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森ゆうこ議員が投じた一撃に永田町は大揺れ!? (日刊ゲンダイ 2012年6月15日)
『検察の罠』小沢一郎×森ゆうこ特別対談
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2012.12.05 「日々担々」資料ブログ
『検察の罠』小沢一郎×森ゆうこ特別対談
http://www.mori-yuko.com/activity/files/taidan.pdf
あの西松建設事件が罪なら、どの政治家もアウト−森
【森ゆうこ】 改めてこの3年間を振り返ると、西松建設事件はもう「事件でさえない」
ということになっています。
【小沢一郎】 どうなっちゃったのかね、あれも。
【森】ひどい話ですよね。訴因変更というウルトラCというか、あり得ない方法を使って。
あのままやったらもう完全に負けだから。西松建設事件、そして陸山会事件とはいったい
何だったのか。先生はどんなふうにお考えですか?
【小沢】 やっぱり問題は政権交代を阻止すると。何が何でもそのためには小沢を訴えて、と
いうことなんだろうけど。たまたま僕個人が標的になったけれども、官憲というか、役所、
役人が政権交代の直前に直接的に権力を濫用して政治に関与するということは、これはも
う民主主義国家じゃない。暗黒政治の話でね。
このことが一番問題であって、僕自身じゃなくて政治家みんなが、国民みんなが考えな
きゃいけないことです。みんな人ごとみたいに思っているけれども。
君がよく言ってたじゃない? 検察の機嫌取りをしなきゃ、政治家ができなくなっちゃ
うって。
【森】 とくに、「ダミー団体」が問題になった西松建設事件は、おそらくみんなわかっ
てきたと思うんですが、あれで本当に罪になるんだったら、どの政治家もアウトだなと。
【小沢】 全員アウトだよ。
【森】 わかってたはずなんですね。本当にわからないっていう人は、よほど政治資金規
正法がわからないのか、あるいは敢えて目をつぶろうとしているのか。
【小沢】 献金が一銭もなかったのか(笑)。
【森】 ある程度の献金を団体から受けている人なら、あれは誰でも全員しょっ引かれま
す。
【小沢】 そうそう。とくに労働組合なんかみんなそうだよね。あれはみんな産別組合で
集めた金で献金しているわけだから。
【森】 そうなると、誰をターゲットにするか、どの献金を事件化するかはすべて検察、
先生のおっしゃった官憲の思し召し次第。
【小沢】 検察・警察は最たるものだけど、日本ではその他の部分でも役人の裁量が多す
ぎるんです。役人の鉛筆のナメ次第でどうにでもなると。税務署なんかわかりやすい例で
しょう。
税務署の職員の裁量で課税されたり、これは経費と認めるとか認めないとか。法律の規
定そのものが非常に幅が広すぎて、役人に裁量権を持たせすぎる。これが日本のいろいろ
な矛盾や癒着の最大の原因。それは、人間社会ではなかなか杓子定規にはいかない部分も
あるから、多少のフレキシブルな裁量権というのはしょうがないんだけど、あまりにも多
すぎる。何でも役人の思い通りになる。
この仕組みが根本的な問題で、その最も典型的で象徴的な、そして民主政治に対する影
響が強い例が今回の事件なんだね。
【森】 そうですね。だから私としては、これは小沢先生個人をターゲットにしたもので
はなくて、政権交代阻止が狙いで、このまま放置したら大変だということで檄文を書いて、
すべての民主党の総支部に配りたいと。だいぶ先生にもご相談したわけですけれども、あ
そこまでメディアスクラムを組んでやられてしまうと、もう党内世論が「小沢さん、犠牲
になってください」と。
【小沢】 そうそう、僕が生け贄で、それで収めてくださいとなっちゃうな(笑)。
【森】 でも、私はそれは絶対に違うと思う。小沢先生が他の人たちよりも並外れて力が
おありになるから、余計そうだったと私は思うんですけれども、戦うときには大将の首を
取ったほうが勝ちなわけですよね。
これは鳩山先生にも申し上げましたが。とくに小沢先生のような大将の首取られたら、
たとえ政権交代が実現しても、そのあとはどうなるか想像できるなあと思ったので。「絶
対にここは闘うべきだ」ってみんなに言って回ったんですけど、残念ながらあの時はやは
り無理だったんですかね。
【小沢】 そうねえ。これは僕が言ってるんじゃないけど、政権に対する批判も、結局は
そういう民主党の体質に原因があるんじゃないの? 今のような政権だったら、別に役人
は心配する必要なかった(笑)。
【森】 本当ですね(笑)。
【小沢】 やっぱりもっとドラスティックな、革命的なことをやられるんじゃないかとい
う、その心配だったわけだから。その意味では、政権交代後の民主党について非常に危惧
の念を持ってるけどね。
大衆は愚にして賢。だから民主党は支持が減っている−小沢
【森】 結局は先生が代表の座を降りて、それで政権交代が成就したわけです。それでも
先生が幹事長兼無任所の国務大臣として閣内に入るという、少なくともそういうかたちで
あれば、ここまでひどい状況にはならなかっただろうなと思ったんですけれども。いかが
ですか。なかなかお答えづらいとは思うんですが。
【小沢】 政権交代前のネクストキャビネットのときから、幹事長は内閣に入ってたんだ
よね、副総理として。マニフェストなんて今はもう影も形も見えないけど、マニフェスト
の中でも内閣の再構成はすることになってたわけだ、政府・与党一体というね。
だけど、あのときどういう風の吹き回しか、鳩山さんが「今回は幹事長は内閣に入らな
いでもらうということに決めました」っていう話だったから。やっぱり迷惑はかけたくな
いし、別に僕は入りたいと思わなかったし、「あ、そうですか」ということになっちゃっ
たんだけど。以来ずっとそのままでしょ。僕じゃない人ならばよかったのかというと、そ
うではないんだね。ずっと幹事長は内閣に入っていない。
【森】 そういう意味では、小沢先生が代表でいらっしゃったときのイメージ通りにいか
ない原因というのは、やはり幹事長が内閣に入らなかったことで、政府・与党一体の原則
が崩れてしまったことだという指摘はありますね。ただ、なんで鳩山さんが小沢先生を副
総理にしなかったのかは――。
【小沢】 それはわからないと。
【森】 わからないですねえ。鳩山先生にいろいろウィスパー(ささやく)する人がいた
んですかね。
【小沢】 好意的に考えると、彼の説明は反対した人たちを全部取り込みたいと。そうい
う人事をしたいという説明だったよ、僕に対しては。人事権はもう総理総裁にありますか
ら、「ああ、そうですか」って。
【森】 本人のいないところで個人名を出して批判するのはよくないと思うんですけども、
今また藤井裕久さんを党の税制調査会長に起用して、党が政府にかかわりましょうという
ことで使ってらっしゃるのは、私はすごい失敗だったなと思っています。
藤井さんは党の会合で「君たち一人ひとりの言葉が歴史に刻まれる。そこまでの責任を
持ってものを言え」というようなことを言ってらっしゃいました。
私は既に文部科学副大臣だったので、その会議には出ることはできませんでしたが、も
し私が出ていたら「藤井さん、あんたにその言葉そっくり返してやります」って言いたか
ったんですけどね。だって自由党のときに藤井さんが言っていたことと、今言ってること
が違いますからね。先祖返りしちゃったんです。
【小沢】 先祖返りするんですよ。大蔵官僚にもどっちゃった。
【森】 もう「ザ・財務省」「ザ・大蔵省」になっちゃったというか。
【小沢】 まあ、もともと叩き込まれた本質だから。
【森】 今回の増税の話が、あれはどうしてあんなに増税したいのかがちょっとよくわか
らないんですが。過去の歴史からしても、今のようなデフレの状況の中で大増税をして大
失敗をしたというのは、ついこの間の日本の歴史の中にもあります。
【小沢】 ある。
【森】 それからアメリカも世界恐慌のときに、フーヴァー大統領が増税をやってさらに
不況を深刻化させています。
【小沢】 だからレーガンは逆に減税した。レーガノミックスっていってね。大減税して、
だけど結果は税収が増えたっていうあのレーガノミックスの例もあるんだけれども。普通
は景気が悪いときは減税だよね。
【森】 今でも「消費税は上げられる環境です」と言うのはいったいどういうことなのか。
私も副大臣として政府税調の会議にずっと出てきたんですけれども、財務省に質問しても、
まともな答えは返ってこないんですね。
【小沢】 そりゃ、財務省はしょうがないんだよ。財布を預かってるから、取るもの取っ
て出すものを出さないようにと。これは彼らの習性だから。財務省がゆるゆるになっちゃ
うと歳出圧力だけ強まっちゃうからしょうがない、彼らの立場としては。
ただ、それをコントロールする能力が政治家にないっていうことだよ。
【森】 ということは、今は本当に政権交代前にお約束していたことと正反対というか、
むしろ官僚主導になっている。
【小沢】 だから「自民党よりひどい」っていう評判になるんだよね。
【森】 国民の皆さんはよく見てる。
【小沢】 大衆は愚にして賢ですよ。ちゃんと見てる。だから民主党の支持が減ってるん
ですよ。
虚偽記載で捕まえ、供述調書を虚偽記載……検察審査会法の前提が崩れている−森
【森】 私も西松建設事件の当初から、素人なりに事件の解説を書いたり、Q&Aを書い
たり、檄文を作ったり、独自の調査をやってきました。そして検察審査会のほうに問題が
移って、検察審査会事務局が9月 14 日に議決した審査員の平均年齢を3回も発表したと。
10 人の年齢の合計を 11 で割るという、ばかばかしい話からスタートして、検察審査員
を選定するためのクジ引きソフトを調査したり、調査のおかげでいろんなことがわかって
きたんですけれども。
【小沢】 制度の仕組みとして検察が起訴できない人をなぜ違うところが起訴するんだっ
ていう、その問題があると同時に、それは別にしても日本の民主主義社会にまったく真っ
暗闇のベールで包まれてる場があるということね。これがやっぱり非常に不思議なところ
だね。
建前から言うと、検察は法務大臣の所管だから、政治家が本気になれば全部情報も出さ
せられる。検察審査会は裁判所の系統でしょ。そうすると政治が全然チェックできないわ
けだ。それでオープンならいいけど、暗黒でしょ。
【森】 しかも調査の過程でわかったのは、都合が悪くなると「独立した機関です」「情
報は非公開です」と。検察審査会法の条文を盾に取って、当然開示してもいいはずの情報
まで最高裁が押さえてるんですね。でも実際には、その仕事は裁判所の事務官がやること
になっています。実際は最高裁がすべてを押さえている。
それで私も検察審査会法の改正案を1年半前に作って、民主党の法務部会のワーキング
チームに提示したんですが、ちょうど今日参議院の法制局の方にばったり会ったら、「先
生、あれをさらに進化させて、もっとやりましょう」と言われたんです。
小沢先生がおっしゃったように、秘密のベールに包まれているということも問題なんで
すが、少なくとも検察当局がきちんと法と証拠に基づいて捜査をし、そしてその捜査報告
書をきちんと判断材料として提供するということが大前提で、小沢先生の裁判のように、
そもそも捜査した側が捜査報告書を捏造するとか、供述調書の虚偽記載をしてしまう。
虚偽記載で捕まえといて、供述調書を虚偽記載するって、もうブラックユーモアなんて
もんじゃないですよ。そもそも検察審査会法の前提が崩れている。
そういうことも考えてもう一回法改正を考えなければいけない。
【小沢】 仕組みとすると、裁判所が検察審査会の事務局を担うんでしょ? 裁判所が起
訴までしちゃうということになってしまった。起訴して自分で判決すると。
【森】 いや、本当にとんでもない話ですよねえ。立法府が国権の最高の機関なわけです
から、司法、それからこれは行政権の行使ですけれども検察、それらをもっときちんとチ
ェックしてもいいと思うんです。でも、これをたとえば国会で取り上げると、司法に対す
る国会、政治の介入っていうふうに批判される。これは的外れだと思うんですよ。
【小沢】 変ですよ。ちゃんと裁判官訴追委員会も弾劾裁判所も最初から法律で認められ
てるんだから。主権者の代表として、国権の最高の地位を認められてるんだから、もう少
し本当の意味での国政調査権を行使すべきだと、これをもっとはっきりしていいと思う。
【森】 例の前田元検事が小沢先生の裁判、昨年の 12 月の公判で厳しく検察を批判しま
した。自分が今検察から追われている立場ということもあるかもしれませんけれども、「取
り調べの初日に木村主任検事から『これは特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢を挙げられな
かったら特捜部の負けだ』と言われた」と証言したり、「検察の書いたストーリーは荒唐
無稽な妄想」とまで公判で証言しました。私もそう思うんですが、そのストーリーを書い
たのはいったい誰なんでしょう。
【小沢】 やっぱり、官僚の、変革に対する恐怖心かもしらんね。
【森】 無意識のうちに?
【小沢】 いや、それは意識しているんじゃないかな。
それと、官僚の中でも検察は自分たちが社会正義を実現しなきゃいけないと。自分たち
こそ月光仮面だという意識が非常に強いから、他の役所よりも。それで権力持ってるから
ね。だからそういう行動をしたんじゃないかな。だって最初の西松建設事件だって、具体
的な証拠もないのに最初から強制捜査なんだもん。
何の聞き取りもない見込み捜査ということもよく言われるけど、「やりゃあ、なんか出
るだろう」と。
【森】 全部オープンにしてるお金なのに。
【小沢】 ほんとにもう。
【森】 だから例の記載時期の「期ずれ」の話も、わざわざ裁判公判に会計の専門家を呼
んで、私はすごくばかばかしいと思ったんですけど、これは真っ当な会計処理である、問
題のない正しい会計処理だと。そんなことをわざわざ専門家を呼ばなきゃわからないよう
な裁判長や指定弁護士、あるいは検察はどうかしてるよって。
【小沢】 理由はどうであれ、不動産は登記したときに所有権が確定するんだから、その
ときに報告して何も悪くないと、こう(会計の専門家が)証言しちゃったんだよね。それ
をずうっと隠し続けてたならこれは問題だけれども、ちゃんと報告してるわけだから。
マスコミは多分、官僚以上に既得権や利権を持ってる。電波とか再販とか−小沢
【森】 今回の事件で、マスコミは石川さんが現金をANAホテルで受け取ったという、
捏造ビデオまで作って流したわけです。
【小沢】 TBSだっけ?
【森】 はい。私は同僚議員から聞いて「TBSはひどいことをやってる」って。それで
私も「NEWS 23」で見たんですよね。
見たときに変だと思ったんですよ。たまたまその現場に居合わせた人物……。水谷建設
の関係者ということで、その男性が全部モザイクで証言してるんですが、「石川さんがこ
こに座って水谷の関係者がここに座って」と図解して指さすんです。モザイクから透けて
見えるのは、きちんとしたスーツ姿なんですね。だけど、指さすときの指先だけはさすが
にモザイクが外れるんですが、爪が伸びていて真っ黒だったんですね。
それを見ておかしいと思ったんです。だってANAホテルですよ。ANAホテルのロビ
ーで、水谷といえばそれなりの企業でしょ。その関係者で、たまたまそこに居合わせるよ
うな人が、爪が伸びてて真っ黒だなんて。おかしいと思ってその男性の証言の書き起こし
をネットで読んだら、「長身のスーツの男性が入ってきた。それが石川議員だった」って
いう証言なんです。これはもう絶対嘘だわって。
【小沢】 長身じゃないじゃない(笑)。
【森】 石川さんは長身じゃない。証言を全部プリントアウトして、次の日に参議院の政
治部の番記者みんなに見せて、「どう思う?」「どう思う?」と聞いて回りました。「石川
さんを見た人が、本当にこういう証言をすると思いますか?」って。みんなシーンとなり
ました。
TBSに「捏造だろ、これは」って言ったら、すぐに放映をやめました。
【小沢】 ひどいもんだよ。
【森】 ひどいですよね。何でマスコミはあそこまで小沢先生を叩くんでしょう。
【小沢】 結局、官僚支配なんだよ。その点は同じなんです、官僚と。たぶん官僚以上に
既得権や利権を持ってるんだよな。電波とか再販とか。
だから官僚支配が一番いいんだよ、マスコミは。新聞は再販で保護されて、テレビは一
度取った免許は4年か5年に1度必ず見直されるはずなんだけども、実際は一度取ればず
っとやれるからね。僕が目の敵にされるのはそういうことを含め、不必要な規制はなくし
たほうが良いという意味のことを言うからですよ。
電波を競争入札している国もあるけど、そんなことされたら大変だと思っている。小沢
の野郎ならやりかねないって(笑)。
【森】 そういう意味では、やっぱり先生には次々に試練が降りかかるわけですけれども。
【小沢】 今は上方のほうで「維新」という言葉が流行っているけれど、維新というのは
革命なんですね。革命というのはやっぱりそう簡単にはできないんだよ。世の中を変える
ことだから。明治維新だってどれだけ有為の人が死んでいったか。犠牲の上に初めてでき
ることだからね。しょうがないんだな(笑)。
この世界で本質を突き詰め変わらずにいるのは難しいこと−森
【森】 私は先生に初めてお会いしたのが2001年の参議院選挙、投票日が7月 29 日
でしたけれども、その半年前の3月 29 日に新潟でやった総決起集会においでくださって、
そのとき初めてお会いした。だから 10 年ちょっとたつわけですけれども。
【小沢】 早いなあ。
【森】 永田町の世界にはいろんなことがありますよね。誘惑もあるし。だから他の人た
ちはいろいろ言ったりやったりすることは変わるんですけど、先生は全然その頃と変わら
ない。
【小沢】 そうかな。
【森】 この世界の中で本質をずうっと突き詰めて変わらずにいるということは、やっぱ
り難しいことで。
【小沢】 そうね。僕が自分の主張を通してこられたのはやっぱり国民、選挙民のおかげ
です。選挙民が支持してくれてるから筋道を、自分の思うことを通せるんであって。だか
らそれは非常に幸運だと思うし、感謝してるんですよ。政党だって自民党から何回名前が
変わったか。しかも後援会に一度も相談しないで僕はやってるからね。
それでもちゃんと支持してくれてるっていうことを、僕は非常に感謝してるし、そうで
ある以上、これは貫き通さないかんと思ってるんだけどね。
【森】 その一方で2006年の代表選挙では、「変わらずに生き残るためには、変わら
なければならない」とおっしゃっています。
【小沢】 日本が、そして日本人が生き残るためには、旧体制を変えなくちゃいけないと。
アンシャン・レジームを変える。変わらずに残るために。「古い上着よ、さようなら」と
いうやつだよ。「青い山脈」だよ。
【森】 難しいですね。民主党はもはや政権交代したときの民主党ではないというか、正
反対だと私は思うんですが。
【小沢】 いやあ、驚いたね。結局、選挙のときはほとんどの人がほぼマニフェストに沿
ったことを言ったんだと思うんだよね。だけど結局何も中身はわかっていないというか、
自分はそう思ってないのにしゃべってきたっていう話になっちゃうんだよな、今の現実は。
その意味でほんとにがっかりだね。
「変える」と言って政権をもらったのに、変える気がない民主党−小沢
【森】 これからいろんなところで同じことを聞かれると思うんですが、任期満了までな
ら民主党政権はあと1年。どうなっていくでしょうか。
【小沢】 いや、これじゃ国民から見放される。もうすでに見放されてるけど、残らない
よ。変わらずに生き残るためにわれわれが変えるんだと言って政権をもらったのに、全然
変える気がないんだもん。
【森】 で、自分が変わっちゃったと。
【小沢】 だから最初から変える気がない。主張と違っていたということだ、本質は。変
わらなければならないと言った人が既得権とアンシャン・レジームの体制にどっぷり浸か
っちゃって、「いい湯だな」っていう。
【森】 私も政務三役ということで7カ月、副大臣をさせていただきましたけども、居心
地は非常にいいわけですよね、そういうお膳立てに乗っかってやろうと思えば。また官僚
も優秀ですし、別にみんながみんな悪い人たちじゃなくて、基本は国のためにと、そんな
においしい仕事ってわけではないけれども、そういう志をもともと抱いてる人たちですか
ら。
だから先生から教えていただいた、政治家が自らの責任で決断し実行し、そして結果の
責任をとる。「だからついてこい」「みんなの意見を出せ」というふうにしっかりやれば、
官僚はついてくるんだと。それが政治主導だというふうにおっしゃっていたわけですが、
私も少しだけ、あ、そうなのかなあと実感しました。
日本の民主主義が問われてる。
本当にみんなが深刻にならなきゃいけない−小沢
【小沢】 それと、やはり内閣として一体でやらなきゃだめだよ。一人だけやると袋叩き
にあっちゃうからね。トップが決断して、みんなして力を合わせて各省庁とも頑張ろうと
いう話にならないと。
【森】 難しいですねえ。トップが財務省にすぐ洗脳されちゃうんじゃねえ。
【小沢】 どうしようもないよ。
【森】 どうして財務大臣を経験すると洗脳されちゃうんですかね。
小沢 相当居心地がいいのかもな(笑)。
【森】 これじゃあ、私たちに投票してくれた国民は浮かばれないというか、一方で格差
はやっぱりさらに広がっていますし。
【小沢】 だからこれも必ず報いを受ける。結局、僕も政党を立ててみんなと
はやっぱりさらに広がっていますし。
【小沢】 だからこれも必ず報いを受ける。結局、僕も政党を立ててみんなといっしょに
頑張ってきて、何のための政権交代だったかっていう話になっちゃうんだよな。一部の人
がポジションを得て、それでまあまあ、その期間中は楽しんだというだけの話になっちゃ
う。これじゃあねえ、人心が離れるのは当たり前だよ。
【森】 9月に代表選挙あるわけですけれども、晴れて無罪になったときにはどうします
か?
【小沢】 いや、このままでは民主党がもたないんじゃないか。
【森】 野田さんも増税に命を懸けると言いながら、本当にそうなのか。
【小沢】 僕はどうもそこが、自分のとこのトップを疑っちゃいかんけど、最初から疑問に思
ってるんだ。本気かいなと。
【森】 私の検察審査会の調査というか、捜査って彼らは思ってるみたいですが、「森ゆ
うこはバカじゃないか」という党内からの声もたくさん聞こえてきましたけれども、ここ
まで調査してきました。決定的な証拠というのはなかなかないですが、でも石川さんたち
の判決で推論に推論を重ねて有罪を出した、あれより遥かにましです、私のほうが。状況
証拠も詰めてますので。明らかにおかしい。
【小沢】 本当に日本の民主主義が問われてる。本当にみんなが深刻にならなきゃいけな
いんだよ。こんなことを許していいのかということ。
【森】 そうですね。そう思います。とにかく先生は私たちの羅針盤ですので、私たち一
人ひとりが先生に頼りすぎないで、みんながいっしょに頑張らなきゃいけないと思ってい
ます。
【小沢】 本当にお国にとっても正念場だよ。日本がおかしくなっちゃう。
【森】 はい、そう思います。頑張りますので。今日はありがとうございました。
【小沢】 はい、どうもありがとう。
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