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12月6日(木) 自民党が単独過半数の勢いにあることこそ日本破滅の兆候だ
今日の朝刊各紙は、一斉に総選挙前半の情勢についての調査を明らかにしました。たとえば、『朝日新聞』は「自民、単独過半数の勢い」、『読売新聞』も「自民、過半数超す勢い」と報じています。
しかし、それで良いのでしょうか。自民党の掲げている政策によって、日本が直面している問題が解決され、苦境を脱することができるのでしょうか。
第1に、原発とTPPについての政策です。極めて曖昧である点がこれらの政策の特徴になっています。
というのは、安倍さん自身は原発を推進したい、TPPにも参加したいと考えているのに、反原発の世論やTPP参加を警戒する農業関係者などの反発を恐れて、それを明言できなからです。原発については 「10年以内に電源構成のベストミックスを確立」ということで10年間検討して将来的な方向を出す、TPPについては、「 『聖域なき関税撤廃』に反対」を掲げて、無条件での関税撤廃には反対するというのが精一杯でした。
しかし、このような重要な問題で明確な方向を出さないのは無責任でしょう。このような政党には、政権を担う資格はありません。
第2に、経済・金融政策です。安倍自民党総裁は2%という大胆なインフレターゲットを提示し、日銀法の改正や建設国債の買い入れなどを主張していました。また、大幅な金融緩和政策も打ち出しています。
これによって、日銀の中立性が失われ、金融市場が混乱するのではないかという心配があります。経団連の米倉会長も、「大胆というより無鉄砲だ」と批判していました。
財界にさえ批判されるような政策を、安倍さんは掲げているというわけです。経済・金融政策において、安倍自民党は日本の支配層(エスタブリッシュメント)の枠さえはみ出そうとする危険な方向をめざしているということになるでしょう。
第3に、憲法と外交安全保障をめぐる政策ですが、こちらの方がもっと危険な方向だと言えるかもしれません。改憲による自衛隊の国防軍化、集団的自衛権の行使容認、尖閣諸島への公務員常駐、教科書検定の改革と周辺諸国に配慮する「近隣諸国条項」の見直し、従軍慰安婦問題で謝罪を表明した「河野談話」の修正、靖国神社への公式参拝などがその主な内容ですが、これらはいずれ核開発と徴兵制に結びつくことになるでしょう。
これらが実施されれば、中国や韓国との関係が決定的に悪化することは確実です。そうなれば、外交関係への影響だけでなく、貿易・経済・産業などに壊滅的な打撃を与えることになるでしょう。
ジェラルド・カーチス米コロンビア大学教授は、『日本経済新聞』12月3日付に掲載された談話で、「日本が憲法を改正して『普通の国』になると言ったら、オバマ政権は喜ぶだろうか。日本の防衛政策は米国の戦略を補う程度でいいと思っているはずだ」と述べています。安倍さんが向かおうとする方向は、アメリカのオバマ政権によっても歓迎されないだろうというのです。
このような無責任かつ危険な方向をめざそうとしている自民党が、単独で過半数を制する勢いだというのですから驚いてしまいます。それで本当に良いのでしょうか。
安倍さんが掲げているような政策が実行されれば、外交的に日本は孤立し、周辺諸国との緊張が激化することは明らかです。スタグフレーションで経済は大混乱に陥り、景気はさらに悪化し、生活はいっそう苦しくなるでしょう。
これこそ、日本の没落ではないでしょうか。せっかくの総選挙なのに、このような破滅への道を選ぶ機会にしてしまって良いのでしょうか。
しかし、まだ「半数の有権者が投票する候補、政党を決めていない」といいます。前回と比べても、投票先を決めていない人は2割前後も多くなっています(『東京新聞』)。
これから投票先を決める、このような人々に望みを託すしかないということでしょうか。自民党単独過半数を阻むために、是非、これらの人々には「反自民」の方向で投票先を決めていただきたいものです。
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