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2012年11月29日 世相を斬る あいば達也
驚くべきことだが、筆者の周辺の30人程度に電話で「嘉田さんの“日本未来の党”をどう思う?」と聞いたところ、「反原発の党でしょう?原発以外の政策なしなんて…」と云う反応が15人から返ってきた。「どうしてワンイッシューだと思ったの?」と聞いてみると、「テレビで、そう言ってたよ」が主な答えだった。たしかに新聞の“見出し”も、“卒原発”“原発ゼロ”等々の文字が躍っている。
多くの識者も政党も、「日本未来の党」が原発ワンイッシューを掲げた政党の如く扱い、来る12月16日の総選挙の争点自体が“原発”一点に限定化しようとしている。マスメディアも総選挙の争点を“原発”一点集中で収斂させようと試みている。野田佳彦までが、街頭演説の中で自民党は“続原発だ”と言い募り、民主党は“将来原発ゼロを目指す”と、さも脱原発政党であるような言い回しをしているが、“目指す”は何もしないで流れに任せるのと同義語であり、自民党の“続原発”と大同小異である。
今回の総選挙の争点は、極めて重要な選択争点が多数あるのが特長だ。争点が多過ぎる事で、一つ一つの争点の重要性が薄らぎ、如何にも“争点なき選挙”のような錯覚を持ってしまうのが悩ましいのである。しかし、重要な争点である、経済不況・増税・少子高齢化社会・女性参加の具体的社会・地域主権社会・外交防衛等々を暈かす有権者誘導は、国民を総白痴に導こうとしている。国民が自ら主権者だと云う認識があるのであれば、「経済不況・増税・少子高齢化社会・女性参加の具体的社会・地域主権社会・外交防衛」における、政党の違い程度は嫌でも自ら知るべきである。
しかし、“自ら主権者だと云う認識があるのであれば”と理想を語っても、実際の生身の生活者に対して、相当過酷な要求でもある。故に、国政選挙に出遭った時くらい、真剣に己の主権の行使について考える、数少ない機会だと捉える事が出来る。ただ我が国においては、各政党の政権公約を中心に据え、妥当なコンサイスな報道がなされないのである。政治の芸能ネタ化は増長するばかりで、裏で大物が糸を操るとか、ネット党首討論に出る、出ないの等々が話題の中心に鎮座する。すべてはマスメディアのなせる業なのだが、政治家たちも、このマスメディアの言説に惑わされ行動する者、発言すると云う醜態に至っている。
今回の“駄馬の先走り・日本維新の会”の橋下やみんなの渡辺、自民・民主等々の面々が口汚く「未来」を罵る口角の粟粒から、「日本未来の党」の政策要綱を読んでいない事実と頭に血が上った様子が垣間見える。「原発反対だけで政治が出来るか!他の政策が見えていない」は嘘であり、事実認識を根本的に誤っている。筆者が、執拗に「日本未来の党」の政策要綱を提示する理由も、この点にある。日々の生活に追われる人々は、テレビの歪んだ解説か乃至はマスメディア各社の新聞の“見出し”から、すべてを知ろうと云う“安直な習慣”を持っている。
現時点で、生活者の習慣をあげつらっても詮方ないことである。マスメディアが、象徴的言辞で有権者をミスリードするのは、謂わば彼らのアイデンティティともいえるので(笑)、今さら咎めていても始まらない。現在は、少なくともネット環境による情報の拡散は可能なわけだから、嘆いている暇があるなら、少しでも真実に近い情報を、草の根レベルで拡散していくしかないのだろう。拙コラムのブログですら見ず知らずの読者が、一日5〜6000人がアクセスしてくれる。そこから僅かでも情報の拡散があると信じて、情報を発信する事が重要だ。
さて話は変わるが、「日本未来の党」に対し、対抗政治勢力からのネガティブな批判の声が、悲鳴のように聞こえてくる。その中で、最も痛みとか、苛立ちが目立つのが、“小沢傀儡政党だ!”と云う解説染みた言説である。たしかに、「日本未来の党」の結党に際し、小沢一郎と嘉田由紀子が一定の範囲で意志疎通を図ったのは事実だろう。しかし、イコール“未来”が小沢傀儡政党だと言い募る根拠として薄弱である。彼らが、小沢の傀儡だとする根拠の根底には、衰え知らずの不死身の小沢の政治力への恐怖が存在する事はあきらかだ。
“小沢は無役”と云う言葉に、藁のごとくシガミツク溺れ人の様なのだが、誰も心から信じている者はいない。しかし、“一兵卒”である小沢一郎ほど怖い存在である事実も隠しきれないのが、各政党であり、マスメディアなのだ。ただ、公式に、何処からどうみても小沢一郎が役員に就任していない以上、“幻影を代表だ!”と、公式に表現する事は出来ない。特に、公示後は困難なのである。ただ、「日本未来の党」の所属議員の心に、小沢一郎への憧憬や尊敬がある限り、その政治理念は生きるのである。また、選挙中と選挙後の党構成は、その選挙結果により、あらゆる選択肢が残るわけで、現時点で四の五の言っても始まらない。
菅直人などは、ヤケクソで表向き「『原発ゼロ』が総選挙の争点になることは歓迎」するとしながら、「党の実権を小沢さんが握る構造は必ず破綻する」と、嘯いている。菅が民主党の実権を握ったゆえに、民主党が瓦解した事実は、幼稚園児でも知っている(笑)。菅は「…本当は俺も入党したい…、でも小沢がいるから…」と思うくらい落選の狭間をうろついているのだろう(笑)。
最後になったが、あらためて「日本未来の党」の政策要綱を掲載しておく。全部読むのが面倒な人、多忙で全文読む時間のない人の為に、要点を筆者の独断的感覚で太字化しておくので参考にして欲しい。今日29日は都知事選の公示日だけに、衆議院選の政党による選挙活動にも制約が出てきているので、捏造報道、ネガティブ報道も抑制される。極めて深い時期に新党を立ち上げたものである。 政治に精通しているからこそ、出来る離れ業である。
無役の一兵卒ゆえに、行動の自由と云うものがある。各政党やマスメディアが怖れ慄くように、小沢一郎は赤鉛筆なめ舐め、各選挙区情勢の把握に努め、的確な情報を「日本未来の党」の役員達に伝達するであろう。無論、一兵卒であっても党員である以上、ポイントとなる選挙区では街宣に立つに違いない。特に、東日本、北海道地域には強力な小沢支持が集中するだけに、表に裏にと“八面六臂”の活躍をするに相違ない。これで、民主党と日本維新の会の埋没が現実味を帯びてきたのは愉しい限りである。
≪ 日本未来の党 政策要綱
1.【卒原発】原発のない再生可能エネルギー社会へ
原発稼働ゼロから全原発廃炉の道筋を創ります。
安全や雇用・経済対策など「原発稼働ゼロ」の現実で直面する課題に責任ある対応をし、全ての原発が確実に廃炉となる「卒原発」への道のりを定めます。
原発に代わって再生可能エネルギーを普及させるエネルギーの大転換で、地域産業を育成し雇用を拡大させます。昨年に脱原発を決めたドイツでは、すでに5 兆円規模の産業と38万人の雇用が生まれ、地域が活性化しています。
● 東京電力は破綻処理し、国が直轄して福島第一原発からの放射能汚染の拡大を防ぎ、責任をもって損害賠償や被ばく安全に対応する。
● もんじゅと六ヶ所再処理工場の廃止、世界最高水準の安全規制、大間原発など新増設の禁止、使用済み核燃料の総量規制からなる「卒原発プログラム」を定める。
● 原発稼働ゼロに伴う雇用・経済対策などを実施し、国民生活や経済の混乱を避けつつ、全原発の廃炉への道のりを定める。
● 発送電分離など電力システム改革を貫徹して公正な競争を促し、地域分散ネットワーク型のエネルギー地域主権を実現する。
● 大胆な省エネルギーと再生可能エネルギーの飛躍的な普及を実現して、石油・石炭への依存度を減らし、地域の雇用拡大と経済の活性化を図る。
2.【活子ども・女性】全員参加型社会へ
子どもや女性の声なき声をきちんと政治に反映させます。
女性が社会の中で活き活きと活躍し、子どもが笑顔ですこやかに育つ社会が当たり前の社会でなければいけません。日本の未来を担ってくれるはずの子どもが減少している原因の一つは「子どもを産みにくい、育てにくい」という不安を多くの女性が抱いているからです。その状況を打破し、同時に、子どもたちが「この国に生まれて良かった」と思える社会を実現します。
● 子ども一人当たりの中学卒業まで年間31万2000 円の手当を支給し、その一部を「子育て応援券」(バウチャー)とする
● 結婚・出産が女性のキャリア形成に不利にならない社会を創る
● 子どもが虐待や育児放棄にあわないよう親の子育て環境の改善を図る
● 離婚・別居時に両親が子どもの共同養育計画を作成することを義務化する
● 家庭・学校・地域が一体となって「子育て」「子育ち」を応援する社会を創る
● 高校授業料の無償化などを堅持する
● いじめの撲滅に向け小・中学生への「心の教育」を実施する
● 配偶者暴力に対し刑事罰を課すよう法改正する
3.【守暮らし】安心・安全を実感できる社会へ
みなさんの生活に対する不安を取り除きます。
地域内でお金が循環し、地域の人たちが元気になるような内発的経済(筆者注:内需)を発展させることなどにより、暮らしの根底を支える「雇用」の不安を払拭します。あわせて、年金・医療制度を充実させることで、人々の暮らしを守ります。
● ワークシェアリングを促進し、家庭と仕事の両立ができる社会を創造するとともに、完全雇用を実現する
● 子育て、医療、福祉、教育分野での産業・木材などのバイオマス資源などの活用による環境配慮型産業の振興や個別所得補償などによる農林漁業の活性化により雇用の創出を進める
● 若い世代の人材育成・キャリア形成を促進する
● 非正規社員の正規社員化を促し、安心して働ける現場を整備する
● 税を財源とする最低保障年金と所得比例年金の構築により年金制度の一元化を図る
● 地域包括ケア、在宅介護支援体制を強化して、介護制度を充実させる
● 国民皆保険を堅持し、医療保険制度の一元化を目指す
● 後期高齢者医療制度は廃止する
4.【脱増税】家計の復活へ
消費増税法は凍結します。
国民の平均所得を引き上げるために、家計を圧迫する行政の規制・ムダを徹底的になくすとともに、内発的経済の発展を促進します。それにより、デフレ脱却と経済の再生を実現します。その結果、円高の是正や、税収の増加、財政再建も可能になり、消費増税の必要がなくなります。
デフレ、個人所得の低下が続く中での増税は、ますます消費を冷え込ませ、中小零細企業の倒産などを招きます。したがって、税収はかえって落ち込むことになります。この点からも増税法は凍結します。
● 必要な財源は、特別会計の全面見直しをはじめとする政治改革、行財政改革、地域主権改革によって捻出する。
● 業界・業種によって損税・益税が生ずるなどの現行消費税の欠陥を是正する。
5.【制官僚】行政・司法の抜本改革の断行へ
国民・地域の立場に立った行政・司法に改めます。
震災復興の遅れ、復興予算のあきれた流用に象徴されるように、国民の視点を失った中央の官僚が全てを決めて人々に押しつける仕組みは、人々に多大な損害を与えています。官僚の暴走を止め、地域のことは地域で決める「地域が主役の社会」を実現します。
● 政治主導を貫徹できる公務員制度改革を実施する
● 天下り全面禁止と政府関係法人の廃止でムダと利権をなくす
● 国の補助金と政策経費は原則、自主財源として地方に交付する
● 国の地方支分部局を広域連合へ移譲する
● 司法官僚による国民の権利侵害を止めさせる措置を早急に講ずる
● 行政・司法苦情処理第三者委員会を国会内に設置する
6.【誇外交】主権国家としての権利を堅持へ
食品の安全・医療制度を守り、品格ある外交を展開します。
日本は、自立と共生の理念の下で、自ら主張し信頼を築く外交を展開しなければならず、独立国家としての責任に基づいた日米関係を構築しなければなりません。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、単なる自由貿易協定ではありません。牛肉など食品の安全基準、医療保険などすべてをアメリカのルールに合わせようというものです。だから交渉入りに反対です。
● 自由貿易のためのFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)は積極的に推進する
● 食料安全保障の観点からも食料自給率50%を目指す
● 東アジア外交を重視し、アジアの平和の調整機能を果たす
● 安全保障基本法の制定と国連平和維持活動への参加を進める
● テロ、大災害にも対応できる日本版NSC を創設する
● 多様な資源外交により安定的なエネルギーの確保を図る
● 「拉致国家」の汚名を返上するためハーグ条約を早期に批准するとともに国内の子どもの連れ去り行為を禁止する。 以上 ≫(日本未来の党:政策要綱)
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