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新党立ち上げについて答える嘉田由紀子滋賀県知事=26日、滋賀県庁で(中森麻未撮影)
脱原発 結集加速 滋賀知事新党構想
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012112790071156.html
2012年11月27日 07時11分 東京新聞
滋賀県の嘉田(かだ)由紀子知事(62)は二十六日、脱原発を旗印にした「新党」を検討していると明らかにした。まず自身が中心となり文化人らで脱原発を訴える組織を立ち上げ、そこに国民の生活が第一と「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(「脱原発」)が合流を検討。みどりの風も連携する方向で調整している。合流できない場合は、それぞれの党を残しながら、比例代表で統一名簿をつくる案も浮上している。乱立する脱原発勢力が環境派知事の嘉田氏を軸にまとまれば衆院選でも一大勢力となる。 (衆院選取材班)
嘉田氏は二十六日夕、県庁で記者団に対し「新党」について「皆さんと意見交換しているところだ」と前向きに考えていることを認めた。二十七日午後にも正式発表する。知事は辞職しない考え。文化人らでつくる組織には音楽家の坂本龍一氏、歌手の加藤登紀子氏らにも協力を要請している。
嘉田氏は「国政で原子力政策を議論してほしいが(各党が)一本にまとまらない」と表明。脱原発勢力が四分五裂している現状に不満をにじませた。
衆院選に向けては、自民党が原発を容認する立場。民主党は「三〇年代ゼロ」を訴えながら軸足が定まらない。日本維新の会は太陽の党と合流する際、従来訴えてきた脱原発を事実上取り下げた。中小の勢力が乱立していては、脱原発の声が多数を形成できないとの危機感が、嘉田氏の行動を後押しした。
脱原発を訴える各党の間でも共倒れ回避のための連携の必要性は以前から語られてきたが、なかなか進まなかった。最大の理由は脱原発の象徴となる「顔」がいなかったことだ。嘉田氏は琵琶湖周辺の生活環境を長年研究してきた環境社会学者。関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働問題では反対を訴えてきており「顔」になり得る存在だ。
大飯再稼働問題では維新代表代行の橋下徹大阪市長とも歩調を合わせてきたが、脱原発を取り下げたのを受け嘉田氏は「仲間を失った」と“決別宣言”。「新党」ができても維新を脱原発勢力とはみなさず距離を置く見通しだ。
嘉田氏自身は周辺に対し、正式に国政政党化した際は、他の政党幹部にトップを譲り、自身は応援団的存在になる意向を漏らしているという。だが脱原発政党は、嘉田氏が党首を務めることを念頭に熱視線を送る。
社民党に離党届を提出した阿部知子前衆院議員は二十六日、新党に参加する意向を早速表明。「脱原発」の小泉俊明幹事長代理は二十六日の民放番組で「生活、みどりの風と新党になる方向で頑張る」と語った。みどりの風の谷岡郁子共同代表も同番組で「嘉田氏がヘッド(党首)を引き受ける方向と聞いている」とも述べた。
生活の小沢一郎代表は同日の記者会見で「呼び掛けがあれば政策、主張を検討して対応を決める」と述べた。
■統一名簿死票少なく
「生活」「脱原発」「みどりの風」の各党は嘉田氏を中心に立ち上げを目指す「新党」を正式な政党とはせず、比例代表選で統一名簿をつくるための政治団体とすることも検討している。
仮に「生活」「脱原発」「みどりの風」が合併せずに統一名簿を作れば、小選挙区では所属する政党名でそれぞれ戦い、比例代表では三党が統一してつくった政治団体名で戦うことが可能になる。
名簿を統一した方が死票が少なくなり、比例代表の単独候補は当選しやすくなるメリットがある。
ただし重複立候補しようとする候補は、小選挙区と比例代表を同一政党、政治団体にしなければならず、小選挙区では元の所属政党を名乗ることはできない。
過去には、一九八三年の参院選で当時の新自由クラブと社会民主連合が統一名簿を作成して議席を獲得した例がある。
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