04. 2012年12月17日 20:23:50
: Pj82T22SRI
#自民党内も決して一枚岩ではない 今は黙っているが、財政再建派も強い日銀人事では野党民主党に参院で潰されれば進まないから、 今後、金利上昇をきっかけに安倍がぶれる可能性は高いだろう
日本の財政拡大は一時的に景気支援=ムーディーズ 2012年 12月 17日 19:36 JST [東京 17日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日、日本の財政支出拡大策は景気を一時的に支援する可能性があるが、長期的な成長見通しを改善する政策をとらなければ政府の債務が増大することになるとの見解を示した。
ムーディーズのシニアバイスプレジデント、トーマス・バーン氏はロイターとの電話インタビューで、消費税を2倍に引き上げる計画が遅れれば、政府が公的財政を安定化に向けて歳出を削減しない限り、悪い展開になるとの見方を示した。 同氏は「われわれの大きな懸念は、日本が長期的な潜在成長率をいかに高めるかだ。財政支出策で潜在成長率を高めたという例は歴史的にないと思う」と述べた。 総選挙で勝利した自由民主党の政策についてバーン氏は、短期的側面が主眼で国内の景気改善に向けた長期政策についての詳細が必要だと指摘。また1%程度の潜在成長率を高めるには自由貿易協定をさらに追求することが重要との見方を示した。 同氏は「(消費増税が)撤回された上、社会支出と原資としての歳入の差の拡大が続けば、これは悪い状況だ」と述べた。 自民党の財政政策への不安感から17日の市場では20・30年国債の利回りが8カ月ぶり高水準となった。バーン氏は、利回りが懸念要因となるには、かなり上昇する必要がある、と指摘した。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8BG04W20121217 情報BOX:安倍自民総裁の発言 2012年 12月 17日 02:24 JST [東京 17日 ロイター] 衆議院選挙後の安倍晋三自民総裁の主な発言は以下のとおり。 <選挙結果について> 円高を是正して経済を再生するという主張に一定の評価があった。自民党への信頼が100%戻ったということではなく民主党の混乱に終止符打つべきだという結果だと思う。自民党が期待に応えるか、国民の評価に耐えながら答を出していくことが大切だ。 <まず取り組むこと> 経済の反転が私の使命だ。まず景気回復、デフレ脱却を(選挙戦で)主張してきた責任を果たしていきたい。 経済は厳しい状況だ。デフレで円高。円の水準まだ高いと思う。(景気回復は)簡単なことでない 国民が雇用においても、収入においても(回復が)実感できる状況を1日も早くで作りたい。 <補正予算> これから議論していくことになる。デフレ脱却を公約にしてきた。デフレ脱却という目標(があり)、予算の成立も遅れるので、暫定(予算となる)期間の分を含め大型の補正予算になる。 <金融政策> 今月日銀決定会合がある。(われわれの)主張が理解していただけているか。われわれとしてはインフレターゲットを示していきたい。 金融政策・財政政策、成長戦略の3本の矢で経済成長をさせていきたい。金融政策には日銀の協力が必要だ。どういう協力ができるか、協力していくことができるかどうか、日銀と対話していきたい。 近々(金融)政策決定会合もあるし、経済財政諮問会議もスタートして日銀総裁にも出席してもらうので、対話していくことは必要だろう。 さらに量的緩和による景気回復の波及経路について「量的緩和をしっかり行うことで円高が是正される。最初に反応するのが株価で、その後少し時間をおいて、投資・雇用が起こり、賃金収入が上がっていく順番だ。この時差をなるだけ短くしたい」と説明した。 <消費税> 消費増税引き上げの方向は決まっている。予定通り14年4月から引き上げるかは、来年の4─6月の(経済の)数字をみて、デフレから脱却できる状況になっているか、総合的に判断して決めていきたい。 社会保障・税一体改革については、(自民・公明・民主の3党合意を踏まえ)民主と協力して進めていく。 <政権の枠組み> 自民・公明で連立政権を作っていく。近く自民と公明間で連立政権をするうえでの政策合意をしていきたい。 (他の政党とは)「政策ごとに、理念・政策が一致する党に協力をお願いしていきたい。選挙戦で戦った民主党と連立を組むことは国民を裏切ることになる。 <外交> 日米同盟を強化しないと強い外交手に入れられない。基本的には米国を最初に訪問したい。 <組閣> 前回は政策理念をともにする人たちと内閣作った。(お友達内閣と)レッテルを張られたが、今回はバランスを取りながら一つの方向に向かって理念ともにする方々と総合力を発揮していただきながらやっていきたい。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8BF01X20121216?rpc=188 日銀総裁人事めぐり早くも探り合い、野党配慮も必要に 2012年 12月 17日 18:43 JST [東京 17日 ロイター] 自民党が圧勝した衆院選から一夜明け、早くも来春の日銀総裁人事をめぐる各党の探り合いが始まっている。自公が衆院で3分の2を上回る議席を確保したものの、国会同意人事は衆参それぞれの承認が必要。「ねじれ国会」が続く中、総裁ポスト空席を回避するためにも、新政権は野党の意向に配慮した人選が必要になりそうだ。
現日銀総裁の白川方明氏の任期は来年4月8日。これに先立つ3月19日には山口広秀、西村清彦の両副総裁も任期を迎え、日銀の金融政策運営など重要事項を決定する政策委員会メンバー全9人のうち、正副総裁という重要ポストの人事が来春に相次ぐ。 今回の衆院選は、多くの党がデフレからの早期脱却を訴え、日銀の金融政策運営が争点化する異例の展開となった。日銀総裁人事への関心も高く、次期政権を担う自民党の安倍晋三総裁は16日の選挙後、総裁の要件として、自民党が政権公約で掲げた物価上昇率目標(2%)に賛同する人物をあげた。17日の会見では、物価目標などを含むアコード(政策協定)について、26日にも予定されている新政権発足の際に「関係閣僚に指示したい」と意欲を示した。 もっとも、日銀政策委員会メンバーなど国会同意人事は、政府が国会に候補を提示し、衆参それぞれの本会議で同意を得ることが必要となる。自公が参院で過半数に届かない「ねじれ国会」の中では、政府の提示した候補が参院で不同意となり、人事案が白紙に戻る可能性は否定できない。 こうした国会事情を見越し、17日には早くも日銀総裁人事をめぐって各党の思惑が交錯。共同通信によると、自民党の菅義偉幹事長代行は「私たちは参院で過半数がない。協力してもらえるように人選も含め、しっかり対応していきたい」と他党への配慮をにじませた。これに対し、みんなの党の渡辺喜美代表は、総裁候補について「財務省、特に主計局OBは、マクロ経済政策よりも増税優先の発想に傾きがちなのでよくない」と早速けん制。参院第1党の民主党は、自民党などが主張する日銀法改正に反対の立場を示しているが、衆院選大敗の責任をとって野田佳彦代表(首相)が辞任を表明。新執行部が、総裁人事にどのような姿勢で臨むかが注目される。 前回2008年の正副総裁人事では、ねじれ国会の中で当時の野党・民主党が「財金分離」を掲げ、与党・自民党が提出してきた財務省出身の総裁候補を参院でことごとく否決。戦後初めて総裁ポストが空席となる事態が発生した。野党の出方によっては同様のケースに陥る可能性があるが、大胆な金融政策によるデフレからの早期脱却は、安倍総裁が選挙で自ら切り出した公約の柱の1つ。日銀総裁人事が迷走するような事態になれば、めざす経済再生もスタート段階からつまずきかねない。各党とも緩和に積極的な人物という方向感に大きな違いはないとみられるが、前回の教訓を踏まえ、「野党もある程度納得できる人選」(政府筋)に向けて、今後、水面下で調整が行われることになりそうだ。 (ロイターニュース 伊藤純夫;編集 石田仁志) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8BG04U20121217 焦点:円売り余力残す海外投機筋、利食いこなしドル85円試す動きか 2012年 12月 17日 17:44 JST [東京 17日 ロイター] 衆議院選挙でリフレ政策を掲げる自民党が大勝したことで、ドル/円は当面、底堅く推移する見通しだ。週明けの東京市場では利益確定売りも目立ったものの、84円付近をキープ。3月高値をつけたときとは違い、投機筋の円売りポジションにはまだ余力があることから、利食いをこなしつつ、85円を試す公算が大きい。
<ドル円上げ一服も底堅さ> 17日午前のオセアニア市場でドル/円は一時84.48円まで上昇、2011年4月12日以来1年8カ月ぶりの高値をつけた。自民党の圧勝を受け、日銀への金融緩和圧力が強まるとの思惑から、海外投機筋が円売りに走った。ユーロ/円は111.30円と3月21日以来9カ月ぶり高値をつけたほか、豪ドル/円も89.08円と2011年5月2日以来1年7カ月ぶりに89円台を回復した。 円はイベントドリブンで売られてきただけに、東京市場では「降りる人は降りた」(邦銀)といい、ドル/円は83.80円台まで押し戻されたが、その後、再び84円台を回復、逆に底堅さを印象付けた。市場では「ドル/円は利食いをこなしつつ、85円を目指す展開になる」(外銀)との見方が広がっている。 ある大手邦銀関係者は「3月に高値をつけた後の調整はほぼ全戻しとなったが、今回は需給環境や米経済状況など背景がだいぶ変わってきているので、上げた分をそのまま吐き出すことにはならないだろう。落ちても82円台ではないか」述べ、調整が入ったとしても、深押しすることはないとの見方を示した。 <投機筋に円売り余力> 強気な見方の背景に、相場をけん引している海外投機筋のポジションがある。米商品先物取引委員会(CFTC)が14日発表したIMM通貨先物の取組(12月11日までの週)では、円の売り越しが9万4401枚と2007年7月以来の水準に膨らんでいるが、「海外勢は2月のバレンタイン緩和のときに比べて、非常に慎重にやっている」(大手邦銀)との見方がもっぱらだ。 2007年のパリバショック当時、投機筋の円ショートポジションは約18万8000枚まで膨らんだ。当時は円キャリートレードが全盛だったことから、その分の厚みの違いはあるものの、自民党のリフレ政策を期待した短期筋のディールは止まらず、一時5万枚と言われた上限めどはあてはまらなくなっている。 前出の大手邦銀関係者は「確かに円ショートは円ショートだが、ポジションはパンパンに膨らんでいるわけではない。82円の後半あたりで相当もみ合ったので、調整も進んだ。彼らはこれを超えてからまた新しくポジションを作り始めている」と話す。早め早めの利食いで、資金の回転が効いているようだ。 実際、前週後半にレジスタンスとみられていた83円台に乗せた局面では「海外勢の売りが相当入っていた」(別の大手邦銀関係者)という。この時点で多くのヘッジファンドがポジションを落としにかかったが、「相場が下がらなかったことから、彼らは逆に相当堅いとの見方を強め、買い直す動きが活発化した」(同)との声が複数聞かれた。 <日銀緩和観測は継続へ> 自民党の安倍晋三総裁は17日午後の会見で「われわれの主張に対して多くの支持を得ることができた」と強調。2%の物価目標など、日銀とのアコード策定について「内閣が発足すると同時に関係閣僚に対して指示したい」とあらためて意欲を示した。 三井住友銀行市場営業統括部チーフ・エコノミスト、山下えつ子氏は「現状の円安は、今週の日銀金融政策決定会合で何か追加緩和が打ち出されるだろうという思惑よりも、来年やそれ以降、少し長い目で見たときに、政権交代でおそらく日銀がこれまで以上に緩和を進めることになるだろうという観測に根差している」として、「年末にかけて、86円程度までドル高/円安が進む可能性がある」との見方を示している。 (ロイターニュース 志田義寧 編集:伊賀大記 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8BG04L20121217 安倍自民総裁、大規模補正の編成明言「デフレギャップ埋める」 2012年 12月 17日 16:45 JST [東京 17日 ロイター] 自民党の安倍晋三総裁は17日午後、圧勝した衆院選を受けて党本部で記者会見を行い、今年度予算で大規模な補正予算を編成する方針を明言した。
今後の経済政策をめぐっては、経済財政諮問会議を復活させ、マクロ経済の司令塔と位置付ける考えを示した。 <補正の財源は建設・赤字国債、今後判断> 安倍総裁は補正予算に関し、選挙戦で自民党が掲げたデフレ脱却への取り組みに関する主張に「一定の評価があった」として「デフレ脱却に資する補正でなければならない」と指摘。「デフレギャップを埋めていくことを念頭に置く」とした上で、来年度予算の成立が越年することなどから「遅れた暫定の期間を十分カバーするものでなければいけない。そうなると、それは当然大規模なものになっていく」との見通しを示した。 補正予算編成の財源となる国債の追加発行は「建設国債になるか、赤字国債になるか、そこはこれから」と言及を避けた。 <「危機突破内閣」、26日に発足> 安倍総裁は今回の衆院選を「自民党に信認が戻ったのではない。自民党に対してはまだ厳しい視線が注がれている」と総括。同時に、現在の日本は経済や外交・安保などが「危機的」な状況にあるとして、26日に発足させる新政権を「危機突破内閣」と評した。人選は「まったく決めていない」としたが、「復興のスピードを上げ、デフレから脱却して円高を是正し、経済を成長させ、雇用を創出する使命が課せられている」と述べた。 党役員人事に関しては、石破茂幹事長を留任とする考えを示した。 <諮問会議復活、マクロ経済の司令塔> 新政権下の経済運営については、経済財政諮問会議を復活させ、マクロ経済の司令塔とする考えを示した。「諮問会議には日銀総裁も出席する。かつてはそこで日銀との対話があった。それは大切な役割だった」として、同会議で金融・財政政策や成長戦略などマクロ的な経済政策を検討する方針を示した。 10月に自民党が設置した「日本経済再生本部」は、「地域や国民が、生活が良くなっていると実感できる」具体策の策定など、ミクロ的な経済政策を担う場とすると説明した。 (ロイターニュース 石田仁志、伊藤純夫、基太村真司;編集 田中志保) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8BG03T20121217 コラム:圧勝の次に来る安倍「円安」相場の正念場=佐々木融氏 2012年 12月 17日 18:16 JST 佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長 [東京 17日 ロイター] 16日に投開票を行った衆議院選挙は、安倍晋三・自民党総裁の戦略勝ちと言えるかもしれない。「デフレ脱却・円高是正」に焦点を当てて、日本銀行に対しさらに大胆な追加金融緩和を迫った結果、海外投資家が反応し、積極的な円売り・株買いを行った。 自民党の圧勝に終わった今回の選挙結果を受けて、外為市場では翌日17日早朝から円は売られ、ドル円は3月につけた84.18円を上回り、2011年4月以来の84.48円まで上昇した(ユーロ円は本年3月以来の111.29円まで上昇)。 ヘッジファンドなどの海外投資家は、今度こそ安倍政権下で日本の「失われた20年」が終了し、日本経済がデフレから脱却するのではないかとの期待を強めているようだ。実際、海外投資家とのミーティングを通じても、日本の変化に対する期待は相当なものであると実感できる。過去2カ月間の円売り圧力は、率直に言って、従前の予想を大幅に上回る強い動きだった。 安倍自民総裁はテレビ特番のインタビューで、選挙期間中に印象に残った有権者の声は何かと問われ、「景気を良くしてくれ」「給料を上げてくれ」という声が強かったと答えていた。日銀に積極的な追加緩和を求める言動を続けることで、市場を味方につけ、為替を円安方向に、株価を上昇に導き、国民の期待を高めたことが、やはり今回の総選挙における自民党の勝因なのだろう。 <市場が失望すれば、円高・株安に逆戻り> ただし、言うまでもなく、新政権が今後問われるのは、自らの言動により増幅してしまった国民や市場の期待に応えられるかどうかだ。 確かに安倍自民総裁は、金融政策に圧力をかけることで鏡(市場)の位置を変えることには成功を収めた。しかし、政権公約にも記されている「成長戦略の推進」「大胆な規制緩和」「日本の産業を再興させるための政策」などを実施し、実体経済を少しずつでも目に見える形で変えていかなければ、いつしか鏡は本当の姿を映してしまうことだろう。 その意味で、まずは再開される経済財政諮問会議や新設される日本経済再生本部などを通じて、国民が将来に自信を持って投資や消費を行えるような経済構造の構築を急ぐ必要がある。 そもそも、市場の期待に応えるのはたやすいことではない。国民の最初の審判は来年7月の参議院選挙だろうが、市場の審判はそんなに長くは待ってくれない。 先週、欧米のヘッジファンドや海外の同僚からは「総選挙後、補正予算はいつ成立するか」「日銀法改正はいつ行われるか」「200兆円の国土強靭化計画はいつから始まるか」といった質問が相次いだ。市場は一つの事柄が終了すれば、すぐに次の動きを求めるようになる。 上記のような質問に対して、筆者は「年内に行われる特別国会では特に新しい動きはなく、1カ月後くらいに通常国会が開かれ、2月頃には10兆円程度の補正予算が成立するだろう。日銀法改正はそう簡単に行われる話ではなく、改正されるとしても数ヶ月は必要。また、200兆円の国土強靭化計画は具体的にどういう話なのか、はっきりしない」と切り返したが、こうした答えに満足する海外投資家は少ない。 海外投資家は自民党政権がかなり大胆な財政拡大路線をとると期待しているようであるが、公務員の人件費削減、プライマリーバランスの改善を公約に掲げ、消費税引き上げを前にした政権が、本当にそれほど大胆な積極財政路線に転換できるのだろうか。 市場の期待というのは、際限なく広がり、最終的には失望という結果で終わることが多い。市場が失望し、円相場が反転上昇し、株価が反落すれば、結局は国民も失望する。市場の期待・動きを上手く利用して勝利した自民党・安倍政権は、今度は市場の期待を裏切らないように政策を本当に積極的に進めていかなければならないと考えられる。 <今週はドル円の行方を占う重要局面> 国民と市場の審判を左右するという意味で、今後の注目イベントは以下の通りだ。 まず12月26日頃、特別国会が召集される。ただ、そこで具体的な政策議論は行われない見通しであり、10兆円規模の補正予算成立や日銀・政府間でインフレ目標などを記す「アコード」に関する議論は1月20日頃に召集される通常国会まで待たねばならないだろう。 そして、1月21―22日には、安倍政権誕生後最初の日銀金融政策決定会合が開かれる。その頃には、白川日銀総裁(任期は4月8日まで)、山口・西村両副総裁(任期は3月19日まで)の後任に関する思惑・議論が活発化するだろう。 ちなみに、日銀総裁・副総裁人事は衆参両院の同意が必要だ。自公が衆議院で3分の2の安定多数を獲得したからといって、過半数の議席を有さない参議院で人事案がすんなり通る保証はない。日銀法改正や官民協調外債ファンドなどに関する議論が本格的に活発化するとしても、おそらくは2月から3月になるのではないか。 こうしたスケジュールを踏まえたうえで、今後のドル円相場の見通しをどう立てていくべきか。繰り返すが、ここ数カ月、海外勢の日本の変化に対する期待や円売り圧力は、明らかに従前の想定以上に強かった。米金利の上昇がほとんど見られず、貿易収支は赤字となっていても、ここまでの急激な円安を発生させるフローの変化は見当たらなかっただけに、予想外だった。 とはいえ、円安基調の持続性については、慎重に判断する必要があるだろう。以下の理由から、本来であれば今週は利食いの円買い戻しが入りやすいと考えられるからだ。 まず総選挙が終了し、「Sell on rumor, Buy on fact(噂で売り、事実で買う)」という典型的な動きが出やすい。第二に、今月19―20日に行われる今年最後の日銀政策決定会合で、一部に追加緩和見送りを予想する向きもある。仮に本当に見送りとなると、円買い戻しにつながる可能性は非常に高い。 第三に、米国の「財政の崖」問題に関して依然として進展が見られず、このままだと、市場のリスク回避志向が一気に高まり、円買いとなってしまうリスクがある。最後に、来週から欧米はクリスマス休暇入りする。今週の日銀政策決定会合が終わると、日本からも今後1カ月は特に新しい動きが出る可能性が少ない中で、大きなポジションを抱えたままにしておくのはリスクが高い。 しかし、こうした状況下でも、仮に今週を通じて一段と円安が進むか、ドル円相場が83円台を維持するようならば、前述した海外勢を中心とした短期的な円売り以外のフローが最近の円安の流れを支えていると判断できよう。その場合、75―85円という来年のドル円の予想レンジを変更する必要が出てくると考えられる。 *佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に、「弱い日本の強い円」など。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8BG04I20121217 コラム:自民圧勝で「アベノミクス」始動、アキレス腱は金利上昇 2012年 12月 17日 16:32 JST 田巻 一彦 [東京 17日 ロイター] 衆院選で自民、公明両党が3分の2を超す大勝利となり、次期首相が確実視される安倍晋三・自民党総裁による経済政策「アベノミクス」が、実際に動き始める。 大規模な財政出動と積極的な金融緩和のポリシーミックスが骨格になるとみられるが、日本経済の潜在成長率を引き上げる政策がなければ、一過性の刺激策の効果が出尽くした後に、一段の債務残高累増が残るだけという"実験結果"に終わりかねない。長期金利上昇という副作用を強く意識した経済運営が望まれる。 <注目される補正予算と国債発行の規模> アベノミクスの最初の展開は、2012年度補正予算編成となる。13年度予算案の編成に関連し、自民党の石破茂幹事長は概算要求段階から見直す姿勢を示したと一部で報道されており、2カ月近い暫定予算の編成が予想されている。日本経済は足元で景気後退の動きを鮮明にしつつあり、長期暫定予算で景気が落ち込むことを回避するためにも、補正予算案の規模膨張の可能性が高まっている。安倍総裁も補正予算案の規模が大型になっていく方針を示している。 仮に10兆円規模の補正予算案を編成すると、新たに5兆円を超える新規国債発行に追い込まれる可能性がある。安倍総裁は必要な公共投資を行っていくと16日夜に言明しており、2013年度予算編成における公共事業費が、大幅に上積みされる公算も大きくなっている。民主党政権の下では、2012年度予算における44兆円の新規国債発行額を13年度予算案編成におけるシーリングとする意向だったが、自公新政権ではこの方針が撤廃され、大幅な国債発行増になる可能性が高まっている。 <積極的な金融緩和期待を表明する安倍総裁> 一方、安倍総裁は17日の会見で、日銀と政策協定(アコード)を締結し、物価目標を2%に引き上げて金融緩和を強化させる方針をあらためて表明した。日銀は、内外経済の情勢を判断し、金融政策判断は適切に行っていくスタンスを強調しているが、安倍新政権と自公の新連立与党は、日銀に対してこれまで以上に積極的な緩和方針を求めることが確実。 26日にも正式に発足予定の安倍新政権は、日銀の追加緩和によって国債買い入れ額の増額が実施され、結果として増発される国債の需給が崩れないことを期待していると私には見える。17日の会見で安倍総裁は、金融政策に関する自身の主張が衆院選で多くの支持を得たと指摘。19、20日の金融政策決定会合に関連し「適切な判断を期待している」と述べ、日銀の追加緩和実行を促す姿勢を明確にした。 <短期的に円安/株高、刺激効果一巡後に需要落ち込むリスク> このような財政拡張・積極的な金融緩和政策が実際に発動されれば、マーケットは円安進展を期待し、それを起点に株高が持続する可能性がある。同時に日銀の追加緩和期待で長期金利は低位に抑制され、円安/株高/長期金利低位安定が短期的には展開される可能性が高まるだろう。 しかし、この政策にはいくつかの死角がある。まず、公共投資主体の経済対策は、日本経済の実力を高めることにつながらないリスクが高い点だ。確かに地方経済は疲弊し、公共投資を全国展開することで、一時的にその疲弊を打開できるかもしれない。しかし、投資が終了すると地方の需要は再び沈下する公算が大きい。 今、1000兆円を超す債務残高が存在する理由の1つとして、バブル崩壊後の経済沈滞からの脱出を目指した1990年代の公共事業の大盤振る舞いと、その財源となった国債の大量発行があるのは間違いない。そして、日本の潜在成長率は、2%台に乗せているとの幻想から長く抜け出せず、足元ではついに0.5%前後まで低下してしまっている。この間に起きた現象への反省がなければ、「失われた20年」と同じ過ちを繰り返すことになると危惧する。 <生産年齢人口の減少、建設労働者の不足顕在化の公算大> 2つ目の死角は、生産年齢人口の減少という経済成長の足かせ要因に対する認識が、安倍総裁やその周辺のブレーン、自民党幹部に薄いのではないか、と思われる点だ。東日本大震災の復興事業が、なかなか進ちょくしない理由の中に、建設労働者の不足という深刻な問題が存在している。もし、自民党が10年間で200兆円規模の国土強靭化計画を実施しようとすれば、その人手不足が全国で展開されることになるだろう。 その時に何が起きるのか──。建設労働者の人件費の大幅な上昇か、もしくは賃金引き上げができないために労働者が集まらず、工事が予定通りに進ちょくできないという現象のどちらかだ。仮に工事の進ちょくを優先して、賃金の引き上げを認めれば、予算額の大幅な積み増しか、工事量の圧縮のどちらかを選択せざるを得なくなると予想される。建設労働者の不足は、日本経済のボトルネックとしてマーケット参加者の注目を浴びることになるだろう。 2つ目の要因とも関連するが、建設労働者の人件費の上昇が強く意識されると、他の人件費にも影響が出始め、この20年間では経験したことのない労働コストの上昇という問題が、目の前に出現する可能性も出てくる。そのことを意識し出したマーケットでは、長期金利がこれまでと違って低下しにくくなり、外的要因に影響され、従来よりも長期金利が上がりやすくなる地合いに変化する懸念も生じる。 <回避すべき財政ファイナンス懸念の台頭> また、中長期的には国債発行量が急増することで、公的債務残高が累増し、債務残高と足元の超低金利が本当にバランスしているのか、というマーケットの疑念を高めることにつながりやすい。例えば、1年後にこれまでの国債発行残高の増加ペースをかなり上回るペースで残高が増加していて、日銀の国債買い取り量も大幅に増加していた場合、どこかの時点で日銀による財政ファイナンスへの疑いが、市場に浮上してくるリスクも高まる。 長期金利が足元の0.7%台から2%へと短期間に上昇した場合、マーケットは日本の債務支払い能力に疑問をもつだけでなく、国債を大量に保有する国内金融機関の財務体質にも不安が出かねない。長期金利の上昇は、アベノミクスにとって最大のアキレス腱とも言える。 <歳出膨張圧力緩和に向け、安倍総裁も汗かくべき> このような事態を回避するには、財政拡張一辺倒ではなく、大胆な規制緩和による民間資金の流入を促進するなどの大がかりな仕掛けが必要だ。また、生産年齢人口の減少に対応する対策を大々的に打ち出す必要もある。さらに特別会計の見直しを含めた行財政の無駄排除にも力を注ぎ、歳出膨張の圧力を少しでも緩和させる努力をすることだ。 もし、こうした努力なしに国債の大量発行と日銀の国債買い入れの増加が、長期間継続されるとマーケットが判断すれば、国内勢が国債の9割を買っているという事実だけでは、日本国債は暴落しないという「神話」を維持させることはできないだろう。安倍総裁自らが「汗をかく」ということが、何よりも重要だと考える。 http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE8BG04220121217 |