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株式日記と経済展望
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「脱原発」でつなぎ止めようという下心はみえみえだが、「原発ゼロ」の先に待ち
受けるのは、天井知らずの電気料金値上げと産業・家計の崩壊ではないか。
2012年12月5日 水曜日
◆第3部(1) 8・51%値上げ「焼け石に水」 11月29日 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121129/trd12112923070018-n1.htm
「原発再稼働の時期が決まらなければ、原価算定なんかできっこない」「こんな人件費削減を労組は飲むでしょうか?」−
福岡市中央区の九州電力本社の一室で、経営企画本部やお客さま本部などに所属する二十数人の精鋭部隊が厳しい表情で議論を続けた。11月に入って幾夜徹夜を重ねたか、分からない。
料金値上げ申請の「Xデー」は11月27日。直前まで議論の中身はもちろん、メンバー構成や会議場所さえもトップシークレット。メンバーは原発稼働率や火力発電用の燃料調達費などを何十通りもシミュレーションし、料金の基準となる原価を計算した。
その結果、弾き出した値上げ率は、家庭用電気料金を平均8・51%、企業向け平均14・22%。経済産業相に値上げを認められれば、来年4月から標準的な家庭で月額378円上がり、月額7021円となる見通しだという。
料金を原価から見直す本格的な値上げは第2次石油危機の昭和55年以来、実に33年ぶりとなる。メンバーの1人はこう打ち明けた。
「これまで経験した料金改定作業は値下げばかり。膨らみ続ける赤字の解消策とはいえ、九州すべてに負担をかける値上げ作業は精神的にしんどかった…」
消えた2割値上げ
玄海、川内の計6基の原発の停止により火力発電の燃料費が膨らみ、九電は電気を作れば作るほど赤字となる体質に陥った。
平成24年度の燃料費は、原発が動いていた22年度に比べ5千億円も増加し、25年3月期(24年度)連結決算では九電史上最悪の3650億円の最終赤字となる見通しとなった。6500億円あった内部留保は24年度末に600億円にまで減り、このままでは25年度に資本金まで食いつぶし、26年度早々に債務超過、つまり事実上の倒産状態に陥る。
原発を再稼働できなければこうなるのは目に見えていた。このため九電経営陣では、昨年12月25日に玄海原発4号機を最後に6基が完全停止したころから、「値上げは避けられない」と踏み、密かに議論を始めていた。
現行の料金体系の元となる発電に必要な原価は1キロワット時当たり14・68円。ところが23年度は18・38円と25%も上回った。年間通じて「原発ゼロ」となった24年度は20円を超えるのは確実だという。
単純計算では、2割以上の値上げは避けられない。九電経営陣も当初、2割値上げを想定していた。
ところが、福島第1原発事故の当事者である東京電力の値上げ幅が今年5月の申請時で10・28%、認可は8・46%。「事故を起こしてもいないのに、東電の2倍の値上げ申請は到底理解されない」。九電首脳はこう判断し、社員平均年収の21%ダウンなど大幅なコスト削減策を経営計画に練り込み、申請する値上げ幅を8・51%まで抑えた。
4基稼働前提
では、この値上げ幅で「経営破綻」という最悪の事態を防げるのか。
これから経産省の専門委員会や内閣府の消費者委員会が申請内容を検証することになるが、東電の前例を踏まえると、値上げ幅の圧縮を迫られる公算が大きい。
しかも今回の値上げは、25年7月に川内原発1、2号機を、12月に玄海原発4号機を、そして翌年1月に玄海3号機を再稼働させ、25〜27年度の3年間平均で発電電力量の27%を原発が担うことを前提にして算出されている。つまり計画通りに再稼働できなければ、値上げも「焼け石に水」。九電の“出血”は止まらないのだ。
政府に値上げ申請した27日、瓜生道明社長は記者会見で値上げを「苦渋の決断だ」と説明した上でこう付け加えた。(中略)
とはいえ、人件費を含め血のにじむようなコスト削減しても年間5千億円にも膨らんだ燃料費をカバーすることはできない。不採算部門から撤退することもできない。大幅な再値上げを回避し、経営危機から脱却するため残された手段はただ一つ。「原発再稼働」。これは九州経済、そして住民の生活にも直結する。
「財務基盤強化には原発の再稼働が不可欠。安全対策を着実に実施し、地元の理解を得て、早期再稼働を目指して参りたい」
普段ならば記者会見の合間に柔和な表情を見せる瓜生氏だが、27日は一度も頬を緩めることはなかった。
◇
「脱原発コスト」が、来年4月から九州857万の全電気利用者にのしかかることになった。政権与党の民主党は12月4日公示16日投開票の衆院選で「2030年代の原発ゼロ」をマニフェストに掲げた。マニフェストを次々に反故にし、迷走を続けたことにより、多くの国民の心は離れてしまった。なんとか「脱原発」でつなぎ止めようという下心はみえみえだが、「原発ゼロ」の先に待ち受けるのは、天井知らずの電気料金値上げと産業・家計の崩壊ではないか。
(私のコメント)
昨日から選挙も始まり、12あまりの政党の公約は程度の差こそあれ「脱原発」を掲げています。維新の会は政策がフラフラしていてはっきりしませんが、フェードアウトと言っています。再稼働容認しているのは自民党だけであり、有権者がどのような判断を下すのか注目されます。一番困るのは選挙の時だけ「脱原発」を言いながら、政権を取ると態度を変えてしまう政権があることだ。
民主党もマニフェストを掲げながら公務員の賃金カット2割は反故にされ、消費税は上げないと言っていながら増税した。「脱原発」も単なるスローガンであり、脱原発派が勝って政権をとっても公約は実行されるのだろうか? 産経新聞の記事を見ても原発が停止した電力会社の経営状況は急激に悪化している。このままでは26年度には債務超過となり電力会社は倒産する。
電気料金の値上げが相次いで電力会社から打ち出されていますが、このまま脱原発だと電気料金は二倍に値上がりする。原発を再稼働させても原発の割合は三割だから1、2倍から1、7倍に値上がりする。私自身は東京でオフィスビルを経営していますが、電気料金を毎月数十万円も支払っている。それが倍に値上がりすればテナントも悲鳴を上げるだろう。
脱原発を掲げる政党は電力の自由化や発送電の分離なども主張しているところが多いのですが、電力業界に新規参入が相次いで、最新型の天然ガス火力発電ではコストがかなり下がるようですが、今から作るにしても10年くらいかかるだろう。環境アセスメントだけでも数年かかるからだ。メーカーだって最新火力発電所はテレビやパソコンみたいに部品を組み立てればすぐ出来るというものではない。
東京電力だけでも25ヶ所の火力発電所が有り、多くが昭和30年代から40年代に作られた老朽化した火力発電所が多い。3、11の前は民主党政府は原子力発電を54%にするという計画まで立てていたのだから最新鋭の火力発電所が少ないのは当然だ。老朽化しているからいつ故障するかも分からず、作り替えていくにしても年数がかかる。東京都副知事の猪瀬氏も最新鋭の火力発電所を作る努力をしていますが、まだどこに作るのかも決められない。
政治家は脱原発を言うのは簡単ですが、どのようにして原発を廃炉にして解体していくのか、さらには火力や自然エネルギー発電所などをどのように作っていくのか計画が見えてこない。電力を自由化するにしても初送電分離にしても簡単ではないがどうやっていくのか工程表まで検討したのだろうか? 大型の発電用のガスタービンを作っているのは三菱重工だけであり、今から注文しても何年先になるかわからない。LNG用のタンクを作るにしても何年かかるか考えたことがあるのだろうか?
共産党や社民党などが原発即時廃止と言っているのは、政権を取る心配がないからであり、政権政党になる可能性の高い自民党などは脱原発を言うのは難しいだろう。発電コストなどでも原発を再稼働させても電気料金の値上げは防げない。天然ガスの値上がりは需要の増大を伴って値上がりしていくからだ。火力発電にしても原子力発電にしても一長一短が有り、火力発電は長期間の連続運転には向かない。原子力は短期間の稼働には向かない。起動させるまでに1っヶ月近くかかるからだ。
「株式日記」でも、電力は国家のエネルギー政策に関わるから何度も書いてきましたが、政治家はその時任せで意見がコロコロとよく変わる。原発を廃炉にすればどのような影響が出るのかまでは考えたことがないのだろうか? 私ならビル経営者だから電気料金が二倍に上がればどうなるかは想像ができるし、消費税が10%に二倍になればどうなるかもわかる。企業経営者ならもっと影響は深刻だろう。
家計だけなら1万円の電気料金が2万円になるだけで済むのでしょうが、ぎりぎりの家庭はどうなるのだろうか? スーパーやコンビニも大量に電気を使うから値上げに結びつくだろう。それだけ消費が冷え込むから不景気にもなる。私のビルに入っている飲食店でも一ヶ月当たりの電気代は20万円を超える。調理器具などの電化が進んでいるから電気をそれだけ使う。国会議員や霞ヶ関の官僚はそこまでは考えないだろう。
だからテレビなどで原発廃止だのと政治家は言いたい放題ですが、政治家や官僚が無能だから福島第一原発は爆発したのだ。笹子トンネルの天井崩落事故も国土交通省の官僚が現場の事を知らないから起きた事故であり、管理事務所に業務上過失致死傷容疑で捜査が入りましたが、東京電力に家宅捜査が入らないのはどういうわけなのだろう。ボルトの検査などハンマーで叩くだけでわかるのだから明らかに怠慢なのだ。
無能な政治家を選ぶのも有権者が悪いと言われても、ほとんどの党が「原発ゼロ」と言っているのだから選択のしようがない。霞ヶ関の官僚も原子力安全保安院の寺坂委員長は原発の素人だった。国土交通省の官僚も天井が落ちることなど「想定外」と言って責任は取らない。34年も経てばボルトも錆びて抜け落ちることくらい霞ヶ関の官僚はわからないようだ。そして高速道路の管理事務所は官僚たちの天下りの温床だ。
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