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極右政党、国民戦線にみるアクロバット的教義  しかし日本の極右と思いが違う
http://www.asyura2.com/12/senkyo139/msg/580.html
投稿者 グッキー 日時 2012 年 11 月 24 日 14:42:32: Cbr3d6O9vj7Mc
 

極右政党、国民戦線にみるアクロバット的教義
エリック・デュパン
(ジャーナリスト)
訳:石木隆治
http://www.diplo.jp/articles12/1204marinelepen.html

 2012年の3月半ば、アル=カイダを名乗るひとりの若者がトゥールーズとモントバンでの無差別殺人の犯行を表明した。事件の影響で、極右政党、国民戦線がおはことするテーマに再び注目が集まった。彼らに言わせると、解決すべきは移民問題やイスラムの問題なのである。一方、今回の大統領選挙に出馬していた国民戦線党首マリーヌ・ルペン女史は、事件の前からキャンペーンを展開し、少なくとも国民戦線にとっては新しい社会理解を打ち出していた。女史が選挙期間中に刊行した新著の大胆な内容を報告する。[フランス語版、日本語版編集部] 

« 原 文 »

「自由主義神学にとっては聖霊とは、神の見えざる手のことだ。この神の見えざる手によって、ばらばらで利己的な大衆から始まっても、最後には科学にかない、さらに進んで自然の摂理にまでもかなう集団的幸福の構築へと向かうのである」。三位一体の教義ばかりか伝統的右派をも冒涜するようなこの言葉は、国民戦線党首であるマリーヌ・ルペン氏の新著からの引用である(注1)。大統領選のまっただ中に出版されたこの本でのルペン候補の言い回しは驚くべきものがある。彼女はその中で、「超自由主義」を激しく批判している。これは「グローバル化され、ボーダレス化した支配階級のイデオロギーにすぎない」と喝破し、この「新たな貴族階級」をできるだけ早く葬り去らねばならない、としている。そして体制内左右両派は「超自由主義的資本主義から生じたグローバル化イデオロギーを共有しており、一握りの特権勢力の利益を生むだけだ」と述べている。

 ルペン女史は臆することなく、自らの発言の裏付けのため数々の著述家の言葉を引用するが、はっきり言えるのは、本の著者たちは極右とまったく縁がない。フィリップ・アシュケナージの著書『茫然自失状態のエコノミストたちの宣言』(注2)から2度も引用されているし、本紙のセルジュ・アリミも著書2作から引用されている。一冊は市場精神の氾濫を指摘する本、もう一冊は「ジャーナリズムにおける特権階級」の告発に用いられた本だ。
 ルペン女史の本には、こうも書かれている。「グローバリズムとは、消費主義と物質主義の結合物だ。グローバリズムは人類を歴史から逸脱させ、ジル・リポヴェツキーが著書のタイトルにもした”空虚の時代”へと陥らせる」。エマニュエル・トッドからフランクリン・ルーズヴェルトへ、またジョージ・オーウェルからベルトルト・ブレヒトへ、カール・マルクスからモーリス・アレまで、彼女はあらゆる著述家の言葉を援用して、自身のグローバリズム批判に根拠を与えようとする。


 しかし、彼女がもっとも影響を受けたのは哲学者のジャン=クロード・ミケアのようだ。それは、彼女が次のように述べていることから窺える。「私は、会話や白熱した議論のなかで一部の仲間と対立した結果としてそうなったのである。議論のテーマは、ライシテ(政教分離)や共和制、自由貿易あるいはユーロの終焉といったいずれも重要なものであった」。彼女はミケアの著作から繰り返し援用しており、ミケア本人に「その理論をフランス化していることをご容赦ください」と断わりを入れるほどである。ミケアの『袋小路のアダム・スミス』(注3)を読んで、なにゆえ左派が自らの政治理念を裏切り、「庶民や労働者階級の支援から、いつの間にか社会的落伍者や不法滞在者の支援に回ってしまった」のか、腑に落ちたというのだ。

 ルペン女史は自著を利用して、およそ極右のリーダーらしからぬ賛辞を敵陣営へおくる。彼女がもちあげたのは、古き良き時代の左派である。「左翼はその発祥以来、常に壮大な自由への解放闘争を牽引してきた。彼らの政治活動の原点は、“理性”の名において“神の啓示”に対して闘うことであった。啓蒙思想家たち、百科全書派は、教会勢力と卑劣な迷信が人々の良心の自由を抑圧しているとして糾弾したのである」。極右機関誌『リヴァロル』、『ミニュット』、『プレザン』――3誌とも、すでに彼女を快く思っていない――も、この点ば評価するだろう。

 移民問題の告発は、彼女の「グローバル化」批判の要である。この問題について女史は、社会問題を利用して抜かりなく持論を展開するようにしている。彼女は「他国労働者との競争」が「わが国の賃金労働者を悲惨な境遇に追いやっている」ことを強調する。そして「ホーム・ショアリング[在宅ワーク]」問題にも言及し、人件費競争が「“現代の奴隷”というおぞましいしい姿」を生むという主張を振りかざす。

 ここでもまた彼女はちゃっかり左翼側の発言を拝借する。1957年1月19日のピエール・マンデス・フランス元首相の言葉を掘りだすのだ。その言葉とは、わが国は「とりわけ経済見通しによって必要と判断される場合には、移民の流入を規制し、外国から持ち込まれてくる失業や生活水準低下のリスクから身を守る」権利を保持するというものである。

 彼女はさらに、1981年1月6日にフランス共産党書記長のジョルジュ・マルシェがパリの大モスク院長に宛てた書簡を援用する。マルシェ書記長はその中で「移民の流入を阻止しなければ、若い労働者が失業に追いやられる」理由を説明し、「社会的緊張」と「ゲットー」化現象が起こることを示唆している。だが、左翼党幹部のアレクシス・コルビエールが指摘するとおり、彼女はマルシェ書記長のもうひとつの言葉を引用することは都合よく忘れている。マルシェは「われわれの指針は、移民と利益を共有し、彼らと連帯することです。憎しみや断絶とは正反対のものであります」(4)と、補っているのだ。

 自由貿易批判と移民攻撃を併せた「グローバリズム」攻撃は、国民戦線の要石である。彼女は「産業の再建、および産業の再配置」を訴え、これが「唯一、真のエコロジーにかなう」政策であるとする。保護貿易を擁護し、ユーロ離脱を唱える。社会的反響の大きいテーマを借りて政治方針を発展させようという戦略は一貫しており、熟慮されたものであると言わずにはいられない。彼女の著作には「もはや左派と右派の間に溝はもうなくなった、などと言う気持ちはさらさらない」と書かれている。治安の悪化と移民問題にかんする国民戦線の姿勢は、もっとも右寄りの右翼に深く根ざしているのである。そうは言っても、彼女の政治方針は5年前の父親の政治方針をやや軟化させてはいるのだが。

 移民問題における彼女の方針は、相変わらず徹底したものである。このことは、特に「5年後には、合法的な移民を年20万人から年1万人へ縮小」、さらには「国籍の出生地主義の廃止」といった持論に顕著である。ジャン=マリー・ルペン氏が重視した「国民第一主義」が「国民優先主義」に座を譲ったのだ。2007年の大統領選に出馬した彼女の父は「諸々の生活保護と家族手当をフランス国民にのみ交付する」ことを提案した。今回、その娘は、企業は「能力が等しい場合、フランス国籍保有者のほう」を採用すべきと考えている。同じ論理が公共住宅にも適用される。家族手当については「少なくとも片親がフランス人かヨーロッパ人である世帯に交付する」というのだ。

●教師の囲い込み

 この父娘の違いがもっとも顕著なのは、経済政策である。国民戦線の創設者である父ルペン氏は、米国のロナルド・レーガン大統領(任期は1981-89)(注5)への傾倒を隠さなかった。元プジャード党(注6)代議士であるルペン氏は、自由経済の庇護者たることを自認し、絶えず「国家による経済統制」と「課税」に反対した。一方、2012年になって娘のマリーヌが推奨するのは「金融業界と投機マネーをコントロールできる強いフランス」である。彼女は「危機的状況にある一部貯蓄銀行の暫定的な国有化」の検討をも辞さない。父親が高所得者の課税率を最大20%に引き下げることを提唱したのに対し、彼女は46%に引き上げるという。

 ジャン=マリー・ルペン氏のときは「一律65歳からの年金支給」に賛成だった。しかしマリーヌは、年金支給年齢の「段階的な60歳への引き下げ」を公約に掲げる。そして「なるべく早急に支払い期間40年で、満額受給退職を可能にするよう目ざす」とも述べている。

 国民戦線幹部らはこうした方針転換について、これは世の中の変化に対応するものであると説明している。マリーヌ・ルペンの言葉には、第二次世界大戦後に高度成長を遂げた、いわゆる“栄光の30年”(注7)へのある種のノスタルジーが滲んでいる。「当時のフランスの混合経済、大資本の介入を許さないその国力、手厚い福祉法に最低賃金、“値の張る”公共事業、採算度外視の教育機関と公共機関、“至れり尽せり”の医療機関、一社独占のガス・電気・交通機関・郵政事業。これらは、超自由主義経済の描く理想とはまったく対立するものだ」。彼女は「国策としての計画経済」を復活させると断言し、ド・ゴール将軍がモットーとした「猛烈な義務感」をよすがとする。

 上記のような話は、フランスの極右全体の意見とは相容れない。それぞれ政治的傾向が微妙に違い、一枚岩ではないからだ。父ルペン氏は、1970年代にそうした右派を束ねることに成功し、国民戦線が創設されたのである。元国民戦線幹部で、“時計クラブ”(注8)の創設者でもあるイヴァン・ブロ氏は、憤まんやる方ない様子でこう述べている。「彼女はヨーロッパ最後のマルクス主義者だ。マリーヌ・ルペン候補の支持者は移民増大と治安悪化に危機感を持っている。しかし、彼らの危機感と赤いマリーヌの危機感とのズレに驚くことになるだろう!」(注9)

 これはいったいどう考えればよいのだろうか。国民戦線の選挙対策局長であるフロリアン・フィリポ氏は「代筆は、一切ない」としている。フィリポ氏はフランス国立行政学院(ENA)の卒業生で、ジャン=ピエール・シュヴェヌマン氏(注10)が創設した《共和市民運動》での活動を経てきた人物である。彼は、しかしながら彼女の著書が「2年に亘る共同作業」の成果であることを認めている。

 彼女が自著で述べていることは、支持者拡大のための戦術ではないのか。現在、国民戦線は極右の支持を独占している。ゆえに、彼らは従来の右派支持層を当てにでき、それに加え新たな有権者を取り込むよう動くこともできる。たとえば、教員である。2011年9月27日に国民戦線系のシンクタンク《国民思想研究所》主催による教育シンポジウムの際、ル・ペン女史は彼らに以下のような言葉で呼びかけた。「長いあいだ、私たちの間には誤解がありました。長いあいだ、私たちはあなたがたを敵視しているかのような印象を与えてきました。長いあいだ、私たちは話し合うことができず、共通の言葉を見つけることができませんでした。(中略)長いあいだ、私たちは先生たちの学校荒廃に対する態度は、容認か無関心であるという誤った認識をもっていました。大多数の教師たちを誤解していた。しかし、それは過去のことです」。

 同じ方式で、不健全な経済システムの不正、不均衡を批判することから、現実的な政策を作り上げることができる――とくに経済危機においては。そうした政策で、庶民階級の支持を獲得していけるかもしれないのである。

富の再分配政策はナシ

しかしこれでは、イカサマと叫んでみたい誘惑にかられるところだ。ルペン女史の社会的問題に応える装いをもった多くの政策は厳密な吟味に耐えられるものではない。ルペン女史は「強い国家」を約束する。そして非常に多くの公務員ポストが削減される「公共政策の全面見直し策(RGPP)」を弾劾している。一方、彼女は地方公共団体に「公民定数の縮減、安定化のプランを」提出するよう厳しく求めている。他の例。国民戦線のプロジェクトは公務員の200ユーロの賃上げから、最低賃金の1,4倍までの給料の値上げをちらつかせている。原資には「輸入税をあてる」としている。しかしこれの内実は、給料からさっぴく保険金を軽減することであって、収入の不均衡是正を意味するものではまったくない。「収入の不平等の是正」はこの党にはまったく無縁な発想なのである。

また、大統領候補ルペン女史は、宣伝戦における2つの主張を束ねるのに苦労している。この2つの方向性は2つの異なった勢力に呼びかけるものだからである。「妊娠中絶」の問題は2つの勢力を同時に満足させねばならないという問題に関して象徴的な位置にある。従来の伝統的な国民戦線支持者たちは、妊娠の中絶には猛反対している一方、あらたな支持者たちは女性の権利に対して好意的である。このため、ルペン女史の公約はどっちつかずで「堕胎しない女の自由」を謳った後、「中絶費用の保険料払い戻し」は優先的な重要性を持つ課題ではないとし、保険制度の赤字の際には中止されるとした。

国民戦線のもともとの主張に対するサルコジ候補の侵入が世論調査で一定の成功を収めたので、 選挙期間中にマリーヌ・ルペン候補は。移民問題とイスラムに関して、従来の主張を強化することになった。しかし一方、ルペン女史は経済問題での批判を捨ててはおらず、これを頼りに庶民階級、中産階級の支持を広げようとしている。しかしながら、このようなサルコジの支持組織、民衆運動連合(UMP)と国民戦線のつばぜり合いのせいで、ルペン女史の大胆な改革計画はたががはめられることになった。それというのも、女史は国民戦線の伝統的支持基盤から分離するようなリスクは冒せないからである。


(1)Marine Le Pen : Pour que vive la France, Jacques Grancher, Paris, 2012
(2)Philippe Askenazy, Thomas Coutrot, Andre Orlean et Henri Sterdyniak, Manifeste d'economistes atterres. Crise et dettes en Europe: 10 fausses evidences, 22 mesures en debats pour sortir de l'impasse. Les liens qui liberent, Paris , 2010
(3)正確なタイトルは、Impasse Adam Smith. Breves remarques sur l'impossibilite de depasser le capitalisme sur la gauche, Flammarion, Paris, 2006
(4) Alexis Corbiere, "Marine Le Pen, un livre absurde et dangereux pour la France ", 3 fevrier 2012, www.placeaupeuple2012.fr
(5)新自由主義の最初の提唱者・実行者として知られる。[訳注]
(6)フランスの中小企業主などを結集した右派政党。[訳注]
(7)7月革命(1830)で起きた《栄光の3日間》をもじった言葉。[訳注]
(8)自由主義的な右翼政党。[訳注]
(9)Yvann Blot, "Un livre neomarxiste ? Quand Marine Le Pen devient Marine la Rouge...",Atlantico
(10)ジャン=ピエール・シュヴェヌマン、元社会党の有力議員[訳注]
----------------------

同じ極右でもこれだけ違う。
片やグローバリズムを
「これは「グローバル化され、ボーダレス化した支配階級のイデオロギーにすぎない」と喝破し、この「新たな貴族階級」をできるだけ早く葬り去らねばならない、としている。」
と批判し、人件費競争を
「人件費競争が「“現代の奴隷”というおぞましいしい姿」を生むという主張を振りかざす。」
奴隷労働と批判する。

日本の極右は新自由主義に被れ、TPPを推進し、原発容認、消費税増税、軍国化と
まるで国民のことを考えていない。
同じ極右でも思いが違う。
民族のためを思った極右と、自分の権力、利権のことしか考えない極右の違いか。

 

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コメント
 
01. グッキー 2012年11月24日 14:52:38 : Cbr3d6O9vj7Mc : IanDpFU7gs
フランスの極右の政策が良いとは言えぬが、
せめて国民のためという思いくらいは、
日本の極右も見習って欲しい。

まるで日本の恥を晒しているような極右には
うんざりする。


02. 2012年11月24日 15:03:54 : g2ptnA3e6s
いや
確かに言ってる事は、それほど間違いとも思わないが
実際問題として、欧州の極右政党には新自由主義やシオニスト勢力からの資金援助も指摘されていて
彼らの主張を議論の対象とするのは間違いだろう

確かに日本の極右は、ネオナチ以下に見えるが
背後は、そう変わらない


03. グッキー 2012年11月24日 15:26:19 : Cbr3d6O9vj7Mc : IanDpFU7gs
>>02

私は思いの違いだけを指摘しているのです。

言ってることを私は率直に受け止めますが、
少なくともグローバリズムに真っ向から反対し、
賃金引下げ競争を奴隷と批判している。
少なくとも国民の思いはだけは受け止めているわけです

日本の極右は国民の思いを受け止めず、
日本の恥さらしのようなことを言っている
ということです。


04. 2012年11月24日 16:28:01 : esmsVHFkrM

日本の右翼思想のみっともないというかそれゆえに性質が悪い点はそれが思想の名に値しないことだ。

日本の右翼思想は2重構造になっている。上部社会エリート階層の保守主義と下部社会脱落層の右翼気分だ。

上部の社会エリート層はそんなものまったく信じてもいないくせにそれを体制維持の道具として利用する。明治維新以降のプロイセン型の天皇制国家主義思想の本質は官僚政府が自らを天皇の「臣」と定義してその「民」支配の正統性を天皇制に求めることにある。天皇の政治的権威が絶対である限りその「臣」である天皇官僚の国民支配は犯すべからざるものであり永遠である。

天皇が立憲君主制下に議会や内閣を超越して存在するように天皇官僚の支配はそのような儀式を超越して行使される。だから明治天皇官僚制が昭和に至りその行き詰まりの果てに議会や内閣の一切を体制翼賛的にした天皇制官僚ファシズムに転化したのは当然のことだ。

こんなものは終戦によってその歴史的責任を問われて徹底的に排除されなければならなかったのに、なんと天皇を盾にとって生き残った。天皇制の維持の美名の下にアメリカと取引をして、軍部に一切の責任を負わせることで官僚政府そのものは無傷で生き残った。

これが東京裁判の本質だ。天皇制官僚が今度はアメリカの傀儡となって日本を支配し続けることはアメリカの戦後日本支配に非常に都合がよかったわけだ。

だから、上部社会エリート階層の右翼保守主義は、戦前は「鬼畜米英」だったくせに戦後はのうのうと「対米協調=対米従属」に転換して恥じない。そもそも思想ではなく自分たちの日本永久支配のための便法に過ぎなかったのだからこのような180度転換もなんらその思想的危機も招かない。なんと都合のいいことか。

他方、下部社会脱落層は、まず健全な社会生活からの脱落者だ。まともな教育も受けずまともな職にも就けず社会に置き場のないそんな脱落者は当然劣等感を抱くが、その巨大な劣等感は右翼思想によって解消される。

自分のズタズタの自尊心を一気に回復するものは、自分がアジアに冠たる大日本帝国の「臣民」(ここで哀れなのは下部社会脱落層は自らを好んで「臣民」であると自認するが(阿修羅のネトウヨもよくそうコメに書いてくるが)上部社会エリート層の官僚は自分たちだけを「臣」として下部社会脱落層は当然自分たち「臣」が支配する対象の「民」であると見下しているということだ)であるということだ。仕事についていなくても収入がなくても社会的尊敬が得られなくてもそれでも「俺は日本人だ、あの朝鮮人や中国人とは違う、あいつらを超越しているのだ」と言えるのだ。まさに「愛国心はならず者の最後の拠り所」だということだ。

だから自らが「臣民」(!)であるところの「日本」は雄雄しく強い国でしかも凛として美しい国でなくてはならないし、それは歴史においても無謬でなければならない。安倍自民党の「美しい国」や「強い国」のイメージ戦略も、保守言論人の南京虐殺や従軍慰安婦の否定もこのような下部社会脱落層の切実な自尊心の「必要」に応えたものだ。

これは明らかに思想ではなく「気分」だ。まあよく言って「趣味」だ。

だからこそ戦前は「鬼畜米英」であったものが戦後急に「対米協調」と言われてもなんら心理的抵抗がないばかりか疑問すら抱かない。そもそも思想ではなく「気分」ないしは「趣味」なんだからそのような180度の転換はせいぜいボディデザインの変更に過ぎない。なんといい加減なことか。

これが日本の右翼保守「思想」だ。

これは上部支配階級である官僚政府の日本永久支配のための政治的便法と下部社会脱落層の巨大な劣等感を補償する政治的「気分」の奇妙な結合だ。

これは思想ではまったくないが、それ故に、一方(上部)において実利的で功利的で実際的な政治的操作であることから融通無碍であり、他方(下部)において頑迷な非合理的な情緒的な心理補償であることから根強く堅牢ある。

それゆえに、日本の右翼保守「思想」は戦後60余年を経ていま不死鳥のように甦って再び日本と日本人を破滅へ追いやろうとしている。

日本と日本人の敵は、官僚利権政府とその傀儡である自民党等の保守政党だけではなくそれが利用しまたそれを支えてきた右翼保守「思想」だ。右翼保守「思想」を清算しない限り日本に本当の民主主義は確立されない。

わたしはそれゆえに日本の右翼保守「思想」を厳しく弾劾する。


05. 2012年11月24日 16:39:07 : ijEkXt3oQw
04さん

鋭い。


06. 無段活用 2012年11月24日 17:29:14 : 2iUYbJALJ4TtU : VkhWjb1vuc
ただ、この人たちは、一般的なゴーリストたちの流れとは違って、ペタン政権を
否定しないから。

たぶん、「共和国の理念」とか「〜主義」とかいった、観念的なものとは別のとこ
ろに、自分たちの拠り所を置いているのだと思う。

ペタン政権の標語は「家族・労働・祖国」だったが、風土とか、大地とか、歴史と
か、そのようなものに思える。自分たちの歴史を肯定できるならば、それが左派
のものであれ、右派のものであれ、その所産を肯定的に捉えることができる。そ
れを、取捨選択して、自分のテイストに合わせて取り込めばいい。

日本の右翼「思想」は、左翼「思想」と同様、観念の産物、ということだと思う。裏
付けとなるようなものがないから、地に足がついていない。「TPPを推進し、原発
容認、消費税増税、軍国化」するならするで、なぜそうしたいかの考えに、一貫し
たものがない。

だから、「反原発」「反消費税」と、根拠や理念のしっかりした運動に対峙できない。
せいぜい、なだめ、すかし、ごまかしながら、ダチョウのように時が過ぎるのをじっ
と待つだけ。今の自民党や民主党のように。


07. 2012年11月25日 00:01:40 : vQbBv9OPUk
フランスの極右政党も次のような良いことを言っている。

「移民の流入を阻止しなければ、若い労働者が失業に追いやられる」
「5年後には、合法的な移民を年20万人から年1万人へ縮小」、
「国籍の出生地主義の廃止」
「国民第一主義」が「国民優先主義」に座を譲った。
「諸々の生活保護と家族手当をフランス国民にのみ交付する」
企業は「能力が等しい場合、フランス国籍保有者のほう」
家族手当については「少なくとも片親がフランス人かヨーロッパ人である世帯に交付する」

日本も「諸々の生活保護と家族手当を日本国民にのみ交付する」を直ちに実行すべきだ。


08. 2012年11月25日 02:11:52 : 7oSKGju5kA
> だが、左翼党幹部のアレクシス・コルビエールが指摘するとおり、彼女はマルシェ書記長のもうひとつの言葉を引用することは都合よく忘れている。マルシェは「われわれの指針は、移民と利益を共有し、彼らと連帯することです。憎しみや断絶とは正反対のものであります」(4)と、補っているのだ。

> 都合よく忘れている。
> 都合よく忘れている。
> 都合よく忘れている。


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