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2012年12月20日 世相を斬る あいば達也
以下の朝日新聞の記事は、日本の貿易収支が赤字基調になってきたことを示唆している。このトレンドは若干の修正は起こるかもしれないが、赤字基調での推移が予見できる。
≪ 貿易赤字、通年で過去最大へ 11月まで累計6兆円超
【松浦祐子】財務省が19日発表した11月の貿易統計(速報)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、9534億円の赤字だった。これで今年の貿易赤字は計6兆円を超え、年間で過去最大だった1980年(2 兆6128億円)を大幅に上回るのが確実な情勢になった。
貿易赤字は5カ月連続で、月ごとの額では過去3番目の大きさだった。輸出の減少が響いている。欧州の景気低迷に加えて、中国の景気減速や日中関係の悪化もあって、輸出が上向かない。11月はさらに、スマートフォンなどの通信機器の輸入が急増し、貿易赤字の増加に拍車をかけた。12月もこの傾向が続くとみられ るため、年間の貿易赤字額は、第2次石油危機後の1980年の水準を大きく超す見込みだ。
11月の輸出は、前年同月比4.1%減の4兆9839億円で、6カ月連続で前年同月を下回った。地域別にみると、欧州連合(EU)向けが同19.9%減の5016億円、中国向け が同14.5%減の8587億円と目立った。中国向けでは、自動車が同68.6%減、自動車部品が同43.5%減と大きく落ち込んだ。領有権をめぐる日中関係の緊張が響いたとみられる。
この結果、対EUの貿易赤字は1264億円となり、月ごとの額では過去最大だった。 対中国は5475億円の赤字で、11月としては最大だった。
米国向けの輸出は好調で、自動車や関連部品などの増加で輸出額は前年同月より5.3%増えた。
一方、輸入は前年同月比0.8%増の5兆9373億円で、2カ月ぶりに増えた。スマートフォンの新機種が発売されたのを受けて、通信機器の輸入額は、中国や韓国からの増加で前年同月と比べて 72.0%増えた。原油の輸入額も2カ月ぶりに増え、前年同月比0.9%増だった。
貿易赤字の増加によって、所得収支などを加えた経常収支の悪化が 続けば、国の借金である国債を買い支えてきた国内の投資資金が減り、長期金利の上昇につながるおそれがある。≫(朝日新聞デジタル)
筆者は日本国債の信頼度はかなりあるので、財務省が喧伝するほど財政赤字が国債の信認を失うことはない、と云う主張を続けてきたのだが、その根拠の一つが揺らぎだした。幾分心配な材料が出てきた感じだ。要は、マクロ経済を哲学的にみれば、あらゆる財政金融政策はあちら立てれば、こちらが立たずの法則から抜け出せない、限られた領域における右か左か論である。3党合意に至り、再び政権交代劇を演じてしまった“消費増税”も、この限られた領域におけるシーソーゲームに過ぎないのだ。単に、一番投網が掛けやすい消費税に的を絞ったに過ぎない。
この消費増税で税収が増える保証はない。ただ、確実に庶民の財布からは、その増税分の金は出て行く。可処分所得が年々確実に下がっている中での出費は、増収どころか減収に繋がる一段の消費の落ち込みを見せるかもしれない。このような、二進も三進も行かない経済状況を打破しようと云うのが“アベノミックス”だが、財政健全化を目的とする“消費増税”と論理矛盾する財政での「公共投資」の出動と日銀に対する無制限の金融緩和を打ち出している。まぁ3党合意が野田・谷垣・山口によってなされただけだから、谷垣が去り、野田が去った現状では、合意そのものが実行されようとしまいと、安倍の責任だとは言い切れない。デフレからインフレに基軸が触れる状況が生まれない限り、実行しないつもりだろう。
現実的に考えるなら、日銀が仮に全面協力し、青天井の国債引き受けをしたからといって、易々とデフレからインフレに基軸が振れるとは思えない。それでは、現在の円安・株高はなんなのだと言う人もいるだろうが、あくまで株価の上昇は、一過性の外国ファンドの思惑相場に過ぎない。本当の日本経済の元凶が判ってれば手出し出来る状況ではない。為替の方は円高基調の土俵が永らく続いたので、その変わり目と云う見方も出来るので基調の替わり目と云う見方も可能だ。ただ、貿易収支の赤字が恒常化する場合、円安が日本経済に好ましいとも言えないわけで、諸手を挙げて歓ぶ現象とは言えない。
円安になれば輸出が伸びる、という短絡的な考えで方向が変わるほど国際経済は単純ではなくなってきている。為替相場でパナソニック等々が一気に息を吹き返すと云うのは間違いだろう。製造原価の差異は、為替相場だけで是正可能な範囲を超えている。必要以上の付加価値をつける日本の製品づくり自体の見直しがあっても、根本的製造原価の差異は埋まらない。つまり、もの作り大国、輸出大国と云うイメージを払拭しない限り、日本経済の再生は難しい。重厚長大な産業に依存する国家の経済構造の転換が求められていると云うことだ。
日本包囲作戦でがあらゆるハイテク製品の世界基準を米国が常にリードする現状では、何を造っても、美味しい果実は世界標準規格の持ち主に還元される。ローテクな製品は何処まで行っても安い労働賃金がつきまとうので、現状の日本人の経済観念から乖離し過ぎた労賃が提示される。宗教心や哲学など殆ど持たない民族が、歴史の悪戯で得た「富と平和そして安穏と資産」を国家百年の大計に向けて、自ら投げ出すような犠牲的精神は枯渇している。嘗ての敗戦と同様の激甚ショック療法がない限り、この国民が目覚める可能性はゼロだろう。
安倍晋三が掲げるアベノミックスとは、自己矛盾の最たるもので、両立しえない財政投資と税源を増税に頼る政策なのだが、愚民が望む景気回復に寄与する事もなく、只無駄なものを造るか、無駄な修復に血税を注ぎ、少子化した世代にツケを回すだろう。仮にその政策で経済が元気を取り戻すなら、それはそれで良いのだが、大きな政府状態維持で安全運転も、経済の上向きに寄与しないことが判明した段階で、支持を急速に失うだろう。ゼネコンにカンフル剤を打つだけに終わり、堂々巡りを繰り返すことになる。まぁこれも愚民が選んだ“民意”なのだから、甘んじて受け入れるしかないのだろう。
ここまで民意が愚かな選択しか出来ないとなると、マスメディアの所為とか、霞が関の所為と云う論理にも無理があるのかと、ついつい考えてしまう。コラムを書くこと自体、些かバカバカしくなってきた(笑)。今日この頃は、少なくともそう云う気分だ。未来の党が惨憺たる選挙結果に至った事よりも、このような判断しか出来ない有権者への疑問の方が強く筆者には印象づけられた。まぁ何処かで、自分の思考経路をあらためて検証しながら続けるつもりだが、しばらくは沈思黙考の時間を必要とするようだ。
どうも中小政党となった「民主党」には再生能力はなさそうな雰囲気になっている。早晩、溶解してしまうのだろう。「国民の生活が第一」も解党したので、「日本未来の党も一本槍で行くしか道はなくなった。参議院に向け、野党共闘の可能性も低く、政治が国民の手から離れた印象がある。勿論、選んだのは国民なので、結果責任も国民にある。来夏の参議院選も同様のすう勢が現れるようだと、多分、日本はトドノツマリに行き着くまで、劣化が続くのだろう。ご愁傷さま!ここは一つ自助努力に神経を集中しなければならない(笑)。共助も公助も糞喰らえと言いたくなるほど国民の政治意識の低さを痛感している。
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