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自民比例219万票も減 乱立棚ぼた これでも勝てた
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2012121802000139.html
2012年12月18日 東京新聞[核心]
衆院選の結果は、自民党の安倍晋三総裁でさえ「自民党に信任が戻ったのではなく、民主党政治の混乱に終止符を打つべきだという国民の判断だった」と“敵失”による勝利だと認めている。実際、過去のデータと比べると自民党は今回の衆院選で胸を張るような得票を得ているわけではないことが分かる。小選挙区、比例代表の選挙結果を分析し、棚ぼた式での自民党勝利となった衆院選を斬った。 (金杉貴雄、関口克己)
◆5党対決区完勝
小選挙区は、有力候補者が多いほど当選ラインは低くなる。今回の衆院選では、自民党が最も恩恵を受けた。
一番象徴的なケースが民主党、日本維新の会、日本未来の党、みんなの党との「5党対決」となった12選挙区。自民はここで全勝した。
個別の選挙区を分析すると、自民が強かったわけではない。東京1区の新人、山田美樹氏は民主党の海江田万里氏に競り勝ったが得票数は3割に満たなかった。小選挙区制では「投票者の5割以上の得票が必要」と言われることが多いが、12選挙区で「5割以上」を得た候補は1人もいなかった。
維新、未来、みんなの3党を合わせた得票率が自民を上回ったのは12選挙区中7つ。3党のうち、いくつかが擁立を見送り「非自民票」が集約されれば、自民候補が敗れた可能性はあった。
◆69議席
政党乱立が自民党を利したのは、2003年の衆院選データと比較すると一目瞭然だ。
今回、自民党が小選挙区で得た得票数は43.01%で獲得議席は237。1996年に現制度が導入されて以来、最高となった。
一方、03年の得票率は43.85%で獲得議席は168。得票率はわずかながら下回ったのに、獲得議席は、今回が69議席も多かった。03年では、小選挙区に100人以上の候補を擁立したのは自民党の他は、民主、共産の両党だけだった。今回は未来、維新も100人以上の候補者を立てた。
他の党が「非自民票」を奪い合うことで、自民党が漁夫の利を得る結果になった。今回、候補者が乱立せず、小選挙区が03年並みの獲得議席に終わっていたら、自民党は比例代表で得た57議席を合わせても、単独過半数(241)に届かなかった計算になる。
◆12.9%
当選者が1人の小選挙区では、落選者に投じられた「死票」が多く出る。政党乱立の今回は、総得票の53%が死票。有権者が投じた貴重な一票の半分以上が選挙区では生かされなかった。
自民は289人が出馬し、237人が大量当選。死票率も12.9%と、全体の割合よりも4分の1以下と低かった。自民党の得票が、効果的に議席に結びついていたことが分かる。自民と連立政権を組む公明党は小選挙区立候補者9人全員が当選。死票はゼロだった。
一方、大惨敗を喫した民主党は死票率は82.5%。自民党の6倍以上に達した。未来に至っては、111人中2人しか当選できず、死票率は94.3%と極めて高かった。
◆2議席上乗せ
自民党は比例代表での得票数は、衆院選で比例代表が導入された1996年以降、過去最低だった。この一点からも、自民党が積極的な支持を得ていなかったことが分かる。
しかも長年続いた自民党政権に対する批判を受け、民主党に惨敗した09年(約1,881万票)より219万票も減らしている。小選挙区では「よりましな候補」として自民党候補を選んだものの、比例代表では「自民党」と書くのに抵抗感が残る有権者が多数いたことを示している。
比例得票で伸び悩んだ自民党だが、ここでは低投票率に救われた。議席数は57。郵政選挙で圧勝した05年の77議席と比べるとかなり少ないが、09年より2議席上乗せした。
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