  (2)本条一項に挙げた諸海峡は、日本海に隣接する諸国に属する軍艦に対してのみ開放されるものとする。」
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2012年12月21日 00:05:46 : stxiwF0sdo
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/
↑ここで戦中戦後の公文書などが大量に公開されており、日々更新されています。
外交問題等を考える際の基本文書となりますのでブックマークをおすすめします。

02. あっしら 2012年12月21日 00:05:53 : Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI

[誤記の訂正とお詫び]

国名表記:

 朝鮮人民民主主義共和国→朝鮮民主主義人民共和国
 ソビエト社会主義連邦共和国→ソビエト社会主義共和国連邦


文章:
(誤)「合衆国のいかなる提案にも同意する」とものですから、日本の潜在主権を認めたものと解釈できます。

(正)「合衆国のいかなる提案にも同意する」というものですから、日本の潜在主権を認めたものと解釈できます。


なお、一部、「講和」が講話になっている誤りがあります。

お詫びして訂正させていただきます。


03. JohnMung 2012年12月21日 01:02:01 : SfgJT2I6DyMEc : mCP3iVzdPY

 世の中、いろんなことがありますが、アメリカに渡って幕末に戻ってきて、時代の変わり目に大きな役割を果たした土佐出身の漁師の子どもであった方がいます。
 もちろん、河田小龍を通じて坂本龍馬など土佐藩士に、また、西郷隆盛や薩摩藩の方々にも、大きな影響を与えたと言われる人物です。
 幕末(1860年)、勝海舟が咸臨丸で使節団を率いてアメリカに渡る際には、艦長は勝海舟(正確には勝海舟は「軍艦操練所教授方頭取」、木村摂津守は「軍艦奉行」であったが、中濱万次郎は、勝が艦長、木村が提督との説明で押し通した、と言われる。

 今夜午前1時時台に、作家 山本一力氏が〔わが心の人〕~ジョン・マン(中濱萬次郎)と題して、中ノ濱(現.高知県土佐清水市中浜)出身の万次郎について、話されます。高知県土佐清水市は、小沢一郎氏の盟友・平野貞夫氏(日本一新の会代表、元参議院議員)の出身地で、小沢一郎氏が「ジョン万次郎の会」に関わりがあるのもその背景に平野氏と盟友であることがあると拝察します。

 起きておられる方は、四国の端っこの小さな漁村出身の万次郎が数奇な運命に遭遇し、その中で成長し、幕末〜明治維新にかけて果たした役割等について、聞いてみませんか。

 阿修羅政治選挙板を閲覧されるみなさんへ

 私は4月下旬頃以降、「JohnMung」のペンネームでコメント欄に書き込みをしています。管理上の事情でしょうか、
 同じPCを条件を変えずに使用していながら、私のIDが度々変えられるので、私自身のコメ書きに同一人であることを示すために、「JohnMung」のペンネームを使用するようにしました。

 ところが、数日前から、元々「新自由主義クラブ」のペンネームでコメント欄に書き込みをしてきた方が、「ジョン・万次郎」なるペンネを使ってコメ書きを始めています。この方と「JohnMung」のペンネを使う私とは、まったく異なる人格です。私は、事情を知らない方に、取り違えさせる攪乱行為であるとみています。

 阿修羅では、私よりもずっと先輩で、よく知られている「日高見連邦共和国」さんも、この「新自由主義クラブ」から、「目高見連邦共和国」という紛らわしい「成りすまし」をされたのです。
 私の場合よりも見分けにくいでしょう。「成りすまし」をされたご本人も阿修羅ではコメ書き常連の他の方々も、私が指摘するまでは気づかなかったようです。
 上記の違いを、よく見比べて下さい。
 では、最初の3文字に絞って「日高見」と「目高見」としたら、どうでしょう。
もうお分かりですね。

 「新自由主義クラブ」がどういうペンネを使おうと、商標登録等の措置をしているわけでもないことから、それ自体をとやかく言えないも知れません。
 「新自由主義クラブ」は、数ヶ月前まで、小沢氏に対する憶測・妄想込みのネガキャンを執拗にやっていました。「日高見連邦共和国」さんも私も「新自由主義クラブ」のコメに反論してきました。その後、「新自由主義クラブ」というペンネのコメを見かけなくなっていました。
 その後、それらしいコメは見かけましたが、「新自由主義クラブ」というペンネは使っていませんでした。
 そして、数日前にまず「日高見連邦共和国」さんに対して「目高見連邦共和国」の「成りすまし」をし、「JohnMung」に対して「ジョン・万次郎」という紛らわしいことをやってきました。

 みなさんはどう思われますか? 同様のことをやられたら、どう思われますか?
 ただ、このことだけは、混同のないように、お願いいたしします。
 「JohnMung」と「新自由主義クラブ」=「ジョン・万次郎」とは別人格であることをご承知置きください。

 このことについては今後しばらく、別のスレにも適宜、貼り付けますので、ご理解のほど、併せてお願いいたします。


04. 2012年12月21日 13:58:25 : djoSwnPK8I
唖然とします。
この問題の基本乃至本質が丸で解ってない。

>サンフランシスコ講和条約は、連合国と日本とのあいだの講和条約であって、「アメリカの承認」というものではありません。


「連合国」とは「特定の戦争で軍事同盟を組んで連合した諸国」の謂いであって、元より、統一した政治的実体ではありません。 従って、「連合国と日本とのあいだの講和条約」ではなく、「『連合国の内のサンフランシスコ講和条約に参加している国』と日本とのあいだの講和条約」です。
当然、「日本にとっての日本の領有権範囲は、サンフランシスコ講和条件で確定している」というのは「講和条約」の条約批准国にのみ言えるのであって、参加してない国には当て嵌まりません。 つまり、「ポツダム宣言」(四国共同宣言)の半分(米英)しか参加していないサンフランシスコ講和条約は、その有効性は限定的であるーこんな事は初歩の初歩ですよ!
だからこそ、その後ソ連や中国(台湾政権、大陸政権)との(講和条約に代わる)「平和条約」が出て来るのであって。
 しかも、いざソ連との領土問題を解決して「平和条約」を結ぼうとしたらアメリカからの横ヤリが入るー所謂’ダレスの恫喝’というやつです。


>中国のクレームは、「中国の連合国における代表権問題」と同様、連合国の内部で解決すべき問題


(笑)「中国の連合国における代表権問題」については、連合国との問題は連合国=国連で解決したでしょ。
中国と日本との問題は「日中平和友好条約」(1978)を以て、一応の解決になるのです(領土問題棚上げでね)。
だから、逆に言えば、「日本にとっての日本の領有権範囲」(主たる対象国はソ連・中国・韓国・北朝鮮でしょう)及び周辺諸国(これも同じ)との講和がサンフランシスコ講和条約で解決しているのであれば、「日ソ共同宣言」も「日華条約」ー「日中平和友好条約」も必要なかったはず、でしょ?(笑)


>仮に、日本が敗戦時に領有していた領域で、サンフランシスコ講和条約に記載されていないところがあり

貴方は、どうやら、「尖閣」の経緯については元より、「日本にとっての領土問題」の本質が解ってないようです。
単に日本側の、しかも翼賛的な主張にのみ耳を傾けるのではなく、批判側、及び相手方(中国や台湾)の主張を聞いてみることを奨めますが、サンフランシスコ講和条約を以て、戦争及びその戦後処理の問題が済んだと思い込んでるらしい貴方には、所詮、無理な話か?(マインド・コントロールされてると言ったら、怒りますかな?)

条約締結当時、’(中ソを含む)全面講和’か?’’(米英側のみの)片面講和’か?が国民を巻き込む大論争となりましたが、ここにきて’片面講和’の本質が顕れ出た、と見るべきです。
それは実質的な対米従属の選択であった、ということが。

そうして、「サンフランシスコ講和体制」=戦後体制を自明の前提とし、それに何の疑問も抱かない戦後意識の持ち主であれば、今回の問題の所在は勿論、昨今の情勢について、丸で見当違いの発言をされるのは理解出来ますーその限りでは。 貴方のイシハラ狆についての大甘な評価もね!


05. あっしら 2012年12月22日 02:08:43 : Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI

djoSwnPK8Iさんへ:

下記の新スレッドで回答をしております。ご参照ください。

「私の領有権問題での投稿に唖然となり(笑)を多発している御仁への回答」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/579.html


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK141掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK141掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧