http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/450.html
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「中国板で、「日本は平和憲法の檻の中で悔い改めぬ虎のよう:中国政府はどうも自民党や「維新」を勝たせたいようだ(笑)」(http://www.asyura2.com/12/china3/msg/374.html)という記事投稿をしたところ、いくつかのコメントをいただいた。
コメントのなかで、鳩山元首相の東アジア共同体が、友愛やアジア主義を掲げる“奇妙な”鳩山氏の発案によるものではなく、経産省や経済界の意向を受けてのものだと説明した。
また、今未明に、「日本が参加しなければ米国も撤退し瓦解することがわかったTPP:前FRB副議長ドナルド・コーン氏がそう言明」(http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/418.html)という投稿も行った。
こんなことは書きたくもないのが、このままいけば、独立国家として米国支配層にノーを言えない日本政府は、ずるずるとTPPに参加することになり、それでも何とか面従腹背が通用しないかと考え続けていくと推測している。
メディアの主張や政府の説明を見聞きしていると、日本政府や経済界がTPPに大きな利益を見出しているように思えるが、実のところ、政府や経済界は、TPPは「日米同盟」(対米従属)ゆえに参加せざるを得ないもので、うまく活用すればないよりましかも知れないというレベルの経済連携だと考えている。
経産省(官僚機構)や経済界が志向していたのは、TPPのような、メリットが少ないどころかデメリットのほうが大きいと見込まれる経済連携ではなく、成長著しい中国経済からさらに大きな利益を得ようとする「東アジア共同体」なのである。
なぜなら、
● TPP参加国のなかで魅力に富んだ市場は米国だけである。
その米国市場も、戦後65年の経済関係のなかで棲み分けができており、日本企業が米国支配の許容範囲を超えて進出できないこともわかっている。
● 経済界にとってTPPに魅力がないのは、日本企業は、米国で日本向けの製品を生産していないことである。一方、「東アジア共同体」で最大の市場である中国では、自国向け製品の生産も行っている。
日米のあいだで関税が撤廃されても、日本から米国に輸出する資本財や中間財が安くなるというメリットしかない。(自動車などは既に多くの部品が現地化しているのでそのメリットも小さい)
一方、中国とのあいだで関税がゼロになれば、自社内だけでも双方向で膨大な取引(貿易)があり、そのコストが大幅に減少し、国際的価格競争力も向上する。
中国で生産するために、生産装置などの資本財や高度な部品などの中間財を中国に輸出し、中国で生産した製品を日本に輸入して販売しているからである。
この違いが、官僚機構及び経済界が、TPPではなく「東アジア共同体」を志向する最大の理由である。
● 米国以外の参加国は、個別にFTA・EPAを締結ないし交渉中という関係である。それゆえ、ことさらTPPという“きつい”枠組みで連携する必要はない。
● さらに、米国向けに輸出を拡大したいのなら、コスト問題だけでなく摩擦も起きる可能性がある日本ではなく、マレーシア・ベトナム・タイなどでの生産で十分対応できる。
日本の官僚機構や経済界が、TPPではなく「東アジア共同体」を志向していることは、慎重に「グローバル経済戦略」と題されている経産省の「東アジア共同体」構想に関するレポートを読めば理解できる。(末尾に紹介)
昨年来の“TPP騒動”を裏読みすれば、米国が「グローバル経済戦略」というオブラートに包まれた「東アジア共同体」構想の存在に気づき、日本をTPPに誘い込むことでそれにケチを付けたということもできるだろう。
このような背景がわかると、経産省官僚で京大に出向していた中野 剛志氏(今年経産省に復帰)が、あれほど激烈に反TPPの論陣を張ったわけも見えてくるはずだ。
中野 剛志氏は、古巣の経産省に反旗を翻したわけではなく、経産省の“本音”を代弁する役割を果たしたのである。
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06年4月経済産業省「グローバル経済戦略」
http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g60802b06-2j.pdf
一部引用:
「(戦略の狙い)
○現代のグローバリゼーションの顕著な特徴の一つは、アジアの著しい台頭。我が国の企業が構築した稠密な国際分業ネットワークがアジア諸国の産業・経済の発展の基盤となっていると共に、日本経済の復活もアジアにおける自由な貿易・投資の拡大に大きく依存。
○グローバル化に対応し、国際経済システムも深化。1995年のWTO成立は、国際貿易取引の基盤となるルールと紛争解決の仕組みを提供。他方で、世界的にNAFTA、EUに見られるように国家という単位を超えた地域経済秩序作りも進展。アジアにおいては21世紀に入り、地域秩序を作る動きが急速に加速化。特にASEANをハブとするFTAの進展によって、アジアにおいて「自由経済圏」の形成が現実的な課題となっている。
○このような認識の下に、
・第一に、我が国経済の本格的な景気回復の兆しが見える中で、グローバル化の流れをどのように長期的な成長基盤に結びつけるか。
・第二に、東アジア経済統合という国境を越えた経済圏の構築に日本はどう参画し、長期的に我が国にとって望ましい(かつ国際的に共感される)国際秩序形成をどう構想すべきか。
・第三に、我が国が21世紀の国際社会、アジアにおいて重要な国であるために何をなさねばならないのか。
という大きな問題意識に答えることが本戦略の狙い。
○上記のような観点から、本戦略を貫く視点は次の3つ。
―アジアとの共創―
○日本の経済活動は世界の成長センターである東アジアの稠密な生産ネットワークの中に深く組み込まれている。日本が長期的な成長基盤を確保していくためには、アジア全体の成長を図り、その中で、日本自身も成長を続けていく、という成長メカニズムを強化していく必要があり、その前提として、法の支配を基軸とした自由な交易を可能とするような秩序形成=「開かれたアジア」の構築を実現していく必要がある。
○こうした中で「東アジア自由貿易圏」の形成が、現実的な課題となっている。これまでの我が国の取組は二国間の自由貿易協定を基本としてきたが、これからは日ASEAN協定交渉の妥結を皮切りに地域全体をカバーする「面」への対応に切り替えていく必要がある。
○このような認識に立って、本戦略においては我が国として、東アジア経済統合をより力強く推進していくために、「東アジアEPA」構想と「東アジア版OECD」構想を提案。
○このような「開かれたアジア」に向けた取組と共に、日本の現場発の知恵を「体系化」し、アジアとの共同の取組の中で標準として共有・進化させ(共創)、それを我が国のビジネスの競争力の源泉としていくこと−言わば、アジアとの共創サイクルの構築―が目指されるべき。 」
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