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その1票360万円?「棄権もったいない」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012120802000136.html
2012年12月8日 東京新聞[こちら特報部]
衆院選の投開票日(16日)まで10日を切った。年末のバタバタしたシーズンでの投票だが、有権者は忙しさや寒さにひるまない方がいい1票の「価格」を考えると、相当な価値があることが分かる。1票を投じなければ、その分が「損」。もったいないと思えば、投票所に行きたくなるはずだ。 (中山洋子、出田阿生)
◆トヨタ車1台分・牛丼9,473杯分 予算ベース
「衆院選は知ってる候補がいない。だからお友達にお願いされた人に入れるのよ」。東京都内で暮らす年金生活の女性(85)はこう話す。区議選では、同じ町内から出ている顔見知りの候補に投票する。だが、国政は「誰がいいのか、違いが分からない」。
選挙前になると必ず、近所に住む知人が数百円のお菓子を手みやげに自宅にやってくる。その熱心な依頼にほだされ、今回も前回と同じく頼まれた政党の候補者に投票するつもりだ。
だがちょっと待って─その1票のお値段はいくらだろうか。友達付き合いで投票したり、ましてや、投票しないという選択は、割に合わないかもしれない。
「1票」の価値については議論が分かれ、明確な答えはない。「1票の価値を値段に換算するのは難しい。金銭的な価値だけでなく、投票=政治にかかわる権利を持つことだからだ」と東北大大学院の河村和徳准教授(政治学)は指摘する。
投票の価値が大切な権利であることを考えれば、無限大ともいえるが、国会議員を選ぶことや1票を投じる意味を考えれば、ある程度、実感できる数字ははじき出せる。
よく言われるのが、1票を「国家予算の配分を決める権利」だと考えること。政府の一般会計は約90兆円だから、有権者数を約1億人として、これで割ると、1票は年に90万円。衆院議員の任期を4年とすると、360万円の価値ということになる。
360万円というと、トヨタ自動車が今月発売した急速充電できる電気自動車「eQ」の値段と同じ。380円の牛丼なら9,473杯分だ。
国税庁が発表した2011年分の民間給与実態統計調査によると、同年12月末現在の給与所得者の平均給与は前年比3万円減の409万円。業種別だと「卸売業・小売業」の平均は358万円なので、1票の値段はこうした業種では年収にも匹敵することになる。
経済評論家の荻原博子さんは「当選者は私たちの税金の使い方を決めるわけだから、税収で考えるべきだ」と語る。
「国の税収は年間約40兆円。有権者数で割ると年40万円。これに衆院任期の4年間で160万円」と試算。360万円よりはかなり安いが、それでも大金で「それを放棄するのはもったいなすぎる」と強調。
荻原氏は「政治を家計のレベルや、自分の懐の実感に置き換えて考えるのはいいことだ。政治家にだまされないためにも必要なことです」とも。360万円にしろ、160万円にしろ、考え方によっては新車1台分の価値があるものを見逃す手はない。
◆問題は価値への無関心
1票の価値の計算方法はほかにもある。
第一生命経済研究所主席エコノミストの永浜利広氏が注目するのは社会保障費だ。約30兆円の国の負担分は、高齢化によって、社会保障制度を維持するだけでも、毎年約1兆円増え続ける見通し。その財源は赤字国債で簡単に言えば、将来世代へのつけ回しになる。
「この約30兆円をどうするかを考えるべきなのだから、これを有権者数で割るのはどうか」と提唱する。この計算だと1票は年30万円。衆院議員任期の4年分で120万円。「特に借金を押し付けられることになりかねない若者世代は120万円を意識すれば、選挙は人ごとではいられなくなるはずだ」と強調し、1票の値段の重さをよくかみしめてほしいと語る。
「国会議員にかかる費用も見過ごすことはできない」と指摘するのは、白鳥令・日本政治総合研究所理事長。会社員にとっての給与やボーナスにあたる歳費だけで年2,200万円。「これに文書交通費や、JRや航空機の無料パス、議員宿舎費などを合わせると1年に約5,000万円といわれる」
国民の税金で政治家一人当たり、5,000万円分、4年で2億円分を言葉は悪いが養うことになると考えて、「得票数で割れば、1票の価格が出ないか」という。この計算だと、前回2009年の衆院選の最低得票数は4万4,000人だから、1票は4,500円。ほかの計算とはケタ違いに安くなってしまうが、政治家を選ぶコストという考え方で、1票の価値とはやや異なるかもしれない。
もちろん、白鳥氏もそれは分かっており、「実際には議員の経費だけでは1票の価値は量ることはできない」とした上で、「今回の衆院選では原発の是非、憲法改正など、日本を左右する大きな課題を決めることになる。そのため、1票の価値は上昇することになり、計り知ることはできない」。
最も高い価格を設定したのは、コメディー集団「大川興業」の大川豊総裁で、「国の借金全体で換算すべきだろう」と指摘した。11年度末で、国の借金は過去最高の約960兆円で、有権者一人当たりに換算すると960万円。政治家が国の借金にどう対応するのかが大きな課題であり、それが1票の価値だと独自の試算を示す。
それぞれの計算には異論もあるだろうが、1票には高い価値が秘められているのは間違いない。提唱者は気になる政策課題に注目して1票の価値を試算しているが、政策は複合的。当たり前だが、「プライスレス」ということになる。
「日本で知った『幸せ』の値段」の著作があるスリランカ出身のにしゃんた・羽衣国際大学准教授(比較文化論)は「子どもの将来がどうなるか、さらにその子孫が幸せに暮らす社会まで考えると、1票は電卓がパンクする値段になる」。
その一方で、問題は「国民の中に1票の価値が見えなくなってきていることだ」(白鳥氏)。共同通信社と本紙を含む加盟社が行った最新の電話世論調査によると、関心があると答えた人は79.5%。政権交代が注目された前回09年と05年の衆院選序盤に実施した調査ではそれぞれ90%だったことを考えると、投票率の低さが気になる。
「政治家がその価値に見合っていない」(戯作者の松崎菊也さん)との指摘もあるが、国民は1票の価値を自分自身でもう一度考える必要がありそうだ。
[デスクメモ]
話はちょっと違うが、投票所内の候補を記入する場所が苦手だ。ペラペラのアルミの机の上で、鉛筆を走らせると、鉛筆とアルミが触れる感覚と音で背筋がゾワッとしてしまう。黒板に爪を立てるような。そんな感覚になるのは自分だけか。運びやすさのため軽い金属が使われるのは分かるのだが。(栗)
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