http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/226.html
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「脱原発」に関する投稿を考えていたら、ちょうどいいタイミングで、「未来」嘉田代表による「原発再稼働容認」発言があった。
発言自体はのちに取り消されたそうだが、「未来」の原発政策である「10年後の卒原発」に沿って考えれば、ことさら驚くものではなく、理に叶ったものとも言える。
「10年後の卒原発」という曖昧な表現を素直に考えれば、今後10年間に限り、「原子力規制委員会が安全性を担保し、政府が必要だという判断をした場合、再稼働を認める」(今朝のTV番組内で発言)と判断できるからである。
「10年後の卒原発」という文言を、廃炉と核廃棄物“最終処理”の達成と受け止めるとそうではないとも言える。しかし、そんな短期間で完全廃炉と核廃棄物“最終処理”が実現できるはずがないから、卒原発という政策は空念仏ということになってしまう。
どの程度の数まで認めるのかという問題はあるが、「10年後の卒原発」という政策は、これからの10年間、「原子力規制委員会が安全性を担保し、政府が必要だという判断をした場合、再稼働を認める」政策と考えても間違いとは言えないだろう。
嘉田知事は、最初は反対していた大飯原発3・4号機の再稼働も、最終的には容認している。
より根源的な問題は、「原子力規制委員会が安全性を担保」という表現を使ったことでわかるように、嘉田代表の原発観が基本で誤っていることである。
何度も書いてきたことで、原発プラントに限らない問題だが、どのような対策を講じようとも、システムやプラントの“安全性”を保証することはできず、せいぜい、従来よりも危険性が低下したと言えるだけなのである。
だからこそ、あるシステムを利用する是非は、万が一事故が起きたときに生じる災厄がどれほどのものなのかを判断の基準にしなければならない。
「原子力規制委員会が安全性を担保し、政府が必要だという判断をした場合、再稼働を認める」という表現を“正しく”翻訳すれば、“どれほど真剣に対策に励もうとも、原発が存続する限り、福島第一原発で起きたような事故や災厄が再び起きリスクはある。電力供給余力の確保など様々な要因で政府が稼働を認めることもあるが、国民は、それにより生じるリスクをしばらくのあいだ甘受して欲しい”というものになる。
それでも「未来」に頑張ってもらい獲得議席数も増やして欲しいと願っているのは、たとえ原発の是非をめぐる単独政策選択の選挙であっても、共産党や社民党(社民党の脱原発政策も「未来」と同じだが)が多数派を形成することは困難だと考えているからである。
消費税増税やTPPの問題もあり、消去法に、自民党・維新の会・民主党・公明党・みんなの党などより、「未来」のほうが好ましい政治勢力と判断しているだけなのである。
(これも以前から書いているが、共産党も含めどのような政治勢力であっても、先々騙されることは承知のうえである。
※ 参照投稿
「小沢一郎氏そして橋下徹氏は、トリックスターなのか、それとも稀代の政治家なのか」
http://www.asyura2.com/12/senkyo133/msg/124.html)
大飯原発の再稼働がなくても計画停電の必要性が生じなかったこと、企業が保有する自家発電設備が電力供給政策のために“死蔵”されていることなどから、極端な“節電”をしなくとも、日本は原発稼働ゼロでやっていけることがわかっている。
大飯原発は、原発で発電された電力が不可欠というデモンストレーション効果を狙って再稼働されたのである。
だからこそ、自民党や経済界なども、原発の存続を唱える主たる理由として、供給力不足問題ではなく、電力料金アップ問題を持ち出すのである。
核兵器開発オプションも語る「維新」石原氏さえ、前面に出す存続理由は、産業競争力を殺ぐ電力料金高騰問題である。
私が恐れているのはヒトの思考傾向である。
不思議なもので、福島第一原発で起きた事故に直面すると、他のどこかでもまた同じような事故が起きるのではと不安になり、事故が起きない年月が長く続くと、福島第一の事故は数千万年に一度のことがたまたま起きたもので、原発はそれほど危険なものではないのかもという気持ちになる。
この機会を逃して再稼働を許せば、原発の存続を願うメディア、政府の意向を汲んだ報道を行うメディアは、このような人々の思考傾向を利用して、「原発は安全!」という刷り込みを徐々に強化していくはずだ。
だからこそ、「脱原発」を揺るぎなく進めるためには、何年後にゼロとか、何年代にはゼロといった政策ではなく、「即時稼働ゼロ」を譲れない出発点としたうえで、様々な懸案を解決していく計画を立案する必要があると考えている。
叩き台にできるかできないかといったレベルの私案だが、次のように考えている。
ステップ1:「即時稼働ゼロ」
↓
ステップ2:「原発国有化(買い上げ)」・「自家発電強化支援金」・「原発立地地域の雇用及び財政支援」
↓
ステップ3:「核廃棄物最終処理計画」・「廃炉計画」
● 大飯原発も停止、原発の稼働をただちにゼロにする。
● ガスタービン発電や再生可能エネルギー発電の新設拡充さらには蓄電技術の発展を図りつつ、電力政策のために“死蔵”されている企業の自家発電出力を増大してもらう政策を実施する。
※ 自家発電からの電力供給増大を円滑にするため、自家発電の燃料費に対し「電力安定化支援金」を払う。これは、電力料金の抑制政策でもある。
韓国の産業用電力料金は日本の1/2から1/3と言われているが、それは、国策により、韓国電力公社が民営であれば倒産してもおかしくないほどの慢性的赤字経営に置かれているからである。「未来」も考えているようだが、「発送電分離」で電力料金が下がることはない。
● 電力会社が保有する原発及び“もんじゅ”など原発関連資産はすべて政府が買い上げ、政府が責任をもって廃炉や最終処分を進める。
原発関連資産の買い上げ金額は、その時点の資産価値相当(数十兆円の可能性)とする。
むろん、それに伴って増税など国民負担増加策は実施せず、「脱原発国債」を発行し、安倍氏の論ではないが、最終的には日銀が買い上げるかたちで処理する。
※ 国策民営で行ってきた原発であるがゆえの政策。この政策で、電力会社が原発に執着することもなくなるだろう。また、これも、総括原価方式で算定される電力料金の大きな抑制策となる。
● 政府が、原発立地地域の雇用環境及び財政支援に責任を持つ。
※ 各地の原発は、長期にわたり地域の雇用や財政を支えてきた。大間も含め、政府が、別の安定した雇用基盤を築き、自治体の財政も支援する。
● 六ヶ所村の再処理施設については現状で凍結し、「放射性廃棄物最終処理計画」が定まるまで、雇用維持をはかりつつ、六カ所村(むつ市)や青森県に対する追加の財政支援を行うことで、放射性廃棄物の中間貯蔵(50年間)の継続をお願いする。
※ 野田政権が「核燃料サイクル」政策に曖昧な態度を続けているのは、ひとえに、青森県(六ヶ所村やむつ市)に高レベル放射性廃棄物の“中間貯蔵”を委ねているからである。
核燃料サイクル政策の断念を決定すれば、以降の受け容れが拒絶され、現在貯蔵されている放射性廃棄物も返還されかないからである。
原発存続政策は、見えないフリをして先送りしているが、放射性廃棄物の問題だけで破綻しているのである。
高レベル放射廃棄物の“最終処分”は、地震大国の日本で立地条件を見出すのは困難と見込み、総量を確定させた後にロシア政府と交渉しお願いできればと思っている。
● 政府・大学・民間企業が協力体制を構築することで、危険性が低く効率性が高い廃炉技術を開発し、福島第一を含め、廃炉への道筋を明確にする。
※ これも、原発維持派が口にする原発関連技術の維持や発展を意味するプロジェクトであり、愚かにも原発にしがみつく国もあることから、産業としても貢献すると考えている。
生存や安寧とおカネを秤にかけることはできないが、経済活動が国民生活の基礎を支えているのも現実である。
原発なしでも電力供給は問題ないことがわかった現在、原発維持ないし原発廃止延期を唱える経済界や料金高騰を危惧する国民の理解を得るためにも、原発関連資産の買い上げ(国有化)と電力料金抑制のための補助金制度が必要と考えている。
原発で電力料金が抑えられていたとしても、それは、原発の発電コストが安かったからではなく、税金(国庫金)から様々な補助金が支払われ、再処理を含む核燃料廃棄物処理の費用が“棚上げ”されて(隠されて)きたからに過ぎない。政府が負担している交付金などの補助金や今回の事故に伴う賠償金を考慮すれば、コスト的にも、原発を利用することは理に叶わない。
電力料金は総括原価方式で算定されるから、電力会社が原発施設と核燃料を抱えている限り、それらの資産(使用済み核燃料も)や減価償却費が電気料金算定に組み込まれ続ける。
総括原価は「適正原価+適正報酬」であり、原価を構成する「原発関連資産の減価償却費 ・原発建設のための借り入れ利払い費」、そして、報酬(利益)のベースになる「原発関連資産・六ヶ所村核処理への投資」がなくなれば、電力料金を大きく引き下げることができる。
現在の電力料金は、稼働していない原発のコストと資産がそのまま残っている上に、追加燃料費が上乗せされ算定されている。
仮に、電力会社の原発関連資産が30兆円(借り入れの利払い費も料金に反映)だとすれば、コストとして原発関連の減価償却費が2兆円(原発建設に伴う借り入れの利払い費は別途発生)、電力会社に認められる利益は、「電気事業固定資産」(発電や送電の設備・六ヶ所村の再処理施設への投資なども含む)にある乗率を掛けたものだから、乗率が7%とすれば、利益分として2兆円強がコストに上乗せされる。
原発関連資産を買い上げ、核燃料サイクルを断念すれば、原発関連のコストと“利益源”が消えるので、電力料金を引き下げることができる。
現状で言えば、原発の稼働が止まったことで発生している追加燃料費は年間2兆円弱(高値買いが収まれば1.5兆円ほど)とされるが、原発関連資産を政府が買い上げることで生じる減価償却費の減少だけで、それを賄うことができる。
今はとにかく、人々が持ち、いろいろな人が語っている様々な懸念を払拭し、一人でも多くの国民を原発廃止に結集することが肝要だと考えている。
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