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今日公示された総選挙では、民主党の現職閣僚を含むいわゆる大物政治家がぼとぼと落選するであろう。
鳩山氏は自ら身を引いたが、その後を襲った菅前首相も落選の危機にあると伝えられている。
それらに野田首相の落選が加われば、与党のまま自らの意志で実施する総選挙で、民主党政権時代のすべての総理大臣が代議士の身分を失うという希有な事態が起きることになる。
野田氏は重複立候補(惜敗率で決まる順位付け)だが、仮に比例で救われても、小選挙区で当選できなければ、落選と同じレベルで政治的ダメージを受ける。
あれだけの離党者を出していながらこれまで辞めていないこと自体が不思議な話だが、小選挙区で当選できなければ、即刻民主党の代表を辞する“はず”である。
このようなことはただ面白い出来事という話ではなく、民主党政権が進めてきた“反公約”政策とりわけ野田政権が自民党・公明党と野合して強行した消費税増税政策や原発曖昧政策に対する有権者の巨大な拒絶意識を証明する出来事なのである。
(TPPは、どう進行しているのかどんなものなのか、多くの有権者も、何がなんだかわからないという気持ちだろう。政府が、表は曖昧なまま、裏でこそこそと進め、そう思われるように仕向けてきたのだが)
自民党・民主党・公明党は、民主党が惨敗することを織り込みつつ、自民党が第一党になることで、国民から消費税増税政策や原発曖昧政策が信認を得たと強弁するつもりでる。
しかし、たとえ自民党と公明党が議席数を増大させたとしても、消費税増税政策や原発曖昧政策を認めたものと解釈することはできない。
メディアが醸成している“民主党や政治情況に対する絶望的とも言えるノーを受け止める政治勢力がない”という気分が、“野党”であり伝統的大政党である自民党に投票させただけの話である。
野党である政党が議席をどう変化させたかではなく、政権与党である民主党が総選挙でどういう審判を受けるかが、民主党政権が進めてきた政策の可否を決める。
自民党が政権に返り咲けば、民主党の惨敗は、野田政権の政策うんぬんではなく鳩山氏から始まる民主党政権3年半の体たらくに対する国民の批判だと解説し、「三党合意」政策はそれとは関係ないと言うかもしれないが、民主党の惨敗は、どうであれ、野田政権が自民党などと推し進めた政策が“信認”されたわけではないことを明確にしておく。
強い批判があることは承知だが、個人的には鳩山氏や菅氏には国会議員として残ってもらってもいいという気持ちがあるが、野田氏については、なんとしても“普通の人”に戻ってもらいたいと思っている。
今回の総選挙で落選させたい候補者を序列順に書くと、1)野田氏2)前原氏3)仙谷氏4)菅氏5)枝野氏といったところである。
野田氏は、千葉4区で、「未来」の三宅さん(前代議士)、自民党の藤田元代議士、共産党の斉藤さんと議席を争うことになるようだ。
まず、千葉4区に立候補を予定している共産党には申し訳ないが、2万票超の得票があることを承知で(あるからこそ)、消費税凍結と脱原発に少しでも近づくための“当然”の勇断として、立候補を取り下げてもらいたい。「未来」の三宅さんを応援してくれとは言わないが・・・。
(民主党にとてつもない追い風が吹いた09年総選挙でも、共産党の斉藤さんは23,050票を得ている)
続いて、「未来」の三宅さんには、千葉4区の有権者のおよそ半数は既に野田氏に対する嫌悪感を持っていると思われるから、それをことさら煽る言動は控えて欲しい。
千葉4区は東京のベッドタウンいう色合いが濃い船橋市である。選挙の結末は、組織票ではなく、支持政党なしの有権者いわゆる浮動層の投票行動が決すると思われる。
あまり悪口に走ると、野田氏への奇妙な同情票が集まる可能性もある。
それだけではなく、有権者に野田政権が進めてきた政策の本質を理解してもらうめにも、「褒め殺し」作戦を展開して欲しいと思っている。
それは、野田民主党政権が進めてきた政策は誰向けでどういう効果をもつものなのかを明確することであるからである。
政党はよく「国民のためにならない政策」というような表現を使うが、国民みなが共通の利害環境にあるわけではない。個人とはいわないが、ある層にとっては利益で、ある層には損失というのが、ほとんどの政策がもたらす効果である。
異様な話だが、消費税増税で得をする国民、原発存続で得をする国民、TPP参加で得をする国民がいる。
「褒め殺し」作戦とは、野田政権や「三党」が、誰のためになんのために、あのような政策を進めているのかを明らかにすることなのでる。
● 野田さんたちも、30年代での「脱原発」を目標に掲げている。30年代末と言えば、これまからおよそ30年後の話である。その時点では、民主党の現在の国会議員の半分以上が、存命していないとはいわないが、職を辞しているはずである。
百歩譲って、30年後の脱原発でなければ、現在及び今後の電力供給が思うにまかせず、国民も企業も苛烈な節電を強いられるというのなら、福島で起きたような災厄が再び起きる可能性を承知したうえで稼働を認めるという考えもあるかもしれない。
しかし、これまでの日本は、原発と電力会社を維持するため、持てる電力供給手段を封じ込めてきたのであり、それを解放すれば、現在でも、原発を一基も動かさずに電力需要に応えることができる。
電力会社の経営を脅かさないよう、これまで政府は、企業が保有する自家発電設備を“死蔵”させてきた。これを活用できるよう政策を改めるだけで、原発の稼働を即時ゼロにすることができる。
● 心優しい野田さんは、原発を抱えながら稼働できなければ、電力料金を大幅に引き上げても思うように経営ができない電力会社を慮り、原発からの撤退で核燃料サイクルも不要となれば、六ヶ所村・むつ市・青森県から、中間貯蔵している使用済み核燃料の返還を突きつけられる事態を恐れ、輸出拡大の夢もある数多い原発関連企業の行く末を案じ、福島のような災厄が再び起こらないとは言い切れない原発から撤退すると決断できないのである。
● 野田さんにも、脱原発の気持ちがないこともないのだろうが、電力会社や企業及び学会の原発関係者の利益を守るため、マニフェスト違反騒動で懲りたのか、実行しなくてもケチを付けられないというか、やる気がほとんどないとわかるような年限を設定したのである。
野田さんは、決める政治、前に進む政治と叫びながら、きわめて簡単な脱原発政策さえ決めることができない政治家なのである。
ことさらおカネをかけなくても、政策を変更するだけで原発なしで電力供給が賄えるのに、脱原発は非現実的だとか選挙目当ての政策だとか言っている人たちは、原発をなんとか存続させたい人たちなのである。
● 消費税増税は、誰もが負担増になると思われているが、グローバル企業やその従業員は負担減になる政策である。野田さんは、すばらしいことに、そのために政治生命を賭け、自民党や公明党と手を携えて消費税増税法案を成立させた。
消費税は、国民各層各人が稼いだ付加価値の一部をグローバル企業に移し替える税制である。
消費税増税とは、国民全体が汗水流して稼いだ付加価値のなかからグローバル企業に移される額が多くなることを意味する。
● 消費税増税がそのような性格の政策であっても、それによって、広く厚い裾野を持つグローバル企業の競争力が高まり、国民全般の生活が安定し向上するのなら、けっこうな政策だと言えなくもない。
企業はこれまでも今後も国民生活を支える重要な存在である。
しかし、戦後最長の好景気期間中も、給与を減らし、内部留保を200兆円以上増加させてきた。企業の利益の一部が従業員にも還元され、それが回り回って国民経済を豊かにするというのが、日本の教育やインフレに支えられきた企業の使命の一つでもあるはずだ。
企業が生き残りを賭けて、利益や保身に動くことは理解できるが、日本の現状や経済論理を顧みることなくひたすら短期の自己利益にしがみつくグローバル企業にもの申すこともなく、さらに上乗せの利益を与えようというのが消費税増税なのである。
企業は否応なく自己中心的に動くものである。だからこそ、政府は、企業の競争力を殺ぐことなく、それをうまくコントロールする政策を立案し、国民生活の向上にもつながるようにしなければならないのである。
● 企業が資本力と技術力を高め、国際競争のなかで成長していくことは、多くの国民にとっても好ましいことであろう。しかし、利益が国民全体に波及せず、逆に、グローバル企業に付加価値の一部が移転させられるだけで、多くの国民がさらに困窮する事態を生み出すというのでは企業は責任を果たしていないと言えるだろう。問題は、それだけで済ます、そのような振る舞いは、中長期的には、グローバル企業自体を衰退させることになる。
ソニーやパナソニックそしてシャープといった、かつて日本を代表していたグローバル企業が世界の家電市場で競争力を失った要因の一つも、国民が困窮することでホームグランドである日本市場が縮小し続けたことにある。
自動車も、付加価値(利益)が少ない軽自動車が新車販売の半分近くを占めるに至っている。それが環境のためにはいいという考え方もあるが、それでは、トヨタなど日本の自動車メーカーは国際競争力に打ち勝つ体力を思うように涵養できない。
いろいろ考えてみたが、財務省官僚に操られているだけの野田氏を褒めることは実に難しいことがわかった。竹下氏の褒め殺しに成功した皇民党の力を借りたいくらいだ(笑)。
最後に、公示日までの情報や立候補状況を見る限り、脱原発・消費税凍結の政治勢力が多数派を形成するのは難しい状況である。
共産党は小選挙区も沖縄2区以外全区に候補者を立てているが、「未来」ですら、小選挙区は107人(比例区は調整遅れで不明)しか候補者を出していない。107人全員が当選したところで、衆議院のおよそ1/5を占める勢力でしかない。
脱原発や消費税増税凍結さらには「未来」にも好意的なメディア日刊ゲンダイでさえ、「未来」の当選者数予測は60である。
日刊ゲンダイ予測をベースに、脱原発と消費税増税凍結を基準に勢力を考えても、「未来」60・「みんな」26・共産党8・社民党4・新党日本1で、99議席しかない。衆議院定数のちょど1/5である。
一方、自民党196・民主党107・公明党26の三党が合わせて329だから、2/3を超えて圧倒的多数を占めることになる。
民主党は再び分裂する可能性もあるが、「維新」の46を考えれば、原発存続・消費税増税の政治勢力が2/3を超えることは確かだ。
とりわけ「未来」にお願いしたい。協定を結んだ選挙協力が望ましいのだが難しそうなので、候補者を立てることができなかった小選挙区については、「みんな」→「社民党」→「共産党」の優先順位で支持と投票を呼びかけて欲しい。
それがきっかけで、共産党が、候補者を残しながらも(公示日午後5時を過ぎると取り下げ不能)、「みんな」はムリでも、「未来」への投票を呼びかける可能性はゼロではないと思う。(共産党は小沢嫌いが強いので難しいとは思うが・・)
あの3・11が起き今なお膨大な放射能がまき散らされている状況で実施される総選挙で、脱原発派が1/5の議席しか獲得できない結果で終われば、あまりにも悲惨ではないか。
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