http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/515.html
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SukiyakiSongさんの「安倍政権に対する中国の反応」(http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/508.html)へのレスポンスのかたちになっていますが、知っておきたい事項があると考え、新スレッドにさせていただきました。
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SukiyakiSongさん、初めまして。
人民網は、ウインドウがぱかぱか開いて便利なこともあって、よく見ています。
貴殿の投稿は、ポイントを絞ったかたちで中国側の考え方が整理されているので、たいへん役に立ちます。ありがとうございます。
思うところを少し書かせていただきます。
【引用】
「安倍晋三の公約は「日本を取り戻す」である。何を取り戻すのか海外から見れば、
➊尖閣実効支配状態と南中国海島嶼問題でのASEANリーダーシップ、
➋経済大国を再現し海外日系企業を潤し、日本国内の不満も和らげる、
となるが、この両者は相いれない。安倍は深刻なディレンマに陥る。 」
【コメント】
冗談ですが、「日本を取り戻す」は、民主党など非自民ないし支配層非本流から、自民党が日本(支配)を取り戻すという意だと解釈しています。
「➋経済大国を再現し海外日系企業を潤し、日本国内の不満も和らげる」について:
“海外日系企業”をグローバル企業と読み替えれば、その部分は、当たっていると思います。
しかし、経済大国を再現する気概も、日本国内の不満を和らげる気もそれほどないと思っています。
ひとえにグローバル企業の競争力強化をめざすだけです。
このような考え方を一概に間違いとは言いませんが、それによって、国民多数派の生活が向上するわけでも、安定するわけでないと考えています。
グローバル企業の競争力強化は、すなわち、勤労者やその他の企業の“奉仕”を意味するからです。
安倍“再政権”も、グローバルな大競争を持ち出して、勤労者に過酷な労働条件を強いるはずです。
手っ取り早い国際競争力の強化はコストダウンで、国内要因だけで可能な方策が賃金切り下げだからです。
アベノミックスとも言われている経済政策は、グローバル企業の国際競争力を向上させる消費税増税を実施するための“方便”でしかありません。
「➊尖閣実効支配状態と南中国海島嶼問題でのASEANリーダーシップ」について:
日本の尖閣実効支配は、かろうじてですが、維持されています。しかし、これも、中国側の意向で実現できているものと言えます。
「尖閣問題」でよく日米安保条約の適用云々が言われますが、中国艦船がただ尖閣領海に侵入しただけでは米国が動くこともなく、日本の海保や自衛隊が侵入してきた中国艦船を強制力で排除しようとして武力衝突になった場合も、米国が動くことはありません。
あてにはなりませんが、米国が動くとしたら、中国側が日本側に先制攻撃を仕掛けたときだけです。
このようなことは、中国艦船や航空機が、領海・領空を侵犯しても、ただ存在しているだけでは、手出しができないことを意味します。すなわち、実効支配が崩れてしまうことになります。
むろん、軍事力の行使という選択肢もありますが、日本が自立していたとしても、現在の中国との経済的関係性を考えると、領海侵犯の中国艦船を強制力で排除するという選択はしないでしょう。
このような意味で、尖閣の日本実効支配は、中国側の意向に支えられていると考えています。
中国政府は、尖閣が従前のように平穏かつ安定的に維持される(日本政府が勝手に手を付けない。中国漁民は周辺海域で漁ができる)のなら、日本の実効支配を黙認するという立場です。
続いて、「南中国海島嶼問題でのASEANリーダーシップ」についてですが、この決着は、野田首相が解散を断行した直後の11月18日からカンボジアのプノンペンで開催されたASEAN関連首脳会議でついています。
オバマ大統領との首脳会談もしくはASEAN関連首脳会議で、日本の主張が認められていれば、日本のメディアは鬼の首をとったように報じていたでしょうが、日本の主張は退けられ、中国側の主張が採用されたため、ひっそりと報じられるだけで終わりました。
南シナ海の領有権問題について、日本政府は多国間の枠組みで解決をはかるべきと主張し、中国政府は、当事者間で解決すべき問題と主張しました。
結果、日中米ロなどを含む関連アジア首脳会議に先立つASEAN首脳会議で、「領有権問題の解決は国際化せず関係各国間で解決をはかることとし、航行の自由や不測の事態回避などを目的とした「行動規範」を確立するという合意」に至りました。
経緯としては、「ASEAN首脳会議で、首脳の一人が「南シナ海は国際問題化すべきではない」と発言。議長国カンボジアは、その場で反対意見が出なかったため合意事項とみなした」というものだそうです。
むろん、今年の夏、厳しい対立状況に陥ったフィリピンは、記者会見で「議長国の誤解だ」と激しく反発しました。
(フィリピンは、中国による陰険な“経済制裁”(観光客及びバナナ)で既にギブアップしていますので、反発は、国内向けポーズと考えることもできます)
同じように中国と領有権を争っているベトナムは、表立った反発は示しませんでした。
日本政府が強固な同盟関係と自負する肝心要の米国は、野田首相との会談で尖閣問題に触れることもなく、ASEANが領有権問題を多国間の問題にしないと決めた翌日、「中国と一部ASEAN諸国が対立している南シナ海の領有権問題に関連して「法の支配と透明性が欠かせない」と述べ、行動規範の策定に向けた早期協議入りを目指すASEANの立場を支持」しました。
中国も、南シナ海の平穏を守るための行動規範の策定については賛意を示しています。ただし、行動規範の策定作業に入るタイミングについては曖昧にしたままです。
【引用】
「これら➊と➌と➍の共同声明で、日中両国はポツダム宣言第8項の遵守を再三確認し宣誓している。ポツダム宣言第8項は連合国が決め、日本が1945年に無条件で受諾した日本領の範囲規定である。
Proclamation Defining Terms for Japanese Surrender Issued at Potsdam, July 26, 1945…(8)The terms of the Cairo Declaration shall be carried out and Japanese sovereignty(主権) shall be limited to the islands of Honshu, Hokkaido, Kyushu, Shikoku and such minor islands as we determine.
ポツダム宣言第8項「カイロ宣言の条項は履行されるべきで、又日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに吾等の決定する諸小島に局限される」
カイロ宣言は日独伊の植民地を全て放棄させるものであり、第8項の第二文節は日本から取り上げる固有領土の原則である。すなわち北海道、本州、四国、九州という大きい4島は日本領に残すが、その他の小島は連合国が所有するか返還するかを決めるというもの。
これを受諾した瞬間から日本は“4島以外の固有領土を主張する権利”を放棄した。それらの小島の帰属は連合国間の合意に於いてのみ決定されるものである。……しかし、その後すぐに冷戦が始まり、朝鮮戦争が始まり、米国は中国とも台湾とも未だに協議していない。
それで周恩来は日中国交回復共同声明で日本政府に遵守を誓約させた。…(三)中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
すなわち、「釣魚(尖閣)は台湾に帰属し、台湾は中国の一部である」と。 」
【コメント】
カイロ宣言について、少し誤解があるようです。
日本の外務省の訳によれば、カイロ宣言の日本の領有権に関する部分は、
「右同盟国ハ自国ノ為ニ何等ノ利得ヲモ欲求スルモノニ非ス又領土拡張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ス
右同盟国ノ目的ハ日本国ヨリ千九百十四年ノ第一次世界戦争ノ開始以後ニ於テ日本国カ奪取シ又ハ占領シタル太平洋ニ於ケル一切ノ島嶼ヲ剥奪スルコト並ニ満洲、台湾及澎湖島ノ如キ日本国カ清国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国ニ返還スルコトニ在リ
日本国ハ又暴力及貧慾ニ依リ日本国ノ略取シタル他ノ一切ノ地域ヨリ駆逐セラルヘシ」
というものですから、連合国の基本的スタンスは領土不拡張です。
それを基本にしつつ、1914年に始まった第一次世界戦争以後に日本が手に入れた領土及び信託統治領及び支配地域を手放し、遡ること日清戦争で獲得した領土を中華民国に返還すると決めたものです。
ですから、カイロ宣言(1943年12月)に拠れば、1910年に併合した朝鮮半島はそのまま領有が認められることになります。
そして、話題の島である尖閣諸島も、カイロ宣言では引き続き領有が認められていたことになります。
ポツダム宣言の第8項「カイロ宣言の条項は履行されるべきで、又日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに吾等の決定する諸小島に局限される」 という文言は、“カイロ宣言に加え、さらにより多くの領土を放棄しろ”と日本に求めたものです。
これは、米国の「沖縄支配」とヤルタ会談で参戦を密約していたソ連への“報償”を確保することを目的としたものと考えることができます。
カイロ宣言はともかく、最終的なものであるポツダム宣言は、「日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに吾等の決定する諸小島に局限される」となっているので、それを受諾した以上、連合国側に島々をとられてもしかたがないことですが、尖閣諸島は、サンフランシスコ講和条約によって、日本の“潜在的主権”が認められていると言えます。
逆に言えば、日本が敗戦した後の条約などで、尖閣諸島が、中華民国・中華人民共和国・台湾のいずれかに返還されるべきものとされたことは一度もないのです。
焦点になるのはサンフランシスコ講和条約ですが、尖閣諸島を含む領域について、
「第三条
日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。」
と規定しています。
この規定を解消するために結ばれた協定が、1972年沖縄返還を実現した沖縄返還協定です。
11月30日の党首討論会で石原氏が発言し、その実現に尽力されたとのことですが、議事録として合意されたもののなかに、返還対象の地理的範囲が定められており、尖閣諸島もそのなかに含まれています。
ですから、中華人民共和国及び中華民国(台湾)の主張は、国際法的に根拠がないものと言えます。
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