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2012年11月28日 世相を斬る あいば達也
ようやく、極右・保守右派に対局する政治勢力の「オリーブの木」が具体的姿として、国民に示された。筆者としても、色々と諸事情を考えながら、ヤキモキしていた面もあるのだが、悉くが右傾化する自民・民主・維新に対抗し得る“コア”が力強く出現した。有権者にとって、選択肢が極めて明確になり、民主主義らしくなってきたことは素晴らしいことである。時事通信は以下のように報じている。
≪「日本未来の党」結成表明=嘉田滋賀知事−生活、解党し合流へ
滋賀県の嘉田由紀子知事は27日午後、大津市内で記者会見し、12月16日投開票の衆院選に向け、新党「日本未来の党」結成を表明した。嘉田氏は「卒原発」「脱増税」など六つの結集軸を掲げ、賛同する勢力と連携する方針を明らかにした。これに対し、国民の生活が第一(小沢一郎代表)は解党して合流する方針を決定。「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」共同代表の河村たかし名古屋市長も合流を目指す考えを示した。
既成政党とは一線を画す「第三極」陣営では、共闘を目指す日本維新の会とみんなの党にきしみが生じる一方、嘉田氏を中心に脱原発を旗印とした勢力の結集が急速に進展。「みどりの風」も合流を検討しており、衆院選の構図に大きな影響を与える可能性もある。
会見で嘉田氏は「国民の信頼を取り戻し、希望を持てる未来への選択肢となる新しい政治軸を立てる」と訴えた。新党の代表には嘉田氏が、代表代行には橋下徹大阪市長(日本維新の会代表代行)のエネルギー政策でのブレーン的な存在だった飯田哲也氏が就く。嘉田氏は知事を続投し、自らは衆院選には出馬しない。
一方、生活は27日、小沢氏も出席して党本部で常任幹事会を開き、嘉田氏の示した「卒原発」などの結集軸について協議。「政策面では全く一緒だ」(幹部)として未来への合流を決めた。
河村市長も同日の記者会見で「時間もないので嘉田さんたちと一緒に同じ政党名でやっていきたい」と語った。社民党に離党届を出した阿部知子前衆院議員も神奈川県藤沢市で記者会見し、未来への参加を表明した。≫(時事通信)
「国民の生活が第一」が一夜にしてドタバタで、上記の解党、合流を決定したなどと思う人はいないだろうが、知らない人の為に解説しておくが、代表となる嘉田滋賀県知事が結党的宣言と同時に出した「琵琶湖宣言」が、嘉田氏の呼び掛けに対する、共同歩調をとる政治勢力に求めていると云う事である。その意味で「琵琶湖宣言」が、合流する政治勢力の政党理念の根幹をなすと考えて間違いない。「日本未来の党」(略称:未来の党)の政策要綱を下記に掲載するが、数か月かけて練られた要綱であり、小沢一郎の理念と多くの部分で重なるのが特長だ。
“自民・民主・維新”の三つ巴だとプロパガンダ報道でニヤついていた、金太郎飴ジャーナリスト共に鉄槌を喰らわせたことになる。昨夜現在では、“鳩が豆鉄砲食らった”と云う風情であったが、悪だくみにだけは長けている連中だけに、今日から「日本未来の党」に向け、ネガティブキャンペーンを始めるに違いない。しかし、公示日も接近しているので、奥歯にモノの挟まった表現しか使えない可能性も強く、B層有権者にはネガティブである事自体伝わることはないだろう。流石の筆者も驚くほどのサプライズである。小沢一郎が、ギリギリのところで、“後出しジャンケン”(笑)。“後出しジャンケンの元祖”、石原慎太郎に“駄馬の先走りをさせ”、そのお株を奪うとは、極めて単純に愉快である。おそらく、慎太郎は“歯ぎしりをしているだろう”(笑)。
≪ 日本未来の党 政策要綱
1.【卒原発】原発のない再生可能エネルギー社会へ
原発稼働ゼロから全原発廃炉の道筋を創ります。
安全や雇用・経済対策など「原発稼働ゼロ」の現実で直面する課題に責任ある対応をし、全ての原発が確実に廃炉となる「卒原発」への道のりを定めます。
原発に代わって再生可能エネルギーを普及させるエネルギーの大転換で、地域産業を育成し雇用を拡大させます。昨年に脱原発を決めたドイツでは、すでに5 兆円規模の産業と38万人の雇用が生まれ、地域が活性化しています。
● 東京電力は破綻処理し、国が直轄して福島第一原発からの放射能汚染の拡大を防ぎ、責任をもって損害賠償や被ばく安全に対応する。
● もんじゅと六ヶ所再処理工場の廃止、世界最高水準の安全規制、大間原発など新増設の禁止、使用済み核燃料の総量規制からなる「卒原発プログラム」を定める。
● 原発稼働ゼロに伴う雇用・経済対策などを実施し、国民生活や経済の混乱を避けつつ、全原発の廃炉への道のりを定める。 ● 発送電分離など電力システム改革を貫徹して公正な競争を促し、地域分散ネットワーク型のエネルギー地域主権を実現する。
● 大胆な省エネルギーと再生可能エネルギーの飛躍的な普及を実現して、石油・石炭への依存度を減らし、地域の雇用拡大と経済の活性化を図る。
2.【活子ども・女性】全員参加型社会へ
子どもや女性の声なき声をきちんと政治に反映させます。
女性が社会の中で活き活きと活躍し、子どもが笑顔ですこやかに育つ社会が当たり前の社会でなければいけません。日本の未来を担ってくれるはずの子どもが減少している原因の一つは「子どもを産みにくい、育てにくい」という不安を多くの女性が抱いているからです。その状況を打破し、同時に、子どもたちが「この国に生まれて良かった」と思える社会を実現します。
● 子ども一人当たりの中学卒業まで年間31万2000 円の手当を支給し、その一部を「子育て応援券」(バウチャー)とする
● 結婚・出産が女性のキャリア形成に不利にならない社会を創る
● 子どもが虐待や育児放棄にあわないよう親の子育て環境の改善を図る
● 離婚・別居時に両親が子どもの共同養育計画を作成することを義務化する
● 家庭・学校・地域が一体となって「子育て」「子育ち」を応援する社会を創る
● 高校授業料の無償化などを堅持する
● いじめの撲滅に向け小・中学生への「心の教育」を実施する
● 配偶者暴力に対し刑事罰を課すよう法改正する
3.【守暮らし】安心・安全を実感できる社会へ
みなさんの生活に対する不安を取り除きます。
地域内でお金が循環し、地域の人たちが元気になるような内発的経済を発展させることなどにより、暮らしの根底を支える「雇用」の不安を払拭します。あわせて、年金・医療制度を充実させることで、人々の暮らしを守ります。
● ワークシェアリングを促進し、家庭と仕事の両立ができる社会を創造するとともに、完全雇用を実現する
● 子育て、医療、福祉、教育分野での産業・木材などのバイオマス資源などの活用による環境配慮型産業の振興や個別所得補償などによる農林漁業の活性化により雇用の創出を進める
● 若い世代の人材育成・キャリア形成を促進する
● 非正規社員の正規社員化を促し、安心して働ける現場を整備する
● 税を財源とする最低保障年金と所得比例年金の構築により年金制度の一元化を図る ● 地域包括ケア、在宅介護支援体制を強化して、介護制度を充実させる
● 国民皆保険を堅持し、医療保険制度の一元化を目指す
● 後期高齢者医療制度は廃止する
4.【脱増税】家計の復活へ
消費増税法は凍結します。
国民の平均所得を引き上げるために、家計を圧迫する行政の規制・ムダを徹底的になくすとともに、内発的経済の発展を促進します。それにより、デフレ脱却と経済の再生を実現します。その結果、円高の是正や、税収の増加、財政再建も可能になり、消費増税の必要がなくなります。
デフレ、個人所得の低下が続く中での増税は、ますます消費を冷え込ませ、中小零細企業の倒産などを招きます。したがって、税収はかえって落ち込むことになります。この点からも増税法は凍結します。
● 必要な財源は、特別会計の全面見直しをはじめとする政治改革、行財政改革、地域主権改革によって捻出する。
● 業界・業種によって損税・益税が生ずるなどの現行消費税の欠陥を是正する。
5.【制官僚】行政・司法の抜本改革の断行へ
国民・地域の立場に立った行政・司法に改めます。
震災復興の遅れ、復興予算のあきれた流用に象徴されるように、国民の視点を失った中央の官僚が全てを決めて人々に押しつける仕組みは、人々に多大な損害を与えています。官僚の暴走を止め、地域のことは地域で決める「地域が主役の社会」を実現します。
● 政治主導を貫徹できる公務員制度改革を実施する
● 天下り全面禁止と政府関係法人の廃止でムダと利権をなくす
● 国の補助金と政策経費は原則、自主財源として地方に交付する
● 国の地方支分部局を広域連合へ移譲する
● 司法官僚による国民の権利侵害を止めさせる措置を早急に講ずる
● 行政・司法苦情処理第三者委員会を国会内に設置する
6.【誇外交】主権国家としての権利を堅持へ
食品の安全・医療制度を守り、品格ある外交を展開します。
日本は、自立と共生の理念の下で、自ら主張し信頼を築く外交を展開しなければならず、独立国家としての責任に基づいた日米関係を構築しなければなりません。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、単なる自由貿易協定ではありません。牛肉など食品の安全基準、医療保険などすべてをアメリカのルールに合わせようというものです。だから交渉入りに反対です。
● 自由貿易のためのFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)は積極的に推進する
● 食料安全保障の観点からも食料自給率50%を目指す
● 東アジア外交を重視し、アジアの平和の調整機能を果たす
● 安全保障基本法の制定と国連平和維持活動への参加を進める
● テロ、大災害にも対応できる日本版NSC を創設する
● 多様な資源外交により安定的なエネルギーの確保を図る
● 「拉致国家」の汚名を返上するためハーグ条約を早期に批准するとともに国内の子どもの連れ去り行為を禁止する。 以上 ≫(日本未来の党:政策要綱)
以上、通読すれば直ぐに理解出来ることだが、小沢一郎の政治理念に極めて近似している。たしかに、かなり既視感のある政策要綱だが、小沢一郎に近い考えを嘉田氏が持っていたと云う事で良いではないか(笑)。筆者も21世紀、少子高齢化の日本において、閉塞を打破する為にはおおいなる女性パワーが発揮できる社会構造をつくる事が課題だと主張している。拙コラム「21世紀は女性の世紀なのかもしれない 生物学的には“先祖返り” ということだが」(http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/a8aa802f5ee45899902d6bbf397a3898) で書いたように、男文化社会の民主主義・資本主義はあきらかに大きな壁にぶち当たっているわけで、女性文化(少々曖昧に使うが)や感性に協力を願い出る時代が来ていると云うことなのだろう。
男文化が中心の経済大国であった米国と日本の閉塞は、軽重は別にして、翳りを歴然とさせている。この期に及んで、“窮鼠猫をはむ”ような、やけっぱちの軍国主義や右傾化等と云うものは、笑い話なのである。民主主義における政治家は、“清水の舞台から飛び降りる”ような無謀をするものではない。落ちるかもしれない恐怖を抱きながらも、極力落下しない注意力と体力と忍耐で、その場を抜け切るのが、民主主義における政治家の資質である。その意味で、民主主義、議院内閣制の日本の政党政治は“格好いい”を標榜したり、その英雄的姿を想像した時に瓦解するのである。
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