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衆院選:原発存続の踏み絵 電力系労組、民主公約に対抗
http://mainichi.jp/select/news/20121202mog00m010019000c.html
2012年12月02日
衆院選に向け原発問題が大きな争点となる中、電力系労働組合が神経をとがらせている。元来、支援してきたのは民主党候補だが、同党が「原発ゼロ」をマニフェスト(政権公約)に盛り込み、「働き場を奪われかねない」と反発。労組内には候補者推薦の条件として原発存続を求める動きもあるなど、民主候補予定者に事実上の「踏み絵」を迫っている。【関谷俊介、竹花周、中山裕司】
「我々の考えに同意するのは難しいだろう」。九州の電力系労組のある幹部は取材に答えながら、九州から出馬予定の複数の民主候補の名前を挙げた。「我々の考え」とは、「原子力も一つの選択肢として残すべきだ」などとする政策協定を結ぶことが、候補者推薦の条件であることを示している。
電力各社の労組などで作る電力総連の組合員は全国で約22万人。これまでの選挙で民主を支えてきた。だが民主が「2030年代の原発稼働ゼロを目指す」とかじを切り、原発を経営の柱としてきた電力会社の各労組の抵抗は強い。
「脱原発依存」などと主張する政党もあるが、ある労組関係者は「自分たちの職場を失うことになる『ゼロ』という言葉が入るかどうかは大きな違いだ」と強調する。
労組側が警戒する一人が佐賀1区の民主前職、原口一博元総務相(53)。9月の民主代表選に立候補した際、「原発ゼロ計画に直ちに着手すべきだ」などと主張。テレビでも原発に批判的な発言を繰り返し、突出しているように映ったからだ。
■やり玉
民主側も敏感になっている。代表選直後に開かれた佐賀県連の常任幹事会。出席した電力系労組幹部や同労組出身の市議から「主張はそのまま続けるつもりか」などと原口氏がやり玉に上がった。園田泰郎・県連代表代行は電力系労組出身の経験を踏まえて言う。「OBや家族も含めたら相当な数。他の労組が追随する可能性もあり、決して甘く見てはいけない」
先月25日、原口氏は佐賀市の自身の事務所開きで、「エネルギー政策を根本から変えなければならない」と訴えた。「原発ゼロ」という言葉こそ使わなかったが、後日の取材に対し「党で決まったことに従うのが政党人のルールだ。その中でなお主張を続けたい」と持論に変化がないことを示した。
■推薦“辞退”
原発を巡る民主と電力系労組との関係では愛知2区に出馬予定の前職、古川元久氏(46)が中部電力労組(組合員約1万5000人)に推薦要請をしないことが判明。古川氏は国家戦略担当相時代、「30年代の原発稼働ゼロ」を柱とする革新的エネルギー環境戦略を主導する立場だった。
電力系労組と民主の関係にできたほころび。九州のある電力系労組幹部は「最後は組合員の個々の感情の問題だ。今回の選挙で組合員がどう動くのか読めない」と付け加え、原発維持に含みを持たせる自民に票が流れる可能性も口にした。
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