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2012年11月27日 在野のアナリスト
嘉田滋賀県知事が、新党『日本未来の党』を立ち上げました。主要政策に、卒原発、活女性・こども、守暮らし、脱増税、脱官僚、誇外交の6本を掲げ、嘉田氏は知事を続け、代表代行には脱原発の飯田氏、名だたる著名人も応援に名を連ねるといった形です。そこに生活、脱原発も解党して合流する見込みです。連携の形はいくつかあり、元の党を残したまま、まとまる形を想定していましたが、解党して合流なので一つの党として、選挙を戦うことになります。これからポスター、ビラ、看板も含めて作り直さなければならず、非常に負担も重いですが、それでもまとまってきた。
これを苦境における救命ボートとみるか、方舟とみるかで、大きく異なります。ナゼか小沢氏の暗躍、ということばかりが話題ですが、嘉田氏にはみんなの党、維新、亀井氏なども接触しており、さらに著名人の中には、嘉田新党であれば自分も出る、と志願した人までいる。つまり草の根運動の星的存在なので、誰もが接触していたのです。そんな中、脱原発の旗を降ろした維新に見切りをつけたこと、これにより脱原発の選択肢を、国民に与えることを目的とするのなら、これは脱原発を争点とする人にとっては、方舟です。小沢氏が入ると心配、という意見の報道ばかりですが、小沢氏の支援票は600万票ある、とされる中ですから、草の根運動と合体すれば大きな勢力です。
さらに、維新への不安は大量の新人議員の増殖です。維新が大勝すれば、大半が新人議員であり、国政経験もなく、民主の二の舞になりはしないか? そうした声にも、この未来の党は応える。現有議席が70ですから、生活には一期目の議員が多いとは云え、三期目になると政務官クラスなので、次に当選すれば、それに近づきます。さらに、維新の石原氏は自民との部分連立にふれるなど、今の民主、自公、維新とされる選択肢では、どこに入れても連立政権になる可能性が否めない。
『死に票』の議論には、二つの意味があります。有権者の票が有効につかわれない、という正当な意見と、だから小政党ではなく票が生きる大政党に入れなさい、という二つです。後者は民、自公、維新を勝たせたい、という既得権益側の要件が含まれていることを汲めば、今回の未来の党による大政党化は、まさに『死に票』を減らし、有権者の意志が反映される形になった、ということです。
選挙後の枠組みを考えるとき、自民は民主を吸収、合併する。これは参院対策である一方、民主が蓄えている政党交付金を、自民、民主で連結させれば、総選挙で増えた借金を一気に返すことができるためです。一方、どうしても首相になりたい石原氏を抱きこみ、自社さの時のように、石原政権をつくる。ただ、石原氏は連日の国会答弁に耐えられるはずもなく、数ヶ月で失言、暴言のために麻生政権の二の舞で短命政権となり、そこで安倍氏が政権をつくる。これだと維新も文句はないので、連立を離脱しない。そんな構図を考えていました。つまり自公維連立政権です。有権者は、これらの党のどこに投票しても、結局それは『死に票』となる恐れが強かったのです。
しかし第三の選択ができ、もし名を連ねた著名人が応援演説など活発に行うなら、非常に有権者に訴えるものとなるでしょう。小沢氏、亀井氏は裏方、嘉田氏が代表という形なら、国民に安心感も与えられる。政策の変更も、嘉田氏が代表であれば変更はない、それは応援演説をする人物も、そう主張できるということです。既得権益に染まらず、既存の政治家とも異なるクリーンなイメージをもつ嘉田氏が、後ろで手綱をひく。これがこの新党の魅力となってくるのでしょう。
第三極が、どこを選んでも実は一極…。そんな失望が漂いそうだったところに現れた、もう一つの極。浮動票のうち、かなりの数はこの極に流れることでしょう。ただ、準備不足がどこまで浸透度に影響するか? それ次第では、逆に『死に票』となってしまう政党名を記載する人が増えるのかもしれません。後半月、未来の党が『未来を問う』ことができるかどうかは、候補者の努力次第、ということになるのでしょうね。
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