http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/377.html
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昨日放送されたNHKBS1の「BBCニュース」で、わずか15秒ほど、英国スターバックスの法人税ゼロ問題が取り上げられた。見ながら、そんな半端な扱いではなく、他の企業や納税回避の仕組みをきちんと取り上げろよと思ったが、今日放送された「BBCニュース」では、4、5分間に拡充した内容で同じ問題を取り上げていた。
(日本のメディアは言うにも値しないが、このところ、BBCや米国のABCやCNNといった報道機関のニュース発信力がすごく劣化しているように思え見ていてつまらない。仏F2や露RTRそして豪ABCのニュースのほうが取り上げる対象や掘り下げ方に見るべきものがある)
今回の総選挙で、「維新」は公約として法人税減税を掲げているそうだが、それを政策化する前に、正すべき租税構造の不公平や不正義を明らかにしなければならない。
消費税増税政策では、主として経済への悪影響や低所得者への打撃が問題視されているが、根源的な問題は、消費税が不公平・不正義の極みと言える税であることだ。
消費税(付加価値税)は、国家機構がそれをわかっていながら意図的に作り上げた不公平で不正義な税制である。
(私自身は、地方法人税は据え置きだが、消費税廃止や配当支払い税創設を前提に、産業基盤の維持強化を目的として、国税法人税を大きく軽減してもいいと考えている)
英国で新たな動きが出ているグローバル企業の納税態度も、不公平な租税構造の一つの表徴である。
同じ市場で競争していながら、一方は、消費税(付加価値税)も法人税も負担せず、一方は、利益がなくても消費税(付加価値税)は納付を強いられるという条件にあれば、公正な競争が成り立つはずもない。
今回英国で問題視されている3社はすべて、日本でも事業活動を営んでいる。
アマゾンについては、法人税をめぐって日本の国税当局とバトルに発展した経緯がある。アマゾンは供託金を積む一方で抗弁し、米国政府の介入により、日本政府は、アマゾンからの法人税徴収を断念した。
かつて係争もあった英国でも同じだが、アマゾンは、租税回避を意図して、現地法人を設立せず、サイト運営会社と発送管理会社のみを現地化する政策を採っている。
日本政府は明言していないが、アマゾンは、再販指定商品の書籍が中心ということもあって消費税相当分を消費者から受取りながら、“預かった”消費税分をしかるべき税務処理をした後で納税していないはずである。
だからと言って、アマゾンを非難しているわけではない。物品税や小売売上税ではない消費税(付加価値税)の性格に照らせば、アマゾンに理があるからでる。問題は、そのような論理を内包している消費税を存続させていることである。
(書籍卸や書店が請求する消費税相当分は、書籍に許されている独特の制度により“負担”している。消費税は、給与は別だが、諸経費が控除対象になるので、その金額が見えない限り課税ができない。米国シアトルにあるアマゾンインターナショナルに対する査察ができない限り、みなし課税もできない)
法人税よりも消費税のほうが、現在の税制や企業間の競争条件という根底にかかわる問題と考えるが、グローバル企業のために消費税増税をめざす日本政府は、それを問題化しようともしない。
※ グローバル企業課税問題関連投稿
「国税局と追徴課税でもめているアマゾン(Amazon.co.jp)は消費税の申告・納付をしているのか?」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/745.html
「海外配信問題:音楽&電子書籍配信で国外事業者に消費税課税の意味と論理:海外事業者の“利益増大”に資するだけの政策」
http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/318.html
「ネット配信、消費増税なら外国勢有利 各社、募る不公平感 「国外取引」も課税求める」
http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/165.html
BBCニュースで取り上げた英国の動きをまとめたかたちで紹介する。
英国で納税回避を図るグローバル企業への課税強化を図る“旗印”は、
「グローバル企業も、英国の教育・運輸システム・医療などで大きな恩恵を受けている」
というものである。
[有名グローバル企業の売上額と法人税額]
アマゾン:34億ポンド(約4千5百億円):180万ポンド(約2億3760万ポンド)
グーグル:3億8600万ポンド(約510億円):6百万ポンド(約7億9千万ポンド)
スタバ:3億9800万ポンド(約525億円):ゼロ
● 保守党(自民党と連立)政権のオズボーン財務省が、英国で活動しているグローバル企業の納税回避を取り締まる方針を表明した。
● いっそうの納税義務を負う企業を明らかにするため、7千万ポンドの予算措置を講じ、税務査察官を100人増員する。(※ 日本と同じで、官僚機構の焼け太り政策の匂いもする)
● 英国議会の委員会は、アマゾン・グーグル・スターバックスなど有名企業が納めているわずかばかりの税金は、一般納税者を侮辱していると批判した。
● スターバックスは、対応を検討していると回答。スタバは、この15年間、英国で利益を申告していなかった。スタバは、会計システムを変更して法人税を納めることにするという。
このニュースは、最近の日本でもよく使われる“ポピュリズム”的なものと言える。
なぜかと言えば、課税の仕組みや納税回避の手法をなんら説明することなく、「英国で利益を上げているはずのグローバル企業が税金を支払わないのはけしからん」という“感情”に訴えるものと言えるからである。
また、このような納税回避を抑え込むために、政府が経費や人員を増やすというのも倒錯した政策である。基本的な考え方の問題であり、従来の体制で十分に対応できる。
さらに、スタバは納税している可能性もあると思っているが、付加価値税がどうなっているかについてはまったく触れていない。
推測するに、英国スタバが利益を申告していないのは、米国本社へのロイヤルティ支払い・コーヒー豆・什器備品などの本社からの仕入を高くすることで、米国本社が英国で得る利益を“先取り”し、英国に利益を残さないようにしているからであろう。
スタバは会計システムを変更するといっているそうだが、本社への支払い基準を少し下げるというものだと思われる。
日本政府も、「財政危機」を理由に消費税増税を強行したいのなら、その前に、アマゾンから法人税と消費税を徴税するという成果を見せてもらいたい。
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