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戦後最低の投票率 無投票の深層
2012年12月18日 東京新聞[こちら特報部:ニュースの追跡]
40.68%。自民党など改憲勢力が大勝した今回の衆院選で、投票しなかった有権者の割合、つまりは「無投票率」を示している。東日本大震災後初の大型国政選挙であるにもかかわらず、投票率は衆院選で戦後最低を記録した。なぜなのか。無党派層ならぬ「無投票層」の意味するものとは─。(中山洋子)
◆「判断したくない」
「投票場では30分待ちの行列で、盛り上がってると勘違いした」
東京都知事選や都議補選が重なった葛飾区の男性会社員(35)は、こう振り返った。男性は「行列が嫌で、投票を諦めて帰った人もいるのではないか」と推測する。「子どもを連れていたり、もうちょっと寒かったら、僕も帰っていた」
ただ、低投票率は東京都だけの現象ではない。混乱した選挙事務のせいにはできないだろう。
師走の銀座で男女20人に声をかけると、8人が「投票に行かなかった」と答えた。横浜市の男性会社員(28)は「期日前投票の時間もなかった」と話す。同様に投票に行かなかった人びとの大半が「忙しさ」を理由に挙げた。しかし、問題は投票することの優先順位が下がった理由だ。
同じ葛飾区の主婦(32)は「子どもが小さいので寒さの中を連れ出せなかった。ただ、今回はあまり盛り上がってなかった気がする。うちの選挙区で誰が出ていたかも知らない」と語った。「テレビの選挙特番を見て『うわ、たいへんな騒ぎになっている』と知った」
都内足立区の女性看護師(49)は前回の衆院選で「政権交代できるかも」という高揚感で民主党に一票を投じたが、今回は仕事を理由に投票を断念した。「政権が代わっても同じなら、どこでもいいやと思ってしまった」
こうした投票行動について、作家の高村薫氏は「日本の大きな岐路となる選挙だったが、そうした認識を持てる人が少なかった。確かに政治はひどいが、私たちは将来を考えて、行動しなければならなかった。この結果は私たち有権者の掛け値なしの姿だ」と話す。
ジャーナリストの二木啓孝氏は「自民を勝たせようと、棄権を決め込んだわけではない。2005年の郵政選挙も、09年の政権交代も有権者にとっては○か×。今回は争点が複雑で『選びようがない』とためらっている10%が投票をやめて、結果的に組織政党を押し上げた」と分析する。
二木氏は「本当なら、消費税増税の自公民の3党合意を問う選挙だったのだが、争点がずらされた」と指摘し、こう続けた。「4割も棄権する選挙は、民意を反映しているとはとても言えない。有権者の側も、悪気のない『棄権』こそが民意との隔たりを生んでいることを意識するべきだ」
「若者を見殺しにする国」の著作があるライターの赤木智弘氏は「単純に分かりにくかったからだ。自民大勝の世論調査も拍車をかけた。プロ野球でも優勝が決まったら、下位球団の応援には熱が入らない」とみる。
世論調査の結果を受けて「棄権」だとしたら、それは潜在的な自民支持を意味するのか。
赤木氏は「それ以前の問題。ただ流れに任せている。むしろ『分からないのに判断したくない』という意思の表れではないか」と考察した。
「日本社会では目立つ行動には責任が生じるけれど、何もしない人は責任を問われない。今回の投票行動もそれをなぞっているんでしょう」
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