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そして、官僚高笑い 衆院選の影の「勝者」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012121702000175.html
2012年12月17日 [東京新聞:こちら特報部]
16日投票の衆院選は自民党など改憲勢力の大勝で幕を閉じた。ただ、勝利したのは彼らだけではない。目を凝らすと、投票用紙には書き込まれることのない「勝者」の高笑いが透けてくる。前回の衆院選の脱官僚(政治主導)ブームに動揺しつつも、何とか民主党政権の自壊で「難局」をしのいだ人たち。そう、霞が関の官僚たちだ。(荒井六貴、出田阿生)
今回の選挙では脱原発や消費税増税、憲法改正などが争点とされた。だが、沖縄の基地問題をはじめ、前回の政権交代で変革が期待されつつも、官僚に封殺されたテーマは少なくない。今回の選挙結果で、封じ込めはより強固になりそうだ。
◆情報公開法改正案:廃案 再浮上も遠のく
「行政情報の公開に積極的に取り組みます。情報公開法を改正し、国民の『知る権利』を明記します」
2010年の民主党マニフェストだ。情報公開を掲げた民主党政権は、核持ち込みや沖縄返還などの「日米密約」問題で「長期間、国民に明らかにされてこなかったことは遺憾」とする答弁書を閣議決定。公文書管理法を施行するなど、当初はこの分野に力を注いだ。
情報公開には政策決定の透明化により、国民が官僚の仕事ぶりを監視できる効果がある。
しかし、東日本大震災の発生で、その意気込みの表層がはがれた。多くの会議で議事録の未作成が判明したほか、福島原発事故では肝心の時期に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報が公開されなかった。
情報公開制度に詳しいジャーナリスト政野淳子さんは「情報公開法改正案を審議する前に、国会が解散されてしまった。事実上の政策決定の場である各省庁の有識者審議会は、官僚がシナリオを作って動かす。法案は審議会記録に発言者名を明記させる趣旨で、成立できれば、官僚支配が弱められた」と惜しむ。
法案は廃案になり、今回の選挙結果で再浮上する目も遠のきそうだ。政野さんは「官僚はきっと胸をなで下ろしているだろう」と話した。
◆障害者自立支援法:社会参加の機会奪う
自民党小泉政権当時の2006年4月に施行された障害者自立支援法。「生存権の侵害」と障害者団体から強い批判を浴び、全国14の地裁で違憲訴訟が起こされた。
政権交代後、民主党政権が廃止を約束して原告団と和解したが、あっさりと約束は破られた。今年6月、名称を「障害者総合支援法」に変えただけの改正法案が国会を通過。問題点の根幹を放置し、来年4月から施行されることになった。
NPO法人日本障害者センター事務局次長の家平悟さんは「政権交代の時に『障害者の人間としての尊厳を傷つけた』と国が反省したのは何だったのか」と憤る。
問題の柱は「原則1割の自己負担」と「障害区分によるサービス制限」だ。障害が重度になるほど負担は増え、サービス量は制限され、質も落ちた。知的障害者や精神障害者が、実際より軽く判定される問題も解決されていない。福祉作業所の利用料が月給を上回り、通所をやめる人も続出。自立どころか、社会参加の機会が奪われている。
家平さんは「官僚の巻き返しにあった結果だと思う。もし自民党政権になれば、障害は自己責任という風潮がますます強まる。それで一番喜ぶのは官僚です」と語る。
◆取り調べ可視化:冤罪にも反省の色なし
法務や警察官僚たちを悩ませてきたのは、取り調べ可視化など司法実務をめぐる改革だった。
昨年の布川事件に続いて、東電女性社員殺害事件も11月に再審無罪が確定した。政治資金規正法違反に問われた小沢一郎氏の強制起訴をめぐっては、検事のねつ造が白日の下にさらされた。
しかし、取り調べの全面録音・録画といった根本的な防止策は進んでいない。10月に警察側が謝罪したパソコン遠隔操作事件では、4人が逮捕されたうえ、2人が「自白」したとされていた。
謝罪した4都府県警が14日に公表した検証結果では、脅迫や誘導を認めず「虚偽の自白を見抜けなかった」とした。まるで「勝手に自白した方が悪い」という書きぶりで、反省の色はない。
全国の警察や検察では取り調べの録音・録画が一部で実施されたが、義務ではない。野党時代には可視化法案を出した民主党も、政権交代後は動きが鈍くなった。
冤罪問題に詳しい五十嵐二葉弁護士は「警察や検察、裁判官の自白偏重を変えない限り、冤罪は生まれ続ける」と指摘する。「取り調べの全過程の録画・録音や警察付属ではない第三者機関による科学鑑定など、捜査を客観化するシステムをつくらねば。法務省が設ける現行の法制審議会では、何も変わらない」
◆議員定数削減:少数政党を封じ込め
最後は、官僚への「お土産」ともいえる衆院議員定数(480)の削減だ。総選挙の実施と引き換えに民主、自民、公明3党が合意した。
3党は小選挙区の「0増5減」案の実施を約束しており、来年の通常国会では、比例代表の大幅削減も議題とされる可能性が高い。比例代表でかろうじて議席を確保している少数政党にとっては、死活問題になる。
一橋大の只野雅人教授(憲法)は「少数政党が一層議席を取りにくくなり、少数意見が届かなくなる」と懸念する。とはいえ、不勉強な国会議員への批判は強い。だが、日本は欧州諸国と比べ、議員定数が多くないのも事実。只野教授は問題は高額の歳費にあり「身を切るなら、定数削減の前に歳費や政党助成金を議論すべきだ」と説く。
なにより官僚にとっては、こうるさい少数野党が消えて、国会監視の機能が落ちることは好ましい。「これまで目配りできていた部分が拾えなくなる。議員数の削減で、官僚がコントロールしやすくなる」(只野教授)。やはり、官僚の高笑いが聞こえてきそうだ。
[デスクメモ]
「部隊は(デモ隊を解散地点へ)最後まで追い込め」。投票の前日、脱原発デモの場で機動隊の指揮官が怒鳴った。放牧犬と羊の群れを想像した。どんなに穏やかなデモでも権力の思考は変わらない。3.11後、柵を越えようとした人たちがいた。彼らは絶望的な日常に戻ったのか。開票の夜に考える。(牧)
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