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子どもの命を危険にさらす猪瀬直樹都副知事vs子どもにやさしい東京をつくる宇都宮けんじさん
すくらむ2012-11-24 10:27:13http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11411739982.html
11月22日のフジテレビ「とくダネ!」の「都知事選スペシャル」の中で、保育所の待機児童問題について議論になり、宇都宮けんじさん(前日弁連会長、反貧困ネットワーク代表) は予算を拡充して保育所を増やす必要があると主張したのに対し、
猪瀬直樹都副知事は、保育士1人あたり0歳児なら3人という今の最低基準を規制緩和して、4人、5人と0歳児を保育所に詰め込めば解決するかのような発言をしました。
■ この猪瀬氏の発言に対して、ジャーナリストの猪熊弘子さん(@hirokoinokuma)は次のようにツイートしています。
ギャン泣きしてる0歳児3人を、1人の保育士さんが、おんぶ1人+抱っこ2人して緊急時に避難できると思う? 「0歳児5人に保育士1人でなんとかなる」っていう猪瀬なら、きっと、ギャン泣き0歳児抱っこ3人+おんぶ2人で都庁の最上階から1階まで階段で避難することができるんだろうね(怒)(中略)
認可保育所の最低基準は「0歳の子ども3人につき保育士1人」っていうように決まっていて、それは本当に最低の最低の、命を守るためのレベルなんだけど、東京などの待機児が多い地域では、自治体ごとに基準をゆるめてもいい、っていうことにされちゃっています。「知らなかった」じゃすまされない! (中略)
■ 猪瀬氏のオフィシャルサイトからですが、「とくに問題のある」規制として「科学的な根拠があるわけではない」
保育所の面積基準を槍玉にあげ引き下げることで待機児童問題が解決できると猪瀬氏が得意気であることが分かります。フジテレビ「とくダネ!」での保育所に子どもを詰め込めば解決するかのような発言が出たのは、猪瀬氏自らが昔からずっと取り組んできたことで当然のことだったわけです。
こうした猪瀬氏や橋下徹大阪市長らの「尽力」によって、東京都と大阪市は今年の3月議会で、保育所の面積基準を引き下げる条例を制定しました。東京都は、0〜1歳児1人あたり3.3平方メートル以上という基準を、年度途中から2.5平方メートルに引き下げることができるようにし、大阪市は、「0歳児5平方メートル、1歳児3.3平方メートル」というこれまでの基準を、0〜5歳まですべて1人あたり1.65平方メートルに引き下げることができるようにしてしまいました。
■ 猪瀬氏は、これまでの保育所の面積基準に「科学的な根拠があるわけではない」から、切り下げてもいいんだと言っているわけですが、本当でしょうか?
2009年に厚生労働省が保育所の最低基準のあり方について全国社会福祉協議会に委託調査を依頼しています。(中略)結論は、「2歳未満児に必要な面積基準は4.11平方メートル/人以上」「2歳以上児に必要な面積基準は2.43平方メートル/人以上」です。(中略)
日本は猪瀬氏と橋下氏に引き下げられる前の時点でも世界最低だったのです。
上のグラフ(略)は3歳以上児ですが2歳児以下でも世界最低です。
そして、職員配置基準とグループ規模についても諸外国と比較すると日本は職員の配置基準が低く、改善が必要だと調査報告で結論づけています。
さらに驚くべきことに、「保育の質の評価に関する研究」(『保育科学研究』第1巻、2010年度)によると(中略)日本について、「基準設定方法が子どもの使用・活動スペース等として諸室に加え廊下を含むことも可能になっているにもかかわらず、子ども一人あたりの面積基準も、児童の年齢層を問わず下位ないし最下位に位置している」とも指摘されています。
日本は基準設定に諸外国には含まれない「廊下」まで入っているのに
最下位だということで、いかに日本の保育環境が劣悪なものであるかがよく分かります。
2歳未満児の1人あたりの保育所の面積基準は4.11平方メートル以上は必要であるにもかかわらず、
猪瀬氏は2.5平方メートルに、
橋下氏は1.65平方メートル(なんと半分以下です)に切り下げてしまったわけです。(中略)
■ 規制緩和で激増した子どもの死亡事故 ゼロ年代の死亡が90年代の4倍近くに急増
「赤ちゃんの急死を考える会」では、保育施設で1962年以降に起きた240件の死亡事故を調査しました。
その結果、認可外保育施設で、死亡事故の85%が起きているということがわかりました。認可外保育施設と認可保育所の利用児童数は約1対10なので、認可外保育所における死亡事故の発生率は、認可保育所の54倍にも上ります。
例えば、2001年、2人の赤ちゃんを1つのベビーベッドに寝かせていたあるちびっこ園では、8カ月の赤ちゃんが4カ月の赤ちゃんに覆いかぶさり、窒息死させてしまいました。ちびっこ園では、経営者が、入園申込を断ることを厳禁し、組織的に詰め込み保育を行っていました。全国66カ所のチェーン店で、20年間に21人の子どもたちが亡くなっています。
こうした劣悪な認可外保育施設をみると、認可保育所を作って待機児をなくさなくちゃいけない!ということがわかります。
しかし、認可保育所なら何でもいいかというと、そうとは言えません。認可保育所の死亡事故が2001年の規制緩和以降、激増していることもわかったのです。
◆81年〜90年の10年間で、認可0件、認可外17件
◆91年〜00年の10年間で、認可6件、認可外29件
◆01年〜08年の8年間で、認可22件、認可外41件(中略)
認可保育所での死亡事故は超過定員を認める「弾力化」導入の01年度以降、増えている。遺族や弁護士らでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」によると、1961〜00年度の40年間で15件なのに01年度以降の8年間で22件。厚労省の調査では04年4月〜10年12月の6年9カ月で24件だ。
以上見てきたように、子どもの死亡事故を激増させているのが、猪瀬氏が得意気に誇る「全国一律の法令で国が地方自治体の仕事内容や方法を縛る『義務付け・枠付け』」の「廃止」「規制緩和」、そして、猪瀬氏や橋下氏が熱心な「地域主権改革」「地方分権改革」の現実です。(中略)
■ 宇都宮けんじさん は日弁連の会長時代に以下の声明を発表していますので、最後に紹介しておきます。
子どもの成長発達権を侵害する保育所面積基準の緩和を行わないよう求める会長声明
2011年5月2日に施行された(中略)条例によって保育所の面積基準を緩和し得るという重大な例外を設けている。子どもの健全な成長発達や安全を犠牲にし、保育の質を無視して単に量的に受入れ児童を増やすことになり、子どもが安全・安心に成長発達する権利を侵害するものといわざるを得ないと指摘し、懸念を表明した。(中略)
当連合会は、子どもの成長発達権を保障する観点から、(中略)子どもの成長発達権を侵害する保育所面積基準を緩和する条例の制定を行わないこと、また、たとえ緩和することを認める条例が制定されてもそれに沿った保育所面積基準の緩和を現実に行わないことを求める。
2012年4月4日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児
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