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2012年12月 9日 神州の泉
ウィキペディアを参照すると、B層とは2005年の小泉内閣の進める郵政民営化政策に関する宣伝企画の立案を内閣府から受注した広告会社「スリード」が、小泉政権の主な支持層として想定した概念であり、この会社は、国民を「構造改革に肯定的か否か」で横軸、「IQ軸(EQ、ITQを含む独自の概念とされる)」を縦軸として分類し、「IQ」が比較的低くかつ構造改革に中立ないし肯定的な層を「B層」とした。《※EQはエディケーションクオーシェント(教育指数)、ITQとはITクオーシェントでIT指数。これはネットや情報機器から情報を入手できる能力みたいなものらしいが)》。
要するにB層とは知能指数が低くて、極めて他人志向的であり、マスメディアの言説を批判なしに受け入れる“脳足りん”のことであるらしい。他人志向的というのはウィキペディアには書いていないが、神州の泉のB層に対する印象であり、これはデヴィッド・リースマンが書いた「孤独な群衆」で日本に知られた概念である。いい意味でも悪い意味でも、これは自他同化性を優先し、他者を疑わない感覚である。村落共同体の発展経緯を持つ日本人は、リースマンが分析したこの他人志向性がよく当てはまる部分があり、これは山本七平が語った“空気”とも通じている。
そんなことはともかく、竹中平蔵氏が主導したB層攻略作戦は、「主婦と子供を中心した層、シルバー層」がターゲットになり、「具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣閣僚を支持する層」を狙っていたとされる。どうもこの部分は、今RDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式の世論調査で、自民党が圧勝しているという情勢報道を軒並み出していることと重なるような気がする。ウィークデイの固定電話における世論調査を受けた人々は、竹中氏が郵政選挙でターゲットにした層と同じではないのか。
まあ、だとしても、B層概念は、メジャーな国民をかなり馬鹿にした話であるが、情報に対してメディア・リテラシーを駆使できないという意味ならば、このB層概念はある意味で当たっていると言えよう。
ざっくばらんに言うなら、マスコミの報じる内容をほとんど無批判で受け入れ、芸能人に対する興味と同じ感覚で政治家を見ている層がいることは確かである。しかし郵政選挙の年から7年経った今、ネット層が増えてきて、B層状況はかなり変わってきている。311以降、菅政権や野田政権がネット言論を主に狙い撃ちして次々に危険な言論弾圧法案を出してきたのも、大手マスコミが主導する管制報道体制が崩れてきたからである。これは相対的にB層がメディア・リテラシーを持たない“困ったさん”ばかりではなくなって、徐々に大手メディアを疑うようになってきたことを示している。
「日本のB層国民を狙え!!」は、7年前の小泉政権時代に竹中平蔵氏が、郵政民営化謀略作戦の重要な広報企画の一つとして実行されたものであるが、総選挙を間近に控えた今、またしてもマスコミが自民圧勝の誘導報道を行っていることは、明らかに郵政選挙時の管制報道と同じ、B層アタックが行われていると見ていい。
神州の泉は、政治の話題として、いい年をした親戚と、このB層国民についてよく冗談交じりで話すことがあるが、彼はよく開き直って「俺は典型的なB層だから、そんな小難しいことは分からないよ」と笑いながら言う。だが、B層という概念を知っている層は、既に情報弱者のB層ではなく、小泉型構造改革について比較的批判的に見ることができるから、野田民主党が財務省の傀儡であることや、国際金融マフィアの言いなりであることなどをある程度理解できている。
今度の総選挙において、米官業利権複合体が、B層狙いの戦術を打っていることは確かだが、大変申しわけないが、それは主に、まだ投票先を決めていない浮動票有権者を狙っていると思う。彼らをB層国民と一概に位置付けてしまうことには抵抗があるが、少なくともマスコミが選挙の争点を隠蔽して幻惑していることは確かである。選挙の争点は実に明快であり、それは消費税増税、原発、TPPなのである。
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