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12月14日(金) 今回の総選挙でも明らかになりつつある小選挙区制の害悪
総選挙の最終版でも、自民党の好調さが伝えられています。このまま行けば、自民党は衆院でV字回復することになるでしょう。
このような自民党の復調が可能になっているのは、なぜでしょうか。主な理由は三つあります。
第1に、民主党の裏切りに対する失望の反動であり、第2に、民主党や自民党に対抗すべき「第3極」の乱立であり、第3に、このような状況が自民党に利をもたらすシステムの存在です。
この第3の点が重要です。それは、小選挙区制のカラクリにほかなりません。
先日発表された『毎日新聞』の調査(12月11日付で報道)によれば、自民党の比例代表区での獲得議席は最大66と予想されています。これは全体の37%に当たります。
ところが、小選挙区では最大243と予想されており、これは全議席の81%に当たっています。比例代表区より44ポイントも高くなっており、3割台の得票率で8割台の議席を獲得することになりかねません。
このような差が生ずるのは、小選挙区では相対多数の支持を得た候補者が当選するからです。5党が立候補してきれいに票が割れれば、得票率が21%で当選できます。
今回の選挙では、このような多数の政党が候補者を擁立する小選挙が沢山あります。そこで、公明党のアシストを受けた自民党が評判の悪い民主党より相対的に多数の得票をすれば、当選できるということになります。
このようにして、中小の政党に投じられた票は無駄にされるでしょう。今回の選挙では、今まで以上に「死票」が多く出ると予想されています。
「死票」とは、議席に結びつかない票であり、議員を通じて国会に代表されることのない民意です。制度によって「殺されて」しまう民意であると言っても良いでしょう。
このような状態を、いつまで続けるつもりなのでしょうか。これでは、せっかく選挙をやりながら、民意をドブに捨てているようなものではありませんか。
たとえ、それが議席に結びついた場合でも、大きな問題があります。相対的に多数であるにすぎない得票を絶対的な多数に読み替え、有権者の意思を大きく歪めてしまうからです。
民主党に嘘をつかれ裏切られて、懲らしめたいと軽い気持ちで自民党に投じられた票が、いつの間にか膨らんで巨大な議席を与えることになってしまいます。そうなってから、「そんなつもりではなかったのに」と慌ててみても、もう遅いのです。
このように、小選挙区制は民意を歪める最悪の選挙制度です。「政治改革」を言うのであれば、このような制度を抜本的に改めて小選挙区制を廃止しなければなりません。
今回の総選挙でも明らかになりつつある小選挙区制の害悪を直視する必要があるでしょう。それを廃止するところからしか、民意に基づいた議会の復権、すなわち議会制民主主義の回復は望めないのではないでしょうか。
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