01. 2012年12月15日 11:33:16
: d2FmZ4TomW
JBpress>日本再生>今週のJBpress [今週のJBpress] 日本を見下しているのは中国・韓国だけではない 「衰退するだけの日本のようになるな!」と叫ぶ英国人 2012年12月15日(Sat) 川嶋 諭 改めて記すまでもないが、12月16日は衆院選挙の投票日である。絶対に投票に行こう。特に若い人たちは「行かないことも意思表示だ」というような詭弁は決して使うべきではない。以前にもご紹介したが、若い人たちは選挙に行かないことで生涯で4000万円以上も損をすることになっているのだから(「4000万円も損している日本の若者たち」)。世界からバカにされている日本の政治 今週のランキング 順位 タイトル 1 日本が中国・韓国より決定的に優れているわけ 2 大学をやっと卒業した男の出世物語と社長に就任してから謝り続けのトヨタ社長 3 日本化の兆し:行き詰まった英国社会 4 シベリア鉄道で相席になったロシア美女 5 半導体売上高世界一のインテルが苦境に陥った原因 6 社説:安倍氏の首相返り咲きが意味すること 7 アジアの疫病神、中国から身を守れ 8 いつまで経っても身勝手な財務官僚 9 韓国大統領選挙と人口動態の急変化 10 いつ起きても不思議ではない中国版「笹子トンネル事故」 11 もっと若返れ! 韓国企業で止まらない実力主義人事 12 最新技術があっても中国は「開発途上国」 13 沖縄の「独立」を日本は止められるか 14 日本の総選挙:子羊を装う老羊 15 格納容器の調査に5年、燃料棒の片づけに11年 16 日韓の選挙で呼び覚まされる往年の対抗心 17 円安ウォン高に沸く日本株の強気筋 18 財政の崖なんか忘れろ、今こそ米国は買い 19 共産党幹部の官僚人生は悲喜交々 20 私の経歴も間違っているウィキペディア その損失額は恐らく年を経るごとに膨れ上がっていく。何しろいまの政治には改革が全くできない。 それどころか、民主党政権がそうだったように、大きな改革を標榜して政権を獲得したかと思えば、突然変異のように既得権益擁護派になって、ばら撒きを続ける始末。 消費増税は、お年寄りもはるかにお金を使わなければならない若者に一番大きな負担を強いる。こんな政治を放っておけば、損は4000万円では済まない。1億円や2億円にだって膨れ上がる危険性がある。 福島第一原子力発電所の事故は、これまで巧妙(?)に隠されていた原子力発電の膨大なコストを顕在化させた。万が一の事故発生に伴うコストだけではない。 使用済み核燃料の廃棄コスト。老朽化した原子炉の廃炉コスト・・・。これまであとの世代の課題として先送りされてきたこれらの負担は誰がするのか。もちろんいまの若者であり、これから生まれてくる子供たちだ。 いまの日本に改革は絶対に必要である。一刻も早く本格的な改革に着手しなければならない。これ以上、若者たちの将来負担を増やしては、この国は二度と立ち直れないという危機感を持つべきである。 しかし、立候補者数は過去最高だというのに選挙戦はいまひとつ盛り上がりが欠けているように見えるのは残念だ。若者たちに聞きたい。このままでいいのか。こんな不平等を許し続けていいのか。 世界が日本をどのように見ているのかも知ってほしい。英エコノミスト誌の「日本化の兆し:行き詰まった英国社会」は英国のことを書いた記事だが、日本が英国人の目にどのように映っているかよく分かる。 「問題は、日本やイタリアのように静止状態とともに生きることを学んだ国では、概して何も起こらない世界に適応することが退化を招く傾向があることだ」 お前たちは退化に向かって突き進んでいることを知らないのか、あるいは知っているのに何もできないのか、バカめ!ということである。 ゆっくりした衰退はやがて断崖絶壁を迎える 「歴代の日本政府は、利権などを失う立場にある組織化された団体と向かい合った時に改革をやり遂げるのが非常に難しいことに気付き、努力するのをすっかり諦めている。やはり長期にわたり停滞しているイタリアでも、債券市場が昨年シルビオ・ベルルスコーニ氏を解任するまで、同じようなことが起きていた」 この記事は、英国よあの愚かな日本とイタリアと同じ轍を踏むのか、と言っている。 「もっと立派なイタリア人の言葉を借りれば、英国が現状維持を望むなら、状況は変化しなければならない。というのも、行き詰まった社会は時間とともに変異し、自発的に衰退していくため、不変であることは今日が永遠に続くことを意味しないからだ」 「これは暴動や抗議行動ほど厄介な前途には見えないかもしれない。だが、それがあと5年も続けば、やはり望ましくない形でこの国のあり方を変えるのだ」 英国では現状維持を前提にしたとしても、覚悟を持った改革が必要になっているという。その英国人にバカにされている日本が、もし若い人たちが将来に夢を抱けるような社会にしたいのなら、英国以上に痛みを伴う改革に果敢に挑戦しなくてはならない。 今回の総選挙では数ある政党がみな改革を叫んでいる。かなり紛らわしいが、若者たちはそれら政党の叫ぶ改革が「改革もどき」なのか「真の改革」なのかを見極めなければならない。 真の改革がもし、痛みを伴わないですむならいままでにもやれていたはず。それができてこなかったのは、既得権益者に厳しさを強いるからである。真の改革は強いリーダーシップと覚悟がなければできない。 改革もどきと真の改革を見極めるその方法は比較的簡単である。既得権益者に厳しいことを言えているかどうかである。 様々な既得権益者の中で最も難しい既得権益者は年金をもらっている人、またはまもなくもらう人たちだろう。年金以外に所得を得る方法がなくなった人たちに厳しさを強いるのは人道に反するという批判を受けるかもしれない。 しかし、若者たちとの間で拡大する一方の不平等を是正しなければ真の改革とは呼べない。膨れ上がる一方の社会保険費を消費税だけで賄うのは不可能だし、不平等を拡大させるだけである。支給額の削減は避けて通れない。 ここに手をつけようとしない人たちが叫んでいる改革は、若者たちにとって「改革もどき」と断言していいのではないか。 そしていま日本が真の改革に着手しなければならないのは、膨れ上がる社会保障費のためだけではない。日本の外に明らかな脅威が日に日に増しているからでもある。 民主主義国家ではない国の挑戦 中国や北朝鮮の軍事的脅威は誰の目にも明らかだが、民主主義国家とは呼べない国々の経済的脅威にも目を向ける必要がある。 その脅威を示す良い例がある。航空業界である。会社更生法の適用を受けた日本航空の経営が立ち直ったことは喜ばしい。しかし、世界に目を向けると、航空業界はいままでとは決定的に違ってきた競争条件に直面し始めている。 簡単に言えば中国とアラブ首長国連邦(UAE)のなりふり構わない拡大戦略である。 中国は北京空港のインフラ整備に余念がない。それは、アジアと北米をつなぐハブを目指しているからである。中国人の顧客だけでなく、東南アジアの旅行客をことごとく北京へ誘導しようという中国らしい拡大戦略が背景にある。 私たちが通常目にしているメルカトル図法による地図だとよく分からないが、2点間の最短距離が分かる心射方位図法で見ると、北京の地理的優位性が明らかとなる。 東南アジアから例えば米国のニューヨークへ行く場合、いままでは成田空港か韓国の仁川空港を経由するのが普通だったが、北京経由だとその距離がかなり縮まる。 「アジアのハブ空港として成功例とされる仁川空港ですら、北京には全く太刀打ちできない可能性があります」と全日空の専門家は言う。 現在、世界で最も発着回数の多い空港は米国のアトランタで年間に約90万回。滑走路の数は実に7本もある。しかしここ数年で北京空港の追い上げは激しく、昨年の発着回数は50万回以上となり、世界で11番目に多い空港として名乗りを上げている。 これに対して日本は滑走路が4本ある羽田空港が世界30位以内にやっと顔を出す程度。成田空港は完全なランキング外だ。 先の全日空の専門家は続けて言う。「中国は国家の威信をかけて北京空港のインフラ整備を続けています。インフラ面ではアジアのどこも対抗できない水準に達し始めています。ただ、いまのところ幸いなのは、中国は軍事優先で民間航空の管制力が伴っていないことです」。 日本のエアラインは生き残れない 世界の航空産業は、いかに他国の客を奪うかの競争になっている。それができなければ、生き残ることが難しくなっている。 ただでさえ北京という地理的優位性がある中国が、さらに国家の権力と財力を背景にしてインフラ整備や航空会社の支援を行えば、インフラ整備が遅れ、かつ純粋な民間企業として対抗しなければならない日本の航空会社に全く勝ち目はない。 アジアと欧州路線では実際に航空会社の勢力図が大きく変わり始めている。欧州の航空会社などが次々とUAEのドバイを拠点とするエミレーツ航空の軍門に下り始めているのだ。 「採算をほとんど無視したようなエアバスA380の大量導や、エコノミーの顧客でもドバイ空港の豪華なラウンジに案内したりと、なりふり構わない顧客獲得戦略に欧州系の航空会社はアジアからの顧客をことごとく奪われています」と全日空の専門家は言う。 「例えばオーストラリアのカンタス航空は、生き残り戦略としてエミレーツ航空の傘下に入ることにしました。その結果、メルボルンやシドニーからかつての宗主国である英国のロンドンに行くには、かつてはシンガポールかバンコク経由でしたが、いまではドバイ経由に変えられてしまいました」 「航空会社の競争は、純粋な民間企業の経営力の強化ではどうしようもない状況になりつつあります。日本も国としての戦略を真剣に考えないと日本企業が国際線を持つことができなくなるかもしれません」 航空業界はほんの一例である。中国が「中国株式会社」として国家の力を背景にして産業育成に力を入れれば、あらゆる産業で似たようなことが起きる可能性がある。 日本が真の改革に手をつけられず、ただ衰退への道をゆっくりと進むだけでは、若者たちが将来、仕事をする場を失うことにもつながる。 いまの日本はそこそこ幸せで、これが続いてくれればという気持ちは分からなくもないが、英エコノミスト誌の書いているように、いまの生活が守られることの方が幻想に近い。今回の総選挙は大切である。 |