http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/751.html
Tweet |
集団的自衛権の行使 論争は? 自民・維新「容認」明記
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012121102000118.html
2012年12月11日 東京新聞[こちら特報部]
10日、北朝鮮が「人工衛星」と主張する長距離弾道ミサイルの発射予告期間に入った。尖閣諸島問題など緊張感が高まる中、自民党などは集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈の見直しを主張している。行使容認は、日本の安全保障政策の転換を意味する大きな問題にもかかわらず、議論が盛り上がっているとは言いがたい。衆院選の結果によっては、なし崩し的に行使容認の方向に進みかねない。 (上田千秋、荒井六貴)
「集団的自衛権行使の容認なんてとんでもないこと。それが具体化すれば参戦への道が開かれてしまう」
北朝鮮がミサイルを発射すれば、上空を通過する可能性もある沖縄県石垣市の市民団体「9条の会やえやま」の新垣重雄事務局長は訴えた。市内には迎撃する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が配備されたが、「すべての市民を守れるわけではなく、無用の長物だとみな分かっている。2回目ということもあって、ほとんどの市民は平常心ですよ」と話す。
同市で福祉施設を経営する津嘉山航さん(39)は「集団的自衛権行使の容認には反対」という。だが、「尖閣諸島の問題もあるし、いずれは集団的自衛権の行使を容認する声も出てくるかもしれない」と語った。
自民党は、衆院選で集団的自衛権行使を禁じる憲法解釈の見直しを強く打ち出している。公約では、「集団的自衛権の行使を可能とするため、国家安全保障基本法を制定する」とした。
集団的自衛権の行使は、安倍晋三総裁の持論だ。「米艦船が攻撃されても日本の自衛隊が助けなくてもよいのか」と語る。首相在任中、中国や北朝鮮に対するけん制などの意味を踏まえ、憲法解釈の見直しに着手。有識者会議で「行使は可能」とする報告書が出たが、そのままになっていた。
自民党が7月にまとめた同基本法案の概要では、「わが国、あるいはわが国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態であること」を集団的自衛権を行使する場合として挙げている。
日本維新の会も自民党と同じく集団的自衛権の行使を容認する立場。「集団的自衛権の行使や領海統治などを定める国家安全保障基本法の整備」や、「自衛隊の武器使用基準の見直し」などを公約に盛り込んでいる。与党の国民新党も容認する。
◆緊張が続く東アジア情勢
一方、民主党はマニフェストでは集団的自衛権について触れていない。ただ、野田佳彦首相自身は憲法9条改正に反対ではなく、かつて自著で「自衛隊をきっちりと憲法の中で位置付けなければいけない」と主張していた。党内にも容認派を抱える。
容認する空気が広がっているのは、尖閣諸島をめぐる中国とのあつれきなど、緊張が続く東アジア情勢と無関係ではないだろう。
これらに対し、反対を明確にしているのは、共産党や社民党だ。「憲法違反の集団的自衛権行使は許さない」(共産)、「集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈の変更に強く反対」(社民)などを公約とする。
公明党は自民党のタカ派路線に警戒感をあらわにする。山口那津男代表は「(行使が)許されないという政府解釈は妥当で、変える必要はない」と明言している。
◆重い政府答弁 歴代内閣踏襲
集団的自衛権とは何か。
自国と密接な関係にある同盟国が
武力攻撃を受けた場合、自国が直接、攻撃されていなくても実力で阻止する権利のことだ。国連憲章51条で加盟国に認められている。
だが、憲法9条は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と明記している。
このため、政府は「集団的自衛権を有していることは国際法上、当然だ」としながらも、「憲法9条で許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するため必要最小限度の範囲」として、集団的自衛権の行使は、これを超えるため、行使できないとの解釈をとってきた。
この解釈は、1981年の鈴木善幸内閣の政府答弁で示され、以後の歴代内閣が踏襲してきた。
こうした経緯から、集団的自衛権行使の容認は、「戦争放棄」を明記した憲法9条の形骸化を招くとの批判は強い。専守防衛を原則としてきた自衛隊の海外での武力行使に道を開くとの見方もある。米軍の戦争に巻き込まれてしまうのでは、との懸念も消えない。
◆他国を傷つけ 自衛隊に死者
元内閣法制局長官の阪田雅裕弁護士は「憲法解釈が今日と明日で変わり、恣意的に見直されるのはおかしい。それを認めれば、法治国家でなくなる。これまで積み上げきた政府答弁は重く、法律や解釈の見直しではなく、憲法改正が必要なはずだ。本来は、憲法改正の争点として議論してもらいたい」と話す。
「米国がベトナム戦争に介入したのも、集団的自衛権が根拠で、第三国と戦争する理屈になる。行使を認めれば、自衛隊に死人が出たり、他国の人を傷つけたりすることもある。行使の容認は憲法の平和主義にも関わり、国民にも覚悟を求めるものだ」と、議論の重さを説明する。
上智大法科大学院の高見勝利教授(憲法)も「憲法を改正しないで、行使を容認するのは無理だ」と同様の意見だ。
元外務官僚の浅井基文・前広島平和研究所長は「集団的自衛権の行使が必要となるのは、米国が先制攻撃された場合だが、現在の軍事力や経済の関係からは、想定としてあり得ない」と断言。「中国や北朝鮮の脅威論は、米国と一緒になって軍事力を増強する口実に使っているだけだ」と話す。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「かつての自民党には、戦争体験者の長老がいて、『集団的自衛権は必要だ』という意見があっても、それを行使しないで済むようにするためには、どんな外交を展開すべきかという議論があった」と話す。高見氏は「総選挙後、自民党と公明党が連立を組もうとしても政策は一致しないだろう」とみる。
集団的自衛権行使についての議論が盛り上がらないのは、民主党の腰が定まらないことにも原因がある。鈴木氏は「民主党は安全保障を議論すると、党内がバラバラになるからと避けている」と指摘。「幹部にも行使を認める人が多く、総選挙の後、自民党と協議を開始する可能性がある」と、なし崩し的に容認に向かうことに懸念を示した。
[デスクメモ]
弊社近くのコーヒー店で一人、競馬新聞を手に休んでいるのを何度か拝見した。小沢昭一さん。軍国少年で海軍兵学校予科に入り終戦。平和の大切さを心から語れる人でもあった。戦争体験者が亡くなっていく。改憲論が強まるのも、戦後生まれの国会議員が大半となったことと無縁ではないだろう。(国)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK140掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。