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「終わった気にならないで」 世論調査が醸成する「空気」 あす衆院選投開票
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012121502000149.html
2012年12月15日 東京新聞[こちら特報部]
16日の衆院選投開票日まで残り1日。しかし、なんか変なムードが流れていないか。選挙はまだ終わっていないのに、「自民党が優勢なんでしょ」とあたかも勝負がついているかのような雰囲気が世の中にあるのだ。しつこいようだが、選挙は終わっていない。この不気味な空気の正体を考えてみた。(佐藤圭、小坂井文彦)
◆自民優位 勝ち馬志向強まる?
衆院選が投票日前に終わったかのような雰囲気に包まれているのは、自民党に勢いがあることを示す一連の情勢分析報道と無関係ではない。
新聞・テレビはそれぞれ公示直後、一斉に「自民党、過半数の勢い」との序盤情勢を伝えた。13、14日付朝刊の終盤情勢では「自公300議席うかがう」などと、自民党の勢いが強まっていることを報じた。
選挙結果予想などではなく、あくまで世論調査に基づく現状の分析だが、有権者には結果が出てしまったように受け取られやすいのも確かだ。
「マスメディア報道で『自民で決まり』となった。世論調査が予備選的な役割を果たした」と分析するのは、松本正生・埼玉大教授(政治意識論)だ。
小泉純一郎首相が率いる自民党が296議席を獲得した前々回2005年の郵政選挙、民主党が308議席で圧勝した前回09年の政権交代選挙は、マスメディアの情勢分析通りの結果だった。ただ、いずれの選挙も「各社が世論調査の精度を競うまでもなく、世の中のムードも小泉自民党の勝利、政権交代だった」(松本氏)。
ところが今回は、郵政や政権交代のような象徴的な争点がなく、政党が乱立。「自民優位、民主苦戦」はある程度予想されていたものの、これほど自民党が強いとは、当の自民党関係者が驚くほどだ。脱原発勢力からは「世論誘導ではないか」と疑念の声が上がった。
平野浩・学習院大教授(政治心理学)は「郵政選挙の時のように、自民党の安倍晋三総裁にカリスマ的な人気があるわけではない。自分たちの実感と、マスメディアの調査とが乖離していると思った人が多かったのではないか」と指摘する。
事前の調査結果が実際の投票行動に影響を及ぼすことを「アナウンスメント効果」と呼ぶ。終盤情勢を見ると、劣勢の他党や候補者に乗り換える「判官びいき」ではなく、勝ち馬に乗る傾向が強い。
平野氏は「第三極が振るわないため、日本維新の会を支持しようとした保守層が、一人しか当選できない小選挙区で『死に票』になるのを嫌って、自民党に流れたのではないか。一方で、民主党や日本未来の党などはバラバラのままになっている」とみる。
精神科医の香山リカ氏は「安定・多数派志向が強まっている」との見立てだ。
「民主党に裏切られ、不況で社会的な不安が高まる中、また新しい人たちに託すのはリスクが大きいと感じている。見慣れた自民党の方が信頼できると思ってしまっている。多数派に身を置き、かりそめの安心感を得たいのではないか」
◆自分に近い党探そう
こんな終わったかのようなムードだと投票率はどうなってしまうのか。
東京大学社会科学研究所の前田幸男准教授(政治学)は「マスメディアの調査によると、前回、前々回と比べて投票先を決めていない人が多く、期日前の投票率も低い。こうした時は投票率は下がる傾向にある」と指摘する。09年の前回は政権交代、05年の前々回は郵政民営化で、争点のはっきりした選挙だったが、今回は対立軸が見えにくく、有権者の選挙への関心を低くしている面があるという。共同通信の世論調査によると、比例代表の投票先をなお決めていないと回答したのは40.4%(前回30.9%)もいる。
こうした中、有権者は迫る選挙までの間、どんな準備をすべきか。まずは各党の政策をきちんと把握することだろう。
日本青年会議所はインターネットの選挙情報サイト「e-みらせん」で、各党の「統一マニフェスト」を掲示。各党のマニフェストや公約から、政党理念と国家像、財政、金融、憲法、社会保障など7項目をピックアップし、200字以内に要約して比べやすくした。
サイトでは、60選挙区の公開討論会と75選挙区の各候補の主張も動画で見ることができる。運営責任者の伊藤秀典氏は「若者は政見放送や選挙公報をあまり見ないが、ネットなら見る。公示後、約3万のアクセスがあった。政策本位で投票するのに役立ててほしい」と訴える。
マニフェスト比較表や候補情報などを紹介する「政治山という」サイトもある。運営会社「パイプドビッツ」(東京都港区)の市ノ沢充氏は「政治に関心を持ってもらうため、昨年4月の統一地方選の直前にサイトを立ち上げた。閲覧数はどんどん増えている」と語る。
「選挙結果はまだ決まっていないので投票しよう」と主張するのは若者世代の投票率向上に向けて取り組むNPO法人「ドットジェイピー」の佐藤大吾理事長。「情報に振り回されないことが大切。自分自身がどんな政策に重きを置くのか、じっくりと考えてほしい」と強調。
まずは、各党の公約を読み、投票先を絞っていく作業が肝心だという。「自分の思いと完全に一致する政党はないかもしれないが、目指す世界観が自分と合っているか、個別の政策でなく、政党理念といった総論も考慮した方がいい」
それでも、投票先を決めかねるという有権者もいるだろう。そんな方には、政策ごとの質問項目に賛成や反対と答えると、自分の意見に近い政党が表示されるインターネットのマッチングサイトがお勧めだという。「マニフェスト マッチ」と検索すると、サイトがいくつも見つかる。佐藤氏は「質問項目に限りがあるので、あくまでも目安。自分の支持しない政党が示されることもあるので、複数のサイトを試すとよいでしょう」。
投票を呼び掛ける「ジャパン・ボーターズ・ネットワーク」運動の賛同者でもある東京大学の小玉重夫教授(教育学)は「原発やTPP、消費税など争点がいくつもあり、投票先を選びにくい状況は、日本が政治的に成熟する良いチャンスだ」と話す。「前回、前々回は争点を一つに絞った劇場型だったが、今回は落ち着いて考えられる。選挙は通常、複数の争点があり、自分の中で優先順位を決めて投票することが大切だ。今回のような時こそ、積極的に選挙権を行使してほしい」
[デスクメモ]
へそ曲がり、つむじ曲がり、鼻曲がり。いずれも、ひねくれていて素直ではないという意味だが、悪いことか。選挙結果はもちろん、自民大勝を伝えた世論調査の結果と、実際の選挙結果にどれぐらい違いが出るか関心がある。どれぐらいうたぐり深いへそ曲りがいるのか、それともいないのか。(栗)
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