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民主党政権には低評価、政権交代には「意味があった」
衆院解散・総選挙を読者はどう見る?(前編)
2012年11月27日(火) 日経ビジネス編集部
党首討論での首相の解散明言という異例の展開でなだれこむこととなった衆院選。読者は3年余りの民主党政権をどう評価し、12月16日に投開票が決まった総選挙をどのように見ているのか。日経ビジネスオンラインは衆議院が解散した11月16日から、WEB上でアンケート調査を実施した。
調査期間は11月16日午前0時〜11月19日午後2時。対象者は日経ビジネスオンラインの登録会員(約175万人)。有効回答者数は8693人で、うち男性が95.3%、女性が4.7%だった。
アンケートではまず約3年間に及んだ民主党政権への評価を聞いた。
結果は「評価できない」が6割を超え、多数を占めた。「どちらかと言えば評価できない」を含めると、8割近くの人が民主党政権に厳しい評価を下したことになる。一方、「評価する」はわずか3.6%にとどまった。
年代別で見ると、30代(30〜39歳)から50代(50〜59歳)では「評価できない」が65%前後となった。これが60代(60〜69歳)では61.3%。70代(70〜79歳)では58.4%と「評価できない」が6割を切る。一方、20代(20〜29歳)では「評価できない」が68.2%と、民主党政権を厳しく評価する声が多かった。
消費増税を決めたことに「評価する」の声も
では、どういった点が評価基準になったのか。「評価する」「どちらかと言えば評価する」と回答した人と「評価できない」「どちらかと言えば評価できない」と回答した人のそれぞれに、理由を聞いた。
まず「評価する」「どちらかと言えば評価する」とした理由を見ると、最も多かったのは「消費増税に道筋をつけた」だった。国の財政が逼迫する中、反対論も根強い消費増税について、自民党、公明党と合意して道筋をつけたことに一定の評価をする人もいるようだ。
そのほか、自由回答では「政権交代自体に意味がある」(60代男性)といった意見や、「自民党よりまし」(40代女性)といった意見も多かった。
「評価できない」「どちらかと言えば評価できない」の理由としては、「外交・安全保障政策が混乱した」がトップだった。
鳩山由紀夫内閣での米軍普天間基地移設問題の迷走などで米国との関係がぎくしゃくし、地元・沖縄との亀裂も深まった。また直近では、尖閣諸島を国有化した結果、日中関係が悪化したことなどがアンケートに反映された格好だ。
次いで「マニフェスト(政権公約)が非現実的」「民主党議員の質が低い」「党内がバラバラで物事がなかなか決まらない」が続く。「マニフェスト(政権公約)が非現実的」は30代では「評価できない」理由のトップだった。
民主党は前回の衆院選で、政策の実現性や影響などについて十分な党内議論を尽くさないままマニフェストを打ち出した。結果として党内で政策を共有する基本的なプロセスがないまま政権を担当することとなり、主要政策を巡り深刻な党内対立が起こってしまった。
「間接民主主義を根底から否定した」
自由回答では「選択肢の項目、すべてが当てはまる」(70代男性)といった声も多く寄せられた。政権交代への期待感がこの3年間で剥げ落ち、極めて厳しい評価につながっていることがうかがえる。
そのほかにも、民主党の政権担当能力を厳しく指弾する声が数多く上がった。
「選挙で約束したマニフェストを、実現の努力もろくにしないで全面的に撤回した。この行為は、間接民主主義を根底から否定するものであり、国民の政党に対する不信を決定的にするものであった」(60代男性)
「マニフェストが非現実的というより、実現する気がないように見えた。また、ビジョンがなく、常に場当たり的な対処で、何をやりたいのかさっぱりわからなかった」(30代男性)
「全ての物事に対する対応が浅過ぎる。子供じみた対応が多く、何もかもが中途半端で投げ出し、問題のみを残した感じがする」(30代女性)
「そもそも、政策一致の集団では無かったことが全てに出ている。解散を示唆したとたんに離党届けを出すような議員ばかりでは、何も出来ない」(50代男性)
民主党政権に対しては厳しい評価が相次ぐ形となったが、では、政権交代そのものについての評価はどうか。
自民党から民主党への政権交代についてどう評価するか聞いたところ、「意味があった」が38.3%で最も多く、次いで「どちらかと言えば意味があった」が32.1%となった。両者を足すと、7割を超える人が政権交代には意味があったと答えたことになる。
意味があった理由としては「政権交代が可能である方が健全な政治システムだから」がトップだった。「民主党政権の現状を見て、外交・安全保障の継続性や戦略性の重要さが認識できた」、「自民党に反省を促すことができた」が僅差でその後に続いた。
自由回答欄には、「政治に期待してはならない、という教訓を示してくれた」(40代男性)というように、逆説的に「意味があった」とする意見も多く寄せられた。
一方、約3割の人が「無意味だった」「どちらかと言えば無意味だった」と回答した理由を見ていくと、「外交・安全保障を混乱させた」がトップ。「民主党が選挙互助組織の域を出ず、政権担当能力に欠けた」が続いた。
12月16日に投開票となる次期衆院選でも政権交代が有力視されている。前回の政権交代の意味をどのように総括し、次の政治に結び付けていくのか。多くの有権者がそのことを望んでいるのは間違いなさそうだ。
NBO世論調査
日経ビジネスオンライン読者を対象にしたアンケート調査。様々なテーマについてお尋ねしていきます。集計結果は随時、サイト上で公開します。「質問編」はこちらです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20121122/239971/?ST=print
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