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国防軍創設の危うさ 自民の衆院選公約 識者ら懸念隠せず
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012113002000131.html
2012年11月30日 東京新聞[こちら特報部]
国防軍を創設する。政権奪回を目指す自民党の衆院選公約だ。憲法では戦力を持たないと定める一方、武力装置としての自衛隊が存在するという長年の「混乱」を解決するためという。しかし、戦後、日本が守ってきた平和主義をねじ曲げる危険はないのか。国防軍の危うさを考えた。 (小坂井文彦、林啓太)
「国防軍になれば、必要最低限の力という憲法解釈上の制約から解き放たれる。軍隊なのだから、あれもこれもできて当たり前という議論が起きるだろう。核武装も、徴兵制も、という話が出てきてもおかしくない」。早稲田大学の水島朝穂教授(憲法学)はこう強調した。
弁護士で法学館憲法研究所長の伊藤真氏は「単に軍隊ができるだけではなく、日本社会に大きな影響が出る」と指摘。
いずれも、国防軍の保持は単なる自衛隊の看板替えではなく、自衛隊の軍事的性格や、国の在り方、国民生活まで一変させかねないとの見方だ。
なぜ、そんなことになるのか。憲法を改正して国防軍創設を主張する自民党の衆院選公約や安倍晋三総裁の発言を整理してみる。公約では憲法改正によって「平和主義を継承しつつ、自衛権の発動を妨げないこと、国防軍を保持することを明記」とある。
自民党の憲法改正の目的は簡単に言えば、自衛隊と憲法の関係の再定義といえる。憲法9条1項は戦争、武力行使の永久放棄、2項は戦力の不保持、交戦権の否認を定めている。安倍氏の考えは「9条の1項と2項を読めば軍を持てないとなってくる。しかし、こんな詭弁を弄することはやめるべきだ」。
憲法をそのまま読んでしまえば、自衛隊は違憲ではないかとの議論は制定以降、続いてきた。しかし、政府は憲法が自衛権まで否定せず、自衛のための必要最小限度の実力(武力)を持つことは違憲ではないと解釈。解釈によって自衛隊の存在は違憲ではないとの立場を守ってきた。
安倍氏の考えは、こうした解釈ではなく、憲法を改正して自衛権、国防軍の保持を明記し、長年の「問題」を決着させるということだ。安倍氏は「自衛隊は国際的には軍隊と認識されている」とも指摘。現実とのズレを解消したい考えもある。
自民党は9条1項の「戦争放棄」については削除しないと強調。これによって憲法の「平和主義」は継承し、軍拡などに向かわない考えを示しているが、疑いはどうしても残る。
有識者の不安は、国防軍が自衛隊以上に巨大な存在にならないかという部分に集中している。自衛隊は憲法との整合性に配慮して、「自衛のための必要最小限の実力」しか持つことはできなかった。しかし、憲法を改正し、国防軍を大手を振って保持することになれば、こうした歯止めが弱くなるのではないかとの見方だ。
◆集団的自衛権 行使もうたう
自民党は同じ公約で、他国が武力攻撃を受けた場合、共同して防衛に当たる集団的自衛権の行使を可能にすると明記。国防軍保持と集団的自衛権の行使が可能になった場合、日本の国防軍が海外で武力を行使することも否定できず、名古屋学院大の飯島滋明准教授(憲法平和学)は「国際平和、国際協調に違反する行為につながりかねない」と危惧する。
加えて、国防軍の戦力や権限が膨れあがるとの不安が出ている背景は、自民党が4月に公表した憲法改正草案とも関係している。
例えば、草案では「国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める」と明記。「軍事機密」として、政府が公表を制限する秘密の範囲が大幅に拡大することが考えられ、国民の知る権利は制限される。
草案は軍事裁判も想定している。軍事機密に絡む場合、機密保持を理由に審理が非公開になることも考えられる。また、「民間人でも、国防軍の基地を勝手に撮影したら、スパイ容疑で軍事裁判にかけられる規定が盛り込まれる可能もある」(水島氏)という。
草案には国民の自由と権利を規定した憲法12条を改正し、「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」と明記。これ以外にも表現の自由や財産権などの私権の制限につながりかねない部分もある。飯島氏は国防軍の存在、憲法改正などの結果、「国民の間に軍に従わなければならないという雰囲気が生まれてくる」と指摘する。
徴兵制導入はどうか。自民党の憲法草案にも徴兵制をめぐる明確な記述はないが、元外交官で「集団的自衛権と日本国憲法」の著者、浅井基文氏は「好んで戦争に行く若者がいない。少子化の中、兵を確保するために徴兵制が必要になるかもしれない」との見方を示した。
現在は憲法18条の「意に反する苦役に服させられない」によって、内閣法制局は徴兵制を違憲としている。しかし、草案では苦役の表現を残しつつ「その意に反すると否とにかかわらず、社会的または経済的関係において身体を拘束されない」との表現を加えた。
学習院大法科大学院の青井未帆教授(憲法学)は「社会的、経済的関係と限定したということは、軍はこうした市民法の枠外にあるとの解釈を可能にする余地が出てくるのではないか」と疑っている。
一方、国防軍という名称についても不気味さを感じる向きがある。当初、自民党は国防軍ではなく、自衛軍とすべきだとの意見もあったが、最終的に国防軍を選択した。
憲法改正に反対する「9条の会」の奥平康弘・東京大名誉教授(憲法)は「自衛軍は自衛隊の延長で、現行憲法の専守防衛の概念が残されている。国防軍は国家を守るという意識が前面に出ており、幅広い軍事行動を取れる特別な意味を込めているのではないか」と分析。同会事務局長で国文学者の小森陽一氏は「国防という言葉のイメージは自衛よりも好戦的だ。尖閣諸島問題で中国との緊張関係が高まる中、愛国心をあおる狙いがあるのではないか」と批判する。
自民党が公約する憲法改正による国防軍保持に対しては中国、韓国は既に反発している。外交評論家の天木直人氏は「同盟国の米国にさえ、日本の軍国主義の復活には警戒がある。アジアで緊張が高まることを歓迎しない」という。
憲法改正の発議には衆参両院で3分の2以上が必要だが、衆院選の結果次第では、自民党、日本維新の会、民主党の一部など改憲勢力がまとまった場合には、必ずしも不可能な数字ではない。
「こうした時代には威勢のいい改憲派の言葉が魅力的に響くが、それでいいのか。有権者は冷静に考えてほしい」。小森氏はこう語った。
[デスクメモ]
「やれることしかやらない」。安倍さんは選挙公約についてこう語っていた。ということは衆院議員任期の4年間で憲法改正、国防軍創設を実現するということなのか。しかし、これに着手すれば、政権はそれだけで体力を奪われる。復興、経済再生。まずやるべきことがある。優先順位が変なのだ。(栗)
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