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(Green governor taps into Japanese fears : DW English)
http://www.dw.de/green-governor-taps-into-japanese-fears/a-16446720
環境
恐怖にある日本国民に、環境派知事が注ぎ込むもの
日本の地方政治家が、環境についての自らの主張を、未来の党を通じて国政レベルに持ち込むことを計画している。環境に対する人々の姿勢は変わりつつあるが、それは政府の方針を変えるのに十分だろうか?
琵琶湖の波立つ水の上を一面に叩きつける風が、嘉田由紀子・滋賀県知事の髪をなびかせ続け、そのため、カメラマンたちは「もう一枚撮らせて下さい」と繰り返し頼まなければならない。
嘉田氏はメディアの要求に十分慣れており、逆立つ髪を掻き分け、笑顔を見せ続けた。2006年、女性として初めて日本中央部・滋賀県の民選知事になり、自分が何を期待されているか、彼女はすぐに理解した。日本の歴史の中で、彼女はわずか5人目の女性知事だ。
その当時の嘉田氏の土台は、環境の配慮と保全に置かれた。2006年、また、2010に再選される際に、彼女が用いて絶大な効果をもたらした標語は「もったいない」、ざっくり訳すと「無駄にするな」だ。地方レベルでは、これは機能した。
『日本のメルケル』
現在62歳の政治家・嘉田氏は、12月16日の国政選挙を前に、自ら11月に立ち上げた日本未来の党を通じて、全国の有権者に自分の主張を訴えている。
日本では地震の発生が続いている
嘉田氏は立ち向かっているのは、2大政党が1945年以降、国の政治力を効果的に分かち持ってきた堅固なシステムだが、自分たちの環境にもたらされた被害、とりわけ、原子力が持つ脅威に恐怖を抱く世代の人々が、自分の主張に共鳴してくれることを、嘉田氏は望んでいる。
自分が国政選挙に出るつもりはないと、嘉田氏は語る。滋賀県知事の職に居続けたいと、嘉田氏は考えている。しかし、俳優の菅原文太氏など他の人々は、彼女に立候補して貰いたいと思っている。菅原氏は、嘉田氏が「日本のメルケル」になってくれるよう求めている。
嘉田氏は今月初め、福島原発の周囲18kmの立入禁止区域の境界に隣接した、飯舘村の遊説で、地元住民に「私たちは原子力に頼らない社会を目指している」と語った。
未来の党の目標は、2030年代末までに日本の原発を段階的に廃止し、放射能の出ない再生可能エネルギー資源を活用して、国が動くようにすることだ。
琵琶湖
さらに、2015年までに実施予定の消費税率引き上げ(5%→10%)を撤回すること、米国主導による環太平洋自由貿易パートナーシップの交渉参加機会を辞退すること、夫婦がより多くの子どもを持つよう奨励し、国内の急速な人口減少を増加に転じるための施策として、中学生までの全ての子どもに年間312,000円(2,923ユーロ)を支給することなどが政策となっている。
福島の瓦礫除去作業は続いている
しかし、日本の未来を決める上で、嘉田氏は環境政策に特に関心を抱いている。そして、日本最大の淡水湖・琵琶湖が、特別な役割を果たす。
「この湖は、遡ること先史時代に巨大地震によって作られたが、山々にぐるりと囲まれた、この息をのむような景観を私たちに残してくれた」と、嘉田氏はDWに語った。
「古代から、漁師たちはこうした水の中で働いてきた」と嘉田氏は語る。「湖の中には多様な種類の魚がいて、湖岸線に沿って至る所に遊泳場があり、地域一帯が非常に美しい。しかし、日本最大の湖の最も重要な役割は、日本の中央部に位置する近畿地方に、飲み水や産業用水を供給する貯水池だ。」
湖の南・大阪で消費される水道水の少なくとも70%が琵琶湖から来ており、合計1453万人の家庭で、この湖から水の供給を受けている。地球規模で見ても、これだけ多くの人々に、これだけ大量の水を、ただ1カ所の水源から供給していることを見いだすのは稀だと、嘉田知事は指摘した。
しかし、根本的な解決策が必要な問題があったのだ。
大きかった環境汚染の問題
戦後の急速な経済成長の時代、この地域は商工業の活動が急速に高まり、人口増加も相まって、1960年代から、環境汚染が解決すべき深刻な問題となった。1972年、湖が藻類の餌食となり、これは赤潮として広く知られている。
日本未来の党は、国政レベルでの発言力を持ちたいと考えている
「この大量発生の最大の原因の一つが、沿岸の家庭から湖に放出される洗剤だった」と、嘉田氏は語った。
地元住民は問題の根本原因が分かり、それに伴い、合成洗剤の使用を止める運動が主婦の間に急速に広まった。
1980年、日本で初めて環境汚染と闘う県条例ができた。それ以降、同じような問題を抱えている市町村が、この条例を手本としている。
40年前と比べて琵琶湖は格段にきれいになったが、この一部は嘉田氏の努力−そして、知識−のおかげだ。京大農学研究科博士課程を修了した後、1972年、嘉田氏は県の琵琶湖研究所に入った。
在職中、嘉田氏は琵琶湖博物館の設立と、南北63kmに延び、最大幅が22.8kmで、所々で水深104mに達する、この湖の環境状態の調査に精力を注いだ。
湖と調和して生きる
「私たちがいま目指すのは、湖と調和した生活を試みることであり、そのために、私たちは『マザーレイク計画』を始めた」と、嘉田氏は語った。
計画の2本の主要な柱は、湖と周辺地域の生態系を保護することと、それと同時に、湖と調和して生きているとの感覚を、地元の人々の間に甦らせることだ。この運動には、将来湖岸沿いに生活する人々に加わることになる、子どもたちへの長期的な教育プログラムも含まれる。
この地方レベルの構想を、嘉田氏は国政レベルに持ち込みたいのだ。
選挙運動期間中に実施された世論調査では、嘉田氏の党は、国会の衆議院で15議席しか獲得できないかも知れない。しかし、身の回りのいかなるものよりもお金の虜となっている政治の世界において、牽引力を得ることがこれまでほとんど不可能だったこうした運動にとって、この動きは大きな前進となるだろう。
2012年12月12日
執筆 Julian Ryall
編集 John Blau
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(投稿者より)
ドイチェ・ヴェレの英語サイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。
「日本未来の党」"Tomorrow Party of Japan"の名前を英語で見たのは、今回が初めてです。北朝鮮のロケットや中国の航空機のおかげもあり、海外の見方も国内と同様に、「右傾化」の進む日本で「国防軍」創設と「憲法」改正の是非が今回の選挙の争点、のようなものしかほとんど伝わって来ない中、初めてきちんとした記事を読んだ思いがして、やっと安心できました。
「自主防衛」も「自主憲法制定」は必要と私は考えてはいますが、防衛や改憲の論議は、国の経済・社会が安定・充実しているときにやって欲しいのです。優先順位が違います。
いまは国民の生命と生活が危機にあります。原発を止め、消費増税を止め、TPPを止め、需要を喚起して経済を成長路線に乗せ、国民生活に安心を取り戻すことが先です。
「将来の世代にツケを残さないために消費増税は必要」という詭弁は論外としても、「子どもたちの未来のために原発を無くすのか、既得権益層の今の利益のために原発を残すのか」ということは、私たちがいま結論を出さなければなりません。原発を無くしましょう。
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