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特集 社説 2012年12月08日(土)
憲法9条 平和国家として歩み続けたい
衆院選の政策論争で、各党が憲法9条を含む改憲について態度を明らかにしている。
きっかけは自民党が先月発表した政権公約。「集団的自衛権の行使」を可能とし、改憲で自衛隊を「国防軍」と位置づけると明記した。
日本は戦後長きにわたり戦争をしない「平和国家」として歩んできた。9条改憲は、この国のありようを根底から転換することを意味する。
戦争を否定し、軍隊を持たないとうたう9条を変える必要はあるのか。改憲は差し迫った課題か。衆院選において極めて重要な投票の判断基準だ。主権者として、各党の示した憲法に関する考え方をしっかり見極めたい。憲法は、権力や武力を持たない国民の側から、国家に縛りをかける道具でもあるのだ。
同盟国が攻撃された場合、共に武力で阻止できる集団的自衛権について、日本政府は「憲法9条の下で許容される必要最小限度の自衛権行使の範囲を超える」と認めてこなかった。
自民党の安倍晋三総裁は、「(民主党政権で)失われた日米同盟関係を再び信頼あるものに変える」と強調している。集団的自衛権行使を認めれば日米安全保障条約を結ぶ米国の軍隊と自衛隊が一体化し海外で戦闘可能になる。米軍再編とも連動し、日本が米国の世界戦略の一端を担う動きが加速する可能性が高い。
自民に近いのが日本維新の会だ。日米同盟深化や防衛費の国内総生産(GDP)1%枠撤廃、集団的自衛権の行使を公約に記し、石原慎太郎代表の意向を踏まえ「自主憲法制定」も盛り込んだ。
こうした動きに対し、共産党は「あらゆる形の憲法改悪阻止」、社民党も「平和憲法は変えさせない」と危機感を強め、護憲の立場を明確に打ち出す。自民と連立を目指す公明党も国防軍や集団的自衛権行使には反発した。日本未来の党は「あえて憲法を変える必要はない」との見解だ。
民主党は国防軍に反対しているが、集団的自衛権行使は野田佳彦首相の持論。改憲には党内に強い慎重論があり、公約で賛否に触れなかった。
こうした中、衆院選世論調査では、自民が大きく議席を伸ばす公算が大きくなっている。自民は、改憲の発議要件を衆参両院それぞれ過半数に緩和するとしており、来夏の参院選の結果いかんでは、改憲に向けた手続きが現実味を帯びるだろう。
だが、決して忘れまい。憲法9条は、日本の起こした先の戦争で近隣諸国や国内に多大な犠牲を強いたことへの痛切な反省から生まれた。戦後の日本は平和国家であったればこそ世界に認められた。戦争をしない国であり続けるか否か。8日後の衆院選は、その針路に関わる選択だ。
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