http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/508.html
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安倍晋三の公約は「日本を取り戻す」である。何を取り戻すのか海外から見れば、
➊尖閣実効支配状態と南中国海島嶼問題でのASEANリーダーシップ、
➋経済大国を再現し海外日系企業を潤し、日本国内の不満も和らげる、
となるが、この両者は相いれない。安倍は深刻なディレンマに陥る。
◆中国外交部の反応⇒「中日関係改善に関する安倍晋三氏の発言について」12/19
http://j.people.com.cn/94474/8063521.html
「日本側が両国間の困難や問題を深く認識し、適切に処理し、中日間の4つの政治文書の原則と精神に照らして、両国関係の健全で安定した発展を促すことを希望する」
中国外交部の定例記者会見で繰り返される日中間の4つの政治文書※とは、
➊1972年の日中国交回復共同宣言(田中角栄首相−周恩来首相)に始まり、
➋1978年の日中平和友好条約(福田内閣)で日中関係が確立し、
➌1998年に小淵内閣が招いた江沢民主席とのパートナーシップ共同宣言、
➍および2008年に福田内閣が招いた胡錦濤主席との戦略的互恵関係共同宣言である。
これら➊と➌と➍の共同声明で、日中両国はポツダム宣言第8項の遵守を再三確認し宣誓している。ポツダム宣言第8項は連合国が決め、日本が1945年に無条件で受諾した日本領の範囲規定である。
Proclamation Defining Terms for Japanese Surrender Issued at Potsdam, July 26, 1945…(8)The terms of the Cairo Declaration shall be carried out and Japanese sovereignty(主権) shall be limited to the islands of Honshu, Hokkaido, Kyushu, Shikoku and such minor islands as we determine.
ポツダム宣言第8項「カイロ宣言の条項は履行されるべきで、又日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに吾等の決定する諸小島に局限される」
カイロ宣言は日独伊の植民地を全て放棄させるものであり、第8項の第二文節は日本から取り上げる固有領土の原則である。すなわち北海道、本州、四国、九州という大きい4島は日本領に残すが、その他の小島は連合国が所有するか返還するかを決めるというもの。
これを受諾した瞬間から日本は“4島以外の固有領土を主張する権利”を放棄した。それらの小島の帰属は連合国間の合意に於いてのみ決定されるものである。……しかし、その後すぐに冷戦が始まり、朝鮮戦争が始まり、米国は中国とも台湾とも未だに協議していない。
それで周恩来は日中国交回復共同声明で日本政府に遵守を誓約させた。…(三)中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
すなわち、「釣魚(尖閣)は台湾に帰属し、台湾は中国の一部である」と。
◆11/7に人民日報が現在の中国政府の立場と方針を論説している:
http://j.people.com.cn/94474/7993904.html
➊中国には『原則と譲れぬ一線』があり、『国家の領土主権に関わる問題で譲歩することは断じてない』……『原則』とは「釣魚(尖閣)は台湾に帰属し、台湾は中国の一部である」を意味する。また『譲れぬ一線』とは「領土主権で譲歩は無い」である。
➋日本は『中国の厳正な立場と、重大な懸念を真剣に受け止め、中国の領土主権を損なう全ての行為を停止しなければならない』……これを具体化にすると:
【中国の厳正な立場】=釣魚は日本がポツダム宣言を受諾したから中国の台湾領、
【重大な懸念】=歪曲史観による日本政治の右傾化、中国を仮想敵国視した軍事牽制、極地戦争を想定した日米軍事演習、
【中国の領土主権を損なう全ての行為】=尖閣閣議決定、巡視艦艇行動、自衛隊機による哨戒行動、日米軍事演習、中国脅威論、歪曲史観、歪曲報道・・・等の停止である。
安倍晋三は、日本を対外的に右翼化する一方で、内政に於いて経済復興を公約にした。経済復興は中国の協力なくして達成できない。しかし領土主張の公約を守ると中国の協力が失われ、経済復興が達成できない。
安倍は参院選までは“尖閣問題”に触れず、中国と折衝せずに済ましたい。中国政府は日本政府がして来た“実効支配”行動とそっくり同じ行動を“領土保全業務”として実施するだろう。中国がまだ実施してない領土保全行動とは哨戒機による毎日の監視であろう。
参院選までは領土主張を隠して中国を騙し経済復興を進め、参院選後に領土主張や憲法“廃止”で戦前へ逆戻りの意志を剥き出しにするだろう。そんな作戦のことを愚かな麻生が言っている。中国はすでに安倍内閣ではなく“麻生内閣”であると見抜いている。(12/19文化放送で二木氏)
※(外務省HP)中日間の4つの政治文書
➊http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html、
➋http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_heiwa.html、
➌http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_sengen.html、
➍http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/visit/0805_ks.html。
……(参考)以下は12月17日以降の新華社と人民日報の論説……
◆新華社「自民党が真に「日本を奪還」するには、まず歴史を直視し、戦後の国際秩序を尊重し、極右派勢力の拡張を食い止め、長年培ってきた平和の根をしっかりと保つことが必要だろう」
「平和憲法の改正により日本の集団的自衛権を“活性化”し、自衛隊を“国防軍”に昇級し、軍費を大幅に拡張し、海上での警備を強化するという公約を実行すれば、日本が戦後数十年間で享受してきた海外日本企業の繁栄をも手放す結果になる」新華社
http://jp.xinhuanet.com/2012-12/17/c_132046002.htm
◆人民日報「日本が厳粛に対応しなければならない3つの問題がある」…➊靖国神社参拝問題に留まらず、侵略の歴史を正しく認識し、正しく対応することができるか否か、中国を含む無数の被害国人民の感情を尊重できるか否か、
➋日本は釣魚島海・空域での不法活動を止めることができるのか、
➌平和憲法の破棄は、日本の前途を危険にさらすに等しいことを、日本側ははっきりと認識しなければならない。心からではない謝罪にも拘わらずアジア各国が日本の経済進出を許してきたのは平和憲法の故だ。その破棄はアジア各国に衝撃を与えるだろう。
http://j.people.com.cn/94474/8060921.html
◆人民日報「中国内論評」…http://j.people.com.cn/94474/8061044.html
▽楊伯江「やむを得ない選択であったが、民衆は景気回復を最優先事項にすべきだと考え、雇用と生活の質の改善を期待している。古株の与党である自民党は一定のガバナンス能力を持ち、その宣伝スローガンに民衆は引きつけられた」(中国社会科学院日本研究所)
▽廉徳瑰「右傾保守は日本を救えない。政策の揺れは有権者が戸惑うだけでなく、隣国の信頼も失う。長く続けば、短命内閣の悪循環から抜け出せない」(上海国際問題研究院アジア太平洋研究センター副主任、研究員)
▽呉懐中「長期的な経済衰退により、(海外の日系企業は別にして)日本国内は沈滞しきっている。中日間の貿易・投資額は2011年に3000億ドルを超えた。中日関係の改善は日本政府が国内経済の苦境から脱するうえで、要となる意義を持つ」(中国社会科学院日本研究所)
◆人民日報「“出戻り”首安倍は日本の典型的なタカ派政治家だが、中日関係をどう処理するか見ものだ。恐らく安倍政権は、状況の変化に応じて客観的に得失を判断しながら中国との駆け引きを進めていくことになるだろう」
http://j.people.com.cn/94475/8062108.html
➊「安倍氏は16日の選挙で勝利した直後、釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題について『日本の領土である現状は絶対に変更しない強い意志を示したい』と表明した。安倍氏の場合は、明らかに「言葉に耳を傾け、行動に目を向ける」という考えは念頭にない」人民日報
➋「中国側は実際の行動を以って、安倍氏に多くの要求を示していくべきだ。もし安倍氏が中国に対して過度に強硬な姿勢をとるようであれば、中国はこれに断固として反撃し、野田政権の災難を安倍氏の身の上にも振りかけることになる」人民日報
➌「安倍氏は日本を右翼化したが、日本の経済復興は中国の協力なしには不可能だろう。それ故に、中国は自ら進んで関係改善を求めては絶対にいけない。ここ数年、日本が相対的に対中緩和政策をとってきたが、一度として中国政府が懇願して得たものではない」人民日報
➍「中日関係が歴史的解決に向かうことは難しいだろう。たとえ何らかの良い変化が起こったとしても、直ぐにまた同じことが繰り返される。それに実際問題として、中国は日本との関係改善に大きな力を注ぐ必要性がない」人民日報
◆人民日報「日本の政治屋は最後の一線をわきまえるべきだ」
http://j.people.com.cn/94474/8063790.html
➊「日本の一部政治屋はいまだに敗戦と降伏を認めず、“終戦”とのみ呼んで、侵略の事実を極力避け、さらには一貫して自分たちは被害者であり加害者ではないと考えてすらいる」人民日報
➋「戦後国際秩序の取り決めに関わる領土問題において、動かぬ証拠がある南京大虐殺や“慰安婦”の歴史事実を前に、日本の政治屋の言動は軍国主義の亡霊が迫っていることをひしひしと感じさせる」人民日報
➌「日本が侵略の歴史を正視し、反省して、平和的発展の道を歩めるか否かは、かねてよりアジア隣国と国際社会が注目している問題だ。戦後体制から抜け出し、平和的発展を否定する日本の傾向は、アジア諸国と国際社会にとって強い警戒に値する」人民日報
➍「中国人民は日本人民との友好を希望している。日本の90数%の人も中日友好を望んでいる。われわれは厳かに一言注意を促す。『日本の政治屋は最後の一線をわきまえるべきだ』」人民日報
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